山とか酒とか

登山やお酒を始めとした趣味全般を雑多に、また個人的に有用だと思った情報を紹介しています。

中央アルプスその1(上片桐駅→およりての森登山口→鳩打峠→小八郎岳)

小八郎岳の山頂から南アルプスの展望

中央アルプス縦走の初日は、今回の登山のスタート地点となる上片桐駅までの移動と、そこから小八郎岳までの登山が内容としてのメインとなります。

移動の際はいつものように中央本線を乗り継いで長野県内へ。途中飯田線に乗り換えて伊那市にある二軒の酒蔵にて今回の登山用の日本酒の調達。その後、更に南下した所にある上片桐駅から登山開始となりました。正午近い時分の酷暑の中、登山口となるおよりての森に移動し、鳩打峠、そして小八郎岳に登頂してこの日は行動終了。行動時間は短いながらも、暑さが堪えた事もあって今回の行程中では特に厳しい一日でした。

他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。

【2025年8月】中央アルプス - 山とか酒とか

今回歩いたルートのGPSログです。

伊那市で日本酒調達

今回の相棒もとい荷物となります。前回の飯豊連峰と日数は同じ4泊5日行程であるものの、アイゼンとピッケルが無いだけその時と比べると多少軽いです……が、今回はコース上に水場が乏しく水を担いで歩く場面が多いので、歩く際の実際の重量はその分重めでした。

接続する飯田線の時刻に余裕があったので、少し前の下諏訪駅で時間調整の下車……噂には聞いていましたが朝の通勤時間帯にもかかわらず無人駅となっていました。日中のみ駅員が居る体制のようです。一部とは言え特急も停まるそこそこ大きめの駅なのに……。

御湖鶴 日本酒 下諏訪

下諏訪駅と駅舎内の名産コーナーに置かれていた御湖鶴の四合瓶。御湖鶴を醸す諏訪湖御湖鶴酒造場は一度破産した酒造(菱友酒造)が事業譲渡によってブランドを復活させたという成り立ち。一度酒蔵に足を運んで飲んでみたいなと思っているのですが、10時からの開店と中々時間が合わず飲めずにいます。

中央本線 岡谷駅 ホーム

岡谷駅飯田線に乗り換えて以降伊那路を南下する。

飯田線 伊那北駅 ホーム

岡谷駅から1時間ほど進んだ所にある伊那北駅にて下車します。飯田線の中でも構内が3線ある駅はそこまで多くないですが、この駅はその数少ない一つ。

飯田線 伊那北駅 駅舎

伊那北駅から歩き始め。伊那市の中心ほど近い所にある駅で、規模そのものはこちらの方が中心駅とされる伊那市駅より大きいですが無人化されています。

駅前からは旧三州街道沿いに商店街が続いている。その先にある伊那の市街地には狭い範囲に酒蔵が2軒あり、今回はそちらで登山用のお酒の調達をします。

商店街の丸ポスト。この日の伊那市の最高気温は37℃……まだ午前中ですが既にかなりの暑さ。そのせいか、車通りは多いものの人通りはほぼ皆無に近い。

商店街沿いに西進していき、アーケード街が見えてきた所で北の方へ。途中の小沢川の橋の上からは中央アルプス北部の経ヶ岳が見えました。

宮島酒店 信濃錦 外観 伊那市
宮島酒店 信濃錦 日本酒 伊那市

小沢川に面した所にあるのが今回巡る1箇所目の酒蔵である宮島酒店。入った所にあるテーブルには瓶が整然と陳列されており、その横手には幾つかの冷蔵ケースが。メインの銘柄は信濃で、ラベルレスデザインという首元に掛けたようなラベルが印象的。

宮島酒店の信濃錦(艶三郎)

数ある銘柄の中で選んだのは『信濃錦 艶三郎 純米無濾過生原酒』。こちらの酒蔵では残念がら試飲の対応は無かったのですが、種類ごとの味の傾向を細かく説明してくれたので、それを参考に購入。山恵錦を使用した純米無濾過生原酒との事ですが、このスペックで税込1300円(一升瓶換算で2,500円程度)を切る価格は正直驚き……今どきであれば純米以上の無濾過生原酒というだけで安くても1500円手前くらいかと思います。

一本目のお酒の調達を終えて再び伊那の市街地へ。小沢川の反対側には南アルプスが……方角的に仙丈ヶ岳っぽいですね。

伊那市の駅前辺りの町並み。この辺りが伊那の古くからの中心市街地とも言える辺りで、アーケード街が続いている。

春日酒造 外観 井の頭 伊那市

伊那市駅のすぐ裏手、駅構内横の踏切を渡った先にあるのが井乃頭の銘柄を醸す春日酒造。駅近の酒蔵は数あれど……駅の敷地に隣接してるような所にある酒蔵はそこまで無いかも知れない。こちらの酒蔵で2本目の日本酒調達となります。

内部の冷蔵ケース。こちらも生酒を幾つか扱ってそうだったので何にしようかと悩んでいると、右下に試飲用のタグが付けられた瓶が。尋ねてみると試飲OKとの事だったので、飲めそうなものを一通り飲ませて頂く事に。

春日酒造 日本酒 試飲 井の頭 伊那市

今回試飲で飲んだ5本の日本酒。甘味が印象的なものから食中酒に向きそうなドライなものまで。写真では試飲用のコップが空ですが、どれもなみなみ注いで貰ったのでトータルでは結構な量でした……一合くらいは飲んでしまったかも。

中で特に気に入ったのが一番右の『龍游 ひとごこち59 無濾過生酒』で、独特の酸味が印象的でした。先程購入した信濃錦の艶三郎がかなり甘めとの事だったので(この時点ではまだ飲んでいない)、こちらではさっぱり目のこのお酒を購入。

ちなみに、こちらの酒蔵では仕込み水を登山用の水として汲ませて頂けました。今回の登山では最悪3日目まで汲めない可能性があるので11リットル補給……増えた四合瓶の2本を合わせると一気にプラス15kg。流石に肩に食い込む。

飯田線 伊那市駅 駅舎
飯田線 伊那市駅 ホーム

伊那市駅へ移動。のんびりと試飲を楽しんでいたら時間的に結構ギリギリで、ホームに入るとほぼ同時に電車が滑り込んできました。

乗車したのは上諏訪から豊橋まで7時間かけて走る飯田線名物の超ロングランの電車で、乗り通しと思しき旅行客の姿でそこそこ混雑していました……そう言えば今は青春18きっぷのシーズンでしたね。仕様変更で連続化してから使ってないので、

飯田線 宮田駅 ホーム

伊那市駅から更に南下して宮田駅で列車交換待ち。ちなみに今回の登山の4~5日目にテント泊した駒ヶ岳頂上山荘の運営はこの駅のある宮田村の村営とか。

飯田線 車窓 中央アルプス 木曽駒ヶ岳

車窓からは今回歩く中央アルプスの山々がよく見える。木曽駒ヶ岳、宝剣岳と細かくピークが判別できますね。

上片桐駅→およりての森登山口→鳩打峠

飯田線 上片桐駅 ホーム

[11:54]上片桐駅出発

飯田方面に幾らか進んだ所にある上片桐駅に到着。小さな無人駅ですが交換設備があります。

今回はこの駅から歩き始めとなりますが……既に時刻は正午という事で、降りるなり中々の暑さ。この駅が属する松川町の現在気温を見てみると36℃、マジか。

歩き始め、踏切を渡り西方面へ。踏切上から見えた上片桐駅の構内は、もともと私鉄だったという事もあってか有効長が短く、非常にコンパクトな作りに見える。

上片桐駅から登山口までの舗装路歩き。正面には翌日最初に登る烏帽子岳が見えていますが……ほぼ気温通りの暑さで、日光を遮るものが一切ないのがつらい。この舗装歩きが行程中一番きつい区間だったかも。

りんごの産地のようで、道端にはりんごが植えられていました。キンキンに冷やした物を思いっきり齧りたいなーとか、ぼんやりと思い浮かべながら通過する。

烏帽子岳・小八郎岳の案内がありました。案内では直進を指していますが、これは鳩打峠までの車向けの案内なので従わずに左側に進みます。

舗装路を歩いていると少しずつ標高が上がってきた。辺り一帯にはりんごの果樹園が広がる。

中央道のガードを潜ります。

正面に烏帽子岳を見据えながら歩く。整備されていますが、古くからの道なのか道端には石碑が並んでいました。

およりての森 登山口 中央アルプス 鳩打峠

[12:55-13:07]およりての森登山口

鳩打峠方面へと続く登山口に到着し、地獄の舗装路歩きは終了。案内板等は無く見過ごしてしまいそうですが、轍ができていて入口としては分かりやすい。

登山口を入って暫くした所で鳩打峠の案内看板が……殆どの場合は鳩打峠まで直接車で乗り付けてそこから小八郎岳烏帽子岳に向かうのでこの辺りを歩く事は少ないのか、麓から直接登るこのコースはそこまで歩かれていない雰囲気。

およりての森 登山道 中央アルプス 鳩打峠

若干九十九折になった急登……作業道等と交錯していて若干分かりづらい所もあるものの、そういった場所には案内板が置かれている。その後は緩い尾根上のアップダウンを進んでいく形に。

南アルプス方面の展望地。木々の間からは丁度、白根三山が写真のフレームに収まるように見えていました。

緩い傾斜の尾根道を辿っていく。まだ標高は低く暑さがきつく、荷物も水満載で歩荷のような重量感。まだ初日なので休み休み進む。

鳩打峠→小八郎岳

鳩打峠 駐車場 登山口 中央アルプス

[15:17-15:42]鳩打峠

鳩打峠に到着。広々とした駐車場が設けられており、この日は烏帽子岳方面に向かった登山者のもの思しき一台が止まっていました。

駐車場では伊那谷方面に若干開けており、先程の展望地と同様に南アルプスの稜線が見える。

鳩打峠からの南アルプス仙丈ヶ岳から少し間を挟んで白峰三山という並び。

鳩打峠 水場 中央アルプス

鳩打峠には林道を少し下った所に水場があるという噂。まだ春日酒造の仕込み水が潤沢なので汲みに行く必要は無かったですが、視察も兼ねて足を運んでみる事に。

数分下った所の道脇に、やや藪に埋もれつつも水場の看板を発見。ここ何年かの間は記録が非常に少なく既に枯れている可能性も考えていましたが、細いながら出ています……せっかくなので1リットルだけ補給。よく冷えてて美味しかった。

鳩打峠に戻り、先程の駐車場の奥にあるのが小八郎岳、烏帽子岳方面の登山口。その付近からは谷を挟んだ向こう側の高森山が見える。

今回、念丈岳方面へのアプローチは烏帽子岳経由でしたが、市田駅発の高森山経由というコースもそれなりに歩かれているらしく候補の一つでした。ただ、烏帽子岳経由の方が景色は圧倒的に良さそうだったので今回のコースを選択。

小八郎岳烏帽子岳は人気の山なのか、そこまで歩かれている雰囲気の無かったおよりての森からのアクセス道から一転してハイキングコース然とした道に……途中には小八郎岳の名に因んだ小◯郎(◯には一~七までの数字が入る)のキャラがコース上に続く。

小ニ郎の辺りで先程の鳩打峠に置かれていた車の持ち主とすれ違い。酷暑期における水場の少ない中央アルプスの長期縦走という事で、水は大丈夫ですかと心配されてしまったが、11リットル担いでるので問題なしです!と返答。巨大な荷物が視界に入り納得の様子。

道は整備されていて歩きやすいものの、結構しっかりとした登りなので大量の水を担いでだと結構きつい。

中間地点かなと思われる小四郎。いわゆる合目標識代わりかな。

小八郎岳烏帽子岳などで写真を撮ると記念品の缶バッジが貰えるらしいです。正直こういうの欲しくなるタイプですが、受け取りが場所が駅から遠く離れた信州まつかわ温泉清流苑、もしくはその付近のまつかわ旅の案内所のみという事で公共交通利用だとかなり厳しい。(およりての登山口からは割と近めですが、そっちには戻らないし……)

小五郎、小六郎と徐々に年を取っている様子。

烏帽子岳方面へ続くトラバース路の分岐を過ぎた所に小七郎。傾斜は緩く再び尾根らしい道になっており、ここまで来ると山頂は近い。

小八郎岳の山頂直下。こちらも分岐点となっており、烏帽子岳方面は一旦ここまで戻る必要があります。(小八郎岳は行き止まりの形)

小八郎岳からの展望

[17:10]小八郎岳到着

今回の登山において最初のピークである小八郎岳に到着。山頂には東屋が建っており、すぐ背後には翌朝の一番に登る烏帽子岳が見えています。

小八郎岳の山頂の望遠のパノラマ

小八郎岳からの展望。伊那谷を挟んだ先に南アルプスが一望できます。

南アルプス方面の展望……端から端まで細かく見渡ます。地元に人気の里山という話も納得の好展望。

同方面を望遠したもの。若干雲が出てますが、左側に蓼科山から八ヶ岳南アルプス、右側に深南部と概ね把握できます。

こちらは麓の望遠。左の写真の右上の比較的規模の大きい集落は松川町の中心集落である伊那大島(元大島)で左下の辺りが歩き始めた上片桐駅付近。右の写真がその望遠で、少し分かりづらいものの上片桐駅の小さな駅舎も写真中央左に見えています。

今回担いできた水です。行程3日目の木曽殿山荘の水場まで全く汲めない可能性も考慮して、2.5Lのプラティパス×2、2Lのエバニュー、1.5Lのポリタン、ほか1Lの水筒×3(写真には入りきれてないですが)で合計11L担いできました……流石にこれだけの水をザックに入れたのは初めてで、登山前に購入した日本酒の4合瓶×2も合わせると凄まじい重量感。帰ったら肩と腰ベルトの所に痣ができてました。

プラティパスとエバニューのウォーターバッグの比較

今回買い足したエバニューのウォーターキャリー。ウォーターキャリーは今まではプラティパスで揃えていたのですが、エバニューの物は同容量のものが半額以下で性能も悪くないという話だったので初めて選んでみました。

エバニューのウォーターキャリー(2L)を実際に使ってみた所感としては……

エバニュープラティパスよりは剛性(耐久性?)がある分かさばる。

・容量はプラティパスと比べると若干少なく2Lきっかり(プラティパスは2.5L入る)。

・キャップがゴム紐で括り付けられているので行方不明になりにくく、キャップ自体もこっちの方が頑丈そう(プラティパスの蓋は小さい上に正直安っぽく、ペットボトルの蓋と一緒に捨ててしまったなんて話もちらほら)。

・携帯浄水器ソーヤーミニが完全にフィットする(プラティパスでも使えるものの正式に対応しているものではないのでフィットしにくく、適当に付けると隙間から水が漏れる)。

・満タン時に自立する(プラティパスは倒れる)。

といったメリットの違いを感じられました。性能的には、若干かさばる点と微妙な容量の差異以外は同等かむしろ上位互換のように思えました。プラティパスアメリカ製という事も大きいと思いますが、円安の影響か値上げが続いている事もあったので、現在使ってるプラティパスが壊れたら順次国産のエバニューにシフトしていこうかなと思います。

伊那市の日本酒(信濃錦と龍游)

その後は夕食タイムとなり、本日調達した伊那市の日本酒2本、宮島酒店の『信濃錦 艶三郎 純米無濾過生原酒』と春日酒造の『龍游 ひとごこち59 無濾過生酒』を開栓。

信濃は濃醇甘口で個人的にイメージする信州地酒らしい飲みごたえのあるタイプのお酒。甘さが立っているが故に単体でつまみ無しでどんどん飲めてしまうので、ぼんやり景色を眺めながら少しずつ呷る……みたいな飲み方?に最適でした。

龍游の方は辛口という程ではないですが、酸味が印象的でさっぱりした飲み口。柑橘を思わせる風味が少し独特。肉類のつまみなんかにもよく合う食中酒ですが、薄い訳ではないので単体でも結構飲める……どちらもタイプは違うものの別ベクトルで美味しいお酒でした。

どちらのお酒もAmazonには取り扱いがありませんでしたが、楽天では信州の酒を中心に扱う酒屋さんで全く同じ信濃艶三郎がありましたので紹介致します。

龍游はありませんでしたが、同じ春日酒造で先程の試飲の際に頂いた井乃頭美山錦 純米吟醸は取り扱いがありました。

もし記事を読んで興味が湧いたら飲んでみて頂けますと幸いです。特に信濃艶三郎の方はスペックの割に値段がかなり手頃なのでおすすめです。※在庫数の少ない地酒なので、品切れやリンク切れの際はご容赦下さい

小八郎岳の山頂の展望(夕焼け)

日没近くなった頃の展望。天気予報通り明日も晴れてくれそうですが、一番の登りの日……そこまで気温が上がらないといいな。

南アルプス方面の望遠。心なしか先程と比べると雲が若干流れてくれたような。

夕食風景です。鯖の味噌煮や鶏ジャーキー等、暑さでバテ気味なので意識して塩分を補給。その分お酒が進み眠気も増す。

辺りも暗くなったので寝入ろうかとした所、ドーンという音と共に地響きが何度も。雷でも来たのかなと外を見てみると麓で花火っぽいものが……市田灯ろう流し大煙火大会という、1100発以上打ち上げるこの辺りでは規模の大きい花火大会のようでした。山の上から花火を見るという状況も珍しそうなので横になって眺めていましたが、21時頃まで続いたので翌日は若干寝不足に。

中央アルプスその2』に続く

inuyamashi.hateblo.jp


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