
2025年8月、中央アルプス(木曽山脈)の縦走登山に出掛けてきました。この記事ではその時の記録等を掲載しますので、実際に登る際の参考にして頂ければ幸いです。
目次
まえがき

前回登山の飯豊連峰の満足度が非常に高かったので、今シーズンは暑さが和らぐ秋頃まで良いかな……って気分だったのですが、お盆明けで好天が暫く続きそうだったので行ってきました。
悩んだのは行き先。盛夏という事もあり、ある程度の標高の山域でないと暑さとの戦いになるので厳しい。そうなると例年通り南北アルプスが候補になりますが、北アルプスは近年の観光地化&山小屋の営利主義化が個人的に興醒めで唆られず。逆に南アルプスは唆らるものの、もう少し纏まった日数で行けるまで温存しておきたい気分。
ではどこに行こうかと、地図を眺めていてふと目に留まったのはその間の中央アルプス。こちらの方面の登山は以前に一度だけ、登山を始めたばかりの頃に空木岳→木曽駒ヶ岳の縦走登山をした事があるのですが……稜線上は濃いガスで終始視界ゼロ、加えて雨にも降られるというトラウマに近い印象の悪さがあり、10年ほど足が遠のいていた山域でした。しかし今回は天気予報通りであればそこそこ晴れてくれそうで、他に行き先も無かったのでそちらに決定。
コースについては、前回歩いた時は空木岳に関しては麓から登ったものの、木曽駒ヶ岳からの下りは悪天候という事もあってロープウェイを利用してしまったのが心残りだったので、今回こそ自分のスタイルである麓発麓着の登山に。登る山もどちらかというと空木岳より南の南駒ヶ岳や越百山といった百名山ではない山々の方が唆られるので、更に南の奥念丈岳から主稜線に乗るようなコース取りにしました。
少し心配だったのが水の確保。2025年の8月は誰しもが存じている通り全国的に最高気温40℃近い日が続く酷暑で水の消費が読めない。そもそもとして中央アルプスは稜線上の水場が少なく、確実に汲めそうな所は3日目に通過する空木岳少し先の木曽殿山荘まで無さそう。つまり最悪の場合スタート3日間は水を汲めない可能性があるので、プラティパス等のウォーターバッグをいつもより多めに担いで挑む事になりました。
登山の記録
歩いたルート(GPSログ)
今回は上記のコースで歩きました。
中央アルプスその1(上片桐駅→およりての森登山口→鳩打峠→小八郎岳)

中央アルプス縦走の初日は、飯田線・上片桐駅から小八郎岳へのアプローチが中心。中央本線や飯田線を乗り継いで長野県入りし、伊那市の酒蔵で登山用の日本酒(信濃錦と龍游)を調達。その後、およりての森から酷暑の中登山を開始し、鳩打峠を経て小八郎岳に登頂しました。実質的な行動時間は短かったものの、厳しい暑さに体力を削られる一日となりました。
中央アルプスその2(小八郎岳→烏帽子岳→池ノ平山→念丈岳→奥念丈岳→南越百山)

2日目は中央アルプスの主稜線を目指す尾根歩きが中心。小八郎岳を出発し、厳しく長い登りを経て烏帽子岳に到達。その後も引き続き縦走路を辿り、池ノ平山・念丈岳を踏破しました。与田切乗越では水場を見かけたものの、事前に十分な水を確保していたため恩恵は控えめ。そこから奥念丈岳に登り返し、笹が刈られて意外なほど整備の進んだ縦走路を北上して、この日は南越百山まで歩を進めました。到着時はガスが濃く、翌日の展望に不安を抱きながら一日を終えました。
中央アルプスその3(南越百山→越百山→仙涯嶺→南駒ヶ岳→空木岳→木曽殿山荘→東川岳付近)

3日目は中央アルプス南部の主稜線歩きがメインの内容となります。前日行動終了となった南越百山からは越百山へ。この時点ではガスが多く展望にも期待できない感じでしたが、先に進むにつれてガスが流れて仙涯嶺に到着する頃には打って変わって快晴に。その後は再びガスが増え始めるものの、展望を楽しめる程度には晴れてくれて、南駒ヶ岳、赤梛岳、空木岳と南部の主峰を踏破。木曽殿山荘の水場で補給をした後は東川岳に登り返すものの、行程遅れや降雨により予定していた檜尾岳まで辿り着けず、やむなく途中でビバークとなりました。
中央アルプスその4(東川岳付近→熊沢岳→檜尾岳→極楽平→宝剣岳→木曽駒ヶ岳→駒ヶ岳頂上山荘)

4日目は、中央アルプス最高峰・木曽駒ヶ岳の登頂がハイライト。行動を始めた夜明けには、この縦走登山で唯一の日の出を眺め、その後は熊沢岳・檜尾岳へと続く岩場のアップダウンを進みました。途中からガスが湧いたものの、概ね晴天で稜線の景色を満喫。さらに濁沢大峰や島田娘などのピークの登り返しを越えつつ徐々に標高を上げ、岩峰で知られる宝剣岳にもテント装備のまま登頂しました。その後は宝剣山荘、中岳を経由して駒ヶ岳頂上山荘に到着し、テント設営後に木曽駒ヶ岳の山頂へ。ややガスが多かったものの最高峰からの展望を楽しみ、この日を終えました。
中央アルプスその5(駒ヶ岳頂上山荘→木曽駒ヶ岳→将棊頭山→茶臼山→コガラ登山口→大原バス停)

最終日は、木曽駒ヶ岳での日の出からのスタートとなりました。この日の朝は雲が多く鮮明には見えなかったものの、山頂を発つ頃には快晴となり、縦走の締めくくりにふさわしい青空に。途中では雷鳥との嬉しい出会いもありました。下山ルートは濃ヶ池分岐を経て将棊頭山や行者岩を通過しつつ茶臼山へ。茶臼山を越えるとコガラ登山口までの長い下りに入り、やや荒れた道ながら大きな支障もなく進行。しかし終盤に待ち受けていた一本橋の通過は緊張を強いられました。その後は舗装路歩きを経て大原バス停に到着し、中央アルプス縦走は無事に完結。下山後は中山道の宿場町である木曽福島を散策し、中央本線で帰路につきました。
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中央アルプスは向かう方面によってはそこまで歩かれていないコースが多いので、登山地図は必携です。
