
中央アルプス縦走の2日目は中央アルプスの主稜線上を目指して標高を上げていく尾根歩きが内容としてのメインとなります。前泊した小八郎岳をスタートした後は長く険しい登りを経て烏帽子岳に登頂。その後は更に尾根伝いに池ノ平山、念丈岳と経由。水場があった与田切乗越からの登り返しの末に主稜線上の奥念丈岳に登頂し、この日は更に北上して南越百山までの歩き。流石にこの辺りまで来ると涼しかったですが、奥念丈岳の登り辺りまでは完全に酷暑と言える気候でした。
『中央アルプスその1』の続きの記事となります。
他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。

今回歩いたルートのGPSログです。
小八郎岳→烏帽子岳


たまには朝食&食後のコーヒーの優雅な風景を……最近の朝食はほぼ毎回、お椀でカップヌードルシリーズ。以前あったリフィルシリーズよりだいぶ小さいんですけど、朝からそんなに量食べられないのでむしろ丁度いいかなーって感じ。ドリップコーヒーは拘り。(インスタントの使用はそれが尽きた時のみ)
お椀でカップヌードルと言えば最近味噌味出たらしいです。今までヌードル、シーフード、どん兵衛うどん、チキンラーメンの4つのローテだったのでこれは嬉しい。(リフィルであったカレーも正直欲しい)


[4:13]小八郎岳出発
未明のうちに小八郎岳を出発します。まだ涼しい日の出前から行動開始して、暑くなる前に標高が低い所を脱出する作戦でしたが……既になんかもう蒸し暑い。


昨日通過した小八郎岳直下の分岐から烏帽子岳方面へ進むと、次第に傾斜緩めの尾根道に。ヘッドライトを灯しているので時々蛾が顔面にアタックしてくるけど、この季節の割には数は少ないかも。


烏帽子岳にも合目標識のような目安となる看板が設けられています。4/10ではまだまだ全然暗かったものの、5/10で急に辺りが明るくなってきてヘッドライトは不要に。


セキナギという崩壊地の下部にある烏帽子岳の展望地。樹間から見えた感じではまだまだ遠く、そして随分と高く見える。

別の木々の小窓からの展望。霞む麓の伊那谷、奥に見える南アルプスと八ヶ岳の稜線は鮮明。このコントラストは凄く良い。

[6:02-6:13]飯島ルート分岐
飯島町方面に続くコースとの分岐点に到着。やや大きめの案内看板が立っている。


分岐から更に進むと合間からセキナギの露出した白い地面が見えてきた。これまで緩かった登りも、この頃から徐々に険しくなってきた。
その少し先のセキナギ上部からの展望。崩壊地の上という事で崖っぷちみたいな所……ちょっと怖いものの結構な絶景。
南アルプス方面を望遠してみたもの。塩見岳以南の南アルプス南部の山々が細かく見えています。

途中の地蔵平。岩の下に小さなお地蔵さんが置かれている。

道中の安全と好天を祈願。


烏帽子岳の手前辺りの雰囲気。この辺りに来ると傾斜は更に増し、急登と言えるようなキツい登りに。

烏帽子岩に直登するコースとの分岐。大荷物での岩登りは避けたいので緩い左側へ進む。

緩い方の道は露岩となった尾根を外し、トラバースするように道が付けられている。ハシゴ場が続くそこそこ険しい道でしたが、急登の区間そのものは短くすぐ終わる。
急登の合間からの展望。谷を一本挟んだ向かいに見えるのは大島山、本高森山へと続く稜線。

烏帽子岩手前のちょっとした岩のトラバース。地元で人気の山というお話の通り、全体的によく整備された道でした。
烏帽子岳→池平山→念丈岳

先程の鎖場を越えると烏帽子岩と烏帽子岳の山頂の鞍部部分に出ます。烏帽子岩の展望は特に良いと話に聞いていたので、山頂に行く前にちょっと寄り道。写真正面の露岩をよじ登っていく。
登った先の烏帽子岩からのほぼ360度展望。左側には伊那谷越しに南アルプスや八ヶ岳。右側にはこれから向かう烏帽子岳、念丈岳方面の尾根となります。この日は特に空気が澄んでいて四阿山や浅間山等の群馬県境に近い山々も鮮明に見えていました。
少し引き気味で同方面。評判以上の超好展望。こういう日が続くと良いなぁ……(しかし翌日以降は雲多め)。
八ヶ岳~南アルプス~深南部の望遠。稜線がくっきり鮮明で、かなり細かくピークが判別できる。
同方面の山名入り。見える山が多く書き入れるのに苦労。志賀高原方面の山もちょっと見えている。

念丈岳の左側に見える存在感のあるピークが安平路山。中央アルプス南部有数の主峰というだけあって周囲では一際目立つ山容……中央アルプスの縦走という表題にするからにはこちらからスタートしたかったのですが、藪地獄という話で盛夏というシーズンでは厳しそうなのと、アクセスが公共交通利用だと難しかったので今回は烏帽子岳経由にした次第……いつか安平路山(余裕があれば更に南の南木曽岳)から経ヶ岳までの大縦走をやってみたいですねー、涼しい頃にでも。

烏帽子岩から先程の鞍部に置いた荷物を見下ろす。
烏帽子岳の山頂に向かう途中、先程立ち寄った烏帽子岩を振り返った所。

[8:11-8:46]烏帽子岳
烏帽子岩から1~2分程度で烏帽子岳の山頂に到着。東側の伊那谷方面は烏帽子岩の方が開けていましたが、こちらは西側、これから向かう中央アルプスの主稜方面の展望が抜群。
烏帽子岳から中央アルプスの展望。次に向かう池ノ平山が標高としては意外と高く(後に経由する念丈岳や奥念丈岳より高い)中央に大きく目立っています。その右側には越百山、仙涯嶺、南駒ヶ岳、空木岳と稜線が続く。
谷側を中心とした360度の展望。先程の烏帽子岩程ではありませんが、こちらの方面もそれなりに開けている。
同方面の山名入り写真。中央アルプス方面の山の見え方はこちらを参考に。


烏帽子岳からは池ノ平山、念丈岳方面に進みます。次の主峰である念丈岳まではそこそこ距離があるという事もあって歩く人も減るのか、これまでと比べると道は途端にワイルドに……しかし道筋自体は悪くなく十分普通に歩ける範囲内。


シャクナゲの藪道越しに見えるのは仙涯嶺、南駒ヶ岳、空木岳の翌日登る中央アルプスの主峰。足元にはやけに傘がメタリックなキノコ。

池ノ平山までは樹林帯の緩い傾斜の尾根道が続く。


樹間から見えるのは本日の後半頃に登る奥念丈岳。ピークは見えているけど……なんだか雲が増えてきた。

[9:45-10:04]池ノ平山
池ノ平山に到着。先程触れましたが、後に行く念丈岳や奥念丈岳より標高は高く2,327mある。しかし、どちらかというと通過点的なポイントで展望も地味め。
池ノ平山の山頂風景。周囲を木々で囲まれていて展望はそこまで……という感じなものの、全体的に開けていて雰囲気は良い。ただ、熊の目撃情報が多いという噂。


池ノ平山の山頂からは南駒ヶ岳と赤梛岳が樹間より見えました。あちらの方面も次第に雲が。
念丈岳方面に向かいます。暫くは広くなだらかな尾根で、木々や藪で茂っていて鬱蒼とした雰囲気。如何にも熊が出そうではありますけど、この日は気配はなく、普段ならよく道の上に置かれている"落とし物"も見かけませんでした。暑いから沢沿いにでも降りてるのかな?
途中の大島山、そして奥念丈岳から安平路山へと続く稜線の展望。池ノ平山~念丈岳間は基本的には笹薮の道で視界は良好。
景色の良い開けた道を進んでいく。藪の深さは今の所思った程ではなく、多少漕ぐような箇所がある程度。


正面に見える小高くなったピークが念丈岳です。それまでは笹薮と樹林帯の繰り返しの道。


越百山(中央に見えているのは南越百山)方面の雲も増え、山頂が今にも飲み込まれてしまいそう……足元には茶饅頭のようなキノコが。
左に見えるのが、最後の登りを控えた念丈岳。右奥に見えるのが奥念丈岳から南越百山にかけての稜線。登りは一段落したとは言え、まだまだ道は長そうです。
念丈岳→与田切乗越→奥念丈岳

[11:32-11:47]念丈岳
奥念丈岳方面の分岐にザックを置いて、手ぶらで念丈岳に登頂。中央アルプス南部の主峰の一つとして人気のあるピーク。ただ、やや奥深い所にあるので日帰りで登るのは健脚向けで、そこまで人の入りは多くはない雰囲気。
背後には雲が乗った越百山や仙涯嶺が見えています。
念丈岳の展望。山頂はかなり開けた雰囲気で広さもそこそこ。完全にフラットという所は少ないですがテントも張れそうです。
右側から中央部に伸びるのが、激藪で名高い安平路山方面の稜線で、安平路山はその奥に一際高く見えている。そこから左に低く伸びている稜線は、ここまでのアクセスの候補の一つだった本高森山、大島山方面の尾根筋。こちらの道も比較的よく整備されていて道は悪くないという話。

念丈岳で展望を堪能した後、奥念丈岳方面へのコースの分岐点に戻ってきました。荷物を回収して引き続き先へ。

分岐点から臨む仙涯嶺。雲が増えてきて展望的には残念ですが、強烈な日差しが時折和らいでくれるので多少なり快適に歩けるように。


本日以降歩く念丈岳(先程の分岐点)~奥念丈岳~南越百山では地図上では破線コースの難路扱い区間ですが、この辺りはやや笹が高く灌木が出ていて歩き辛い箇所がある以外は至って普通の道でした。
念丈岳の下り始めから眺める奥念丈岳。鞍部である与田切乗越まで200m弱下って再度200m登り返すという形。結構きつい。
与田切乗越が近づいてきた所。笹の緑色の絨毯が美しい。


[12:13-13:05]与田切乗越
与田切乗越に到着。鞍部は広く刈り払われていてテント2~3張り行けそうなスペース有り。ここには中央アルプス南部では貴重な水場があり、割と新し目の案内看板が立てられています。
地図上には記載されていない水場なので、汲めない場合を考慮して沢山担いできた為ここでの補給の必要は無かったり……とは言え担いできた水もヌルくなってますし、冷えた水を飲んだり顔を洗ったりしたくなったので視察がてら行ってみる事に。


水場は100mほど急峻な坂道を下った先にあります。下調べの時点で把握していましたが、ごくごく最近刈り払われたという事。とは言え、多くの歩く人が居るような道ではないので全体的に足場がもろもろしていて歩きにくい所もそこそこ。


水場となる沢筋に到着。奥の方には滝があり、そこから小沢となって流れています。水量はそこそこですが、割と近い所から流れ出しているようで、澄んでいる上によく冷えていました。(詳しい場所は冒頭に載せたログを参照)
翌日には行程上確実に汲めるとされる水場(木曽殿山荘)を通過するので、そこまで量を汲む必要はなかったのですが、ついつい満タンまで補給してしまう。再び水11リットルの超重荷に逆戻り。

与田切乗越に戻り、そこから奥念丈岳への登り返しとなります。たかだか200m弱の登り返しですが、水満載で重くなった荷物も相まって中々の厳しさ。おまけに日も照ってきて再び暑くなってきた。
少し登った所から与田切乗越を挟んで念丈岳。

途中で何度か樹林帯を挟む。
更に奥念丈岳に近付いた所から念丈岳と池ノ平山。左に見える池ノ平山の方が若干高く、実際そのように見えていますね。
奥念丈岳→南越百山

[14:05-14:31]奥念丈岳
与田切乗越からのきつい登り返しを経て奥念丈岳に到着。念丈岳とは違い全体的に鬱蒼としています。ただ、日差しが遮られていて虫も少ないので居心地は良かったり。
疲れたらここで行動終了するつもりでしたが、暑さはそこまででもなかったという事もあって疲労も抑えられたので、予定通り南越百山(できれば越百小屋)を目指す事に。
奥念丈岳から念丈岳の展望。鬱蒼としていますが、登山道の部分の藪は若干低くなっているのでこれまで歩いてきた念丈岳方面は見通せる。
奥念丈岳から進んだ所から少し開けた所があり、そこから池ノ平山、そして奥には伊那谷越しの南アルプスが。山深い主稜線に乗った事で麓も随分と遠くなった感じが。
ちょっとした崩壊地の縁を通る。ザレの斜面はそのまま谷底近くまで続いてました。

奥念丈岳~南越百山の区間の道の様子。刈り払われたと話には聞いていましたが、ここまで徹底的に刈られて高速道路のような道になっているとは予想外。せいぜい、先程歩いた念丈岳~奥念丈岳くらいで人一人分の幅があったりなかったりくらいの道を想像していたのですが……。


中央アルプス南部、安平路山の更に先に見える存在感のある山は南木曽岳。

尾根上に敷設された高速道路。奥念丈岳と言えば藪漕ぎで若干ハードルの高い山でしたが、これが維持されれば多少は身近になる気が。
若干開けた所からの展望。右奥のピークは南越百山ではなく、その手前の2,454mピーク。稜線上の雰囲気は良い。
2,454mピークの手前の崩壊地。かなり崩壊が進んでおり、登山道は崖すれすれのような所を通されている。見た感じ尾根全体が崩れてしまうのも時間の問題かもですね……翌日通る百間ナギとかもそうですが、中央アルプスは主稜線の崩落箇所が多い気が。


崩壊地周辺には高山植物が豊富。写真はヤマハハコとホタルブクロ。


ホタルブクロとアキノキリンソウ。
崩壊地の上からの展望。左側越えてきた池ノ平山や念丈岳、安平路山へと続く中央アルプスの主稜が奥へと伸びる。


2,454m方面の急登。この辺りもよく整備されており、破線コースの雰囲気は無い。
徐々に頭上のガスが近づいてきた所から、麓の伊那谷や池ノ平山等を見下ろした所。奥の南アルプスも雲が増えてきました。


ガスに突入した所。暫くは真っ白でしたが、進むにつれて流れてくれ……たり、またガスったりと安定しない。
南越百山の山頂手前の雰囲気。この辺りまで来ると傾斜が緩やかになってきて、開けた雰囲気に。
南越百山からの日没
[17:19]南越百山到着
南越百山に到着。できれば越百小屋に行ければ行きたかったですが、やはり時間的に厳しく本日はここで行動終了……かなり広々とした山頂で、遮るものがないので結構な強風でした。
南越百山からの展望。西側はガスで何も見えないものの、東側の伊那谷、南アルプス方面は辛うじてという感じ。

到着早々お酒タイム。行程内で一番の登りの日という事で身体的に疲れているのか、やけにお酒が美味しく感じる。進みすぎて空になりそうな勢いだったのでセーブ気味で。
日没近い頃の東の空。夕日が雲を照らし赤く染めた頃。
東の空の望遠。南アルプスの稜線上は殆ど雲が乗ってしまっていますが、中央右に唯一塩見岳だけ山頂部分が見えています。
暫く経過すると全体的に雲が抜けてきて、仙涯嶺等の先の稜線上のピークも少しだけ見えるように。

翌朝登る越百山の山頂が一瞬だけガスが抜けたので望遠で観察してみる。当然ですが人の姿はなく、看板と三角点らしき棒が見えるのみ。


こちらは仙涯嶺方面。雲が流れて南駒ヶ岳まで見えるようになりました。岩稜が雲を纏う様はさながら魔城のように見える。


日が沈んだであろう方角とその望遠。日没そのものは見えませんでしたが、これはこれで一日の終わり的でいい雰囲気。雲の奥に見えている山は奥三界岳かな。
日没直後、紺色が深まりつつある西の空の様子。雲は相変わらず多い。
『中央アルプスその3』に続く
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ヤマケイアルペンガイドの中央アルプス版です。今回歩いた中央アルプス南部のマニアックなコースも多く紹介されていますので、興味がある方は一冊どうぞ。




































