恐羅漢山方面登山その2(十方山→恐羅漢山→砥石郷山→餅ノ木峠→聖山)
恐羅漢山方面登山の2日目は今回の登山における主題である恐羅漢山の登頂をメインとした一日でした。前日宿泊した十方山にて日の出を見物した後は水越峠へ一旦下り、そこから双耳峰である恐羅漢山の対となるピークである旧羅漢山へ登り返し、そのまま緩い尾根道を進み恐羅漢山に登頂しました。その後は夏焼峠、砥石郷山と引き続き尾根伝いに歩き、田代川沿いの砥石郷登山口に一旦下山。そこから舗装路や林道を歩いて十文字峠まで繋ぎ、聖山の山頂に到着した時点でこの日は行動終了となりました。
前回記事『恐羅漢山方面登山その1』からの続きです
他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。
【2023年4月】恐羅漢山方面登山についての情報と記録 - 山とか酒とか
登山の以外の旅行の日程は以下に掲載していますので、山の記事を読み飽きた際はこちらもどうぞ。
今回歩いたルートのGPSログです。
十方山→水越峠(獅子ヶ谷登山口)
この日は十方山の山頂から一日が始まります。目を覚ました頃に外を覗いてみると既に東の空が明るくなり始めていました。
朝食は普段は日清のカップヌードル系ですが、この日は輸入物のベトナムフォー。あっさりしていて朝食には良い感じ。
恒例の朝食後のドリップコーヒーも忘れずに。まだ朝方冷える季節なので必須。
食後に外に出てみた頃。まだ日の出前ですが、先程と比べると空は随分と明るくなっていました。
日の出前のグラデーションがかった空の雰囲気。
特に赤味の強い所を望遠してみると、太陽が今まさに昇り始めている所でした。
地平から顔を出し、徐々に円形となりつつある太陽。
一つ前の写真から少し経った頃。薄い雲が間に滞留しているのか、暗闇の中に漂っているようにも見える。
更に日が昇った頃の空の雰囲気。薄雲を抜けたのか、太陽本来の煌めきを取り戻した。
同方面の望遠。
徐々に空の感じが変わってきました。夜から朝へと切り替わる瞬間とも言える。
再度望遠してみた所。右側から雲が流れつつある。
太陽は流れ込んできた雲に重なり輪郭線は朧気に……これはこれで良い雰囲気。
朝日と空と雲の流れ。日の出見物も一段落といった所。
身支度を整えている間に完全に青空となっていました……見えている稜線も、もう少し鮮明に見えていれば山座同定を楽しみたかったのですが、この日は若干霞み気味でした。
十方山の山頂一帯の様子。笹原の中の広々とした山頂といった風情。山頂看板近くのマムシ注意の看板は少し恐怖でしたが、それ以外は至って長閑なものでした。
展望スペースから山頂を振り返った所。
[7:07]十方山出発
日も高くなってきた所で出発します。のんびり準備を勧めていたら7時を過ぎてしまいましたが、麓から3時間は掛かる山という事で未だ人の気配はない。
恐羅漢山方面へと続く縦走路を進みます。こちらの方面もよく整備されていました。
笹薮を切り開いたかのような道を進む。
十方山の山頂付近は幾つかの緩い起伏があるようで、暫くは登っているのか下っているのかという感じの道。
[7:17]十方山最高地点
出発地である十方山の山頂から暫く歩いた所が十方山の最高地点です。故に実際の山頂はこちらとなりますが、殆ど通過地点のようであり展望もありません。
恐羅漢山との間の最鞍部である水越峠へ下ります。尾根伝いとは言え深く落ち込んでおり、十方山からは標高差300mの下り。北斜面だからかちらほら残雪がありました。
軽快に下っていくと水が湧いている所も。雪解けからそう経っていない季節の為か、今回の登山では地図にない水場が多く見られました。
水越峠(獅子ヶ谷登山口)→旧羅漢山→恐羅漢山
[7:52]獅子ヶ谷登山口
坂を下りきった所が十方山の北側の登山口である獅子ヶ谷登山口となります。手作りっぽい案内板がやけに豊富でした。
獅子ヶ谷登山口から林道を少し進むと恐羅漢山方面への取り付きとなる水越峠登山口が見えてきました。
[7:56-8:01]水越峠登山口
水越峠登山口に到着。これまでの十方山前後の道と比べると歩く人は比較的少ないのか、ここから旧羅漢山までの道は若干荒れ気味。
旧羅漢山までの登り。初っ端から中々の斜度の急登です。雪解けからあまり経っていない為か、足元が柔らかくて若干歩きにくい。
登り詰めていると徐々に傾斜は緩やかになってきました。
木にぶら下げられた忘れ物のスタッフバッグ。まだ真新しい。
十方山の山頂周辺と同様、樹林帯の中に笹が生い茂る風景が広がる。
標高が上がってきた為か残雪も増えてきました。
傾斜も殆ど無くなり平坦に近くなってきた頃。この辺りの道は歩きやすい。
旧羅漢山の山頂手前から再び急登となりますが、その途中で振り返ると本日のスタート地点の十方山が見えました。その左側の同じぐらいの高さの起伏は十方山から東に位置する奥三ツ倉のピーク。
[9:30-9:48]旧羅漢山
双耳峰である恐羅漢山の対をなすピークである旧羅漢山に到着。意外と手強い登りでしたが距離はそこまでではなく、水越峠から2時間弱という所でした。
旧羅漢山の山頂風景。大きな岩があり、そこに何やら心許なそうな梯子が立て掛けられています……梯子は殆ど見た目通りのイメージのもので、固定されていない為か足を掛ける度にぐらぐら揺れて恐怖でした。
梯子で大岩に登った所からの展望は中々のものでした。見えている山は西側に谷を一本挟んだ所にある広見山。
山々の望遠。風化の進行した中国山地らしく、低くなだらかな山々がひたすら続く。
大岩から山頂広場を見下ろした所。岩の上は高度感があって結構怖かったです。
旧羅漢山から恐羅漢山方面に向かいます。この辺りは標高が高いのか残雪が比較的多い……とは言っても去年同じ頃に登った氷ノ山よりは全然少ないですが。
道の上を覆う残雪。雪の量は多いですが溶けかけてグズグズです。
恐羅漢山の緩やかな登り返し。
山頂手前で振り返ると旧羅漢山手前からも確認できた十方山方面の山々が見えました。
恐羅漢山→夏焼峠→砥石郷山
[10:16-10:53]恐羅漢山
今回の登山における最高地点である恐羅漢山に到着……ですが、前日の歩き始めが遅かったという事もあり苦労した感じはそこまでせず。牛小屋高原スタートの最短コースであれば山頂まで1時間少々というお手頃さもあってか、ちらほら人の姿がありました。
恐羅漢山からの展望。方角的には東となります。冠山山地の最高峰ですが山頂は広々としていて片側が樹林に覆われている為か、そこまでの開放感はありません。
同方面の望遠。低い山が連なっている様子が見えますが、丁度逆光となる時間帯だったのでやや霞みがち。
山頂周辺の雰囲気。広々としていて居心地の良い山頂でした。
他の方と居合わせたので撮って頂きました。この山域をテント泊装備で……と出で立ちではやはり目立つのか色々突っ込まれた。
次なるピークである砥石郷山方面へ。
砥石郷山へと続く尾根道。暫くは傾斜の緩いアップダウンが続く。
牛小屋高原へ下るコースの分岐です。殆どの方はこちらから登ってきているようでしたが、そちらには向かわず引き続き尾根道を進んでいく。
砥石郷山の間の鞍部である夏焼峠まで下り坂が続きます。こちらも全体的によく整備されていて歩きやすい。
笹が広く刈り払われた尾根道の様子。
[11:22]早手峠
台所原方面の分岐となる早手峠に到着。台所原経由で尾根伝いに高岳まで繋ぐ事も考えたのですが、途中に水場が無いので見送りました。プラティパスもう1つ多く担げば行けなかった事も無かったですが。
だいぶ下ってきたようで、先程下の方に見えていた砥石郷山もいつしか見上げる形に。
[11:38]夏焼峠
夏焼峠に到着。ここから牛小屋高原方面に続くコースがあり、恐羅漢山から砥石郷山(夏焼峠から往復)を絡めた周回登山を取る人も多いらしく、付近で幾つかのグループとすれ違いました……しかしこれ以降、ゴールとなる上荒神原のバス停に辿り着くまで登山道上では誰とも会わず。
峠を越える道を少し北側に歩くと砥石郷山方面の分岐がありました。山頂まで45分という事で数字的には大した事はなさそうですが。
砥石郷山への登り。最初は緩やかでしたが次第に斜度が急に。
大荷物では少ししんどい斜度の登り坂でした。
地図に砥石郷の肩と記載のあるピークに到着。南側に開けていて、先程登頂した恐羅漢山や本日の出発地である十方山が見えます。
恐羅漢山を望遠で。スキー場の雪は殆ど残っていませんでした。
恐羅漢山の山頂から休みなく歩いてきたので、ここで荷物を置いて小休止。
休憩を終えたら砥石郷山へ向かいます。砥石郷の肩以降は纏まった登りは無くなり、小刻みなアップダウンの続く尾根道らしい尾根道となる。
道端には割と最近まで残雪でもあったかのようなスペースも。
砥石郷山への最後の登りは平坦に近い緩やかなものでした。
砥石郷山→砥石郷登山口→餅ノ木峠
[12:45-12:55]砥石郷山
砥石郷山に到着。展望の無い地味な山頂ですが、それなりに人は来ているような雰囲気。
標高は1,177m……の看板の上には瀬戸内海の因島?に因んだ謎の石が置かれていました。
砥石郷山の山頂。笹原を切り取ったような広場で、周囲は木々に覆われている。
展望が全く無いピークという訳ではなく、少し先に進んだ所に若干視界が開けた場所がありました。
砥石郷山から田代川沿いにある砥石郷登山口までは結構な斜度の急坂となっています。人通りも少ないので荒れているのではと少し心配でしたが、道そのものはよく整備されているので一安心でした。
普通なら九十九折に道が付けられているだろうとい急斜面をストレートに下っていく。
急である事に加えて地面が粘土質なので非常に滑りやすい。ロープに頼る程ではありませんでしたが、摺り足気味に下りました。
だいぶ下ってきたようで正面の山が高く見え始めてきた。枝越しに見える左の窪みが後程向かう餅ノ木峠のようです。
麓に近付くにつれて道が細くなってきた。滑りやすいので大荷物では少し怖い道。
この辺りから下部を流れる田代川の川音が聞こえてきました。砥石郷山の山頂から標高差500mと大きな下りでした……急坂なので下りでは勧められないコースと情報収集の段階で見かけましたが、登りは登りで大変そうな気が。
[14:00-14:31]砥石郷登山口
田代川の川沿いにある砥石郷登山口に到着しました……看板には砥石郷山(急傾斜)、1時間50分との記載があります。同じ所要時間で牛小屋高原に向かうコースもあるとの事。
こちらは田代川……ではなくその支流の牛小屋川(牛小屋谷)で、この沢を登り詰めるた所が牛小屋高原となります。水の補給はここの河原に降りて行いましたが、上流にキャンプ場とかレストハウスがあるような沢なので流石に濾過器通しました。
河原で水汲みついでに休憩。上部の赤い橋は中山経由で牛小屋高原に向かうコース上のもの。
こちらが田代川を跨ぐ田代橋。この橋を渡って暫くの間は林道沿いに進んでいきます。
橋の上から田代川を見下ろす。奥三段峡と呼ばれるエリアのようで、そのまま下流に向かうと著名な三段峡に行き着くようです。今回は沢沿いには歩きませんでしたが、そちらから聖湖に向かうルートも候補の一つでした。
田代川を渡った先にある案内板……古い看板のようで、20年前の2003年に廃止された可部線三段峡駅の記載がある。
その看板の近くには何やら建物があったかのような古い石垣が広い範囲で続いていました。その石垣の上には桶のような物が置かれ、そこに引かれたホースから水が通じています……どうやら水場として整備されているようです。これを知っていたらわざわざ濾過必要な沢水を汲む必要は無かったのですが。
昭和初期のこの付近の地形図です。砥石郷山から東に下った所が現在地ですが、田代という集落が存在した事が分かります。石垣もその当時のものでしょう。
林業を始めとした山仕事が豊富な時代だったのでしょうか、南部の横川川沿いの本横川、古屋敷といった集落も現在よりは規模が大きく学校もありますね。
その旧田代集落から林道に沿って餅ノ木峠へと向かいます。山側のガードは立派ながらも、暫く車は入ってなさそうな雰囲気の道でしたが……。
車が通れないのも当然で、林道は途中で落石によって通行不能となっていました。その先でそこそこ立派な舗装路と合流。恐羅漢スノーパークと聖湖を結ぶ道のようで、以降はちらほら車通りがありました。
進む方面とは反対側を見るとスキー場の案内板が立っていました。
崖側に寄った所からの展望。正面右に見えるのが先程登頂した砥石郷山で、恐羅漢山はその背後となります。
餅ノ木峠の少し先まで暫しの間の舗装路歩き。途中、車で通りがかった方から乗っていかないかとのお誘いを受けましたが、距離はそこまででもないので遠慮致しました。
道端に目をやると随分育った感じのふきのとうが。
ふきのとうの接写。もう随分と暖かくなった為か花を咲かせていました。
餅ノ木峠→十文字峠→聖山
[15:23]餅ノ木峠
坂を登りきった所が餅ノ木峠となり、その事を示す看板も立っていました。峠を越したので以降は下り坂に。
餅ノ木峠から僅かに進んだ先から十文字峠まで続く林道に入ります。こちらは完全にダート、というか車が入れないようにロープが掛けられています。現在では廃道の扱いなのか最新版の地形図にも掲載がありません。
途中で崩れてないか少し不安でしたが、こちらの道を経由した山行記録もあったので行けるでしょうという判断でした。
林道上から先程歩いてきた舗装路を見下ろす。初っ端から登りです。
林道の様子。崩壊箇所も特に無く、終始歩きやすい道でした。
木漏れ日降り注ぐ中を進んでいく。
途中、アケビのような実が無数に落ちていました。
地味な林道歩き。距離があるので所々で休憩を挟む。
途中で沢を見かけました。水汲みした牛小屋川の沢水よりは澄んでいましたが、入れ替えるのは面倒なのでスルーして先へ。
[17:30-17:33]十文字峠
長い林道歩きを経て十文字峠に到着。距離としては2km強という所でしたが、曲がりくねっている上に意外とアップダウンがあり餅ノ木峠から2時間掛かりました。時間は既に夕刻という事で太陽は傾きつつある。
十文字峠から聖山へと向かいます。余裕があればこの日の内に展望の良い高岳まで行って翌朝日の出を……という予定でしたが、既に日没近い時間帯なので断念。
高岳方面に続く縦走路の分岐です。この辺りの道は恐羅漢山周辺と比べると人があまり入っていないので若干不安でしたが、思ったより道は良く案内も多かったです。
[18:18]聖山到着
分岐から割とすぐという所で聖山の山頂に到着。まだ日没までは30分以上ありましたが、本日はここで行動終了としました。
聖山山頂の雰囲気。木々が密に茂っているので展望はありません。少し西側に進んだ所に展望地があるようですが、既に暗くなり始めていた上に藪が濃くて道筋も怪しかったので立ち寄らず。
日が沈み、地平近くの空が赤色に染まり始めた頃の様子。
本日の夕食です。普段であれば肉焼きですが、今回は子持ちししゃもを代わりに焼いてみました……これは完全につまみですね。独特の苦味が明石鯛の特別本醸造原酒とよく合います。
炙ったししゃもの煙の中でお酒を楽しむ至福の時間。気付けば辺りは暗闇となっていました。
次回記事『恐羅漢山方面登山その3』に続く