山とか酒とか

登山やお酒を始めとした趣味全般を雑多に、また個人的に有用だと思った情報を紹介しています。

大菩薩嶺から雁ヶ腹摺山その1(大菩薩峠登山口バス停→丸川峠→大菩薩嶺→大菩薩峠→小金沢山→牛奥ノ雁ヶ腹摺山)

2023年5月に大菩薩嶺から雁ヶ腹摺山方面の縦走登山に出掛けてきました。

初日であるこの日は大菩薩嶺登山におけるクラシックな登山口である大菩薩峠登山口バス停から主稜線上にある丸川峠に登り、そこから尾根伝いに大菩薩嶺大菩薩峠と進みました。その後は小金沢連嶺と呼ばれる山域に入り小金沢山、牛奥ノ雁ヶ腹摺山と進むものの、この時点で日没近くなり行動終了となりました。

今回の登山(全日程)のGPSログです。

経緯

中国地方への遠征登山(ほぼ旅行)を終えた翌月、ゴールデンウィークの真っ只中という頃。例年であれば6月にどこかしら長めの登山に行くので5月は休み、行ってもせいぜい日帰りといった所でしたが、暫く泊りがけの登山をしていない母親が珍しく乗り気だったので1泊2日程度の軽めの所に一緒に行く事になりました。

行き先は大菩薩嶺雁ヶ腹摺山。どちらも何度も登っている山なので今更記事にする程でも無いと思ったのですが、一人で我武者羅に歩く登山とはまた違った感じで中々楽しかった上、特に2日目は空気が澄んでいて山座同定が楽しめたので、今回記事として作ってみました。

大菩薩峠登山口→丸川峠

中央線を乗り継いで塩山駅から山梨交通のバスに乗車。大菩薩嶺と言えば甲斐大和駅から栄和交通のバスに乗って上日川峠から登り始めるのが定番中の定番ですが、そちらの方は登りが短すぎて手応えがないので、今回は少しは登りごたえのあるコースを……という事で、大菩薩嶺の伝統的な登山口であるこちらからのアプローチ。

[7:18]大菩薩峠登山口バス停出発

バスに揺られて30分程で大菩薩峠登山口に到着。裂石という集落に位置しており、道中の案内では専らそちらの地名の方が多く用いられています。

バス停の名前の通り大菩薩峠方面の登山口ですが、現在では更に近い上日川峠にバスが通じているので、こちらから登り始める人は少ないです。この日もゴールデンウィークの只中だというのに他の乗客は1人のみと閑散としたものでした。

上日川峠に比べると圧倒的に麓に近いこちらの登山口ですが、この地点で標高は約900m。標高400mの塩山駅からバスで500mも上がってきた事になり、谷合から覗く甲府盆地は既に低い所に見えます。

バス停を出発して以降、暫くは舗装路を歩いていきます。終バスが比較的遅い時間帯まであるという事で下りで利用する事は多いですが、ここから登り始める機会はあまり無い。

歩き始めてすぐという所に付近の名刹として知られる雲峰寺の石段があります。朽ち具合が良い感じ。

舗装路は途中から九十九折気味の道となる。道幅も気付けば半分くらいになってました。

[7:39-7:44]丸川峠登山口

舗装路を20分程歩いた所で丸川峠の登山口に到着しました。そこまで人気のあるコースではないのですが、流石はゴールデンウィークという事で既に車が幾つも。

登山口から先も少しだけ林道のような道が続いています。大菩薩嶺は何度も登っていますが、こちらのコースを登るのは初めて。

途中から林道はこんな感じにバキバキに割れていました。歩く分には問題ない道ですが。

少し先で沢沿いの道となり、その直後から尾根に取り付きます。ここから主稜線上にある丸川峠までは標高差700mとこの日一番の纏まった登り。

登り一辺倒の道ですが傾斜は丁度良く歩きやすい道。最初の登りとしては丁度良い感じ。

時間帯に因るものか、すれ違う人は居らず静かな登りでした。

ひたすら登りが続く。登りも緩急あるのであまり退屈しない。

この付近は平坦。少し先には主稜線が見えています。

こちらは岩ゴロゴロで若干急登気味の箇所。

割とマイナーなコースなので健脚さんが多く何人かに追い抜かれました。そうこうしていると次第に主稜線が近付き視界が開け気味に。

丸川峠→大菩薩嶺

[10:05-10:25]丸川峠

丸川峠に到着。辺りは笹原で開けています。近くには山小屋である丸川荘がある。

丸川峠周辺の雰囲気。前後は樹林帯で、その間に切り取られたかのような狭い笹原が広がっている。

カラマツの芽吹き。

少し登った所から丸川峠を振り返る。この日は曇り予報で雨が降る可能性もあったので、空模様は若干どんよりしている。

丸川峠から大菩薩峠へ。以降は秩父らしい苔生した樹林帯を進んでいきます……途中でバイカオウレンの群生が。植物学者である牧野富太郎をテーマにした朝ドラ『らんまん』に出てきたらしく、いち朝ドラファンである母親が熱心に撮影していました。

こちらがバイカオウレン。苔の隙間からぽつぽつと花を咲かせている。

丸川峠までは急登気味でしたが、以降は尾根道となり傾斜も緩くなる。

樹間から甲府盆地。見えているのはバスに乗った塩山の市街地辺り。青空が広がっており、思ったよりは天気は良さそうな感じ。

途中から緩い傾斜のトラバース路となります。それなりに歩かれている道のようでした。

昔ながらの道なのでしょうか、苔生した石積みが続く箇所も。

ふと脇を見れば如何にも秩父らしい苔の世界。

山頂手前では九十九折気味に高度を稼いでいきます。道は相変わらず歩きやすい。

山頂の人だかりが見えてきました。以降は上日川峠から登ってくる人とコースが重なり賑やかな雰囲気に。

大菩薩嶺→雷岩→大菩薩峠

[12:04-12:14]大菩薩嶺

大菩薩嶺に到着。定期的に挑戦している滝子山スタートの日帰り縦走チャレンジではいつも大菩薩峠辺りで時間切れになってしまうので、こちらに登るのは割と久しぶり。日本百名山の一つにも選ばれているような有名なピークでありながら、山頂からの展望が皆無というのがある意味で有名だったりします。

大菩薩嶺の山頂付近の賑わい。展望が無いので皆、写真を取ったらすぐさま折り返していく。

写真撮影を頼まれたのでお返しにこちらも撮って貰いました。日帰り登山者が多い山域なので、この大荷物は結構目立つ。

[12:23-12:46]雷岩

大菩薩嶺から少し進んだ所に雷岩の展望地があります。展望もさる事ながら広々としているので大半の方はこちらで休憩しています。

露岩の辺りから見下ろした所。奥には甲府盆地、左側には大菩薩湖が見えていますが、雲が多く遠くの山はあまり見えない。すぐ先に伸びている道は上日川峠へと続くコースで、続々と人が登ってきます。

雲が途切れたタイミングで南アルプス塩見岳が見えました。すぐ手前の黒い稜線はこの年の夏頃に歩いた白峰南嶺。記事として出来上がるのはいつ頃になるかな。

麓の方面を望遠で。右の写真の中央やや右に見える小さな山が塩山の市街地すぐ近くにある塩ノ山

雷岩で展望を堪能した後は大菩薩峠方面に向かいますが、出発直後に鹿と遭遇。人の多い山域に居るだけあって近付けどまるで物怖じしない。

やけにアクロバティックな動きな鹿でした。

これから歩く稜線を見通す。午後は雲が増えて雨の可能性……という予報通り雲が増えつつある。

笹が広がる雰囲気の良い稜線。全くのガスの中という事も考えられたので、これほど晴れてくれれば十分過ぎるくらい。

雷岩から大菩薩峠までの間は景色の良い道が続く。この山域においてのハイライトとも言える風光明媚な区間

先程越えてきた大菩薩嶺を振り返る。山頂部のみ木々が茂っている。

[13:16]賽ノ河原

避難小屋の建つ賽ノ河原に到着。範囲は狭いですが、名前のイメージ通り砂地の地面の中にケルンの石積みのある光景が広がる。

少し登った所から賽ノ河原、左奥に大菩薩嶺

[13:20-13:34]親不知ノ頭

賽ノ河原からひとつ先のピークが親不知ノ頭大菩薩湖が近い所に見えます。

親不知ノ頭からの展望。甲府盆地側は依然として青空が広がっていますが、向かう先の稜線上には重々しい雲が立ち込めている。

これまで歩いてきた稜線を振り返った所。左のピークの笹原が先程通過した雷岩の展望地です。

大菩薩峠が見えてきました。既に時刻は昼過ぎ、進む先の雲は増えていく一方ですが……。

大菩薩峠→石丸峠→小金沢

[13:42-13:50]大菩薩峠

大菩薩峠に到着。すぐ先には山小屋の介山荘があります。

滝子山からの日帰り縦走の場合、ここまで到達できる事は多いので割と頻繁に来ている印象がある。

ゴールデンウィークという事で介山荘売店も賑やかでした。

石丸峠方面に向かいます。殆どの方は大菩薩峠から上日川峠に下山してしまうので、以降は一転して人の姿が少ない静かな道に。

熊沢山のピーク先から天狗棚山を臨む。小屋平方面への分岐路となる石丸峠はその間の鞍部にあります。

少し進んだ先から同方面。天狗棚山の先には以降歩く稜線が見えていますが、半分が雲に埋もれている。

[14:31-14:34]石丸峠

笹原広がる石丸峠に到着しました。引き続き尾根伝いに進んでいきます。

石丸峠から少し先に進んだ所から牛ノ寝通りという小菅村方面へと向かうコースが分岐しています。もう何年も前に歩いた事がありますが、その最中に熊と遭遇した個人的に思い出深いコースだったりします。

[14:54-15:19]狼平

笹原続く狼平に到着。ここから先は道が若干険しくなるので小休止。

狼平からこれから向かう方面。この稜線を境目に明暗がくっきりと分かれているかのように見える。

広々とした笹原の中を進んでいく。稜線を二分する雲も相変わらず。

天狗棚山を振り返った所。起伏の少ない、なだらかな稜線がひたすら続く。

東側の展望。陽光が遮られて辺りが薄暗くなる事も時々。

雲の間に奥秩父山塊の主峰である金峰山が見えました。望遠すると山頂部の五丈石も。

稜線を覆っていたガス溜まりに突っ込む。ガスそのものは薄くそのうち流れてしまいそうな感じでした。

もう何度も歩いている区間ですが、トラバース気味に歩く狼平小金沢は足場の悪いアップダウンが続く、ちょっとした難所だったりします。

泊まり装備という事もあり、同行の母親は割と苦労していたようでした。

トラバース区間を抜けた頃には雲もすっかり抜けていました。木漏れ日が差し込んでいて幻想的な雰囲気。

小金沢山→牛奥ノ雁ヶ腹摺山

[16:22-16:54]小金沢

小金沢に到着。今回の登山においては最後の2000m峰となります。雲も着実に流れつつあり、進む先の稜線も見通せるように。

富士山も見えました。天気が悪い初日は一切見えないだろうと思ってましたが、夕方近くになって姿を現してくれた。

まだ明るいですが既に時刻は午後5時。この日の宿泊地は湯ノ沢峠もしくは白谷ノ丸の予定でしたがペース的に少し厳しい……とりあえず進めるだけ進みます。

小金沢から牛奥ノ雁ヶ腹摺山方面に進みます。この辺りは起伏も少なく歩きやすい。

まだ左半分に雲が残る牛奥ノ雁ヶ腹摺山方面の稜線。奥に見える富士山を覆っていた雲はこの頃には完全に流れていました。

徐々に地平線に近付きつつある西日。

樹林帯と笹原が交互に続く広尾根の道。

平坦で長閑な雰囲気の稜線。この辺りは大菩薩嶺の辺りに比べると人は少なく落ち着いた山歩きが楽しめるので、個人的にお気に入りのエリアだったり。

[17:41]牛奥ノ雁ヶ腹摺山到着

牛奥ノ雁ヶ腹摺山に到着しました。これ以上先に進むと黒岳に着く前に暗くなってしまうので、本日はこれにて行動終了という事に。

山頂からの展望。笹原が続いており広々とした雰囲気の山頂です。稜線は引き続き黒岳方面に続いており、その奥には富士山も変わらず見える。

牛奥ノ雁ヶ腹摺山の山頂看板と三角点付近。東側の展望は無い。

木々の合間から富士山

本日はここまで……という事で担いできたビールを富士山を眺めながら頂く。銘柄はダルグナーのピルスナー。リーズナブルで美味しいドイツビールです。

ビール飲んでまったりしていると辺りは一気に薄暗くなってきた。日没を迎えたようです。

富士山の望遠。上空の雲が西日に照らされ赤く染まっている。

展望を堪能した後は本日の夕食。いつもはアルファ米ですが、今回は2人なので豪勢にジンギスカン。お酒の中身は失念。(たぶん片方は剣菱

ジンギスカンは保存性を考慮して味付け肉タイプ。生野菜の上に広げると結構なボリュームに。

焼けていく過程。1人では中々できないような豪勢な食事が楽しめました。偶には複数人でのんびりと歩くのもいいですね。

大菩薩嶺から雁ヶ腹摺山その2』に続く※作成中