山とか酒とか

登山やお酒を始めとした趣味全般を雑多に、また個人的に有用だと思った情報を紹介しています。

恐羅漢山方面登山その3(聖山→高岳→聖湖→臥龍山→掛頭山→上荒神原バス停)

登山最終日となる3日目は高岳臥龍山という、聖湖を間に挟んだ2つのピークの登頂がメインの一日でした。まずは前日宿泊した聖山の山頂から尾根伝いに高岳へ。山頂にてこの山域屈指の好展望を堪能した後は、聖湖の湖畔の樽床橋登山口に一旦下山。湖の外周の沿って臥龍山の登山口へ移動し、再び山道へ入り臥龍山、掛頭山と縦走。掛頭山からは土草峠に下山し、その後は舗装路を北広島町芸北地区荒神原バス停まで歩き通しました。

前回記事『恐羅漢山方面登山その2』からの続きです

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他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。

【2023年4月】恐羅漢山方面登山についての情報と記録 - 山とか酒とか

登山の以外の旅行の日程は以下に掲載していますので、山の記事を読み飽きた際はこちらもどうぞ。

【2023年3~4月】西中国山地登山旅行 - 山とか酒とか

今回歩いたルートのGPSログです。

聖山→高岳

[5:47]聖山出発

夜明け前の聖山山頂の様子。この日は行程が長いので日が昇る前の出発としました。

前日も通過した分岐点から高岳方面の縦走路を進みます。道中は殆ど展望がありませんが、樹間からは聖湖の湖畔、更にその奥には本日午後に登る臥龍山が見えていました。

縦走路の様子。荒れた道を想像していましたが思ったよりも整備された道でした。

東側の空が瞬いたので振り返ると朝日が稜線の上にありました。雲は少なく、この日も天気は期待できそうです。

陽光が降り注ぎ山全体的が赤く染まる。日の出直後に限られた僅かな時間の出来事。

高岳までは幾つかの小ピークを越える為、小刻みな登り下りが続く。

枝木の多い縦走路の様子。右の小高くなった辺りが次に目指す高岳のピーク。

意外に距離の長い縦走路で、歩いている内に日が高くなって来ました。

[6:55-7:12]奥匹見分岐

奥匹見峡方面への分岐に到着しました。廃道化しつつあったものを最近になって整備し直したルートらしく、分岐から先には明瞭な踏み跡が続いていました。

倒木に生えるキノコ。

陽光を背中に浴びながら歩いていく。

高岳が近付いてきました。幾つかの小ピークを乗り越えつつ、着実に距離を詰めていく。

よく整備された縦走路の様子。

最後は緩やかな高岳の登り。視界の無い樹林帯から抜け出し、展望が広がりました。

高岳→樽床橋登山口

[7:56-8:22]高岳

高岳の山頂に到着。聖山の山頂からは2時間程と、朝一から手応えのある尾根歩きでした。

山頂広場の雰囲気。展望は殆ど360度近いです。この辺りでは恐羅漢山に次いで人気があるピークというのも納得できる。

こちらはこれまで歩いてきた方面の南側の展望。

南側に見える山々の望遠。左手前のなだらかなピークが本日のスタート地点である聖山です。その右側には前日登頂した恐羅漢山がよく見えていました。

恐羅漢山の望遠。右背後に羅漢山が見え、双耳峰の体を成しています。

こちらは北から東にかけての展望。太陽は既に高く昇っている。

北東に見える山々の望遠。右に見える一際大きなピークが後程登る臥龍山で、その左奥には二百名山にも選ばれている三瓶山が見えていたりします。70km離れている割には鮮明に見えますね。

一つ前の写真の左側を望遠してみたもの。海が近いのか、左の風力発電が立ち並んでいる辺りの背後には水平線が見えています。

左は臥龍山山麓に広がる八幡原の集落。右は三瓶山の望遠です。周囲が低い山ばかりの中に一つだけ1000mを越えているという事もあって存在感があります。

こちらは西側に見える山々。正面奥には青野山と十種ヶ峰という独立峰が見えている。

東側の展望。これから下る聖湖の湖面が眼下に見えています。

そこまで時間に余裕がないので、展望をそこそこ堪能したら下り始めます。こちら側は聖山からの縦走路以上によく整備された道でした。

高岳の山頂から麓の樽床橋登山口までの標高差は約350m。一旦下山となるので、そこそこ大きめの下りです。

比較的急な坂道を下り終えると緩いアップダウンの繰り返しに。更に進むと沢沿いの平坦な道となります。

途中で沢を渡る箇所に橋が掛けられているのですが、物凄い壊れ方していました。流石に渡れないので、一旦沢に降りてから再度攀じ登って通過する。

そのまま沢沿いに下っていくと作業小屋のようなものが見えてきました。

樽床橋登山口→臥龍山聖湖キャンプ場登山口

[9:22]樽床橋登山口

高岳の山頂から1時間程度の下りで床山登山口に到着しました。聖湖を周回する舗装路上にあり、ここから臥龍山の登山口までその外周路に沿って歩きます。

聖湖は川下の樽床ダムにより堰き止められて作られたダム湖で、元々谷筋であった所は入江のようになっている。湖面に陽光が反射して美しい。

こちらは昭和初期、まだ聖湖が無かった頃の地形図です。左側の高嶽と記載のあるピークが現在の高岳で、その東側の谷筋が現在地となります。ダムの名前の由来となった樽床という集落が丁度その辺りに存在したようですが、殆ど湖底に沈んでしまっているのか跡形もありませんでした。

湖畔沿いの道を進む。臥龍山の登山口まで約5kmの舗装路歩きとなりますが、景色が良いので退屈せずに歩けました。

聖湖周辺の一部は別荘地として整備されている。周辺には保養施設やキャンプ場もあり、ちょっとしたリゾート地のような雰囲気。

湖に注ぐ川筋の一つ。

聖湖を北上するにつれて川幅が狭まり柴木川となる。

道路越しに聖湖を振り返る。

川沿いの風景。対岸は聖湖キャンプ場となっています。臥龍山の登山口はその裏側にあるので、大きく迂回する形で進んでいく。

湖沿いの道路を北上すると国道191号線と合流しました。

国道との合流地点からの景色。八幡原の南端の集落で、字名としては長者原という。田畑の中に古びた家々が点在する、鄙びた雰囲気の農村でした。

臥龍山聖湖キャンプ場登山口→臥龍山

[11:16-11:27]臥龍山聖湖キャンプ場登山口

臥龍山の登山口は国道沿いに東に進んだ先、聖湖キャンプ場の向かい側にあります。こちらからの登山コースはネット上で殆ど山行記録が無いので最悪藪漕ぎを覚悟していたのですが、立派な指導標が設けられている程度には整備されていたので安堵。

この時点での時刻は正午前。下山地である荒神原バス停からのデマンドバスの出発時刻は19時過ぎなので間に合いそうです。山に入ってしまうと電波が繋がらなくなる恐れがある為、登り始める前に運行会社の総企バスに電話して予約を取りました。

臥龍山までの登山コースの様子。キャンプ場からのハイキング客が多いのでしょうか、意外にも整備の行き届いた道でした。

コース上のなんだか目を引く大木。ちょっとおどろおどろしくもある。

途中で舗装路に合流しました。ここからは僅かに舗装路歩き。

再び山道に入ります。この地点まで車の乗り入れが可能なので、ここから登り始めるものが多い。山行記録もここからのものが殆どでした。

最初の急坂を登ると斜度も緩やかになり、尾根歩きのような雰囲気の道に。

なだらかな尾根道の様子。案内は少ないですが、それなりに歩かれている雰囲気の道でした。

途中、先程湖畔を歩いた聖湖が樹間から見えました。

コース上を立ち塞ぐかのような岩。地図上には展望大岩とあり、コースはその脇を通過している。

展望大岩との事なのでその上に乗ってみましたが、名前の割には……という感じ。しかし全体的に鬱蒼としているこの付近では貴重な展望地だったりします。

見える山々を望遠してみました。右側にはこれまで登った恐羅漢山十方山が見えており、その奥には冠山山地の主峰の一つである冠山が確認できます。

展望大岩から臥龍山までの道の様子。地形図を見ると平坦なのですぐ着くだろうと思いきや……やや荒れ気味で灌木漕ぎのような所もあり、意外と通過に手間取ってしまいました。

臥龍山→雪霊水→掛頭山

[13:28-13:45]臥龍山

この日の2つ目のピークである臥龍山に到着。ついでのような形で登った山でしたが、意外と手応えがありました。山頂標識の上には水筒の忘れ物が。

こんな石の手作り看板も……日付を見ると約半年前、割と新しいですね。

山頂の雰囲気。広々とした山頂で、その中央に大きな岩があります。

臥龍山からの展望……は、周囲に木々が茂っていて殆どありませんでした。

岩の上なら多少は見えるだろうかと攀じ登ってみた所。まあ好展望の山が全てではないので……。

臥龍山を後にします。静かな雰囲気の山頂でした。

臥龍山の山頂からは引き続き尾根伝いに進む予定ですが、手持ちの水が少なくなってきたのでコース途中に水場のある八幡原公園方面への下山道を少し下ります。

八幡原公園へと続くコースはそのまま一直線に麓まで続いていますが、途中で林道が合流する箇所があり、そこで横に折れます。

林道沿いに少し進んだ所に水場が見えてきました。こちらの林道は先程、臥龍山の登りの途中で横切った道の延長上だったりします。

[13:54-14:22]雪霊水

臥龍山直下、雪霊水の水場に到着。水量はだいぶ乏しいですが、これにて無事に水を確保。名前から来るイメージの通り、冷えていて美味しい水でした。

雪霊水から再び先程の山道に戻り、ここから尾根に復帰して掛頭山方面に向かう形となります。ただ結構下ってしまったので臥龍山の山頂に戻って……となると結構なタイムロスになりそうです。

調べてみると掛頭山方面の縦走路へと続くトラバース路があるとの事なのでそちらを進んでいく事に。

分岐を探しながら更に下ってみたものの一向に見当たらないので一旦戻る。

先程の林道の合流点の所で周囲を見回してみると踏み跡が続いているのを発見。既に廃道となっているのか暫く整備されていない様子ですが、なんとなく進めそうな感じです。

トラバース路から尾根上に復帰します……が、全体的に笹が繁茂しています。臥龍山から掛頭山にかけての区間は藪が濃いという情報を予め得ていたので予想通りではあったり……ただ、道筋そのものは濃いので迷わずに進めそうです。

迷わずに進める事は進めるのですが、こんな感じで通行困難な箇所も結構な頻度で現れたりします。巻いたり強行突破したりしつつ進んでいく。

1123mピークを越えた辺りから藪が薄くなり、徐々に歩きやすくなってきました。

次の目的地である掛頭山が見えてきました。こちらも結構な登り返しのようで。

途中で林道に合流しましたが、すぐに山道に復帰します。

山道に入った所からの展望。

掛頭山への登りの途中。この辺りの道はよく整備されている。

急登の途中で振り返ると臥龍山、その左奥には三段峡近くの深入山が見えていました。この近辺では登山人気があるピークらしいです。

登りの途中で再び先程の林道に合流しました。コースはその林道を横切る形で伸びているのですが、その先の道はあるにはあるものの完全に藪に埋もれていて歩けそうにない。

仕方ないのでそのまま林道上を歩いて山頂を目指します。

林道沿いは片側が開けていて展望が良い。無理に藪漕ぎしないで正解だったかもしれません。

見える山々の望遠。右に大きく見えるのが先程登った臥龍山。左に十方山、深入山と周辺の山々がよく見えています。

更に開けた所からの展望。北東から南西にかけての180度見渡せました。

途中、掛頭山の山頂看板がありましたが実際の山頂は先に少し進んだ所にあります。

リフトの設備が見えてきました。北側斜面には芸北国際スキー場という中国地方ではそこそこ規模の大きかったスキー場があるのですが、数年前から営業していないらしいです……西日本のスキー場はどこも降雪が減っていて厳しいようですね。

リフト降り場からの展望。左側、麓に見える集落は北広島町芸北地域荒神集落。この日の最終目的地である荒神原バス停はその集落内にあります。

林道はそのまま山頂をスルーする形で続いていますが、途中で赤テープが付けられた踏み跡があるので入り込んでいきます。

掛頭山→土草峠→上荒神原バス停

[16:08-16:24]掛頭山

今回の登山における最後のピークである掛頭山の山頂に到着。先程の林道から少し入った所となります。臥龍山にあったものと同型の朽ちた山頂標識があり、その近くには手作りっぽい小さな看板が木に括り付けられていました。

掛頭山山頂周辺の様子。先程の林道沿いとは違って全体的に鬱蒼としており展望はありません。

土草峠方面へ下山します。地図上ではコースはそのまま尾根上を通されているようですが、当分歩かれていないのか歩き始めてすぐにロスト。途中で先程の林道に強引に復帰しました。

林道の奥の方には何らかの通信施設が立ち並んでいます。林道はこういった施設の維持管理の為に敷かれたのでしょうか。

一番北側の施設。ここで林道は途切れています。

林道終端部からは再び山道に入り、そこから土草峠に下ります。しかし、こちらのコースに関しても殆ど歩かれた記録はない……の割には割と新し目のテープが付けられていました。人は定期的に通っている様子で一安心。

山道に入って暫くの間は荒れ気味です。コースを無視して笹薮を突っ切る事もしばしば。

笹の海を泳ぐ。テープは忘れた頃に見かける程度で、踏み跡は殆ど消失しています。

笹薮地帯を抜けると落ち葉の絨毯の歩きやすい道となりました。道というよりはただの尾根筋ですが。

[17:04-17:17]土草峠

土草峠に下山。登山口にはしっかりめの指導標が立っていました……さて、時刻は17時過ぎ。19時過ぎのバスの出発時刻にはなんとか間に合うかという所ですが、そこまで余裕はありませんね。

以降はバス停まで舗装路歩きです。GPSのログを見ると分かりますが、九十九折の峠道は突っ切ったりとショートカットして時間を稼ぎました。

陰の比率が高まってきた頃。ここでも道端にはふきのとう。

日没が近付き、徐々に辺りも薄暗くなってきました。

九十九折の峠道が終わりが見えてきた頃。奥には田畑や家屋の屋根が見えています。

急に視界が開けた所が雲耕という集落。段々状の田畑が広がっています。

集落内を下っていく。人通りも車通りも殆ど無い、静かな雰囲気の農村でした。

下るにつれて次第に谷が広がってきました。

道に面した所にある雲耕地主神社雲耕の地主神を祀る、小奇麗で整然とした印象を受ける神社でした。

更に道を下っていく。少し離れた所に見える大きな屋根の建物は安養寺という浄土真宗の寺院です。

安養寺に近い所に位置するのが亀山八幡神社。この辺りの神社としては規模が大きく境内は背の高い杉の木に囲われている。

鳥居から境内の様子。応神天皇を祭神とした神社で毎年、乙九日炎の祭典という室町時代にこの地で起きた雄鹿原合戦をテーマにした例祭が行われる。武者等に扮した300人もの松明行列行われる等といった盛大な祭事で、全国から観光客が訪れるという。

こちらは地久院のしだれ桜。明治頃に廃寺となった地久院の庭に植えられていた枝垂れ桜で、樹齢420年を数えるとか。枝垂れ桜なので時期的にまだ早いのか殆どが蕾でした。

国道186号線との交差点が見えてきました。案内標識には翌日向かう浜田の地名が見える。

日没から既にだいぶ経過していますが、西側の空はまだ仄かに明るさが残る。

[18:48]上荒神原バス停到着

先程の交差点から東側に進んだ所が荒神原バス停で、今回の登山におけるゴールとなります。本数が少ない割には立派な待合室が設けられていました。

荒神原バス停の待合室内に掲示されている時刻表。右側の時刻表がこれから乗る方面のもので、この上荒神原バス停から先の小国橋までは予約必要なデマンド運行区間となっている……その予約については掛頭山の登山口で既に済ませてある。

概ね時刻通りにやってきた小国橋行きのバスに乗車。広島県から島根県へと県境を越えるレアな路線ですが、利用者は皆無と言っていい程に居ないらしいです。運転手の方も運転するのは何ヶ月ぶりとか仰っていました。

県境を越えた先の波佐の集落の中心に位置する波佐バス停に到着したのは荒神原バス停を発車して10分後の19:25。ここから石見交通のバスに乗り継いで浜田駅へ向かう予定ですが、既に終バスは行ってしまった後なのでこの日はこれにて行動終了。日の出前から歩き始めた長い一日はようやく終わりを迎えたのでした。

次回記事『西中国山地登山旅行5日目』に続く

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