剣山系縦走その2(京柱峠→土佐矢筈山→矢筈峠→綱附森→天狗塚→お亀岩避難小屋)
前回記事『剣山系縦走その1』からの続きです。
二日目は前日テントを張った京柱峠からスタート。早朝から降り始めた雨の中、まずは土佐矢筈山を乗り越えるべく登り始める。前日の道なき道を往くという過酷さからは一転、この日は綱附森の前後の笹薮以外は最低限登山道として整備されている道で安堵。ニセ小桧曽山から土佐矢筈山までは開放感のある笹尾根歩きを終えた後は一旦矢筈峠に下り、再び綱附森への長い長い登り返し。その頃には天気は回復の兆しを見せつつあり、地蔵ノ頭を越えて天狗塚に着く頃には快晴と言えるレベルに好転……その後はお亀岩避難小屋付近にてテント泊。
他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。
【2021年3月】剣山系縦走登山についての情報と記録 - 山とか酒とか
また登山の以外の旅行の日程は以下に掲載していますので、山に飽きたらご覧下さいませ。
目次
京柱峠→ニセ小桧曽山→土佐矢筈山
[5:03]京柱峠出発
午前3時頃のテントの様子です。この時点ではまだ雨は降っておらず、天気予報は外れてくれたのでは?と淡い期待を持つも、4時頃朝食のラーメンを啜ってるとパタパタと雨粒がテントを叩く音が響き始める。
出発する頃にもなれば雨はそこそこの勢い。撤収時に色んなものが水気を吸ってしまい、荷物は飲料水を満載していた前日に匹敵する重さにまで成長……しんど。
小桧曽山、土佐矢筈山方面の登山口に入ります。看板が立派だから道もそれなりに整備されてるのではと期待して踏み込みましたが、こちらは期待通り道は良い感じ。Bランク登山道くらいの整備具合でした。
暗闇の中を探るように進んでいくと次第に空が明るくなり始めました……しかし雨脚は強さを増す一方で。
広尾根みたいな所でも迷わず進める程度に道は良いです……しかし行く先には鈍重なガスが立ち込めている。
木々の切れ目があったので、そこから景色を覗いてみる。見えているのは土佐矢筈山で、中央の雲が掛かるかどうかというギリギリの所に山頂が確認できます……しかし右側のこれから歩く稜線上にはガスが乗っかってしまっている。
歩きやすく案内も多い、これといった急登もない、手頃なハイキングコースといった風情の道。前日の悪路からの落差が凄い。
[6:48]ニセ小桧曽山
主稜線から小桧曽山方面に伸びる道の分岐近くにニセ小桧曽山というピークがあります。 小桧曽山の本峰は片道20分くらいなので行っても良かったんですけど、行った所で何も見えないでしょうし、何よりこんな状況でザックをデポして雨曝しにするのは気が引けたのでスルーしちゃいました。
ニセ小桧曽山から東に進んだ所にある笹原。だだっ広い尾根で、翌日以降歩く三嶺や剣山の近辺とはまた違った雰囲気……この付近は是非とも晴れている時に歩きたい所でしたね。
何も見えない中、よく分からないまま通過してしまうだけというのは非常に惜しい。そう思ってしまうような雰囲気の場所でした。
視界の悪いガスの中、黙々と先に進む。こういう日もあるさ。
暫く歩いていると、尾根上を覆うように纏っていたガスが時々流れてくれるように……雨は相変わらずですが、ガスで視界ゼロよりは良いので少しだけ喜ぶ。
雄大な丘のような稜線。雲が流れるか下がってくれたかで遠くの山も多少見えるように。
歩いてきた道を振り返った所。右側の高いピークがニセ小桧曽山です。その左奥の小さい突起のようなピークが小桧曽山ですが、標高は偽物の方よりだいぶ低いらしい。
行く先に見える土佐矢筈山。京柱峠から矢筈峠の間の山々では最も標高が高いピークです。
笹原が左右に大きく広がり、緩やかな登りが続く稜線。時々鹿が横切っていくのが見えます。雨に降られているとは言え、こうして景色を楽しめる程度に雲が流れてくれたので一応は満足かな。ギリ及第点くらいですけど。
徐々に上り詰めていくと山頂少し手前の所に看板が……ここから矢筈峠方面の縦走路が分岐しているのですが、山頂ばかりを意識して歩いていたという事もあって気付かず通過してしまう。
土佐矢筈山→矢筈峠
[7:52-8:23]土佐矢筈山
土佐矢筈山に登頂……看板の表記は矢筈山ですが、付近の祖谷山地のものを始め日本各地に同名の山があるので、頭に土佐と付けて区別される事が多いらしいです。
道中の登山道の整備具合もそうでしたが、割と人気の山らしく看板もそこそこ立派なものが立っています。
土佐矢筈山からの展望。雲が多いながらも、正面にはこれから歩く稜線が左右に伸びているのが見えます。中央やや左側のなだらかなピークが綱附森で、左側の雲の中には天狗塚らしき三角形も微かに確認できますね。
こちらは逆側、歩いてきた尾根道を振り返った所。中央奥には前日も見えた梶ヶ森のピークが見えます。
雨の中歩いていると体が冷えてくるので意識して燃料補給を多めに行います……今回食べるのはベースブレッド。完全栄養食を謳う長期保存パン(ロングライフパン)ですけど、栄養補給的観点からは勿論、長期のテント泊においては日持ちのしないパン食そのものが難しいという事で重宝しており、ここ何度かの登山で行動食として持参しています。
発売当初は完食が苦痛なレベルで不味い事で有名だったんですけど、幾度かのリニューアルで改良され、現在ではそれなりに食べられるレベルの味になってます(チョコ味メープル味辺りは普通に美味いです)。フレーバーも幾つか追加されていて飽きにくくもなっているので、登山時の食事のバリエーションを増やすという点でもおすすめです。
軽食を終えたら矢筈峠方面下ります……が、山頂から先の尾根筋に道が続いておらず行き止まり状態。方角は間違ってないので、きっと矢筈峠方面は殆ど歩かれてないんだろうなと、特に疑問を抱かず笹薮にダイブ。
出発してすぐの所で左右に道が横切っているのが視界に入りました。先程の看板の辺りから道が分かれていた事にここで初めて気付き、ルートを修正しつつ合流。
こちら側も京柱峠側に負けず劣らずの道の良さでした。軽快な足取りで下っていく。
笹原の末端から樹林帯に突入。その後も何の変哲もない普通の登山道が続く。
舗装路に合流した所が矢筈峠。同じ峠でも標高は京柱峠より100m高いという事もあってか、思ったより時間かかりませんでした。
[9:08-9:36]矢筈峠
土佐矢筈山と綱附森の鞍部である矢筈峠に到着。広々とした駐車スペースの他、トイレも設置されていたりと至れり尽くせりな登山口。案内も充実してますし、土佐矢筈山の登山はここからの往復が主流なんでしょうか。
この峠、正式な名称は矢筈峠ですがアリラン峠の別名があると看板に記されています。戦時期、当時この付近の道路工事に従事していた朝鮮人労働者が、この峠からの風景を記憶の中の祖国の景色と重ねてそう呼称したのが由来との事。
戦時中と言えば、輸入木材(当時、米材や南洋材と呼ばれていた)の供給が滞り切羽詰まっていた時代。当時、軍需物資の名目であった木材は場所によっては禿山になるまで山から切り出されていました。その輸送の為の林道や森林軌道の整備も急務であり、その工事は主に国家総動員法等によって徴用された人材で行われていた、なんて話は割とあちこちで聞く話ですね……色々と難しい話なのでこの辺で。
矢筈峠には水場があるとされてますが、雨の影響かあちこちに水の流れがあったので結局どれが本来の水場かは分からずじまいでした。
矢筈峠はこれより向かう綱附森の登山口でもありますが、辺りを見渡しても見つからない。地図を確認してみると林道を東側に進んだ所に設けられている様子だったので、とりあえず歩いてみます。
峠から10分程度歩いた先に綱附森の登山口を発見。けど入口には熊注意看板がある程度で、案内地図等が整備されていた土佐矢筈山の登山口と比べるとだいぶ控えめな感じでした。
熊出没注意というからには熊は居るには居るんですけど、実は四国のツキノワグマはこの剣山系に十数頭生息している程度で殆ど絶滅寸前らしいです。個人的な感覚として、熊が居る山って独特の空気というか気配みたいなの感じる事が多いんですけど、この辺りにはそういう感じは全くしなかったですね……このまま九州みたいに絶滅してしまうんでしょうか。
矢筈峠→綱附森
登山口から綱附森を目指します。登山口の雰囲気通り、こちらは若干自然味に溢れた感じの登山道。
雨水が捲れ上がった木の皮を伝って、そこそこの勢いの水流となって流れ落ちてました。天然の水場。
地図に笹コースって記載があるくらいなので所々もさもさです。晴れていればどうという事は無いんですけど、雨だと全身ずぶ濡れ必至。
綱附森までの登り返し。この頃には雨脚は若干弱まりつつありましたが、時々ゲリラ的に強く降る事もあるので合羽は脱げない。
何度も小さなアップダウンを越えていきます。一つ一つの起伏は小さく歩きやすいのですが、結構な距離を歩かせられる。
平坦な笹道を歩く。目指すべき綱附森のピークは正面の雲の中。
道の雰囲気。歩く人はそこまで多くないのか、時折右の写真のように獣道と錯綜して本来の道が消失しているような所もあります。尾根筋は把握しやすいので難なく歩けますが。
矢筈峠から綱附森のコースを半分程度進んだ所。雲が物凄い勢いで流れ始め、天気が急速に回復しつつある。雨もこの付近でぱらついたのを最後に完全に止んでくれました。
先程雲に埋もれていた綱附森のピークが姿を現す。基本緩い稜線歩きですが、最後の方だけ若干登りが続きます。
目の前に見える綱附森を目指して進んでいく。
歩いてきた尾根道道を振り返った所……手前の方で左右に交錯する稜線を歩いてきました。その一本奥に見える山々は四国百名山である奥神賀山。小桧曽山から南方面の尾根続きにある山との事です。
山頂近くなり再び藪が濃くなってきました。雨露を含んだ笹の葉が洗車機のように身体を濡らす。
山頂の直前にて、頭上を厚く覆っていた雲が薄くなり空の色は明るく変わった。遠く西の方には青空さえ見えるように。
山頂直下の笹薮。この付近の笹が一番深く、胸の辺りまで高さがありました。泳ぐように進んでいく。
綱附森→堂床分岐
[12:41-13:15]綱附森
所々深い笹薮があって多少時間を取られてしまったものの、なんとか綱附森に到着。ここに来て空の模様は大きく動き始め、雲間には切れ目のような青空が覗く事もしばしば。
綱附森からのほぼ360度展望。まだまだ雲が滞っている様子ですが、それも次第に流れつつある。
少し気になった方面。三嶺からカヤハゲ、白髪山方面に伸びる稜線で、中央左の高いピークが白髪山。その奥には中東山から石立山方面の稜線も見えます。三嶺や剣山や次郎笈といった剣山系を代表する主峰はこの時点ではまだ見えず。
展望を堪能している最中、聞き慣れない音が耳に入ったのでなんだろうと見上げてみると、迷彩色の戦闘機が飛行していました。5機くらいの編隊で山頂の周囲をぐるぐる旋回しており、写真撮ってくれと言わんばかりに近くの方に来てくれたので接近した所を撮影。空自のF35って奴でしょうか。
綱附森を下り天狗塚方面に向かいます。偶にガスが流れ込んできて一時的に視界が悪くなる事もありますが、全体的には回復傾向である事を確信。
天狗塚方面に続くなだらか稜線。笹薮はせいぜい膝下程度ですが、登山道が完全に埋もれていて殆ど判別できない。適当に漕いで歩く。
最鞍部である堂床方面の分岐手前くらいまで笹薮ゾーンは続きます。
少し進んだ所から綱附森を振り返る。笹が薄い所は辛うじて道筋っぽい所も確認できます。本当に微かにですけど。
途中のちょっとした登り返し。南斜面は笹がもさもさに茂っていて道も曖昧。
小ピークを登りきった所から綱附森方面。
白髪山方面の展望。天狗塚や三嶺は未だ雲に埋没したまま。
少し望遠で撮ったもの。見える山は綱附森に居た時からさほど変わってないです。
手前に見える少し目を引くピークが白髪山。主稜線上、白髪避難小屋の付近から南側に分岐する稜線上にあり、角度によっては独立峰の山容に見える事から土佐富士とも呼ばれているらしいです。分岐から往復1時間程度との事だったので翌日立ち寄るつもりだったのですが……。
その右奥に見える、遠いながらも存在感のあるピークが石立山。こちらは主稜線上の高ノ瀬付近の分岐から中東山方面に南下した所にある山です。険しい見た目のイメージ通り、岩場の多い山らしい。
景色を眺めながら天狗塚方面へ着実に歩を進める。基本この辺りもなだらかな稜線歩きが続きます。
なんだか気になった枯れ木。威容とも言うべきか。
樹林帯に入ると笹の密生は無くなりサクサク歩ける道になります。
天狗塚方面。主稜線上である地蔵ノ頭のピークまで標高差300m程度、そこそこの登り返し。
未だ雲に埋もれたままの天狗塚方面の山々……しかし着実に雲は流れつつある。
西の方を見ると朝方に登った土佐矢筈山が見えました。こちら側は既に青空が目立つ。
堂床分岐→地蔵ノ頭→天狗峠
[14:19-14:33]堂床分岐
高知県側の登山口である堂床方面との分岐に到着。笹薮が濃くて手こずりましたが、意外と標準コースタイム程度で歩けました。
分岐周囲の様子。なんか日が差し込んできて居心地が良いので、登り返し前の休憩。
主稜線に向けて出発。一休みしている間に雲が流れてくれたのか、正面の小ピークを越えると均衡が取れた三角形の天狗塚のピークが見えました。
登り基調ですが適度に踏まれていて歩きやすい道。天気もすっかり回復して青空が清々しい。
歩いてきた尾根道。広尾根っぽい雰囲気ですが道筋は概ね明瞭でした。
東側の展望。先程まで殆ど雲に覆われていた剣山系の主稜線が完全に露わになりました。左側の大きな山が三嶺で、右側にカヤハゲ、白髪山分岐と大小のピークが続きます。
少し角度を変えてカヤハゲから白髪山までの範囲を単体で。奥の方には未だ雲が立ち込めているように見えます。
木々がちょっと邪魔ですけど綱附森方面。もう既に結構な距離感。
地蔵ノ頭のピークに近付くにつれて徐々に険しくなってきました。標高が上がったという事もあってか日陰には残雪も。
翌日、朝一で登る予定の三嶺を眺める。余裕があればこの日のうちに三嶺避難小屋辺りまで進んでおきたかったのですが、前半の雨とか笹薮でタイム的に厳しくなってしまい、本日は天狗峠先のお亀岩避難小屋で終了という腹積もりに。
地蔵ノ頭から西熊山、三嶺と続く稜線。ガスもくもくの午前中からは考えられない程の好天。
主稜上に乗る為に最後に地蔵ノ頭のピークを乗り越える必要があるのですが……かなり急峻な感じ。
東側を見ると最高峰の剣山や次郎笈方面の雲が流れつつありました。散々勿体ぶっての登場。
地蔵ノ頭の急登を見上げる。地図やGPS上のデータでは西側を巻いて通過しているので道を探してみるも、踏み跡らしきものは全く見つからない……無理にトラバースしようとすると滑落するような斜面。
流石におかしいと思いネットに繋いで最新版の地図を見てみると、登山道は尾根上を通過してました。地図もGPSの中身も10年くらい前のものなので、その間にコースが付け変わってたみたいです……と、そんなこんなで20分近くのロス。
良い子の皆、地図はできるだけ新しいものを用意しようね。
地蔵ノ頭の登りの途中、更に雲が流れて全容が露わになった剣山と次郎笈を横目に。
地蔵ノ頭の登りは見た目通りの急登で、通る人が少ないのか道自体も若干藪気味。けどロープが設けられているので安心感はある。
登りの途中で振り返った所。崖の上って感じで高度感があります。
急登。所々傾斜が急な所があるので、ロープの存在は有り難く感じる。
急登を登りきった所。何やら朽ちた看板があったのでここが地蔵ノ頭かと思ったら、実際のピークはもう少し先でした。
三嶺、剣山、次郎笈と雲ひとつ無い展望。剣山と次郎笈の間には翌日宿泊する一ノ森のピークも見えますね。
南から西側にかけての展望。標高も随分稼いだからか、正面の綱附森が低く見える……そして何よりも印象的なのは西側に見えるピラミッド型の天狗塚。
[16:25-16:56]地蔵ノ頭
地蔵ノ頭に到着。ここも視界を遮るものがない展望地。三嶺方面に続く稜線が美しい。
何より美しいのが、この完璧に近い三角形の天狗塚のピーク。進路とは逆方面なのでカットしようかと思ってたんですが、これを見るとやはり行きたいという気持ちが疼く。
地蔵ノ頭からの展望。雲一つと無い青空。まさかここまで天気が回復するとは。
これまで歩いてきた綱附森方面からの尾根道を振り返る。途中までペース良く進めたのですが、登りが案外しんどくて3時間も掛かってしまった。
天狗峠→天狗塚→お亀岩避難小屋
[17:05]天狗峠
地蔵ノ頭から下ってすぐの所で主稜線上の縦走路に合流しました。天狗塚方面と三嶺方面の分岐でもあります。宿泊予定のお亀岩避難小屋は三嶺方面にあるので、全体の行程だけを考えればそのまま三嶺方面に進めばいいのですが……やはり天狗塚に登るのも捨てがたい。
時刻は既に午後5時を過ぎてます。標準コースタイムはこの分岐から天狗塚まで往復1時間程度。時間的にどうかなと悩みましたが、空荷であればそんなに時間は掛からないだろうと思い決行。
分岐点付近の展望。稜線は三嶺、地蔵ノ頭(綱附森)、天狗塚の3方面に伸びています。
三角形が際立つ天狗塚。山の形状だけなら三嶺に並ぶ美しさだと思います(個人の感想です)。
天狗塚と周囲の山々。前日歩いた弘瀬山の辺りから見えた牛ノ背の稜線が右後ろに伸びています。
まだまだ明るいですが時は既に夕刻。フライング気味にお月様が登場。
天狗塚との距離を詰めていく。山頂直下も際立った傾斜は無く楽に登れました。
[17:19-17:30]天狗塚
天狗塚に到着。分岐から若干距離があるようにも見えましたが、流石に空荷だとあっという間に登れてしまった。
山頂から東側方面の展望。地蔵ノ頭、三嶺、剣山、次郎笈と……この付近では一番高いピークなので色々と見えます。言う事なし。
山名入り。三嶺方面に伸びる主稜線もそうですが、矢筈山や寒峰を始めとした祖谷山地の山々が良い雰囲気でしたので、幾つか書き記してみた。
三嶺方面の主稜線を拡大したもの。天狗峠、西熊山と間に小さな起伏を挟んでいるのが見える。
三嶺と剣山。まさに今回の登山のハイライトです。望遠すると剣山のピーク付近に幾つか建物があるのが見えますね。山頂近くに建つのが剣山頂上ヒュッテで、中腹の方は大剣神社でしょうか。
こちらは西側の牛ノ背方面。なだらかな笹原が中心で歩くのが楽しそうな稜線。こちらから登る事も検討したのですが、今回の三方山経由より行程が1日短くなっちゃうので見送りに……折角の遠征、できるだけ長く山を歩きたいという気持ちがあったので。
太陽の真下くらいに本日のスタート地点である京柱峠があり、その左側に土佐矢筈山のピークがあります。この日は雨で気乗りがせず歩くのも休み休みだったので、体感的には大して歩いてないなって印象だったんですけど、こうして改めて見ると随分と長い距離歩いたなとも思える。
日没が迫ってきたので適当な所で引き返します。正面に先程通過してきた天狗峠及び地蔵ノ頭。緩い笹原の起伏を進む。
岩の間を通過していく。時間さえ余裕があれば、こういう所に腰掛けてコーヒーとか飲んだりしたいんですけどね。
[17:44]天狗峠
40分で戻って来れました。早々に荷物を回収して本日の宿泊地であるお亀岩避難小屋に向かいます……しかし看板を改めて見ると、天狗塚や三嶺方面は様々な言語が併記されているのに対し、綱附森方面だけシンプルに日本語表記のみ。行く人少ないんだろうな多分。
天狗塚と地平線に近付いた太陽。一日の終わりが迫ってきた。
三嶺方面の稜線。日が傾いた事で辺りの陰影も深まってきた。もたもたしているとあっという間に暗くなりそうなので、足早に進んでいく。
僅かに道上に雪が残る急坂を下っていく。天狗峠以降は多くの人が行き交う人気の縦走路、整備が行き届いていて歩きやすいです。
広々とした笹原を進んでいく。標高が下がった為か、三嶺のピークは手前の西熊山の山体に遮られ見えなくなった。
[18:17]お亀岩(避難小屋)到着
本日の宿泊地であるお亀岩避難小屋に到着。避難小屋の建物はここから高知県側に少し下った所にありますが、テント場は稜線上に設けられている様子。
テントの設営や撤収の手間が要らない小屋泊も唆られましたが、雨の中慌てて取り込んでじっとりと湿ったままの諸々を思い出し、それらを乾かす為にもテント泊を決断。
風が強くて少々難儀しましたが、完全に暗くなる前に設営完了。
避難小屋の近くに水場があるというのでテント設営後に汲みに来ました。
稜線上から数分下った所にあるのがお亀岩避難小屋の建物。ログハウス調で割と新し目の小屋でしたがこの日は蛻の殻でした。まあ午前中雨だったので。
水場はそこから更に10分くらい下った所にあります。水量はそこそこ豊富で汲み放題。湧水という事もあって味も良さげでした。
水場までの往復に少し時間が掛かってしまい遅めの夕食。この地味な遅れが翌日の出発の遅れに繋がる。
次回記事『剣山系縦走その3』に続く。