山とか酒とか

登山やお酒を始めとした趣味全般を雑多に、また個人的に有用だと思った情報を紹介しています。

頸城山塊から戸隠連峰その2(雨飾温泉→雨飾山→笹平→大曲り→茂倉峰)

長大な頸城山塊を縦走する際においての最初のミッションは薬師尾根からの雨飾山への登頂でした。登頂後は予定では更に主稜線を先へ進み、シゲクラ尾根から金山へと登り返すつもりでしたが、酷暑の中のシゲクラ尾根の通過は中々に厳しいものがあり……。

頸城山塊から戸隠連峰その1」の続きの記事となります。

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他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。

【2022年8月】頸城山塊から戸隠連峰 - 山とか酒とか

目次

今回歩いたルートのGPSログです。

雨飾温泉→中の池

長い一日は一杯のコーヒーから始まる。

結果として言えばそこまで長い行程では無かったのですが、当初の予定では金山より更に先の富士見峠まで移動するつもりで、全行程中最長の一日でもありました。故に出発にも少し気合が必要だったので、いつもより少し濃い目に。

4時の出発に合わせて夜闇の中のテント撤収。他にテントがあるとライトが当たったりしないように気を遣うのですが、貸し切りだったので片付けは気兼ねなく行えました。

[4:07]雨飾温泉出発

あらゆる荷物をザックに収納していざ出発という所。確実な水場が翌日の高谷池まで無いと考えていた(実際は大曲りの水場で汲めましたが)ので水を約2日分、9.5リットルと激重。更に日数分の食料に前日買った酒が2本、加えてテントとその他諸々で恐らく30キロ越えている過去最高の重さ……この重量級荷物が後にバテた原因でもあるような気がする。

テント場から登山道を僅かに進んだ所にあるのが、薬師尾根の名の由来となった薬師堂(梶山薬師)。

スタートから薬師尾根に取り付くまで、初っ端から斜度のきつい急登が始まる……そして8月だから仕方ないのですが、早朝から蒸し暑いのも辛い所。

尾根に乗った頃に空が明るくなり始めました。それまでは蛾に集られていましたが、明るくなり始めると今度はブヨが湧いてくるので一向に気が休まらない。

たまに岩場とか梯子がありますが、道そのものは普通の登山道です。別段歩きにくい所は無い。

余力のあるスタートが肝心とばかりに頑張って歩いているつもりですが、未だ3/4しか進んでいないという驚愕の事実を目の当たりにしてしまう。

コース上に佇む杉の巨木。登り一辺倒の道には違いないですが、尾根に乗って暫くすると斜度が緩くなります。

ずっと鬱蒼とした森の中を行くものだと思ってましたが、突如として開けた場所に出ました。見はらし場なる看板もある。

正面に聳えている山が恐らくこれから登る雨飾山。なだらかな2つのピークの右側が山頂でしょうか……望遠すると人の姿が見えるような、そうでもないような。

見はらし場を過ぎると斜度が再び急になってきました。道も所々で草木に埋もれ気味に。

歪んだ木の幹を通された梯子場。材質はスチールではなく『アルミはしご』、そう主張するかのような看板が設けられている。

日が当たらない所は暗く、日が当たる所は明るい。右の青々と茂った葉っぱはイワカガミっぽいですね。初夏の花なので既に終わってしまっているようです。

これまで殆ど登りが続いていましたが、標高1,550m付近から東側に折れて暫くトラバース気味に進んでいく。

その途中、木々の合間からは糸魚川の市街に日本海。手前の方には前日延々と歩いた根知が見える……つまり、あの場所から殆ど自分の足でここまで歩いてきたという事でもある。

少し開けた所から同方面の展望。中央左の山頂部が尖っている山は黒姫山(後に向かう北信五岳の黒姫山とは別)というらしいです。

進行方向である雨飾山方面の展望。不安要素であった天気もこの時点では大丈夫そうですが……。

雨飾山の山頂部と思われる辺りを望遠で。まだ標高差が400mあるので見上げるような形となる。

道端のコケモモ畑。地味な山道を彩る。

トラバース路は地図上では平坦そうですが、実際は等高線には表記されないレベルの小刻みな起伏が続いている。

標高も上がり視界が開ける事も増えました。正面には前日、根知から終始よく見えた頸城駒ヶ岳と、その奥の鋭利な山容の鬼ヶ面山が並んでいる。一応縦走路もあるようですが、見るからに険しそう。

姫川の河口域、糸魚川の市街方面の望遠。街並みを貫くように通された新幹線の高架が確認できる。

中の池→薬師尾根分岐→雨飾山

[7:04-7:12]中の池

雨飾温泉を出発してから約3時間、トラバース路を終えた所にある中の池に到着しました。その名の通り、登山道に隣接するような形で池塘が存在あります。

ここから再び急登が始まりますが、山頂まで残り1/4くらいの配分なのでそこまで長い登りではない。景色を楽しみつつ余裕を持って進みます。

糸魚川市方面の展望。標高が上がるにつれて見え方が少しずつ変わってきた気がする。

険しい登り坂が続く。植生も変わり笹薮が多く目に付くようになってきた。

高山ではよく見かけるゴゼンタチバナの花。既に赤い実を付けている株もありました。

こちらはブルーベリーのようなサンカヨウの実。一応食べられますが、薄甘くてそのまま食べるのはいまいち。いつかジャムにしてみたいと思いつつも未だ実践できておらず。

ちょっとしたロープ場。そこまで人が通らない道と聞いていたのでもっと歩きにくい道を想像していたのですが、至って普通の道でした。道も概ね広く刈り払われている。

振り返り頸城駒ヶ岳、鬼ヶ面山方目。その更に右側に鋸岳と続き、雨飾山に登頂した後に水汲みに水汲みをした大曲りにて頸城山塊の主稜と合流するという形。奥に見えるものも含めて険しい山容の山が多い。

鬱蒼とした森の中の登り返し。主稜線が近付いてくると傾斜も緩やかになってきました。

振り返り先程と同様に鬼ヶ面山方面の展望。糸魚川市根知谷、黒姫山、その奥の日本海と視界は広がりますが、東側から何やら不穏なガスが湧き始めてきた。

頸城山塊の主稜線に合流する直前の様子。いつの間にか空は雲に覆われて白くなっていました。

[8:18-8:24]薬師尾根分岐

主稜線上の分岐に到着。ここでメインルートである雨飾高原側からのコースと合流するので、以降暫くは人通りの多い賑やかな道中となります。

行程としてはここから雨飾山を往復して戻ってくる形となるので、一旦荷物を置いて身軽に。重い荷物を背負っての長い登りの後なので身体が羽のように軽く感じる。

身軽になって意気揚々と山頂を目指すのですが、すぐにガスが流れ込んできて景色はこの有様でした。すぐ正面に聳えているはずの雨飾山の山頂すら見えず消沈。

道の脇に咲くヤマハハコの花。先程の分岐から雨飾山の山頂まではお花畑のように花が多い区間

一時は濃いガスに包まれていたので展望に関しては諦めかけていたのですが、山頂手前からガスが流れて視界が回復しました。糸魚川の市街や日本海を始め遠くまで見通せるので、この山頂一帯のみ笠を被ったかのように雲に覆われていたのでしょう。

ガスの中歩いてきた尾根を振り返る。山頂から北東方面に笹の広尾根が伸びているのが雨飾山の特徴の一つ。

笹尾根と鬼ヶ面山日本海。山深い所にありながらも海が近くに見えるというのも特徴。

山頂への最後の登り。思わぬ天気の好転に、他の登山者の方も皆一様に安堵している様子でした。

山頂手前から振り返る笹尾根。南斜面に滞留しているガスが不穏ですが、まだ暫く持ちそうな感じ。

雨飾山からの展望

[8:34-9:39]雨飾山

今回の登山における最初のピーク、雨飾山に到着。山頂看板の近くでぼーっと突っ立っていると頻繁に写真撮影を頼まれる程度には賑わっています……流石は百名山

雨飾山と言えば猫の耳と呼ばれる双耳峰である事で有名。正面右に見えるのが山頂看板の立っている南峰と対をなす北峰です……その左奥には北アルプスがあるのですが、雲が多くてピークを判別できる程には見えていないのが残念。

山頂の石碑と北峰をそれぞれ一枚ずつ。

山頂の雰囲気。そこまで広さはないですが、その分開放感があり360度の展望が楽しめる……もう少し晴れていれば。

青空と周辺の山の様子が最低限見えているだけでも満足なんですが、もう少し雲が流れてくれないかなと粘っていると雲が動いてくれて、ほんの少しだけですが金山天狗原山の山頂部が見えました。

このチャンスを逃すまいと一心不乱に写真を撮っていると、近くで山座同定を楽しんでいるお爺さんが話しかけてきました。以下その時のやり取り。

お爺さん「今見えるようになったあれは火打山ですか」

「あれは金山ですね。火打と焼山はその左の雲の中で、妙高はたぶん金山の後ろ辺りでしょうか」

お爺さん「そうなんですか……にしても、随分と高く見えますね。その金山というのは」

「2200ちょっとですから雨飾よりずっと高いです。自分は次にそっちの方に行くつもりなんですよ」

お爺さん「それは明日に?」

「行ければ今日中に行きたいですが」

お爺さん「一旦降りてって下(麓)からって事ですよね?」

「いえ、ここから縦走路で繋がってるんですよ。シゲクラ尾根というんですが」

お爺さんは手にしていた地図に目を落とした。

お爺さん「私は先週火打に登ってね。雨飾はすぐ隣の山だと思ってたから、ここから火打が見えるかなと思ってたんですけど、なんだか間に沢山ありますね……ああ金山というのはこれですか。そしてここが雨飾と」

「そうです、金山から火打にも道が繋がってるんですよ。その間に焼山ってありまして、こっちも2400で火打と同じくらい高いです。火打に登られたなら多分見えていたんじゃないかな。目立つ山なので」

お爺さんは首を捻っていた。百名山を中心に登っている為か、そうでない山の名前をあまり知らない様子でもあった。

しかし自分の話を聞いた事で少しでも興味が湧いたのか、頻りに地図を指でなぞって「ここが焼山」と呟いたりしてる……その指先を金山の所で止めてお爺さんは再び尋ねてきた。

お爺さん「しかし、あんなに遠くの山に一日で行けるんですか?」

「笹平の分岐からコースタイムで6時間なので日没には十分間に合うとは思いますよ……たぶん」

逆光でシルエットとなった金山は実際の距離よりも遠くに見え、思わず言葉を濁してしまった。ここで一瞬でも「本当に行けるのか?」って思ってしまったのが、今回辿り着けなかった結果に繋がるような気がする。

やや広い範囲の雨飾山からの展望。金山は再び雲に埋もれてしまったものの、糸魚川の市街や日本海といった方面はよく見通せる。

猫の耳のもう一方、北峰にも立ち寄りました。こちらは西側に突き出ているので北アルプスを眺める際には絶好の展望台……もう少し晴れていれば。

北峰にも幾つか石碑や地蔵が並んでいます。雨飾山も古くから信仰深い山で、その山名も雨乞い祈願の為に祭壇を作り飾り付けた事が由来とされている……らしいのですが、であれば雨乞山等と名付けるでしょうし、敢えて雨飾という他には例のない言葉を山名とするのは少し不自然な気がします。

それとは別に、山頂付近がいつも雲に覆われているので雨(天)に飾られた山という由来もあり、個人的にはそちらの方がしっくりくるような……他にも双耳峰だから雨ではなく両の文字が使われていて後に置き換わったとか、完全に音からの当て字だったりとか、色々と説があるようです。

北峰からの展望です。左の方に見える尾根は雨飾山から西に伸びる西尾根で、その尾根を辿っていく大網コースという登山道もあるらしいです。

根知糸魚川市街の望遠です。根知は前日延々歩いた舗装路の他、奥の方にはフォッサマグナパークの露頭も小さいながらも見えていたりします。

大網コースに続く西尾根をよく見ていると大きく動く存在が……熊だろうかと思ってカメラのズームを使って覗いてみるとカモシカでした。険しい岩場を四本脚で器用に下っていく様子が見えた。

雨飾山、先程とは逆に北峰から臨む南峰。祠の根本となる所にヤマハハコが咲いていた。

南峰に戻り、下り始める前に一枚撮って頂きました。実質的には初日ですが、ぼかしている表情には既に疲れが見えている。

雨飾山→薬師尾根分岐→笹平

荷物が置いてある分岐に向けて下り始めます。なんだか雲が増えてきて薄暗くなってきましたが、笹平方面に続く笹尾根が見通せる程度には視界良好。

平坦な笹尾根を見下ろした所。笹の中に続く登山道が女性の顔に見えるという話……言われてみれば確かに。

往路では真っ白で何が何だかという感じでしたが、帰り道ではそれなりに見通せたので満足です。更に遠くの山が見えてくれたら最高だったのですが。

山頂直下のちょっとした下り坂。先の方には荒菅沢の谷底が見える。

往路でも通ったお花畑の中の進んでいきます。

雨飾山の山頂を見上げた所。こちら側の斜面は特に高山植物が豊富。

荒菅沢の源頭となるV字状に切れ込んだ渓谷を見下ろす。渓谷はそのまま途中から沢となり、途中で雨飾高原方面のコースを横切っています。この山域においては特に遅くまで雪が残る所らしく、実際に雪渓も確認できる。

坂を下りきって平坦な笹尾根となった所。すぐ左奥には笹藪越しに日本海の海岸線が見える。

以降暫く、この付近で見掛けた高山植物シリーズ。こちらは毒草で有名なトリカブト。高山から低山まで色々な所で見られる有り触れた花ですが、この花畑ではごく少数派。

ピンク色のほわほわが特徴的なシモツケソウ。

ヤマハハコとウツボグサ。ヤマハハコは1ヶ月後に登った東北の山々でも沢山見られた。

オニアザミハクサンフウロ。こちらも見かける機会は多い花々。

アキノキリンソウオオバギボウシ

ツリガネニンジンとミヤマコゴメグサ。

ツリガネニンジンハクサンフウロウツボグサと幾つかが混生した花畑。

ピンク色のハクサンフウロは満遍なく咲いていました。

高山植物の観察を終えて先へ進み、その途中で雨飾山を振り返る……こちらからでは猫の耳には見えないですね。

途中の展望。右側奥に見えるピークが笹平の分岐点で、その手前に荷物を置いた薬師尾根との分岐があります。南側は相変わらず雲の中ですが、鬼ヶ面山頸城駒ヶ岳といった北側の山は依然としてよく見える。

[9:53-10:10]薬師尾根分岐

薬師尾根コースとの分岐に到着し荷物を回収。身軽で足取りも軽快だったこれまでとは一転、1時間半ぶりに背負う大荷物の重量は堪えるものが……。

薬師尾根の分岐から僅かに進んだ所、緩やかなピークを一つ登り返した所に笹平の分岐があります。

笹平→大曲り→茂倉峰

[10:16]笹平

金山方面に向かう縦走路(シゲクラ尾根)と雨飾高原方面が分かれる笹平の分岐に到着しました。大半の人が雨飾高原からの往復という行程なので、人の姿の絶えない賑やかな道中もここまで……実際、この分岐以降は翌日登頂した新潟焼山まで誰一人と会う事はありませんでした。

笹平の分岐近くから雨飾山を振り返る。俄然雲の量が増えてきて半分くらい隠れてしまっている。

笹平から北側に見える頸城駒ヶ岳、鬼ヶ面山、鋸岳方面に続く稜線。向かうべき金山新潟焼山といったピークは右の雲の中に埋もれている。

この分岐から先は金山、新潟焼山火打山まで延々と難路扱いの破線コースが続く……とは言え、もっと藪の中に身を埋めていくような道だと考えていたので、予想よりは整備されている印象を受けます。

下り始めた頃の展望。次のチェックポイントである大曲りは手前の小ピークの更に右手前辺りにあります。

笹平から大曲りまで僅か距離700mの間に標高300mを下るという急坂……道は藪を刈った程度なので、傾斜が急な所は面白いくらいに滑ります。刈られた草の下に小石や木の根に崖とトラップも盛り沢山で侮れない。

金山方面に続くシゲクラ尾根の全容が見えてきました。正面に見えている尾根を延々と進んでいきます。雲の中にある金山の標高は2,245mと先程の雨飾山よりも300m近く高く、正面の見えている最も低いシゲクラ尾根の標高1,500mの最鞍部から700mもの登り返しとなる……数字だけなら越後三山オカメノゾキから中ノ岳までの登り返しに近い。

大曲りまでの急降下は続く。傾斜が急峻だからでしょうか、この付近が雨飾山~金山区間において特に歩きづらく感じました。

[11:11-11:45]大曲り

鬼ヶ面山方面の分岐である大曲りに到着。水場、というか小さな沢が道を横切るようにして流れています。暑さで水の消費が存外激しかったので、この場所の水場が枯れていたら水不足を理由に金山から天狗原山経由で帰ろうと思ってました。しかし、十二分に水が汲めてしまったので言い訳の余地は無くなり予定通り続行という事に。

結果的に言えば、ここで汲んだ十二分の水も翌日の午後頃にはギリギリまで枯渇したので危うかったです……真夏は暑さで水の消費が読めないのが怖い所。

水を大量に汲み、再び過積載気味になった所でシゲクラ尾根の続きに挑む。

最鞍部に向けてまだまだ下っていきます。先が雲で覆われているので距離感は掴めないのですが、距離だけで言えば1/5も進んでいないという……標高差もその都度計算していると憂鬱になるので、なるべく考えないように無心になって歩いてました。

最鞍部付近は標高1,500mくらいしかないので結構な酷暑です。木々が茂っているので風が通らないのも辛い所。トンボが湧いてくれているので刺すタイプの虫が少ないのが救い。

尾根筋を延々と進んでいく。右に回り込んで左に入った所が最鞍部ですが、その後も暫くは纏まった登りにはならず、小刻みに上り下りを繰り返しながら進んでいくようです。

振り返り先程登った雨飾山、というか笹平の辺りを見上げる。山頂部は雲が湧いてしまっていて見えない。

何者かに齧られたキノコ。基本的に鬱蒼とした道なので、足元の花やキノコを楽しみながら歩く。

もさもさに藪が高く茂った道。こんな景色が何時間と続く。

雨飾山の北の方に見えた山。中央右のピークが雨飾山の山頂からも見えた鋸岳です。その更に右奥の鋭利なピークは阿弥陀山、烏帽子岳。右手前の緩やかな山は鉢山。どれも登山道は整備されていないらしい。

無限にも感じられる上り下りの繰り返し。一つ一つの傾斜もそれなりに急なので、距離以上や標高差といった数字以上に疲れる道。

時々視界は開けてくれるのですが、雲が多いので何がなんだかという感じでした。正面の尾根の左側の肩みたいな所がシゲクラ尾根と同名の茂倉峰というピーク。この日の宿でもあります。

荷物を置いて暫しの小休止。金山はまだまだ先だし、今日はこの辺で早めに終わっておくのもいいんじゃないか? そうした考えが一瞬でも頭を擡げてしまうと命取りですね。足が鉛のように重くなってしまう。

見事にハート型のきのこ。暫し癒やされる。

[14:28]茂倉峰到着

途中からテント張れそうな平地を探し求めながら進んでいましたが、開けているような所はヌタ場のように泥濘んでいる事が多く、適地と言えそうな場所は中々見当たりません。結局、先程見えた茂倉峰付近の登山道の上に張りました。

通行の際には盛大に邪魔になりそうですけど、この区間を日が傾きかけた時間帯に通過したりナイトハイクする変態はまず居ないでしょうとの判断。それでも万が一という事もあるので前室はすぐに畳めるように準備していたのですが、結局翌朝の出発時まで誰一人と通りませんでした。

幕営地から臨む雨飾山。日が傾いてくるにつれて覆っていた雲も流れてくれました……しかし、距離としては大して進んでいない気がする。

早くの行動終了となった分、翌朝は早めの行動開始とする為にも早めの夕食となりました……藪の中みたいな所ですが、風通しがあるおかげか意外に虫が居ないのが幸い。

夕日と雨飾山。エモい。

雲の中にぽっかり開いた青空。全体的に雲は少なく、翌日も好天が期待できそうですが……あまり暑くならないで欲しいなとも願ったのでした。

次回記事『頸城山塊から戸隠連峰その3』に続く

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