
2024年も残り僅か……というかもたもた作成している内にオーバーして年を跨いでしまいましたが、恒例の『一年の中で印象深かった日本酒を紹介する記事』を作りました。
2024年は微妙に忙しい年でブログ作りに関しては昨年(2023年)の春頃のもの以降停滞中ではあるのですが、登山等の遠出自体は昨年ほどではないにせよこなせたので、並行してそれなりに色々なお酒を楽しむ事ができました。※実際にどこに行けたのかはヤマレコやYAMAPの記録をご覧下さい
例によって個人の備忘録とか思い出語りみたいな内容に終始しています。日本酒選びの参考にはならないと思いますので、お読み頂く前にその辺のご理解をして頂けますと有り難いです。
目次
- まえがき
- 11位 栄光冨士 純米無濾過生原酒 新 㐂粋
- 10位 本金 すっぴん太一 本醸造無濾過生原酒
- 9位 上善如水 花見酒 純米吟醸
- 8位 福小町 特別純米生原酒 号外編
- 7位 伝心 本醸造生酒 しぼりたて 冬
- 6位 寒菊 ocean99 空海 -Inflight- 一度火入無濾過原酒
- 5位 高綱 -TAKATSUNA-
- 4位 森民 純米吟醸にごり酒
- 3位 佐藤商店 55周年 感謝酒
- 2位 悠 (un)useal strong 普通無濾過生原酒
- 1位 ZAO 蔵の華 Inspiration 特別純米酒
- あとがき
まえがき
冒頭にも書きましたが、登山を始めとした遠出は昨年程には行えませんでした。特に西日本方面は今回ゼロで、故にその辺りのお酒はあまり飲めていません。近畿も山陽山陰も四国も九州も、気になる山や気になるお酒が多い地方なので来年以降は是非足を運んでみたい所です。
一方で東北地方には春の船形山と秋の蔵王連峰と2回遠征していて、その最中に何箇所かは蔵元訪問もできているので今回ランキングに選んだ……つまりは印象に残ったお酒もそちらにだいぶ偏重しているような気がします。これまで東北のお酒も既に色々と飲んだ気がしていて何だか知ったふうな感じでしたが、実際に目を向けてみるとまだまだ面白いお酒が。飲んだ事のある銘柄でもスペックによっては新たな感動があったりして、新鮮味はなお依然として褪せてはおらずといった所でした。
今回はその中から10銘柄……のつもりがカウントミスで11銘柄となってしまいましたが、その銘柄1本1本を紹介していきたいと思います。但し今回に関してもお酒そのもののレビューや評価というよりは回顧録や酒蔵探訪記的なものであり、『おすすめの日本酒10選』みたいな有用な内容ではなく、あくまで『個人的に心に残ったお酒10選』という子供の感想文的な記事である事をご理解下さい。
項目毎に掲載しているレーダーチャートは味覚や印象の強弱です。全てマックスの酒が優れているという訳ではありません。グラフの内容そのものに関しても個人の私見偏見丸出しなので参考程度にどうぞ。
こちらは昨年、2023年版の記事となります。旅行というよりは登山メインの遠征が多い年でしたが、色々な銘柄に出会えた一年でもありました。
11位 栄光冨士 純米無濾過生原酒 新 㐂粋

10銘柄を選ぶ過程で誤って1つ多くカウントしてしまった11位は、山形県鶴岡市の酒どころ羽前大山にある冨士酒造の『栄光冨士 純米無濾過生原酒 新 㐂粋』です。栄光冨士と言えば界隈ではよく知られた……というよりは最早、今や東北を代表する吟醸系銘柄の一つとも言えますね。
自身もこれまでスペック違いのものを何種も飲んだ事がありましたが、酒米につや姫を使用したこのお酒は甘味辛味のバランスが良く、飯米使用のものとは思えないくらいにノビとキレの抑揚がしっかりしていて気に入りました。価格も比較的手頃なのも好ポイントです。

背面ラベル。つや姫を70%まで磨いた純米生原酒となります。

秋頃にサンマと合わせてみた所。栄光冨士といえば際立った甘口傾向の物が多いので、食中酒というよりは単体で飲むような形になる事が多かったのですが、こちらのスペックのものは甘味はそこまでではなくキレ感もそこそこ。食中酒としても良い感じでした。

銘柄:栄光冨士 純米無濾過生原酒 新 㐂粋
製造元:冨士酒造(山形県鶴岡市 大山)→公式サイト
使用米:つや姫
精米歩合:70%
日本酒度:±0
アルコール度数:16~17度
購入価格(税込):2,750円/1,800ml
10位 本金 すっぴん太一 本醸造無濾過生原酒

第10位は長野県諏訪市、諏訪五蔵の一つである酒ぬのや本金酒造の『本金 すっぴん太一 本醸造無濾過生原酒』です。今回、このお酒は12月に伊豆半島の天城山から達磨山まで縦走登山をした際に燗酒用として担いでいきました。
お酒の味わいの傾向としては濃醇辛口……と言っても極端な辛口ではなく、甘味の方も十分に感じられて全体的なバランスが良く、様々なタイプの料理に合わせられます。温度帯も冷酒でも燗酒でもどちらでもといった感じ。カジュアルに飲める食中酒といった風で、個人的にお気に入りのお酒の一つです。
このすっぴん太一自体は同一スペックのものを過去2回くらい飲んでいるのですが、今回山で燗酒にしてみたら予想以上に美味しかった(冬山で燗酒を飲めば何でも美味しいだろうという事はさておき)ので今回改めてランクイン。

本金を醸す酒ぬのや本金酒造は諏訪の市街地、諏訪五蔵とも言われるエリアに立地しています。その名の通り酒蔵が5軒あるのですが、こちらの酒蔵はその中でも格段に規模は小さく生産量も少ない。ですが、銘柄そのものは界隈では人気な為か首都圏の地酒専門店や銘酒居酒屋で割とよく見かけます……という自分も諏訪の酒では最も多く選んでいるかも。
酒蔵には以前、霧ヶ峰から美ヶ原までの縦走をした際に登山酒の調達という名目で立ち寄った事があります。諏訪五蔵の中では最初の訪問で、その後は麗人→舞姫(信州舞姫)と立ち寄っています。残る2つ、真澄と横笛の方も未訪問のままなのでそのうち行ってみたいですね。
写真は本金を担いでいった天城山の万二郎岳。天城山(最高峰の万三郎岳)自体は以前天城高原から登った事があったので、今回はルートを変えて伊豆急行の伊豆大川駅から箒木山を経由して登るコースでアクセスしました。バリエーションルートの割には目印も多く歩きやすい道でしたが、海抜ゼロメートルから登り始める形となったので体力的に結構しんどかったです。

その縦走途中、魂の山付近では雪景色に。終始好天が続くと思われていましたが、途中で吹雪で1時間ほど停滞する事もあったりと冬山気分も余儀なくされたり。
最終日のメインである達磨山付近からの駿河湾、富士山。南アルプスや八ヶ岳もくっきりと。景色的にはこの辺りが今回の登山におけるハイライトと言えました。

日中は陽気もあってそこまで寒くは無かったのですが、温暖な伊豆と言えど12月後半という事で朝晩は-4℃の冷え込み。この室温でも冷酒を飲めない事は無いですが、季節柄やはり燗酒だろうと、持参した本金は燗付けしやすいように幾つかの2合瓶に詰め替えていきました。
画像は初日の食事風景。寒さの中、燗酒とおでんの組み合わせは至福そのものでした。

こちらは2泊目、鯖の味噌煮と合わせた際のもの。お酒は合計で4合、他に焼酎ウイスキーと色々と担いできたのですが、寒い時期はやはり消費が進むのか3泊で全て空になりました。

銘柄:本金 すっぴん太一 本醸造無濾過生原酒
製造元:酒ぬのや本金酒造(長野県諏訪市 諏訪)→公式サイト
使用米:ゆめしなの
精米歩合:60%
日本酒度:+5
アルコール度数:18度
購入価格(税込):2,800円/1,800ml
9位 上善如水 花見酒 純米吟醸

第9位は新潟県の湯沢町、越後湯沢駅の駅近にある白瀧酒造の『上善如水 花見酒 純米吟醸』です。上善如水と言えばスーパーやコンビニ等でも見かけるくらいには生産量が多いブランドで、新潟でよく見られる淡麗辛口酒の一つとして挙げられる(挙げられた)事も多いお酒です。
ただ、近年の上善如水は他の新潟の淡麗辛口酒とは一線を画しているというか、むしろそれに反した味わい深いお酒を作っているので、好んで飲んでみる事もあったり……こちらのお酒は純米吟醸。一見するとピンク色のお酒に見えますが、色付いているのは瓶で中身は無色透明に近いものです。
味わいは華やか、と言っても流行りのカプとかの派手なタイプでは無く、穏やかで透明感のあるものです。日本酒度は+4なので数値的にはやや辛口といった所ですが、甘味の方も主張していてバランス感は中々のもの。2合瓶なので一瞬にして消費してしまったのが残念ですが、次回はもう少し大容量で少しずつ楽しみたい……そんなお酒でした。

上善如水を買った日は同じ湯沢町内の湯沢中里スキー場にてスキーを楽しんでいました。雲の厚い日が多い冬の上越にしては珍しい好天で、その割には気温もそこまで上がらず雪も締まっていて滑り応えも中々でした。
湯沢中里スキー場のゲレンデの様子。上越線の越後中里駅に直結しているので在来線利用だと特に便利。上越エリアのスキー場では最も山寄りにあるので雪質も比較的良いです。

越後中里駅のスキーセンター側にある臨時改札口にて。上越エリアでスキーをした帰りには越後湯沢駅のぽんしゅ館に寄るのが定番ですが、越後中里からだと帰りの方向とは逆なので今回は立ち寄れずでした。
ただ、旧来の駅舎がある方の駅前に酒屋さんがあったのでそちらでお酒を調達。髙千代等の流行りの銘柄も置いてありましたが、越後中里だと距離的には上善如水の方が近いかな……と思い、今回はこちらを選択。

帰りの上越線の列車。本数が少ない事で知られる上越国境清水トンネル越えの区間ですが、冬期間は増便されるのでそこそこ使い勝手は良いです。

車内は思いの外空いていたので、ボックス座席にてお酒を少し味見……と言いつつ量が300mlしか無いので、帰宅する頃には半分も残っていませんでした。

銘柄:上善如水 花見酒 純米吟醸
製造元:白瀧酒造(新潟県南魚沼郡湯沢町 湯沢)→公式サイト
使用米:不明
精米歩合:55%
日本酒度:+4
アルコール度数:15~16度
購入価格(税込):1,595円/720ml
8位 福小町 特別純米生原酒 号外編

第8位は秋田県湯沢市にある木村酒造の『福小町 特別純米生原酒 号外編』です。9位の上善如水とは湯沢違いですね。
木村酒造は同じ湯沢市内にある両関酒造や秋田銘醸に比べると規模的にはかなり小さい酒造ですが、最近では大都市圏の一部の大手スーパー等でも取り扱いを増やしているようで、メインの福小町は割と見かける機会が増えている銘柄でもあったりします。
ただ、地酒界隈だと特約店向け銘柄である角右衛門の方が有名な気がします。自分も角右衛門はこれまで数回飲んだ事はありますが、福小町は今回が初めてでした。
さて、今回のお酒は号外編という事で瓶の外側に紙が巻かれた特徴的なラベル。スペックとしては吟の精を55%まで磨いた特別純米生原酒となります。
味わいはまずインパクトある甘味。濃醇旨口系ですがそこまで派手さは無いです。やや独特な風味なのは酒米の特徴でしょうか。飲みごたえ抜群の美味しいお酒でした。

巻紙のスペック表示部分。写真では撮っていませんでしたが、巻紙を剥がした下にも通常のラベルが貼られていました。

福小町を購入したのは秋の東北方面登山の終盤、栗駒山を登った後の事でした。栗駒山そのものは日帰りで登れてしまうような手軽な山ですが、登山口まで公共交通が通じていないという事もあり、初っ端から丸一日掛かりの舗装路歩き……6日間を要した蔵王連峰の縦走から続けて登ったという事もありますが、中々に応えました。
栗駒山では残念ながら雲が多くて展望に恵まれなかったのですが、粘りに粘って日没頃にようやく雲が抜けてくれました。
翌日は再びガスの中となった栗駒山。丸1日掛かりの舗装路歩きに加え、丸1日掛かりの好天待ち。色々と思い出深い登山となりました。

栗駒山からこれまた長い舗装路歩きを経て小安峡温泉に下山し、そこからバスで湯沢の市街地へ。そこからは2日くらい掛けてのんびり帰るつもりだったので、今回はこちらで一旦お酒調達。
酒蔵は市内には幾つかあるので悩みましたが、今回は福小町の銘柄を醸す木村酒造に立ち寄りました。

売店内の様子。残念ながら試飲対応はされていませんでした。
商品棚に目を向けると、先ずは雄町や亀の尾、美郷錦等の酒米違いの純米吟醸シリーズに唆られ、一旦は美郷錦の55%磨きのものを手に取る……のですが、その後一番左のお酒の存在に気付き、そして引き寄せられる。

こちらが今回購入した号外編のお酒です。東北遠征では蔵王、黄金澤と色々な銘柄を楽しみましたが、どれも火入れで生酒は飲めていなかったので、売店の方と色々と話した結果こちらを選ぶ事になりました。

木村酒造での酒調達後、湯沢駅から奥羽本線を利用して横手駅まで移動し、そこから北上線で岩手県内に入るルートを取りました。
北上線の本数は1日6本。1両のみのローカル列車ですが、18きっぷのシーズンを外している割にはそこそこの乗車率でした。

座席は無事に確保できたので、車内で早速先程買った福小町を楽しむ。食料は湯沢駅前のスーパーで調達した地鶏弁当。春以来の列車酒を堪能しました。

その翌日、仙台近くの農産物・海産物直売所で購入したミニ海鮮丼と合わせてみる。甘辛のどちらとも取れるお酒という事もあり、肉類や魚介どちらとも相性の良いお酒でした。

銘柄:福小町 特別純米生原酒 号外編
製造元:木村酒造(秋田県湯沢市 田町)→公式サイト
使用米:吟の精/ぎんさん
精米歩合:55%
日本酒度:-0.5
アルコール度数:17.5度
購入価格(税込):1,705円/720ml
7位 伝心 本醸造生酒 しぼりたて 冬

第7位は福井県勝山市にある一本義久保本店の『伝心 本醸造生酒 しぼりたて 冬』です……こちらも一風変わったラベルで、銘柄である『伝心』を象った紙が貼り付けられています。
スペックとしては五百万石を65%まで磨いた本醸造生酒となりますが、特筆すべきは添加する醸造アルコールとなる米焼酎を蔵元で製造している、柱焼酎という名のプロセスを採用している点が挙げられます。
本醸造酒や普通酒等に添加される醸造アルコールは一般的には廃糖蜜を使用して作られますが、こちらは地場産米から製造した米焼酎です。(そうなると原材料は100%米となるので純米酒とも言えなくない気もしますが)
実際飲んでみた感想ですが、最初は結構な甘味が広がります。その後、焼酎由来のものか余韻もそこそこにシャープに切れます。ただ、一般的な醸造アルコールとはやはり風味そのものが異なるのか、一般的なアル添酒と比べるとその切れ方が若干ゆったりしていて、その間に味覚のノビも感じられます。
甘さとキレ、そのメリハリをバランス良く調和させた面白いお酒でした。

背面のスペック表示です。昨今では醸造アルコールを添加したお酒はアル添酒等と言われ風当たりがやや強めですが、バリエーションとしてこういうお酒もあっても良いのではと思います。

お酒の味そのものは結構濃い目ですが、切れ方も中々なので食中酒としては良い感じでした。

銘柄:伝心 本醸造生酒 しぼりたて 冬
製造元:一本義久保本店(福井県勝山市 沢町)→公式サイト
使用米:五百万石
精米歩合:65%
日本酒度:+7
アルコール度数:18度
購入価格(税込):2,915円/1,800ml
6位 寒菊 ocean99 空海 -Inflight- 一度火入無濾過原酒

第6位は九十九里浜に近い千葉県山武市の寒菊銘醸、『寒菊 ocean99 空海 -Inflight- 一度火入無濾過原酒』です。寒菊のocean99シリーズと言えば華やかなタイプ、いわゆるフルーティ系の銘柄として近年になって特に人気が出ていて、自身もこれまで何度か飲んでいたりします。
スペックは一回火入れの無濾過原酒となります。火入れですが開栓時に栓が飛ぶくらいにはガス感があり、味わいも殆ど生酒に近い印象。味覚の傾向としては、甘味はそこまででも無いですが吟醸香は豊かで鼻に抜ける感じ。とは言え初夏をイメージしたお酒との事でくどさは無く、爽やかな印象を覚えるお酒でした。

背面ラベルです。

寒菊は今回、花見用として用意したお酒でした。場所は地元の花見の名所である小金井公園。週3回走っているジョギングコースでもあり個人的に見知った場所ですが、桜の時期は遠方から人も来るので普段より活気付いていてまるで別の場所のように感じます。


シートを広げての花見風景。メインは寒菊で、それ以外も多少持参してきての飲み比べとなりました。


日没頃には桜の花がライトアップされて色鮮やかに。夜桜を楽しみながらのお酒は格別でした。

銘柄:寒菊 ocean99 空海 -Inflight- 一度火入無濾過原酒
製造元:寒菊銘醸(千葉県山武市松尾町 武蔵里)→公式サイト
使用米:不明
精米歩合:55%
日本酒度:-1
アルコール度数:15度
購入価格(税込):2,750円/1,800ml
5位 高綱 -TAKATSUNA-

第5位は長野県松本市にある亀田屋酒造店の『高綱 -TAKATSUNA-』です。高綱を醸造する亀田屋酒造店のメインの銘柄としてはアルプス正宗があり、そちらの方は割と知られていますが、こちらのお酒は全くの未知でした。蔵元の方のお話によると今シーズン立ち上げられたばかりの蔵元限定販売酒のようで、ごくごく少量のみ醸造されているとの事。故にネットで調べても殆ど情報は出てきません。
スペック的には長野県産米100%使用の本醸造酒となりますが、アルコール度数は19度と結構なもの。実際飲んでみると、商品棚で"飲みごたえのあるどっしり濃厚な辛口"と標榜されている通りの味わい……ですが、ただ辛いだけではなく甘味もそこそこあって広がり方も良いです。
このお酒は蔵元で色々なお酒を試飲した上で選んだのですが、同じく居合わせた人も同様に挙って四合瓶を買い求める等、自分以外からの評価も中々のものでした。ただ、四合瓶のみというのは少し手を出しにくいので、一升瓶でも発売して欲しい所です。(試験的な製造だからという理由もあるかもしれませんが)

背面ラベルの表示です。70%精米の本醸造酒というスペックらしからぬ重厚さとバランス、洗練さを兼ね備えたお酒でした。

ちなみに亀田屋酒造店のメインの銘柄であるアルプス正宗は何度か飲んだ事があり、こちらの純米吟醸酒は槍ヶ岳山頂直下にある槍ヶ岳山荘で頂いた時のもの。高綱とは違い旨口酒といったタイプのお酒で、こちらはこちらで美味しかった記憶があります。


高綱は今回、8月の北アルプス(常念山脈)の縦走登山の登山酒として調達したお酒でした。製造元となる亀田屋酒造店はそのアクセスに用いられるアルピコ交通上高地線の途中駅である下新駅から徒歩圏内と、公共交通利用でも至極訪問しやすい所にあります。

酒造の販売施設となる酒遊館では試飲も可能。有料とはなるものの、お土産に陶製のお猪口が一つ貰えます。このタイプの有料試飲は割と色々な所で増えてますね。コイン入れて……みたいな所よりこちらの方が好きです。(個人的には割引券付けてくれる所の方が有り難いですが)
今回は5種類の様々なタイプの日本酒を飲み比べ。辛口から甘口、淡麗から濃口まで幅広いお酒を楽しめました。

こちらは購入した高綱。ちなみに敷地内では仕込み水の水汲みが行えるので、登山用の飲料水として有り難く汲ませて頂きました。
ちなみにこの後、近隣の大信州酒造にも立ち寄りました。大信州と言えば銘酒界隈では人気の銘柄ですが、残念ながらそちらの酒造では試飲の対応はありませんでした。お酒自体も際立った吟醸酒といった方向性で完成度は高いものでしたが、独自路線的な高綱の味わいの方が印象強く残ったのでランキングにはこちらを。

高綱を購入した後はいよいよ北アルプスへ入ります。今回は島々谷コースという古くからの上高地のアクセスに用いられた沢沿いの道を経由。
島々谷コースは何年か前の豪雨によりコースが崩れ公式では通行止めとなっていますが、年々復旧が進み現在では辛うじて通行できる程度まで整備されています……とは言え写真のような怖いトラバースも結構あったり。(この翌月の9月、通行止めは解除されました)
多くの箇所では応急的に鎖が設けられている上、足場も見た目よりはフラットなので問題なく歩けますが。

その中でもかなり怖かったトラバース箇所。一枚前の写真のトラバースと似ていますが、鎖等の手がかりが乏しい上に地面が湧水で濡れています。落ちたら谷底行きなので神経を使いました。
その先の岩魚留小屋。かつては上高地やその先の北アルプスの山々に続くメインルート上の小屋という事で賑わっていたようですが、人が入らなくなってからは久しいようで廃墟化していました。
しかし近場にはテント場(跡地)もあったり水場となる沢も至近という事で、テント泊で一晩過ごすには居心地の良い場所でした。
その後は徳本峠に上がり常念山脈を尾根伝いに縦走する事になりました。写真は最初に登った霞沢岳をK1という前衛のピークから臨んだもの。荷物の大半を徳本峠に置いてきての空荷での往復だったので割と侮っていたのですが、アップダウンが多くてタフなコースで結構バテました。

霞沢岳の往復を終えた後の徳本峠のテント場にて、今回の登山酒である高綱と大信州を並べる。濃醇辛口酒と吟醸系のお酒とタイプが違い、交互に無限に飲めてしまうのでセーブしないと危険でした。

こちらは常念岳、大天井岳と縦走した後の燕山荘のテント場での食事風景。この後は予定では餓鬼岳まで向かう予定でしたが、翌日台風が接近するという事でやむなく下山。
この時もそうでしたが、2024年シーズンの夏山はいまいち天気が安定しておらず不完全燃焼的な登山が多かったです。

銘柄:高綱 -TAKATSUNA-
製造元:亀田屋酒造店(長野県松本市 島立)→公式サイト
使用米:不明
精米歩合:70%
日本酒度:不明
アルコール度数:19度
購入価格(税込):1,760円/720ml
4位 森民 純米吟醸にごり酒

第4位は宮城県仙台市、仙台駅から徒歩圏内に立地する森民酒造本家の『森民 純米吟醸にごり酒』です。仙台の町中に酒蔵があるという話は以前から何となく聞いていたのですが、味わうのは今回が初めてでした。
森民酒造本家は以前は地元消費メインのお酒を製造していたようですが、コロナ禍後の2022年に製造施設の改修を行った際、お酒のラインナップも首都圏での販売も見据えたものにリニューアルしたとの事です。やや前衛的に思えるラベルのデザインもそれを意識したものでしょう。
実際の味わいとしては……甘口タイプの濁り酒といった感じです。ただ、これは甘酒って思えるくらいの甘さがファーストインプレッションではあるものの、終わり際はさっぱりしていて後を引きません。食中酒としても良さげでした。

背面のラベル表示です。


森民の銘柄を醸す森民酒造本家には4月の船形山の縦走登山の際の登山酒の調達として訪れました。こちらは東北第一の都市でもある仙台市の玄関口、仙台駅。酒蔵はこの大きな駅から徒歩圏内とも言える場所に立地しています。


こちらが森民酒造本家の施設。通りに面している所には旧来の酒造の建物ですが、現在は製造や販売は右写真の少し奥まった所にある施設で行われています。
右写真の右側の大きな建物が製造施設となりますが、2022年に大々的に改修工事が行われたばかりという事でまだ真新しさが感じられます。一方、お酒の販売や酒蔵見学(要予約)の対応は左にある『甘酒カフェ 森民茶房』で行われています。
ちなみに宮城県内には森民酒造、モリタミといった森民を名に冠した酒造が幾つかありますが、そのどれもがこの戦前にこの森民酒造本家から分家したものとの事です。

日本酒はカフェの店内に冷蔵ケースがあり、森民の銘柄の幾つかの種類が収められています。どちらかというとカフェの営業が主体のようで試飲等の対応もされていないようでしたが、予約があれば製造施設の見学は可能との事でした。

早速この日の夜、雪上でのテントにて購入した日本酒を頂く。森民に次いで購入した日本酒は勝山で、こちらは今回登った泉ヶ岳の登山口までの道中に製造元である勝山酒造があります。ただ、酒造での小売は対応していないという事で近くの根白石の集落内にある酒屋にて調達しました。残念ながら今回紹介からは漏れてしまいますが、こちらも中々の酒質でした。
2本のお酒に合わせたのは、その根白石にある鮮魚店で購入したお刺身。地の物を中心におまかせで……と頼んだら中々の量となってしまいましたが、どれも美味しく頂けました。豆腐も森民酒造本家近くにあった個人店のもので、豆の甘味が強いグレードの高いもの。最高の酒に肴と至福の時間でしたが、至福過ぎてお酒が進みすぎてしまい翌日の行程に若干の差し支えが……。
翌日登った船形山。まだまだ雪が多く残る時期で、人もそこまで入っていないのかトレースも皆無でした。

その日は船形山の山頂にある避難小屋にて宿泊。前日の豪勢な食事に合わせるお酒も良かったですが、窓越しの景色を眺めながら単体で楽しむお酒もそれはそれで良いものでした。
こちらはその後歩いた白髪山から臨んだ蔵王連峰。この半年後に実行に移した蔵王連峰縦走はこの時見た景色が切っ掛けだったり。
銘柄:森民 純米吟醸にごり酒
製造元:森民酒造本家(宮城県仙台市若林区 荒町)→公式サイト
使用米:五百万石
精米歩合:60%
日本酒度:-21
アルコール度数:13度
購入価格(税込):1,650円/720ml
3位 佐藤商店 55周年 感謝酒

第3位は11位に選んだ栄光冨士と同じ山形県鶴岡市の羽前大山にある加藤嘉八郎酒造の『佐藤商店 55周年 感謝酒』です。小売店が製造元に製造を委託するいわゆるOEMの銘柄で、こちらはその名の通り佐藤商店(東京都小金井市)の開店55周年記念で限定発売されたもの。
製造元の加藤嘉八郎酒造と言えば大山や十水の銘柄で界隈では割と知られた酒造。自身も同酒造の○嘉大山の銘柄はこれまで飲んだ事がありますが、今回の中身は4年間低温貯蔵された純米酒という事。
全体的な傾向としては辛口ですがドライではなく重厚な部類。飲み進めていると甘味も割と強く感じられます。熟成酒という事もあってか円熟味がありバランスに秀でた印象を受けました。食中酒としても文句無い感じです。

背面ラベル。

マグロの刺身と合わせてみた所。味わい自体が重厚なので、刺身もマグロやサーモン、貝類といった味の濃い物がよく合いました。

銘柄:佐藤商店 55周年 感謝酒
製造元:加藤嘉八郎酒造(山形県鶴岡市 大山)→公式サイト
使用米:不明
精米歩合:60%
日本酒度:不明
アルコール度数:17度
購入価格(税込):3,300円/1,800ml
2位 悠 (un)useal strong 普通無濾過生原酒

第2位は群馬県沼田市にある永井本家の『悠 (un)useal strong 普通無濾過生原酒』です。悠の銘柄は沼田や猿ヶ京といった群馬県内の谷川連峰を挟んだ南側の地域で扱う酒屋が多いので、その山域の登山の際には登山酒として選ぶ事が個人的に結構多めです。
そんな中で今回は普通酒……しかし、その普通酒を袋吊りで瓶詰めした生原酒という異色というか酔狂に近いスペック。(袋吊りは日本酒の絞り方の中では特に手間が掛かる手法で、主にグレードの高い吟醸酒で行われる)
だいぶ普通じゃない普通酒という張り紙に相応のもので、アルコール度数も20度と日本酒の中ではかなり高めです。
実際に飲んでみると……全体的な傾向としては辛口ですが、甘味も強く味覚の抑揚が大きいタイプ。濃いか淡いかと言われたら超濃厚。確かに普通酒特有の荒々しさは印象強く、度数の高さ故のアルコール感は感じられるのですが、それでいて不思議と全てが調和していて自然と盃が進んでしまうような。そんな複雑怪奇で他では中々無いような楽しいお酒でした。

背面ラベル。能書きを肴に一献。

今回は谷川連峰への家族登山の際の登山酒として担いで行きました。1泊目に合わせた食事はジンギスカン……強烈なお酒なので味濃いめの料理によく合いました。
こちらはその翌日に登った仙ノ倉山からエビス大黒ノ頭、万太郎山方面の展望。この日は特に天気が良く、谷川連峰の端から端まで見通す事ができました。年賀状の写真にしたのもこの辺りの写真だったり。
その更に翌日、大障子避難小屋付近の風景。残念ながら雲が多めの一日でしたが、視界ゼロの時は少なく全体通してそれなりに展望を楽しむ事ができました。

銘柄:悠 (un)useal strong 普通無濾過生原酒
製造元:永井本家(群馬県沼田市 下発知)→公式サイト
使用米:不明
精米歩合:不明
日本酒度:不明
アルコール度数:20度
購入価格(税込):1,320円/720ml
1位 ZAO 蔵の華 Inspiration 特別純米酒

今回のランキングの第1位としたのは宮城県白石市にある蔵王酒造の『ZAO 蔵の華 Inspiration 特別純米酒』です。ただ、同じ酒造の『蔵王 特別純米酒 別取 蔵王酒造展示館限定酒』の方も特色あって美味しく、どちらを選ぶべきか決め兼ねたので、今回はこの2本をもって1位とする形を取ります。
蔵王酒造の銘柄としては漢字の蔵王と英文字のZAOがあり、前者の蔵王は生産量も多く問屋経由でも流通している銘柄。一方で後者のZAOは少量生産の特約店向けの銘柄と区別されています。ただ、どちらにしても宮城県内を出るとあまり扱われている店は多くはなく、特約店向けのZAOも現時点では首都圏では殆ど扱われていないという話でした。ただ、ブランドとして立ち上げられたのが2020年とまだそこまで年月が経っていないので、そのうち扱う店が増えると良いな……と思ってたりします。
まず主題とした1本目のZAOの方ですが、こちらは蔵の華という宮城県の酒米を50%まで磨いた純米吟醸酒となります。日本酒度が+5との事なので鋭利な辛口と思いきや、甘味や広がり方も良い感じ。吟醸香も程よく、印象としては清冽といった言葉が合いそうなお酒でした。
一方で蔵王の方のスペックは美山錦を55%まで磨いた特別純米酒となります。味覚の傾向は先程のZAOとは異なるというか真逆に近いもので、米の甘味が安穏に広がり伸びるタイプ。と言っても甘辛どちらかというよりは中庸でしょうか。飲み比べが楽しい2本のお酒でした。


それぞれの背面ラベルです。


両者の蔵王はその銘柄の元となった蔵王連峰の登山の際の登山酒として調達しました。蔵元となる蔵王酒造は蔵王登山におけるアクセス拠点の一つである白石市の市街地にあり、バスの乗換えの時間を利用して訪問。酒造の規模的にはかなり大きく、酒蔵というよりは酒造メーカーといった雰囲気でした。

酒造施設に併設されて蔵王酒造展示館という施設があり、そちらでは限定酒の試飲が楽しめます。レギュラー品は置かれていないので数自体は少ないものの、飲んだ酒はどれもハイスペックかつ洗練された味わいで満足でした。
その蔵王酒造の銘柄を2本担いで翌日以降は蔵王連峰の縦走となりました。行程は連峰南端の不忘岳から二口山塊の面白山まで尾根伝いに抜けるロングコース。
こちらの写真は最初に登った不忘岳近くからの展望。不忘岳から蔵王連峰最高峰である熊野岳までの間は道も良く、快適な尾根歩きを楽しむ事ができました。
行程中盤の北雁戸山を雁戸山の山頂手前から臨んだ形のもの。山域としては北蔵王と呼ばれるエリアですが、この辺りまで来ると人通りもめっきり減りコースは荒れ気味。区間によっては灌木漕ぎを強いられる事もしばしばといった感じでした。


こちらは行程終盤、二口山塊の小東岳から南面白山までの区間のコースの様子。コースの荒れ方は更に酷くなり完全に藪漕ぎ状態。
一番濃かったのが南面白山山頂手前の藪漕ぎでした。この辺りは道上からも藪が生えていて歩きにくい事この上なかったですが、道筋自体は読みやすくルートを外れる事は殆どありませんでした。


その縦走過程での食事風景。過酷な藪漕ぎ灌木漕ぎを強いられた登山の中、2本の蔵王の飲み比べは癒やしのひとときでした。


銘柄:ZAO 蔵の華 Inspiration 特別純米酒
製造元:蔵王酒造(宮城県白石市 東小路)→公式サイト
使用米:蔵の華
精米歩合:50%
日本酒度:+5
アルコール度数:16度
購入価格(税込):1,694円/720ml
銘柄:蔵王 特別純米酒 別取 蔵王酒造展示館限定酒
製造元:蔵王酒造(宮城県白石市 東小路)→公式サイト
使用米:美山錦
精米歩合:55%
日本酒度:不明
アルコール度数:16度
購入価格(税込):1,650円/720ml
あとがき
以上で本年のランキングは終わりとなります。まえがきでも触れましたが、1~10までのラインナップを見てみた所感としては、やはり多く足を向けた東北地方のお酒が多く入る形となりました。(11選中5)
とは言え、やはり酒どころと呼ばれる県や地域が多い所という事もあって、銘柄やスペックによって味覚の傾向は全く変わってきますし、今回も幅広く色々なお酒を楽しむ事ができたな……というのが所感です。

さて、今回カウントミスでランキングの銘柄が11と極めて半端な数になってしまいましたが、仮に12番目を選ぶとなると……まず第一に思い浮かべるのが福井県大野市の南部酒造場の銘柄、花垣の米違いシリーズの一つ『花垣 純米60 無濾過生原酒 九頭竜』ですね。味わいというか風味がかなり独特で、味覚のみの面ではかなり印象的なお酒でした。
という訳で2024年も色々とお酒を楽しめました。また来年も肝臓を痛め付けない程度に、程々にお酒が楽しめる一年でありたいですね。














