山とか酒とか

登山やお酒を始めとした趣味全般を雑多に、また個人的に有用だと思った情報を紹介しています。

頸城山塊から戸隠連峰その3(茂倉峰→金山→泊岩→新潟焼山→火打山→高谷池ヒュッテ)

予定通り金山に辿り着けなかったその翌日。この日も頸城山塊の縦走がメインですが、中盤に差し掛かるこの日は金山、新潟焼山火打山といった核心部のピークを3つも乗り越えていくという極めてハードな一日でした。

頸城山塊から戸隠連峰その2」の続きの記事となります。

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他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。

【2022年8月】頸城山塊から戸隠連峰 - 山とか酒とか

目次

今回歩いたルートのGPSログです。

茂倉峰→金山

[3:37]茂倉峰出発

前日、疲れて行動終了とした茂倉峰の付近から早朝……というか未明の内に出発。

起床時点では3時ジャストを目指したのですが、1時起きのしんどさと狭い場所でのテントの撤収に手間取りこの時間に。後々考えるとこの30分の差は結構大きかったように思う。

前日辿り着けなかった金山に向けて暗闇の中をひたすら登っていく。概ね歩きやすい道だったのですが、引っかかった場所が一箇所。ほぼ垂直近い坂道で足場が泥濘んでおり、周囲には掴めるようなものも存在しないという難所で、何度か挑戦してみるもズルズルと滑り落ちてしまう。

仕方ないので一旦ストックを仕舞って両手で……というか体全体で張り付くようにして登っていく。そうこうして難儀しながらも無事に通過できましたが、お陰で朝っぱらから全身泥だらけに。

金山が近付いてくると開けた場所も増えてきて、日の出が近付いて赤みがかった空が見えました。

こちらは北西側の空。左にあるのは前日も見えた頸城駒ヶ岳、鬼ヶ面山、鋸岳といった山々。海のすぐ側まで山なりの地形が続いている。

南西方面を向いてみると、前日殆ど見えなかった北アルプスの山々が見えてくれました。まだ未明という事もあって全体的に青みがかっていますが、白馬三山辺りの稜線が鮮明に見える。

望遠です。左に白馬三山、中央やや右が雪倉岳、右に朝日岳という並びです。後立山連峰の山々は粗方歩きましたが、白馬岳から北方面には歩いた事がないのでいつか挑戦してみたい所……その時は是非、海岸線の親不知から歩き始めてみたい。

延々続いた樹林帯を抜けた頃の景色。雲が多いながらも青空が見えているので否応なく期待してしまう。

右に見えるなだらかな山が金山ですが、本日登る焼山新潟焼山)がその肩から飛び出して見えました……活火山というだけあって厳つい山容。

焼山の望遠。あのギザギザを左の方から越えていくという事になります。一筋縄では行かなそうな雰囲気が既に。

更に登ると北アルプス方面の視界が更に開けました。まだ少し雲は多いものの、後立山連峰の山々が徐々に頭を出してきた。

ちなみに右側の木が掛かった所にある雲が掛かった山が前日登った雨飾山。山の中腹辺りには荒菅沢の雪渓がよく見えています。

後立山連峰の望遠です。朝日に照らされて輝く白馬三山が美しい。左には爺ヶ岳鹿島槍ヶ岳五竜岳唐松岳と続く……以前そうした山々を縦走したのを思い出します。

目と鼻の先という所までに迫った金山。山頂手前は等高線の間隔も広くなり、緩い登り坂となる。

再び北アルプス方面を振り返ってみると雲が流れて見通せる範囲が広がっていました。立山より更に先、槍穂の方まで見通せます。

望遠してみたもの。北アルプスの殆ど全容とも言って良いくらいに見えています。

多くの山が見えるので山名入り写真を作ってみました。鹿島槍ヶ岳から爺ヶ岳の間の奥には裏銀座水晶岳野口五郎岳唐松岳から右の不帰嶮の奥に立山方面の山が見えていたりする。

金山の山頂手前の鬱蒼とした森。陰影は未だ深いものの頭上には青空が広がる。

付近の植物。ツマトリソウとギンリョウソウです。どちらも薄暗く湿った所に育つ花々。

金山からの展望

[6:09-6:31]金山

2時間半の登り返しを経て金山の山頂に到着しました……天気は良いのですが、まだ日差しの弱い朝方という事でブヨが乱舞している。

金山山頂からの展望。左手前から焼山、火打山、中央右に妙高山、右側の少し低くなった所の黒姫山と、以降の行程で登っていく山々が順々に見えています。

若干望遠してみたもの。まだ6時という早朝にも関わらず早くも雲が上がり始めている。

見える山も多くないので記載する山も最低限という感じですが、一応作ってみた山名入り写真。志賀高原方面の山々は概ね雲で見えませんが、去年登った岩菅山が唯一判別できたのは嬉しい所。

妙高山から右側、志賀高原の山々にかけての範囲を望遠してみたもの。殆どのピークが雲に埋もれていますが、右の黒姫山の右奥に見えるなだらかな山は四阿山っぽいです。

同方面を若干広い範囲から撮ってみたもの。右側すぐの所にある鬱蒼としたピークが金山から南に伸びる尾根上にある天狗原山です。金山への登山においては、そちらの方を経由してくるのが定番らしいです。

天狗原山とその左奥に見える黒姫山乙見湖天狗原山までは片道40分くらいなので余裕があれば往復してみたかったのですが、予定より大幅に遅れているので今回は見送り……次回はあるのか?

金山→富士見峠

金山から焼山方面に向けて出発して早々、山頂では茂っていて見通せなかった西側の展望が広がりました。奥に見えるのは金山に登る途中でも見えていた北アルプスの稜線です。

北アルプスの望遠。槍ヶ岳の穂先や穂高の方のロバの耳ジャンダルム等……ピークが細かく見えている。

金山から富士見峠までの稜線歩きの区間は展望も良いですが、足元に咲く花の種類も特に多かったです。なので、ここから暫く高山植物シリーズ……こちらは高山の花の代表格であるニッコウキスゲ

ニッコウキスゲを単体で。初夏の花なので見頃は終わりを迎えつつある。

シナノキンバイ。キンポウゲに似ていますが、それよりは一回り大きく色合いも若干異なる。

アカモノとイワカガミ。前日の雨飾山にもお花畑はありましたが、植生が異なるのかラインナップにだいぶ違いがある。

ユキワリソウハクサンコザクラに似ていますが、花びらの形や生えている場所が若干違う。

開きかけのハクサンフウロ。これは雨飾山の方でも頻繁に見掛けたお花。

途中の谷筋から焼山、火打山妙高山黒姫山の並び。こちら側は雲が少なく谷底まで見通せる。

次に登るピークである焼山を望む。概ね尾根上に通されている登山道が見えています。見た限りでは暫く急な上り下りは無さそうですが、その分距離を稼ぐ必要がありそう。

雪渓と焼山。纏まった量の雪が残っていますが、秋頃になると完全に溶けて無くなってしまうという。

金山から下ってきた道を振り返った所。こちら側は北斜面となるので雪渓が多い。

焼山から火打山妙高山黒姫山、そして先程登った金山。天気は暫く持ってくれそうな雰囲気ですが、谷間から何やら不穏なガスが湧き始めている。

尾根を若干トラバースするように付けられた道の様子。道幅は広く刈られており、破線コースとは思えない整備具合。トレランでもできそうな感じ。

少し先に進んだ所から金山雨飾山方面から歩いている際に見た時は頸城山塊の主峰の一つとは言え地味なピークだなと思ったものですが……こちらから見る山容は雄大で、所々で雪が残るのもいい感じ。

先に進んだ事で黒姫山より更に右の所に戸隠連峰最高峰である高妻山が山頂のみ見えました……いつの間にか雲が増えてきた。

黒姫山を単体で。翌々日、下に見えている乙見湖から登りましたが、距離も長く中々手応えのある山でした……その背後にはちょうど四阿山が見えています。

平坦で歩きやすいので早々に焼山のギザギザが近付いてきました。その右手前に見えるピークは裏金山で、登山道はその山頂を巻くように取り付けられている。

雲に覆われる黒姫山戸隠連峰飯縄山は完全に埋もれていて影も形もない。

同方面を望遠したもの。付近の雲が上がってきたのに反して、遠くの志賀高原方面の山がよく見えるようになりました。左の一際高いピークは恐らく横手山と思われます。

中央左の黒姫山は2つピークが並んでいるように見えますが、火山の外輪上にある左のピークの方が山頂という扱いでこちらの方が若干標高が上です。一方で右手前の火口丘にあたるピークもそれなりに標高があり、黒姫山御巣鷹山)の名があります。しかしこちらは山頂までの登山道は整備されておらず、積雪期に偶に登られる程度だという。

写真右側の戸隠連峰は殆どが雲に埋もれていますが、雲から抜けた所にある最も高いピークが高妻山。そのすぐ右手前の丸いピークが乙妻山という並び。この日から4日後に登る事になる山々。

北の方へ目を移してみると、荒々しい山容の阿弥陀山、烏帽子岳といったピークの奥に日本海の海岸線や糸魚川の市街地が見えました。前日も雨飾山付近からよく見えていましたが、アングルが変わった事で見え方が斜めがちに。

金山方面、歩いてきた道を振り返る。終始視界が開けている上に歩きやすい尾根道でした。

そして次第に近付いてきた焼山。どこか高原のようであった長閑な風景から一転、魔王の城のように聳える荒々しい山容が際立つ。

尾根上から360度の展望。視界を遮るものは少なく、開放感のある尾根歩きを楽しめた。

トラバースしてしまった裏金山と随分と離れてしまった金山

最鞍部から焼山に続く登り返し。次のチェックポイントである富士見峠は峠という名でありながらも鞍部にはなく、少し登った所にある。

鞍部から逆方向、歩いてきた道を振り返る。金山の山頂付近は左奥の尾根上の窪みに一応見えている。

色鮮やかなナデシコの花(ミヤマナデシコ)。

距離を詰めて次第に大きくなってきた焼山。近付いてくるというよりも迫ってくるという印象がある。正面に見えている南斜面は斜度がきつい為か、登山道はその裏側(北側)から回り込むように取り付けられています。

富士見峠の手前から焼山。これ以降は近付きすぎてしまう為、遠望という形で焼山を見られるのはこの時が最後。

富士見峠→泊岩→新潟焼山

[8:08-8:21]富士見峠

杉ノ沢橋方面へのコースとの分岐である富士見峠に到着。テント場として知られている場所で、広々とした空間が設けられている。詰めれば3張りくらいは行けそう。

富士見峠から少し北に進んだ所、地図上に水場の表記がある所に大量の残雪があります。コースを外れて下る必要がありますが、この雪の量であれば9月始めくらいまで残ってそうです。

焼山の南側から北側にかけてトラバース気味に進んでいく箇所。笹の背が少し高いですが問題なく歩ける道。

朝露が付いたサンカヨウの実。

[8:30]泊岩分岐

笹倉温泉方面のコースの分岐に到着。これから向かう泊岩焼山方面に続く道は写真の左側から伸びていますが、写真奥から手前に向かって歩いてきた形だったので、最初は分岐に気付かず通り越してしまいました。

改めて分岐へ。笹倉温泉側から登ってきた場合はまず見落とさないであろう看板とテープの多さ。

[8:35-8:41]泊岩

分岐から少し進んだ所で泊岩に到着。看板が置かれた所は広場となっており、泊岩と呼ばれる岩屋はそこから脇道を進んだ所にあります。

こちらがその泊岩。洞穴をトタンで覆っただけという自然味溢れる構造……頸城山塊においては貴重な避難小屋となっていますが、公的に管理されているものではないのか地図上には記載されていません。

泊岩とそこからの展望。テントについても、先程の広場とこの小屋前で一張りずつくらいは張れそうな感じのスペースがあります。

泊岩から焼山の山頂を目指して進む。暫くは草木の茂った中の登り坂となります。

キヌガサソウです。ツマトリソウと似てますがサイズが二回りくらい大きい。

北斜面で日が差さないのか、鬱蒼とした雰囲気の焼山への登り。少し進むと樹林帯となりますが区間は短いです。

森を抜けた所から振り返る。左に見える雲が掛かったピークが先程登った金山です……つい30分前までは文句なしの晴れだったのですが、何やら急速に雲が湧いてきました。

澄んだ青色が広がっていていた空の色は一転して白一色に。

雲が増えて徐々に失われていく中での展望。金山の肩の所に見えるのは雨飾山で、その左奥には北アルプス朝日岳の山肌が見えています。遠くの山は依然としてよく見えているので、この一帯だけガスが掛かってしまっているという事でしょう……前日の雨飾山といい間が悪い。

暫く進むと森林限界を越えて開放感のある登り坂となりますが、こうも視界不良では……ちなみにこちらのコースも道に関しては全然問題なく、破線コースとは思えない程に歩きやすかった。

たまに頭上の雲が動いて青空が覗く事もあったりなかったり。一喜一憂しながら一歩一歩を踏みしめていく。

焼山のギザギザ部分が近付いてきました。ガスは濃いものの全く見通せないという程ではないのが救い。

一時的に雲が途切れた所からの展望……南側から分厚い雲の塊が流れ込んできている。金山も頂上部分のみ残して殆どが雲に埋もれていました。

焼山方面を見上げた所。晴れてくれと念じながら進む。

ガスから抜けて一瞬だけ広がった青空。それから1分も持たずに空は鉛色の雲で埋め尽くされてしまう。

雲が流れ込んでくる前のラスト展望。最後の最後で先程歩いた金山~焼山間の尾根筋が見通せました。

焼山への急登も一段落した所。先程からずっと見えていた斜め向きの岩の所に辿り着く。

更に先に進むと開けた場所に出ました。活火山である焼山に数多くある火口の一つのようで、噴石のようなものが多く散らばる窪地となっています。

小火口の全景。登山道は火口原を直進しており、そこから奥の火口壁の一番低くなった所に乗って、更に中央右の岩峰に取り付くように伸びている。焼山の山頂はその岩峰の裏側にあります。

急登を終えたという事もあって小休止。火口原付近の踏跡は錯綜していますが、ペンキ等の目印は多く迷う事は無さそう。

先程見えていた火口壁を攀じ登った所。そこから右に曲がって岩峰を乗り越えていく。一見するとかなり急峻そうな岩場ですが……。

火口壁の向こう側には御鉢と呼ばれる一際大きな窪地が広がっており、こちらは焼山では最も大きな噴火口との事です。火山ガスが立ち込めているであろうその底部にはたっぷりと雪が残っている。

岩場の登りの様子……案外普通の道でした。一箇所だけ急峻な所がありましたが、ロープが垂らされているので安心して進める。

岩峰のロープ場の様子。傾斜そのものは急なので下りの際は少し怖いかも。

岩場を越えた後、一度下って再び登り返します。この付近が遠目から見えていたギザギザの部分なのでしょう。

登り返しの様子。若干ザレているものの普通の道。

登りきった所から振り返る。ガスが濃くて何が何やらという感じですが。

新潟焼山→胴抜ヶ切戸

[10:30-11:15]新潟焼山

新潟焼山の山頂に到着。専ら焼山と呼ばれる事が多い山ですが、同名の山が全国に大量にあるので便宜上『新潟焼山』という県名を入れた名が使用される事も少なくないようで、火山観測を行っている気象庁を始めとした公的機関ではそのように表記されているようです。

山頂看板の方では新潟の文字を含めて銘打たれてますが、焼山の文字との間にスペースが入れられている。

焼山からの展望。ガスに飲まれてしまって基本何も見えませんが、時々流れてくれて麓の方が見えたりします。左の方に見える湖は金山からも見えた乙見湖

乙見湖の望遠。左側に笹ヶ峰のキャンプ場があり、こちらは後に向かう火打山妙高山の登山基地となっている。

ここで笹倉温泉方面から登ってきた方と出会いました。人に会うのは前日、笹平からシゲクラ尾根方面に踏み込んで以来なので丸一日ぶりくらい。

ガスと僅かな青空を背景に撮って頂きました。

暫しの休憩の後、火打山方面に出発します。焼山~火打山区間はつい1ヶ月前に解禁されるまで長らく通行禁止で、故に特に道が悪いと聞いていたので戦々恐々でした。

途中、火口壁から尾根筋に向かって折れるポイントがありますが、該当箇所にはマーキングが施された石が置かれており問題なく進める。

火打山との間の最鞍部にあたる胴抜ヶ切戸まで400mの急下降。下り始めとなるこの付近は道がわかりにくいという話でしたが、こちらもマーキングが豊富なので難なく進める……とは言えザレの急斜面なので歩きにくく、足を滑らせそうになる事もしばしば。

道筋は薄くどこでも歩けそうな雰囲気ですが、尾根筋を外れると復帰が面倒なのでルートに忠実に進む。

下ってきた道を見上げた所。中央左のなだらかな起伏が焼山の山頂です。

鞍部に近付くにつれて草木の濃さが増してきますが、マーキングは依然として多い。左の岩に沿って下っていくようです。

一つ前の写真の岩の辺りの道。行く先がガスで全く見えないので今どこを歩いてるのかという感じ。

草原の中の道を進む。自然に還りかけているように見えますが、これでも通行解禁に先立って整備されたらしい。

草の切れ目のような心許ない道。野趣に富んでいるとも言える。

ガスは山頂の近くで滞留しているようで、標高が下がってくると視界が回復しました……火打山の姿が全く見えないのが残念。無念としか言いようがない。

南の谷側、乙見湖笹ヶ峰といった麓の方は見通せます。

乙見湖とその近辺の望遠。午前中は雲に覆われて見えませんでしたが、飯縄山がガスに掛かるギリギリという所に見えるように。

最終日に登る飯縄山が見えて若干テンションは回復しましたが、傾斜がきつい上に足元が見えないので非常に歩きにくい……この付近で浮石を踏んで盛大にコケてしまい、2mくらい道沿いに滑り落ちる。大事には至りませんでしたが、その際に強打した肩の違和感が2ヶ月くらい残りました。

もさもさに茂った胴抜ヶ切戸までの下り。尾根筋なので迷うような道ではないですが、やはり歩きにくい。

急坂を下りきった所から戸隠高原方面の山々。先程見えた飯縄山の他、黒姫山も山頂まで見えました……しかし周辺の山の中でも一際高い高妻山は雲に埋もれている。

傾斜が緩くなるにつれて草木も高くなり、いよいよ藪漕ぎじみてきた頃。曇っている所為か日中だというのにブヨの姿が多い。過酷な道中は続く。

この坂を下りきった所が胴抜ヶ切戸です……そこから始まるのは火打山までの400m超の登り返し。途中岩がゴツゴツしている所もあり見るからに険しそう。

この頃になるとガスも低い所まで立ち込めてしまい、展望は殆ど無くなってしまいました。

胴抜ヶ切戸→影火打→火打山

[12:28]胴抜ヶ切戸

最鞍部である胴抜ヶ切戸に到着……というものの目印になるようなものは何も存在せず、GPSで居場所を確認。そこから始まる登り返しも相変わらず藪が濃いです。

そしてこの付近で早くも水が枯渇気味に。前日7リットルくらいまで汲んだ水を丸一日で殆ど消費してしまうとは思いもよらず、酷暑の恐ろしさを改めて体感したわけでしたが……残り1リットルと少々という水の量でこの手強そうな登り返しを歩き通せるだろうか。

極力水を消費しないように、ゆっくりと登っていけばなんとかなるでしょう。

進行方向、火打山方面の雲が流れてくれましたが……手強そうな起伏が目の前に出現する。

少し登り始めた所から焼山。そして火打山に続く尾根道を見据える。

ラクダのコブのような小刻みなアップダウンが続く火打山への登り。ガスは流れてきたり流れてくれたり。

先に見える露岩付近の登りが胴抜ヶ切戸から火打山までの区間で最も険しかった。

鮮やかな黄色が美しいミヤマコウゾリナ。

なんかのキノコ。今回の登山は天気が優れない日が多く、キノコを目にする事が多かった。

再び行く先がガスに遮られてしまった所。

湿った土と露岩がミックスした急登。ロープが垂れ下がってるのですが、引っ張るとびよんびよん動くので支えにはならない。道の脇の草木の方が頼りになるので、そちらを手掛かりに登っていく。

眼下に伸びる雪渓が陽光に照らされて輝く様子が見える。麓は晴れているのでしょう。

急登の一番きつい箇所は突破しましたが、長い登り返しはもう暫く続く。

火打山の手前、影火打のピークが近付いてきたかなという頃。ガスに埋もれながらも薄く見えている。

ダイモンジソウとオヤマリンドウ。先に進むにつれて見かける花の種類も変わっていく。

振り返ると、雲を纏いながらも焼山、金山、天狗原山と続く稜線がなんとなく把握できる程度には見通せました。前日のシゲクラ尾根もそうですが、連続した山脈とは思えない程に一つ一つのピークの間の落ち込みが大きい。

長い登り返しも終盤に近付くにつれて緩やかになっていく……正面に見えるのは火打山の手前の影火打の更に手前の胴抜ヶのピーク。

葉に止まるアキアカネ。秋の風物詩として知られるトンボですが、盛夏の時期は涼しい山の上で過ごしている事は意外と知られていない。

トウヤクリンドウとアカジクヘビノボラズ。見かける高山植物のレア度が高まってきた気がする。

胴抜ヶのピークから影火打を臨む。ここまで来ると急な上り下りは無くなりますが……流石に疲れてきた。

草木茂る影火打の登り。如何にも虫に刺されそうな道ですが、トンボが舞っているお陰でブヨやアブの姿は殆ど見掛けない。

影火打の付近は二重稜線となっており、ピークは登山道と並行して伸びている尾根上にあります。写真右の起伏が恐らくそうでしょう。

[16:16-16:19]影火打

登山道から外れているのでピークを踏む事はありませんが、影火打の看板と思われるものを発見……褪せていて読めませんが。

影火打から火打山方面。上り下りを1回ずつ残すのみとなりましたが、なんと火打山のガスが取れている。急ぎ山頂を目指して歩を進めますが……。

鞍部に下った所で再び見えなくなり、以降はずっとガスの中でした。ここから20分足らずでの登頂なので、起床時点で立てた予定の通り出発が30分早ければ山頂からの展望が楽しめたという事に……。

火打山への登り返し。影火打まで足を伸ばす人が多いのか、道はそれまでと比べると歩かれている雰囲気です。

火打山→高谷池ヒュッテ

[17:09-17:28]火打山

ようやく火打山に到着。同じガスでも一つ前の焼山とは比べ物にならない、360度ものの見事にガスの中。

ガス立ち込める山頂風景。今回の登山においてのメインのピークの一つなので、普段であれば1時間くらい粘る所ですが、水温存の為に歩行ペースを落とした事が祟って時刻は既に午後5時過ぎ……小休止に留めて早々に下る事にします。

火打山以降は一般コース。ほぼ自然に還りかけていた先程までと比べ、道の雰囲気があからさまに変わる。

階段に道標と何かと至れり尽くせりな道。

[18:03-18:14]ライチョウ

ライチョウと呼ばれる広場に到着。本当にライチョウでも居そうなガスの濃さでしたが、生憎その姿はありませんでした。

標高が下がってくると再び視界が開けてくる。晴れていれば正面に見えるであろう妙高山はやはり見えません。

歩きやすい道ですが、長丁場の一日の終盤で足が疲れているので足運びは慎重に。

南側の谷間を臨んだ所。こちら側は相変わらず濃いガスが立ち込めている。

どこか遊歩道のような雰囲気の登山道。

天狗の庭の湿地帯を横目に進んでいく。風光明媚な景色が広がっていますが、日没間際となりブヨの勢いに遠慮が無くなってきた……この付近で10箇所以上刺されてしまう。

[18:43-18:50]天狗の庭

かなり薄暗くなってきた頃に天狗の庭の看板が立つ所に到着……正面のなだらかなピークは先程通過したライチョウで、火打山はその左のガスの中です。

ライチョウを過ぎた頃から雨がポツポツ降り始めましたが、徐々に雨脚が強くなってきたので雨具着用。そうこうしている間にもブヨに刺されまくる。

天狗の庭から高谷池を目指していく道中。高輝度のヘッドライトなので歩行は問題ないですが、ガスが濃くてやや視界不良気味。暫く進むと黒沢池方面に続く縦走路と笹ヶ峰方面に降りる下山道との分岐に到着しました。

地図上では小屋はこの分岐近くに記載されているのですが、ガスの濃さもあってか建物らしきものは全く見当たらない……地図をよく見てみると小屋は下山道を少し入った所にあるようなので、考えた挙句そちらの方へ進んでみる。

[19:10]高谷池ヒュッテ到着

かなり遅い時間となってしまったものの予定通り高谷池ヒュッテに到着。叱られるかなーと思ったものの、水不足故にという事情を話したらすぐに分かって頂けた。テント場もこの日はガラ空きという事でひとまず安堵。

長丁場を終えた息抜きにという事で、小屋で購入したビール。水不足で脱水症状気味だった身体には痛い程に染みる。

暗い中でのテント設営。このくらいの時間帯になると蛾は多いもののブヨやアブといった刺すタイプの虫は居ないので快適だったり。

既に寝入っているテントもあるので肉焼きパーティは自重。親子丼とわかめスープという簡素な食事のみで済ませ、早々に床に就きました。

次回記事『頸城山塊から戸隠連峰その4』に続く

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