山とか酒とか

登山やお酒を始めとした趣味全般を雑多に、また個人的に有用だと思った情報を紹介しています。

楢ノ木尾根から雁ヶ腹摺山(猿橋駅→大峰→雁ヶ腹摺山→黒岳→やまと天目山温泉)

f:id:SISIS:20210304010736j:plain

2021年2月、雁ヶ腹摺山の登山に行ってきましたので、その時の情報などを記します。実際に登る際の参考にして頂ければ幸いです。

目次

今回登った山についての案内

雁ヶ腹摺山山梨県東部、滝子山から黒岳、小金沢山等を経て大菩薩嶺方面に連なる大菩薩連嶺小金沢連峰)の東側に位置しています。雁ヶ腹摺山といえば旧五百円紙幣(表面は岩倉具視肖像)の裏面に印刷された富士山、その元になった写真が撮影された場所として方々に知られており、また所在する大月市の選定する秀麗富嶽十二景の一つにも挙げられている等、周囲の山と比較するとネームバリューが富んでいるという事もあり、そこそこに登山者の姿が多い山です。車利用であれば登山口から1時間程で登れてしまうというお手軽さも人気の一つですが、その反面、人里から離れた山深いエリアに位置しているという事もあり公共交通網は希薄。電車バスでのアクセスとなると困難を極めます。

黒岳は前述した大菩薩連嶺に属する山で、雁ヶ腹摺山方面に伸びる支尾根はこのピークから分岐しています。黒岳自体は名前の通り遠くから見て黒い、即ち山頂は木々で鬱蒼としており展望の優れた山という訳では無いのですが、湯ノ沢峠寄りにある白谷ノ丸のピークは付近では有数の展望地で、こちらも湯ノ沢峠に車に停めれば1時間程度で登れてしまうというイージーさも相まって人気がある山域です。

公共交通を利用した登山口までのアクセス

雁ヶ腹摺山

専らメインの登山口として使われる大峠は、大月駅北西にあるハマイババス停から林道を3時間歩いた先にあります。片道3時間掛かる林道を往復で歩くのは辛いので、片道はタクシーを利用するか、別コース利用の検討をおすすめします。ちなみにハマイバ前発の大月行き最終バスは18:30と比較的遅くまであり、本数自体も午後は毎時1~2本あるので利便性はそこそこ高い。

【時刻表】富士急行バス(大月駅~ハマイバ前)

同じ秀麗富嶽十二景である姥子山をセットで登る場合、金山鉱泉下流にある遅能戸バス停から登り始めるのも選択肢の一つです。こちらはハマイバ前発のコースよりも行程が長くなるので片道のみの利用にするのが無難でしょう。バスの本数は少なく土日は3~4往復しかないので注意ですが、大月駅から歩いても1時間程度と近いです。

【時刻表】富士急行バス(大月駅~遅能戸・西奥山等)

今回自分が帰路で歩いたように、大峠から黒岳を越えた先にある湯ノ沢峠からやまと天目山温泉バス停に下るというコース取りも可能です。ハマイバ前に下るよりは行程自体はこちらの方が1時間程長いですが、舗装路歩きを1時間程度に抑えられるので、大峠到着時点で黒岳を登り返す余力と時間が残っている場合はおすすめです。バス停に日帰り入浴施設があるというのも嬉しい点。本数は午後に関してはそこそこ充実していますが、午前中は殆ど本数が無いので、帰路の利用がおすすめ。

【時刻表】甲州市民バス(塩山駅・甲斐大和駅~やまと天目山温泉・天目等)※縦断線の項を参照

後程の登山記録で紹介する楢ノ木尾根を歩きたい場合、下車するバス停は浅川入口バス停もしくは上和田バス停となります。そこそこ歩きやすいとは言え破線コースなので慣れている人向け。浅川入口に関してはバスの本数は毎時一本以上あるので利便性は割と高いです。

【時刻表】富士急行バス(大月駅・猿橋駅~浅川入口・上和田等)※大月~小菅の湯路線を参照

黒岳・白谷ノ丸

黒岳も同様に山深い地域で、メインの登山口となる湯ノ沢峠に最も近いバス停は甲州市旧大和村エリアにあるやまと天目山温泉バス停です。ほか、季節運行の栄和交通の路線バスを利用してすずらん昆虫館前バス停から牛奥ノ雁ヶ腹摺山を経由して登る事も可能です。

【時刻表】甲州市民バス甲州市縦断線(塩山駅・甲斐大和駅~やまと天目山温泉・天目等)

【時刻表】栄和交通路線バス(甲斐大和駅~やまと天目山温泉・すずらん昆虫館前等)

雁ヶ腹摺山の項で記載した大峠から1時間半程度で登頂できたりとそこそこ近いので、こちらについて3時間の林道歩きがあるもののハマイババス停から登り始める事も一応可能です。ちなみにハマイバ前からの林道歩きの途中で湯ノ沢峠方面に分岐する登山道もあるので、湯ノ沢峠→黒岳→大峠といった周回コースを取る事もできます。

【時刻表】富士急行バス(大月駅~ハマイバ前)

実際の登山記録

以下、今回のルートです。

経緯

冬季の足慣らし登山、第二弾です。ここ暫くハイキングコース的な道しか歩いて無くて感が鈍ってそうなので、今回はあまり整備の行き届いていないワイルドな道を歩いてみる事にしました。

行き先は雁ヶ腹摺山。季節柄積雪の心配が少なからずありましたが、アイゼンも当分使う機会がなかったので、むしろ多少は積もってた方がいいかなと思った。(実際は湯ノ沢峠からの下り30分程度しか使用しませんでした)

猿橋駅→浅川入口バス停→672mピーク

f:id:SISIS:20210304010034j:plain
f:id:SISIS:20210304010037j:plain

[5:58]猿橋駅出発

今回は大月の一つ手前の猿橋駅から登山開始……周囲はまだ薄闇に覆われた中。中央本線沿線は都心から近く始発も早いので、スタートの時間が早くできるのが利点です。

f:id:SISIS:20210304010041j:plain
f:id:SISIS:20210304010044j:plain

甲州街道を乗り越えた先、桂川を渡る頃には東の空が赤みを帯びつつありました。橋の反対側、西側には滝子山らしき山が見える。

f:id:SISIS:20210304010047j:plain

桂川を渡った先、立て続けに葛野川を越えます。頭上高々に中央道の橋梁が越えている。

f:id:SISIS:20210304010051j:plain
f:id:SISIS:20210304010057j:plain

葛野川に沿って上流に歩いていく。左側には急峻な岩壁が目立つ、低山ながらも一際存在感のある岩殿山が……先程見えた滝子山はその左奥にあります。右に伸びる稜線は大菩薩連嶺のハマイバとか大蔵高丸とかの辺り。

f:id:SISIS:20210304010101j:plain

集落の外れに建つ火の見櫓。背後には朝日に照らされ桃色に染まった薄雲が浮かぶ。

f:id:SISIS:20210304010104j:plain
f:id:SISIS:20210304010107j:plain

先に進むと大月市七保の中心集落が見えてきました。山間部の集落にしては比較的規模の大きい。土蔵も幾つか見かける。

f:id:SISIS:20210304010110j:plain
f:id:SISIS:20210304010114j:plain

七保の中心付近、福泉寺近くの立派な長屋門が目を引く。大月市は織物業が盛んだった街ですから、この辺りも養蚕とかで栄えたのでしょうか。集落を抜けて再び葛野川を渡る頃には平地は狭まり山峡の雰囲気が出てきた。

f:id:SISIS:20210304010118j:plain
f:id:SISIS:20210304010121j:plain

集落の外れに建つ淡島神社。家並みは断続的に狭隘な山間の奥の方まで連なっている。

f:id:SISIS:20210304010125j:plain

[7:04]浅川入口バス停

今回の登山口の最寄りである浅川入口バス停に到着……朝早くにバスなんかないと思って特に調べもせずそのまま駅から歩いていたのですが、七保の集落辺りで追い抜かされたので素直に乗った方が到着は早かったかも。朝夕はそこそこ頻繁に本数があるので登山には使えるかもしれません。

f:id:SISIS:20210304010129j:plain
f:id:SISIS:20210304010137j:plain

バス停から少し進んだ先。途中、山の斜面を登っていく道に入ります。

f:id:SISIS:20210304010142j:plain
f:id:SISIS:20210304010149j:plain

小径の右側に見える鹿柵奥の竹藪から入山します。入口には古びた灯籠が立っている。

f:id:SISIS:20210304010146j:plain

鹿柵の付近から振り返った所。正面に見えるのは恐らく権現山方面の稜線かと思われます。

f:id:SISIS:20210304010202j:plain

柵を越えて少し進んだ所にある小さなお社。先程の灯籠はここのものなのかな。尾根への取り付きとなる登山道はこの左側に伸びているらしいのですが、今回は社の背後の斜面をそのまま直登しました……尾根まで標高差300m近い直登はそこそこ難儀したので、この地点で真面目に道を探しておけば良かった気が。

f:id:SISIS:20210304010156j:plain
f:id:SISIS:20210304010159j:plain

途中見かけた何かの幼菌と思われるキノコ。生命とは何なのかという哲学的な問いを投げかけられた気がする。

f:id:SISIS:20210304010206j:plain
f:id:SISIS:20210304010209j:plain

適当に尾根筋っぽい所を進んでいく。途中までは歩きやすいですが、徐々に傾斜が急になり木を掴んで強引に登る羽目に。ノイバラっぽいトゲトゲに手を引っ掛けたりして、ちゃんと道探せばよかったと早くも後悔。

f:id:SISIS:20210304010212j:plain
f:id:SISIS:20210304010216j:plain

常に何かに掴んでないと踏ん張れないような急坂を登っていくと登山道らしきフラットな地面に合流しました。無駄に体力を消費させてしまった。

f:id:SISIS:20210304010219j:plain
f:id:SISIS:20210304010223j:plain

本来のコースに復帰したら一転して明瞭な道に。山と高原地図では破線コースの扱いですが、所々で赤テープもあったりします。

f:id:SISIS:20210304010226j:plain
f:id:SISIS:20210304010229j:plain

整然とした植林の杉林の奥へ進む。全体的に鬱蒼とした尾根道ですが、所々で木々の間から遠くの山々が見えたり見えなかったり。

672mピーク→水無山→大峰

f:id:SISIS:20210304010233j:plain

[7:04]672mピーク(NHK七保テレビ中継放送所)

最初のピークである672mピークに到着……特に展望はありませんが木々が伐採され広場のようになっています。ここから水無山方面に尾根筋を北上していく。

f:id:SISIS:20210304010237j:plain

尾根伝いに進みます。この付近も尾根筋がはっきりしているので特に問題なく歩けます。

f:id:SISIS:20210304010241j:plain
f:id:SISIS:20210304010244j:plain

尾根上の様子。冬だからそこそこ開放感がありますが、葉が茂った時期なんかは鬱蒼としてそう。

f:id:SISIS:20210304010248j:plain
f:id:SISIS:20210304010253j:plain

富士山方面の展望と、先程登山口から見えた権現山方面の稜線。距離的に富士山は近いのですが、この付近は開けた場所は少ないので木々の間から僅かに窺える程度。

f:id:SISIS:20210304010256j:plain

水無山までの尾根歩きの最中、左側に存在感のある山がずっと見えていて気になってました。西側の大垈山から伸びる支尾根の宮地山というピークらしい。

f:id:SISIS:20210304010300j:plain
f:id:SISIS:20210304010304j:plain

起伏も少なく軽快に進めます……が、麓の村は近い。体感的には随分歩いた印象ですが、未だ標高は1000にも満たない程度。

f:id:SISIS:20210304010309j:plain

先程同様、時々富士山が見えます。この日のメインとなる雁ヶ腹摺山は富士山展望の名所。午後まで持ってくれたらなーとか期待を抱いていましたが。

f:id:SISIS:20210304010312j:plain

尾越山手前の尾根道。ここから先は若干急な登りとなります。

f:id:SISIS:20210304010315j:plain

時々ですが境界杭も見かけます。基本道筋は薄いですが、進むべき道は分かりやすく迷わず歩ける。

f:id:SISIS:20210304010320j:plain

尾越山のピーク付近に登りました。木々の間から本日歩く大峰泣坂ノ頭、そして雁ヶ腹摺山へと続く稜線が見えます。大峰は中央左の三角形で、雁ヶ腹摺山は左端に見えるなだらかなピーク。

f:id:SISIS:20210304010324j:plain

ちょっとした展望地に到着……ですがギリギリの所で富士山は見えないのが残念。中央左に見える小高いピークは御正体山かな。

f:id:SISIS:20210304010327j:plain

[9:27]水無山(東沢ノ頭)

水無山のピークを少し過ぎた辺り。無残に倒れていますが、ようやく看板らしきものが視界に入りました。

f:id:SISIS:20210304010332j:plain
f:id:SISIS:20210304010337j:plain

これまでも特に問題なく歩けましたが、上和田方面からのコースと合流したので一転して道らしき道に入りました……水無山から南下するのはマイナーなのかな。正面右に見えるのがこれから向かう大峰で、ここから1時間弱の行程。

f:id:SISIS:20210304010340j:plain

大峰のピーク手前、1298m地点からの展望。この辺りは若干開けています。

f:id:SISIS:20210304010348j:plain
f:id:SISIS:20210304010356j:plain

大展望という程ではないですが、そこそこに見渡せます。富士山も良い感じに見えてますね。

f:id:SISIS:20210304010352j:plain

富士山を単体で。ほぼ整備されていないコースという事で展望は全く期待してなかったのですが、意外に開けた箇所もあって満足……ただし予報によれば午後から雲が増えてくるとの話。

f:id:SISIS:20210304010400j:plain

行きに歩いた七保の集落を俯瞰。左側に本日のスタート地点である猿橋駅があり、その上には半分くらい作りかけのニュータウンが広がっている。

f:id:SISIS:20210304010403j:plain

歩いてきた尾根道を振り返った所。中央右下に見えるのが水無山。その奥には百蔵山、扇山、権現山と連なる尾根が見えます。

f:id:SISIS:20210304010409j:plain

こちらは南側。木々に覆われて展望はいまいちですが富士山、杓子山、御正体山方面。

f:id:SISIS:20210304010414j:plain
f:id:SISIS:20210304010418j:plain

大峰への最後の登り。そこまで傾斜は急ではなく、終始歩きやすい尾根道でした。

f:id:SISIS:20210304010422j:plain
f:id:SISIS:20210304010426j:plain

山頂手前の様子。割と人が通るコースなのか指導標はそこそこ見かけました。

大峰→泣坂ノ頭→大樺ノ頭→雁ヶ腹摺山

f:id:SISIS:20210304010437j:plain

[10:23-10:35]大峰

楢ノ木尾根東端の大峰に到着……本日初めての山頂看板のあるピークです。周囲は木々に密に囲まれていて展望は殆ど無い。

f:id:SISIS:20210304010430j:plain
f:id:SISIS:20210304010433j:plain

山頂周辺の雰囲気。近くに小さな社が鎮座していました。

f:id:SISIS:20210304010440j:plain

ここまで殆ど休み無しで歩いてきたので、これにて一旦小休止。菓子パンをドクターペッパーで流し込んで燃料補給。

f:id:SISIS:20210304010443j:plain
f:id:SISIS:20210304010446j:plain

[10:50]泣坂ノ頭

大峰から尾根伝いに少し進んだ所が泣坂ノ頭のピーク。何の変哲もない小ピークですが大峰より標高は高いです。

f:id:SISIS:20210304010453j:plain
f:id:SISIS:20210304010457j:plain

大峰まではそれほど起伏がありませんでしたが、以降は小刻みな起伏が断続的に現れます。東西に真っ直ぐに伸びている尾根なので道筋自体は分かりやすいですが。

f:id:SISIS:20210304010502j:plain

木々の間から奥秩父の山々。元旦に登った雲取山飛龍山等。

f:id:SISIS:20210304010508j:plain

この付近、倒木や灌木が増えて次第に歩きにくい。大きく迂回を強いられる事もしばしば。

f:id:SISIS:20210304010511j:plain
f:id:SISIS:20210304010515j:plain

指導標の行き先は大峰ではなく泣坂ノ頭となっている。

f:id:SISIS:20210304010519j:plain

木々の小窓。南側の空は雲が増えつつありました。

f:id:SISIS:20210304010523j:plain
f:id:SISIS:20210304010527j:plain

山と高原地図には残置ワイヤー有りとの記載がある箇所。岩がちですが特に急峻という事も無く難なく登れました。

f:id:SISIS:20210304010530j:plain
f:id:SISIS:20210304010534j:plain

大峰から大樺ノ頭まで標準コースタイム3時間くらいなので、間に一回休憩を挟む。

f:id:SISIS:20210304010537j:plain
f:id:SISIS:20210304010548j:plain

正面に聳える大樺ノ頭が進むにつれて次第に大きくなる。

f:id:SISIS:20210304010551j:plain

途中鉄塔が立つ所を越えます。付近には登山道よりもしっかりした巡視道が整備されていたりと道が交錯している箇所もありますが、基本は尾根筋を外さずに歩けば問題ないです。

f:id:SISIS:20210304010555j:plain
f:id:SISIS:20210304010558j:plain

痩せ尾根上は道が分かりやすいですが、急斜面は踏み跡が薄い。歩きやすそうな所を見極めながら進んでいく。

f:id:SISIS:20210304010609j:plain

ちょっとした展望地。富士山は……予報通りというかなんというか、雲に埋もれていました。もう正午を越えるかどうかという時分を考えると持った方かな。

f:id:SISIS:20210304010605j:plain
f:id:SISIS:20210304010601j:plain

富士山方面を望遠で。右側、山頂に電波塔が建つ三ツ峠山がそこそこ大きく映る。

f:id:SISIS:20210304111814j:plain

そこそこ纏まった感じの登りです。荒れ気味ですが道筋は明瞭。

f:id:SISIS:20210304010614j:plain
f:id:SISIS:20210304010622j:plain

基本登り基調の道ですが、凄い急登みたいなのは無いので疲労感はそこまで無いです。

f:id:SISIS:20210304010626j:plain

似たような風景が延々続きましたが、標高が上がってきたからか少し雰囲気が変わり高山めいてきた気が。

f:id:SISIS:20210304010633j:plain
f:id:SISIS:20210304010630j:plain

木々の間から見えた奥秩父の山。甲武信ヶ岳から破風山雁坂嶺辺りの稜線のように見えますが。

f:id:SISIS:20210304010638j:plain
一方、すっかり雲の中に埋もれてしまった富士山。ようやく展望の良い所に来たのに。

f:id:SISIS:20210304010642j:plain
f:id:SISIS:20210304010645j:plain

再び鉄塔が見えてきました……雪は偶に見かけますが、稜線上は日が当たるのか2月とは思えない程に少ない。

f:id:SISIS:20210304010650j:plain
f:id:SISIS:20210304010654j:plain

送電鉄塔。ここも例によって周辺が刈り払われており見晴らしが良い。

f:id:SISIS:20210304010657j:plain

先程も見えた奥秩父の山々。甲武信ヶ岳から飛龍山の辺りまで見えます。左手前に見える山は大菩薩嶺かな。

f:id:SISIS:20210304010705j:plain

少し広い範囲で撮ったもの。中央右側、鉄塔の脚越しに見えるのは雲取山。右端の木に掛かる手前辺りには石尾根の鷹ノ巣山日蔭名栗山も見えます。

f:id:SISIS:20210304010701j:plain

こちらは南東側。左手前に権現山、扇山、百蔵山と見えます。権現山の左奥に見えるのが陣馬山生藤山辺りの稜線でしょうか。右側の丹沢方面の山並みは雲が多く埋もれています。

f:id:SISIS:20210304010719j:plain

進行方向に本日の目的地である雁ヶ腹摺山も見えてきました。黙々と歩いてきましたが、いつの間にか俄然近付いていた。

f:id:SISIS:20210304010722j:plain

雁ヶ腹摺山大樺ノ頭といったこれから登るピークを見据えながら進みます。大樺ノ頭の登り返しまでは平坦な尾根道が続く。

f:id:SISIS:20210304010727j:plain

広尾根となった箇所。今までの急峻さが嘘のような長閑さ。こんな所でテント張ったりできれば最高なんですけどね。

f:id:SISIS:20210304010732j:plain
f:id:SISIS:20210304010736j:plain

なだらか尾根を進み目前に見える大樺ノ頭まで距離を詰めていく。

f:id:SISIS:20210304010740j:plain

目の前に聳える雁ヶ腹摺山大樺ノ頭。長かった楢ノ木尾根もようやく終わりが見えてきました。

f:id:SISIS:20210304010745j:plain
f:id:SISIS:20210304010749j:plain

僅かに下った鞍部から大樺ノ頭まで少し長めの登りです。

f:id:SISIS:20210304010753j:plain
f:id:SISIS:20210304010757j:plain

山頂手前の緩い登り。道上の雪には踏み跡が全く無かったので、暫くの間誰も歩いてないという事なのかな。

f:id:SISIS:20210304010805j:plain

[13:00-13:09]大樺ノ頭
ようやく大樺ノ頭に到着……なんだかんだで13時を越えてしまった。雁ヶ腹摺山まではあとひと登りという所。

f:id:SISIS:20210304010809j:plain

木々の切れ目から見えた西の空。特に展望とかはないです。

f:id:SISIS:20210304010813j:plain
f:id:SISIS:20210304010817j:plain

雁ヶ腹摺山方面に進みます。一見すると近そうに見えますが、鞍部が結構落ち込んでいるので登り返しはそこそこ長いです。ピーク間のコースタイムも50分とそこそこな感じ。

f:id:SISIS:20210304010820j:plain

高度を下げていき次第に見上げる形となりつつある雁ヶ腹摺山。

f:id:SISIS:20210304010824j:plain
f:id:SISIS:20210304010828j:plain

鞍部付近。北斜面で陽光が注がないのか所々で雪が残っています。

f:id:SISIS:20210304010831j:plain
f:id:SISIS:20210304010835j:plain

西側には黒岳手前の白谷ノ丸の笹原が遠目に見えました。もう何度も行っているお気に入りの展望地ですが……後程登ります。

f:id:SISIS:20210304010838j:plain
f:id:SISIS:20210304010841j:plain

山頂直下の急登にはがっつりと雪が残っていました。アイスバーンにはなっていないのでアイゼンは使用せず、爪先を蹴り込みながら登っていく。

f:id:SISIS:20210304010844j:plain

長閑な雰囲気の林の中に出れば山頂は近い。

雁ヶ腹摺山→大峠→黒岳

f:id:SISIS:20210304010848j:plain

[13:48-14:01]雁ヶ腹摺山

本日の目的地である雁ヶ腹摺山に到着。もう少し早く到着する予定でしたが、道が悪くあまり飛ばせなかったという事もありこんな時間に。

f:id:SISIS:20210304010851j:plain

秀麗富嶽十二景でもあり、五百円札の裏面の写真が撮られた場所として名高い山ですが……展望は一方向切り取られたかのようにあるのみで開放感は少ないです。肝心の富士山も見えないし。

f:id:SISIS:20210304010856j:plain
f:id:SISIS:20210304010859j:plain

時間的に遅いのかこの日はそもそも誰も登っていないのか分かりませんが、一切の人の気配が感じられない静かな山頂でした。

f:id:SISIS:20210304010903j:plain
f:id:SISIS:20210304010907j:plain

大峠方面に下ります。ここから先は一般コースで歩いた事もある道なので一転して気が抜ける。

f:id:SISIS:20210304010917j:plain

少し下り始めた所で山頂よりも良い展望地。正面右には大きく黒岳の山体が見え、その手前の鞍部がこれから下る大峠です。大菩薩連嶺は白谷ノ丸の左側の鞍部である湯ノ沢峠を挟んで左側、大蔵高丸ハマイバ、そのまま左端の滝子山まで続いています。滝子山の奥には三ツ峠山があり、その後ろの雲が立ち込めている所が恐らく富士山がある辺りでしょう。

f:id:SISIS:20210304010911j:plain

大蔵高丸の奥くらいに南アルプスの稜線が見えました。右側に見える塩見岳から悪沢岳赤石岳聖岳と……若干雲が多いものの、空気が澄んでいるのかはっきり見えています。写真中央右に見える双耳峰のようなピークは笊ヶ岳かな。

f:id:SISIS:20210304010921j:plain

こちらは大峠、黒岳方面。大峠という名前だけあって、正面に見える黒岳との間は大きく窪んでいます。

f:id:SISIS:20210304010924j:plain
f:id:SISIS:20210304010928j:plain

雲が取れないかなーと期待しながら富士山の方に視線を送る。この時点では特に変化なし。

f:id:SISIS:20210304010936j:plain
f:id:SISIS:20210304010941j:plain

大峠までの登山道。木道が設けられていたりと、そこそこ整備された登山道という印象。西日が差して明るい雰囲気でした。

f:id:SISIS:20210304010946j:plain

この付近は冬でもそこそこ人が通るのか、雪が踏み固められてアイスバーンと化している箇所もちらほら。避けて歩けばアイゼンは不要でしたが通過に時間が掛かった。

f:id:SISIS:20210304010949j:plain
f:id:SISIS:20210304010952j:plain

大峠手前の水場。凍結して美しい造形物ができていましたが、内部は空洞となっており水が細いながらも流れていました。

f:id:SISIS:20210304010955j:plain
f:id:SISIS:20210304010959j:plain

[14:44-14:54]大峠

鞍部である大峠に到着。疲れたらここから舗装路を3時間歩いてハマイバのバス停に下るつもりでしたが、なんだかそちらの方が気が滅入って疲れそうなので、少し考えた末に黒岳を乗り越してやまと天目山温泉に下る事に。日が長くなってきたこの時期であれば、なんとか明るい内に湯ノ沢峠先の舗装路には辿り着けそうかなという目論見。

f:id:SISIS:20210304011003j:plain

黒岳方面に登り返します。大峠が窪んでいるので、連続した尾根というよりは別個の山という印象。登り返しも400m強、山頂までの所要時間は1時間半と長い……ですが、全体通して緩い傾斜で思ったより歩きやすかった記憶が。

f:id:SISIS:20210304011006j:plain
f:id:SISIS:20210304011009j:plain

振り返り大峠と、その背後に聳える雁ヶ腹摺山を一瞥。本当にこれから登るのか? という自問を無視して先に進む。記憶通り歩きやすい道が続いています。

f:id:SISIS:20210304011014j:plain
f:id:SISIS:20210304011018j:plain

西日を視界に入れながら黙々と登る。

f:id:SISIS:20210304011022j:plain

日が傾き辺りが影が目立ち始めた。普段であれば下り始める時間帯ですが。

f:id:SISIS:20210304011026j:plain
f:id:SISIS:20210304011030j:plain

少し進んだ所で赤岩ノ丸のピーク。歩きやすいですが展望は少なく地味なコース。

f:id:SISIS:20210304011033j:plain

南の空には雲が立ち込めている。

f:id:SISIS:20210304011036j:plain
f:id:SISIS:20210304011042j:plain

黒岳は2,000m近いという事もあって流石に雪が増えてきました……が、5月頃に登った時より雪が少ない気がします。この辺りもザクザク雪なのでアイゼンは使わず。

黒岳→白谷ノ丸→湯ノ沢峠→やまと天目山温泉

f:id:SISIS:20210304011045j:plain

[16:03]黒岳

本日の最高地点(1,988m)である黒岳に到着。大菩薩連嶺の縦走チャレンジの時に毎回通過するので、個人的にはそこそこ登る機会の多い山。

f:id:SISIS:20210304011048j:plain

展望がないのも見慣れていますが、冬は葉が少ないお蔭か普段よりも空が広い気がします。

f:id:SISIS:20210304011053j:plain

白谷ノ丸方面へ進みます。起伏が少ない所には雪が多く残っている。

f:id:SISIS:20210304011103j:plain

[16:17-16:30]白谷ノ丸

この付近ではお気に入りの展望地、白谷ノ丸に到着。本来であれば展望を堪能したい所ですが、時刻は既に夕刻。何枚か適当に写真を撮るだけに収めて先に進みます。

f:id:SISIS:20210304011109j:plain

白谷ノ丸直下の笹原……いつ来ても開放感があっていい所ですね。この日は寒風吹き荒んでいてとてもそんな気分ではありませんでしたが、気候がいい時期であればのんびり昼寝でもしてみたい雰囲気。

f:id:SISIS:20210304011106j:plain

随分と日が傾いてきましたが、日没まではまだ余裕がありそうな雰囲気。

f:id:SISIS:20210304011114j:plain
f:id:SISIS:20210304011117j:plain

もうこの日は富士山は見えないだろうなーと思ってましたが、雲が下がってきて頭だけ見えました。最後の最後で目にできたのは僥倖。

f:id:SISIS:20210304011121j:plain

こちらは先程、雁ヶ腹摺山の付近からも見えた南アルプス方面の望遠。ちょうど逆光でシルエットのような状態ですが、甲斐駒ケ岳から仙丈ヶ岳鳳凰三山、白根三山といった北部の山々を含め、端から端まで見渡せる。

f:id:SISIS:20210304011127j:plain

白谷ノ丸のピークから少し下った所。左側に見えるこんもりとしたピークが白谷小丸。いつか立ち寄ってみたいと思ってるのですが、この辺りに来る時はいつも時間に追われていて余裕が無く、未踏。

f:id:SISIS:20210304011137j:plain
f:id:SISIS:20210304011141j:plain

湯ノ沢峠までの下り。登山道は洗掘気味で、その間に雪が堆積してアイスバーンになっており地味に歩きにくい。

f:id:SISIS:20210304011146j:plain

陽光が遮られ、影が一層濃くなった尾根道。

f:id:SISIS:20210304011150j:plain

少し開けた所から大蔵高丸方面の展望。ハマイバの左側にはクリームパンのような形の滝子山が見えています。

f:id:SISIS:20210304011155j:plain
f:id:SISIS:20210304011158j:plain

南側方面。鰻の寝床のような谷間の窪地には都留のリニア実験線が見えました。

f:id:SISIS:20210304011202j:plain
f:id:SISIS:20210304011205j:plain

[17:00-17:05]湯ノ沢峠

急坂を下りきって鞍部の湯ノ沢峠に到着。既に17時ですがまだ多少明るい。

f:id:SISIS:20210304011209j:plain
f:id:SISIS:20210304011212j:plain

やまと天目山温泉方面に下山。少し下った所に避難小屋があります。その裏にはそこそこ広い駐車場があり、ここまで車で登ってくる事も可能ですが、徒歩の場合は沢沿いの登山道を暫く下る事になります。

f:id:SISIS:20210304011215j:plain
f:id:SISIS:20210304011219j:plain

水場の付近? バケツが道の上に置いてある。この付近は沢の源頭となっており、ここから沢沿いに下っていく。

f:id:SISIS:20210304011222j:plain

この付近の雪はガチガチに凍結しているので流石にアイゼンを装着しました……アイゼンは結局、この区間30分程度歩くのみの使用となった。

f:id:SISIS:20210304011226j:plain
f:id:SISIS:20210304011231j:plain

積雪で目立ちませんが道は結構荒れていました。沢のトラバースが崩落していたりして渡渉を余儀なくされる箇所も多い。多くの人は車でそのまま湯ノ沢峠まで上ってくるので、歩く人は少ないのでしょう。

f:id:SISIS:20210304011234j:plain

[17:46]湯ノ沢峠登山口

完全に暗くなる前に舗装路に合流し一息吐く……しかし、ちょうど1時間後にやまと天目山温泉発のバスがあるので、その時間に合わせて小走り気味に下ります。

f:id:SISIS:20210304011237j:plain

次第に明るさが失われていく西の空。周囲は既に夜闇に包まれている。

f:id:SISIS:20210304011240j:plain
f:id:SISIS:20210304011244j:plain

途中、廃村である焼山集落の横を通過していきます。割と近年まで人が住んでいたのか朽ちずに残っている家屋も多い。

f:id:SISIS:20210304011248j:plain

[18:29]やまと天目山温泉到着

本日のゴールであるやまと天目山温泉に到着したのは午後6時半。もう少し早く到着していれば立ち寄りたかったのですが……バスの時間まで間もないので今回は泣く泣くスルー。温泉に入る準備もしてきたのに。

日本有数の高アルカリ泉といった売り文句に唆られますが、また今度ですね。大菩薩に行った帰りとかで。

f:id:SISIS:20210304011251j:plain
f:id:SISIS:20210304011258j:plain

定刻より10分くらい遅く来たバスに乗り込み甲斐大和駅へ。その後は中央線に揺られてうとうと船を漕ぎながら帰路を辿りました。