
登山初心者の方やこれから登山を始めたい方向けに、まず最初に何を買うべきなのか、買う際には何をポイントに選ぶべきなのか、具体的にどんな商品がおすすめなのかを、10種類の登山道具に優先順位を付けた上でそれぞれ解説してみました。
内容的には、最低限これ買っておけば日帰りの登山には行けるよって記事になりますので、登山には興味あるけど何から揃えたら良いのか分からず悩んでいる、という方は参考にして頂けますと幸いです。
- まえがき
- 必要度の高い登山装備ランキング
- 何故、これらの道具が必要なのか
- 登山道具以外で必要なもの
- 準備が整ったらいざ出発
まえがき

突然ですが、こちらは現在私が日帰り登山の際に使用(持参)している登山道具の一式です(表題の画像のザックの中身)。ザックやストックに着ていく服等……なんかごちゃごちゃしてて分かりづらいですが、これさえ用意すれば一応山に行けるぞっていう最低限の装備になります。あと写真には入ってませんが登山靴も。
どうして急にそんな話をするかというと……今年3月の高原山登山の後の事。雪山テント泊で湿った寝袋を干していた時、同じマンションの人に話しかけられて自然と山の話になったのですが、
「登山に憧れはあるんですけど、何を買ったら良いのか分からないんですよね……」
と言われたんですね。
そんな事、今時ネットとかで調べてみたら分かるんじゃない?っていうのがその時の感想であったのですが、実際調べてみると……思ったよりストレートに解説しているサイトは少なくて、
「それで結局、最初は何を買ったら良いんだ?」
っていう、その人と全く同じ思考に陥ってしまいました。
石井スポーツや好日山荘等の登山用品店に行けば、困った顔でうろうろしているだけで親切な店員さんが飛んできて1から100まで教えてくれると思いますが、ちょっとやってみようかなくらいの軽い気持ちだったら専門店まで足を運ぶ気にはならないでしょう。それに相手もあくまでショップの店員さんなので、必要外の物を売り込んでくる場合も無きにしもあらずです。
その点、自分の場合は身近に登山をしている人が複数人居た上、道具がない時は融通させて貰ったりしたので、道具を買い揃えるというポイントで躓く事はありませんでした。しかしそれはあくまで偶々環境として恵まれていただけで、よくよく考えてみると登山って敷居が高いというか、全く知らない状態からは入り込みにくい趣味だなと、今回のちょっとした会話で再認識させられた訳です。
前書きが長くなりましたが、そんな出来事もあり今回こんな記事を作ってみましたが……気付けば凄まじく長い記事に。必要部分だけ読んで頂ければ有り難いです。
※あくまで登山用具(専用道具)として改めて購入が必要なもので、カメラ等といった趣味のグッズや、スマホ等の必需品、日用品の中から流用可能な物は除外しています。
必要度の高い登山装備ランキング
第1位 登山靴(トレッキングシューズ)

登山道具を買うならまず最初にこれと言うか、最低限ちゃんとした靴が無いと山頂まで路面が舗装されているような山(高尾山等)しか登れません。なので、いざ山に登ろうとしている、もしくは登りたいと思ってる状況では他の何よりも優先度の高いアイテムとも言えます。
逆に言えば、靴次第では大抵の登山道(道じゃない所でも)は問題なく歩けるという事でもありますので、将来的に色々な山を登ってみたいなと考えている場合は、それなりのグレードの物を一足用意しておくと良いでしょう。
・登山靴の選び方
最初の一足目はいわゆる軽登山靴(トレッキングシューズ)というジャンルの中から選ぶと良いでしょう。というのも、山登りを始めたばかりだと膝等の関節や足裏が鍛えられておらず、ハイキングシューズのようなソールが薄い靴だと長時間の歩行の衝撃で痛めてしまう場合があるからです。なので、軽登山靴のようにある程度ソールの厚い靴を選んでおくのが無難です。
軽登山靴と一口に言っても種類は様々で、日帰り登山から富士登山、小屋泊1泊、テント泊ロング縦走までの広い登山スタイルに合わせた物があります。
せっかく買うのであれば完全な日帰り用ではなく小屋泊1~2泊くらいのものを選んでおくと、後々そうした形の登山をしたくなった時に新調する手間が省けます。その上で後々もし日帰りメインで使う靴が欲しくなったら、後に紹介するトレランシューズを1足選んでみるのも良いのではと思います。
登山靴選びのもう一つの判断基準としてハイカットかローカットか(足首を覆うか覆わないか)という物があります。登山を始めたばかりだと山道に慣れておらず足首の捻挫率が非常に高いので、最低でもくるぶし程度は覆えるミッドカット以上のものが無難です。
・トレランシューズという選択肢
トレランシューズとは、ランニングシューズを登山向けに特化した靴を指します。軽量で廉価なので最初の一足として勧める人も居ますが、ソールが薄く足の裏や関節が鍛えられていない状態だと痛める可能性があるので、山登りを始めたばかりという状況ではおすすめできません。また基本的に日帰り用なので、後々泊まりがけの登山がしたくなった場合には使用できなかったりと応用性が無いのも欠点とも言えるでしょう。
ただ、日頃からジョギングで硬いアスファルトの上を走ってるとか、そうした人であれば十分鍛えられているので、日帰り用のサブの一足として選ぶのも大いに有りです。
・スニーカーは登山靴の代わりにならない?
スニーカー等は代用候補としてよく挙げられますが、そもそも山道を長時間歩く設計として作られていないので、どうしても靴ずれやグリップの乏しさ(滑りやすさ)、耐久面での問題が出てきます。最悪、歩いている途中でソールが剥がれて歩行不能になる恐れがあるので、『山登りに行く』という事であれば必ず登山靴、最低でもハイキングシューズ程度の物は用意しておきましょう。
・初心者におすすめの登山靴
最初の一足としては、登山入門用としてド定番のキャラバンシューズがおすすめです。キャラバンは日本の老舗登山用具メーカーで、価格帯としては定価で2万円、ディスカウントされて1万5千円くらいのモデルが多く良心的。学生登山部等でも採用率高めです。(というか登山靴でそれ以下の値段の物はちょっと……)
自分自身、本格的に山登りを始めて最初に購入したのはキャラバンでした。性能的には申し分なく、岩稜帯では両神山の八丁尾根、甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根、八ヶ岳南部の縦走。テント泊のロング山行でも飯豊連峰、十勝・大雪山系など問題なく歩ききる事ができました。
その後はマインドルにメインシューズの座を明け渡しましたが、以降も日帰り用のシューズとして壊れるまで5年ほど履き倒しました。
そんな感じで機能面では価格と比べて大変素晴らしい靴ではあるのですが、欠点としてはやはり耐久面では値段相応で、3年程度でアッパー部分や内張りがヘタってきます。ただ、あくまで最初の一足なのでその後は状況に応じてグレードの高い縦走用の靴やトレランシューズを買い足したりするのも良いのではと思います。
現在の定番品はメンズが『C1_02S』、レディースが『C4_03』です。靴選びに迷ったら、とりあえずこれで良いと思います。
他ブランドだとメレルの『MOAB 3 MID』とかもおすすめです。商品名はハイキングシューズですが、ミッドカットでソールはビブラムと性能的には十分トレッキングシューズ寄りです。値段的にはこちらも手頃なので選択肢の一つとして。
どんな登山靴でもそうですが、注意点として購入時のフィッティング(試し履き)は必ず行いましょう。最近ではAmazonでも『Amazon Fashion』のカテゴリ内の商品は購入後30日以内であれば返品及びサイズ交換が無料なので活用すると良いでしょう。
靴の場合は、幾つかサイズ違いの物を購入して一足を残して返品するという方法が公式で推奨されています。(この時、商品タグは外さないように注意)
革製の登山靴を購入した場合はこちらの記事を参考にお手入れして頂ければと思います。(定期的にワックスがけしないと革部分が紙質化してボロボロになります)
第2位 厚手の靴下(登山用ソックス)

第1位の登山靴とセットで、同じく必需品です。登山用品店等でも靴を買うのは一足目と言えば、ほぼ必ず専用の登山用ソックスの購入も勧められます。
いくら自分の足に最高にフィットした登山靴でも、長い歩行による紐の緩みや汗の滑り等で大なり小なり靴擦れするので、その時に足を痛めてしまわないように専用の厚手の物を履くのが常識です。必ず用意しましょう。
・登山用靴下の選び方
素材はウールと化繊の混紡がおすすめです。ウール100%だと温かいですが高価な上に速乾性がいまいちなので最初に選ぶ一足としては微妙。逆に化繊100%だと速乾性は担保されますが、保温性とクッション性がいまいちです。その良い所取りの混紡という訳になりますね。
厚さは最初は靴擦れ防止の為にしっかりとした厚手のものを選びましょう。特に靴がハイカットの場合は踝部分が当たるので中厚手ではなく厚手以上が無難です。
それでも靴擦れしてしまう場合、薄手のインナーを最初に履いて二重履きすると症状が軽減されるのでおすすめです。(実際に私も5本指ソックスをインナーに履いて凌いでいます)
・初心者におすすめの登山用靴下
消耗品なので登山靴ほど拘らなくても大丈夫です。Amazonだと日本メーカーのNAIGAIの登山用ソックスが評判良く価格も手頃。
モンベルのトレッキングソックスも定番です。自分は専らこっちを履いてますが、そこまで性能差は出ないと思われるので正直どっちでも良いかなと。
第3位 登山用の服装・ウェア(インナー、アウター、帽子等)

こちらも重要です。高尾山等の初心者の方が多い山で、Tシャツ+Gパンの普段着みたいな格好で山登ってて、絞れそうなくらいに汗染みしている人を結構な頻度で見かけます。
濡れてただ不快なだけなら良いですが、水分が気化せず熱が逃げないので熱中症のリスクも上がります。また、汗冷えして風邪引いたり低体温症の原因にもなります。雨に降られたら悲惨の一言です。よって、インナー、アウター共に最低でも速乾機能のあるものを選びましょう。
防寒性についても重要です。山の上では時折、地上とは考えられないくらいに冷え込んだりします。特に稜線上だと常に絶え間なく風が吹き付けているような状況もあるので、季節に合わせた専用のアウターを一つは必ず持参しましょう。
・登山用のウェアの選び方
必ずしもハイブランドのもので身を固める必要はありませんが、最低限機能的なもの選びましょう。ただし乾きづらい綿製品はNGです。
インナーに関しては、速乾性の表示のあればスポーツ用の適当なものでいいですが、その上に着るシャツやパンツ、ウインドブレーカー等で速乾機能や山登りに使える程の耐久性があるものは限られるので、素直に登山メーカーのものを選びましょう。帽子(キャップやハット)も街用のオシャレな物では速乾性が劣るので、専用のものが無難です。
・初心者におすすめの登山用ウェア
迷った時はモンベルです。ファッション性を重視するならノースフェイスとかの海外ブランド買っても良いですが、機能的には現状モンベルで殆どの場合は問題がないので、コスパを考えるならそちらで十分です。
少し前は全身モンベルと揶揄されたりしましたが、最近では全身モンベルの人がむしろ多数派になりつつあるのでそうした声は全く聞かなくなりました。(円安と物価高とキャンプブームの終焉で、ハイブランド系のアウトドアグッズの人気が下火という事もあります……)
インナー、ウェア、帽子、防寒着等様々なアイテムがありますので、細かい紹介は割愛させて頂きます。モンベルのオンラインストアで一式見繕うと良いでしょう……一番良いのはモンベルの実店舗に行って試着しながら決める事ですが。
個人的に、敢えて一つ防寒着としてのおすすめを挙げるとしたらモンベルのウィンドシェル『EX ライトウィンド』。畳むと握り拳程度のサイズになる代物で、春のGW~秋の紅葉前の日帰り登山メインであればこれで十分。山の上は夏場でも急に冷え込む事があるので、お守り代わりにザックに忍ばせておくと安心です。
第4位 ザック(登山用のリュックサック)

ウェアに次いで重要なアイテムがザックです。
登山では基本、荷物は肩ではなく腰骨から上の背中全体で背負います。どういう事かと言うと、腰ベルトと胸ベルト、そして肩ベルトと負担を分散させる事によって一箇所に負担が集中する事が無くなるので、長期間背負っても比較的疲れずに歩く事ができるのです。
それに加えて登山用のザックは背中にフィットするように作られていて、その為の細かい調整が可能である場合も多いです。重い荷物を長時間背負う形になる登山では、このザックが登山向きかそうでないかで疲労度も変わってくるので、可能であれば用意しておきたいアイテムです。
ただ、日帰り程度であれば通常のアウトドア用のリュックサックでもある程度はどうにかなるので、ウェアに比べると若干優先度は下がります。
・登山用ザックの選び方
最初に買うのであれば容量は25~40リットル程度のものがおすすめです。
日帰り登山であれば20リットル程度の物でも事足りる場合も多いですが、容量的にギリギリで入れる物の吟味が毎回必要なのと(例えば、20だと調理用具等を入れるのは厳しい)、機能的に30リットル以上の物に劣る場合が多いので、最初は少し大きめのものを選んでおくのが無難です。
逆に、大は小を兼ねるという事であまりに大きすぎる物を選んでしまうのは、ザック自体の重量があるので最初の一つとしてはおすすめしません。ザックは登山に併せて容量を変えるのが鉄則なので、日帰りメインとなり得る最初の内は程々の容量の物(せめて40リットルまで)を選びましょう。
ベルトについては軽量のザックだと胸ベルトは省略されている事が偶にありますが、最低限腰ベルトが無いと肩への負担が大きすぎるので選ぶ際は注意しましょう。(25リットル以上であれば大体は付いていると思いますが)
他、ザック用の雨カバーはサイズに合ったものをセットで買いましょう。ザックを買う際の必需品で、これがないと雨に降られた時に荷物に浸水して大変な事になります。
・初心者におすすめの登山用ザック
こちらもウェアと同様に様々なモデルがあります。迷ったらモンベル……と言いたい所ではありますが、ザックに関しては他ブランドからも機能的で値段も手頃な物が多く出ていますので、幅広い範囲で目を通してみるのがおすすめです。
自分が今現在、日帰り用として使ってるのはドイターの『SPECTRO AC32』。背面がメッシュ構造なので蒸れ辛い上、ザックの構造も開放しやすくて気に入っています。
残念ながらこちらのモデルは生産終了品となっていますが、同じドイターで機能的に近いというか実質後継モデルと言える『FUTURE32』、女性用であれば『FUTURE30 SL』が販売されていますのでおすすめしておきます。値段も2万程度なのでそこそこ手頃です。
個人的に好きなブランドはカリマー。テント用のザックとして50-75、75-95の2つを持っていますが、どちらもカリマーを愛用しています。機能性とフィット感は他ブランドから抜きん出ていると思います。(あくまで個人の感想です)
カリマーだと『cleave30』、『lancs28』は山で実際に山登りしていてよく見かけます。(どちらも男女共用)
モンベルだとこの『ディナリ25』辺りが定番ですね。全身モンベルで日帰り登山している人はだいたいこれの20か25担いでる気がします。
そして、購入時できればやっておきたいのは靴と同様のフィッティング。背中の形というのは人それぞれ違うので、実際に背負ってみて背中にフィットするか、歩いた際に変に動いたりしないかをチェックしておく事が無難です。
ザックも登山靴と同様、Amazonにおいては『Amazon Fashion』のカテゴリ内の商品で、購入後30日以内であれば返品及びサイズ交換が無料です。フィッティングに活用すると良いでしょう。
第5位 ストック(トレッキングポール)

不要という意見も多いですが、個人的には山登りをした事がない初心者の方程おすすめのアイテムだったりします。
というのも、いざ登山を始めようとしているような人の場合、足腰や体幹の筋力が継続的に登山している人と比べて弱かったりします。筋力が弱いと一歩一歩の際に膝や足首等の関節部分にダイレクトに負担が掛かるので、その繰り返しとなる長時間の歩行で痛めてしまう事も珍しくありません。(登山中もしくは登山後の膝痛や足裏の痛みは初心者あるあるです)
しかし、その際にストックを使えば両足だけではなく両手にも衝撃が分散され、足の関節部分への負担は大きく軽減されるので予防になります。痛みも筋肉痛なら数日で収まるのでいいですが、関節痛は長引く上に症状が酷いと日常生活に支障を来す場合もあるので、いざ登山を始めようという早い段階から用意しておく事をおすすめします。
・登山用ストックの選び方
安価なもの効果な物ありますが、ある程度は値段相応です。極端に安いものは重かったり、値段の割にやけに軽いものは剛性に問題があったりします。
素材は主にアルミ製とカーボン製があり、アルミは重いが壊れにくく安価、カーボンは軽いが壊れやすく高価という特徴があります。最初はストックを使用した歩行も慣れておらず壊してしまいやすいのでアルミ製が無難でしょう。重量も全く無いよりは多少重さがあった方が歩行の際のバランスが取りやすいです。
収納時の機構については、大別して伸縮式と折りたたみ式の二種類がありますが、こちらについては好みなのでどっちでもOKです。また、伸縮式でも長さを固定する際にスクリュー式とレバー式がありますが、ねじ式は力が入りづらく止めにくいのでレバー式の方が個人的にはおすすめです。
他、持ち手の形状もI型とT型がありますがこちらも好みですね。基本的には始めたばかりであれば2本持ちのダブルが良いので(足への負担を軽減する事が目的なので)、ダブル向けのI型の方がおすすめです。
・初心者におすすめの登山用ストック
登山用ストックのブランドは、個人的にはブラックダイヤモンドかレキどちらかというイメージがあります。(自分はブラックダイヤモンド派です)
ブラックダイヤモンドだと自分が現在使ってるのが『トレイル』。アルミ製でカーボンと比べると重量感はありますが、耐久性は中々の物でここ5年程のハードな山行でも全く折れません……歪んで伸縮できなくなっても金槌で軽く叩けばOK。(叩きすぎると再起不能になるので注意)
レキは自分は最初の一本目で使いましたが、持ってしっくりくる感じはブラックダイヤモンドより上かも……『レガシーライト』といった廉価なモデルもあるので選択肢の一つとして。値段的にはブラックダイヤモンドのトレイルよりだいぶ手頃。(こちらは男女共用)
あと大事なのがデフォルトでも付いている石突き(キャップ)。こちらは完全に消耗品で使ってると擦れて穴が空きますし、そうなる前に石の隙間に引っ掛けて紛失してしまう事も多いです。
純正の高い物を買う必要性は皆無なので、補充の際は6個で500円台の中国の謎ブランドの物で十分です。失くした時の為に多めにストックしておくのがおすすめ。
第6位 ヘッドライト

登山では予定通りの時間に下山できないなんて事は日常茶飯事です。途中で足を痛めてしまったり、道に迷ったり、コース上に熊がいて先に進めなかったり(実際に経験あり)と理由は様々ですが……そうこうしている内に日没を迎えてしまうと、途端に辺り一帯は暗闇に包まれてしまいます。
その場所が稜線上であれば星明りがありますが、樹林帯では完全なる闇の中となります。当然、何かしらの光源が無ければ歩けたものではなくなるので、そういった非常時ではスマホのライト等を頼りに歩かざるを得なくなります。
しかしスマホのライトは光量も乏しい上にバッテリー消費も激しく、片手が塞がってしまう事で転倒時の怪我のリスクも上がります。なので、たとえ日帰りの際でも専用のヘッドライトを持参しておきましょう
あとは登山をするしないに関わらず、災害時用に1個は持っておくのが良いと思います。その場合は普段は防災バッグに入れておきましょう。
・ヘッドライトの選び方
性能的には輝度が高いに越した事はありませんが、あくまで非常時の転ばぬ先の杖で、ナイトハイクやテント泊縦走みたいにヘッドライトを使う事を前提とした登山ではない場合、必ずしも高輝度、高機能のものを選ぶ必要はありません。
とは言え、それでも最大300ルーメンくらいはあった方が歩きやすいので、目安としてそのくらいの輝度の物の中から選ぶのが無難でしょう。
あとは電池式(単4×3が定番)と充電式がありますが、登山中は充電の手段が乏しいので、日帰りでも基本的には電池式の方をおすすめします。泊まり登山になると電池式一択ですね。
・初心者におすすめのヘッドライト
ブランドではブラックダイヤモンドとペツルが定番です。最近はモンベルを使ってる人も見かけますね。
ブラックダイヤモンドだと自分は防水性能の高い『スポット350』を使用していますが、その辺りあまり気にしないのであれば正直どのモデルでも良いと思います。現在は最大300ルーメンの『アストロ300』が売れ筋のようなので、おすすめするとしたらその辺りでしょうか。
ペツルだと『ティキナ』が同じ最大300ルーメンです。ブラックダイヤモンドとはデザインや操作性が違うので、敢えて選ぶのであればその辺りが理由となるでしょう。
モンベルだと夜間のテント場で『コンパクトヘッドランプ』を使ってる人は割と見かけます。最大60ルーメンしかないので暗闇での本格的な歩行には向きませんが、単3×1で使用で使用できる上にコンパクト。完全な非常時用であるとか、メインで使うヘッドライトとは別の予備としてとかであれば選ぶのも有りかも。(これをメインとして使うのは正直おすすめしません)
第7位 紙の地図(山と高原地図など)

最近はスマホに登山地図を取り込んでオフラインで見られたりするので持ってない人は増えてますが、リスク分散で紙の地図を持参していく事をおすすめします。
実際、頻繁にスマホを操作してたらバッテリーどんどん消費しますし、視認性も紙のものと比べると大幅に劣ります。万が一バッテリー切れになってしまったり、スマホを紛失してしまえば地図を確認する事もできなくなってしまうので、保険として持っておくと良いでしょう。
個人的な感覚ですが、学生時代に山岳部等を経験していた人ほどリスク分散志向で持参率は高く、逆に社会人になってから始めたような人ほど持参率は低く、全て一元的にスマホで済ませてしまう場合が多い気がします。(以前五竜岳に登頂した時、紙の地図広げてると「スマホのバッテリー少なくて開きたくないからそれ見せて」なんて言ってくる人も居ました……)
・初心者におすすめの登山用地図
ド定番は昭文社の『山と高原地図』です。耐水性の紙なので土砂降りの中でも見られますし、何より取り出せばすぐに見られるのが手軽で良いです。(雨の中の濡れた手でのスマホの操作ほどストレス溜まるものもありません)
山と高原地図にはアプリ版もあるのでそれを印刷したものでも良いですが、通常の印刷用紙だとひとたび濡らしてしまえば滲んで解読不能のゴミになるので、最低限ジップロックに入れておきましょう。
おすすめは……都心からの出発で初めて山登りに行くとしたら定番はこの辺りの山域でしょうか。
山と高原地図は毎年1月頃に新しい物が発売されますが、1年で大幅に内容が変更される事は殆ど無いのでその都度買い換える必要はありません。(自分は10年以上前の物を普通に使ってます)
ただ、掲載されているルートが現在通れないなんて事も結構あるので、ネット等で最新の情報を得てから計画を立てるようにしましょう。
第8位 雨具(レインウェア)

最近は登山向けの天気予報の精度も上がってきたので、きちんと下調べさえすれば登山の途中で突然雨に降られるなんて事も減ってきました。実際、自分もここ暫くの登山で雨具を使用する羽目になったのは数えるくらいです。※悪天候が見込まれる日は登山をしないというのが登山界隈の常識です
とは言え、やはり山というものは地上よりも天気が変わりやすいですし、雲一つ無い快晴から急に暗雲立ち込めてきて土砂降りなんて事態も皆無ではありません。そんな時、そのまま全身ずぶ濡れという訳には行かないので、如何なる登山であっても雨合羽タイプの雨具は必携と言えます。(片手が塞がり強風で壊れてしまう傘は論外です)
ただ、雨具はあくまでイレギュラーな事態に備えた転ばぬ先の杖という用途であるので(日帰り登山に関しては特に)、登山を始めたばかりのような状況では高性能の物である必要性はそこまで高くはありません。適当なレインコートを入れておくだけで十分かと思います。
勿論、専用の物を持っていれば万が一雨に降られてしまった時の快適度は段違いなので、余裕があるのであれば用意しておくと良いでしょう。
※日帰りはともかく、途中で雨に降られる可能性の高い1泊以上の登山の際は、ちゃんとした登山用の雨具の持参は必須です。
・初心者におすすめのレインウェア
モンベルが定番です。ジャケット(上半身)とパンツ(下半身)どちらも必要なので、それぞれ購入する必要があります。自分自身も以前はモンベルのレインハイカーの旧モデル使ってました。
同じ『レインハイカー』の女性用はこちら。
登山メーカーで無いながら、山で意外と見かけるのはミズノの『ベルグテックEX ストームセイバーV』……もしかするとモンベル以上の普及率かも。上下セットで2万円しないのでモンベルのレインハイカーよりだいぶ手頃。耐水圧30,000mm、透湿性16,000g/m²で性能的にも申し分ないので、もし自分が今買う事になったら迷わずこっち選ぶと思う。
第9位 コンパス

これも個人的には必携だと思っています。
山登りでは原則、整備されているコースに沿って歩いていきます。ただそのコースの状態は千差万別で、公園の遊歩道のようなものから、自然に還りかけていて一見して道と判別できないような物まで様々です。
当然そうしたコースの状態によっては意図せず外れてしまったりして迷ってしまう可能性もあります。
登山では『道に迷ったら引き返せ』という鉄則があります。しかし、コンパスやGPS等といった方向や現在地を確認するアイテムが無ければ自分が迷っている事にも気付けません。なので保険として、アウトドア用のコンパスを一つ持参しておく事を強くおすすめします。
道迷い遭難の一例として、奥秩父竜喰山の有名な遭難事故(文春オンライン)を載せておきます。誤った尾根を下ってしまった事が原因で、コンパス一つあれば防げた事故でした。
山岳遭難では、怪我や滑落以上に件数として多いのが道迷い遭難という事を念頭にしましょう。歩いていて少しでも怪しいなと思ったらコンパスを確認、明らかにおかしい方向に進んでいる様子であれば引き返す……というその場その場での細かい判断が大切です。
・初心者におすすめのコンパス
正直、アウトドア用で耐久性がそこそこある物であれば何でも良いです。
敢えておすすめを挙げるとしたら、モンベルの『スリップオンリストコンパス』という腕時計のベルト部分に装着できるコンパスですね。遭難防止の為にはこまめな現在位置の確認が大事なので、腕時計と同時に確認できるこれは優れ物かと思います。
第10位 水筒(登山用のボトル)

日帰り程度であれば500mlのペットボトルを必要分持っていくだけで十分なのでこの順位。
登山用の水筒はペットボトル等に比べると重厚で、飲み口が大口径で水場での補給がしやすいのがメリット。逆に言えば、1泊2日以上で途中水場での補給があるような登山に行く場合でないとそこまでメリットを感じられないという事でもあります。
ただ、ペットボトルの飲料とは別に水を持っていきたい場合もあると思いますので、その際は必要に応じて1~2本用意しておくと便利かと思います。
・登山用水筒の選び方
大別してプラスチック製と金属製の2種類があります。
プラスチック製は基本的には透明で、中身の残量をひと目で確認できるのが特徴。金属製(アルミ製)は中は見えませんが、耐久性はプラスチックよりも上で熱に強いのが特徴。カビが生えづらいのもメリットですね。
重量も耐久性も正直どっちも大差ないので(プラ製で壊れた事は無いです)、好きな方を選べばいいかなと思います。
ほか、プラティパスやエバニュー等の畳めるタイプもありますが、これらはどちらかと言うと行動中に飲んだりして使う物ではなく、予備の水や料理用の水を運んだりするようなものです(ウォーターキャリーとも呼ばれています)。なので、メインで使うのはちゃんとした水筒タイプの物から選ぶ事をおすすめします。
・初心者におすすめの登山用水筒
プラスチック製であればナルゲン、金属製(アルミ製)であればラーケンが定番となります。容量は1リットルくらいのものがバランス良いでしょう。(500だと少なく、1.5だと少し持ちづらいです)
ナルゲンのボトルは広口が特徴のボトルで水を汲みやすいのがメリット。定番は通常の『広口1.0L』ですが、カラーバリエーション豊富で並行輸入品含めて種類は様々なので、お好きな物の中から。
金属製のラーケンはナルゲンボトルと比べると廉価です。こちらもカラーバリエーションありますので、お好きものを選びましょう。
折り畳みボトルは日帰り登山では殆ど使わないと思いますが、山で料理をしたい時に纏まった量の水を運ぶ際は便利なので、そのつもりの場合は1つは持っておくと良いでしょう。サイズは色々ありますが、入ってない分は折り畳めて小さくなるので、基本的には大きめの2リットルの物でOK。ブランドはプラティパスとエバニューが定番で自分は専らプラティパス派ですが、最近は安いエバニューの方が人気ですね。
何故、これらの道具が必要なのか
以上の紹介した10個の道具が、登山を始めるにあたって特に購入の必要性の高い道具となります。
では何故、これらの道具が必要なのか。この中だと極端な話を言えば第1位の靴と第2位の靴下さえあれば他は無し、服は普段着でも山には登れる事は登れます。靴もビーサンとかでも足の皮膚の厚さとガッツ次第では行けるかもしれません。
では3位以下のお世辞にもオシャレと言えないウェアとか、やたら高い雨具は一体何なのかと言うと、それは快適性と安全性の担保、そして特に大きいのはイレギュラーな事態に遭遇した時の保険なんですね。
なにせ山では何が起こるか分かりません。突然足を痛めてしまったり、急に冷え込んで低体温症になったり、道に迷ってしまったり……そうした救助を呼ばざるを得ない事態に陥るリスクもゼロではないでしょう。
ただ、登山は根本的に自己責任の世界です。自己責任とは原則として自助であり、最初から誰かに助けを求める事を前提としたものではないという意味です。つまり、登山者には誰かに助けを求めるような事態を自分が可能な範囲で回避する義務があり、その義務を全うする為に装備を整える必要があるという訳です。
足の痛みはストックやテーピングで軽減できます。寒さは防寒着か雨具を着込みましょう。道迷いもコンパスやGPSがあれば幾らかは回避できるでしょう。
勿論、一人の人間が持てる荷物の量は限られるのでリスクを完全なゼロにする事は難しいでしょう。しかし、最低限リスク軽減の努力が見える程度の装備(それが今回紹介した10個の登山道具)をしておくのが登山者の義務であり、山に入る為の資格だと自分は思うのです。
登山道具以外で必要なもの
最後に、登山道具以外で何を持ってくかを簡単に書いておきますので実際に山に登る際の参考にして下さい。
・食料
余るのが前提くらいの量を用意しておくのがおすすめです。
・飲料(水を含む)
こちらも余るのが前提の量を用意しておくべきですが、季節や気候によって消費する量がまちまちで判断が難しい。始めたばかりで見当が付かない場合、少し多めの量(3リットル程度)用意しておくのが無難です。
・非常食
万が一遭難した時の為に一食分くらい余分にお菓子を持っておくと安心。
・現金
何かあった時の為に多少纏まった金額を持っておくと安心です。急遽山小屋に泊まらざるを得なくなったり、タクシーを使わざるを得なくなったりと様々な状況を考慮しておきましょう。
・ペーパー(トイレットペーパー等)
やむなくアレせざるを得なくなった時等に使用。ペーパーが置いていないトイレも今時はかなり多いので、日帰りでも1ロールは持っていきましょう。
・日焼け止め
山の上は麓より紫外線が強烈なのでこまめに塗りましょう。
・救急箱的な物(ファーストエイドキット)
最低でも絆創膏と化膿止めを持っておくと安心です。
・スマホ+モバイルバッテリー
今時はスマホが山中でもスマホが使える所が多いので使用機会も多いです。
準備が整ったらいざ出発

装備も一揃い。必需品もザックに詰め込んで登山計画作り&登山届の提出も済んだら準備万端。その上でスマホとは別にカメラが欲しいなら持参しましょう。山の上で料理を楽しみたいならガスボンベ、バーナー、コッヘル。お酒は日帰りだったら下山後まで我慢ですね。
そして天気、自分自身の体調、行先の事前の下調べで特に問題が無ければいざ出発。非日常の世界を堪能しつつも、浮かれて怪我だけは無いように注意しましょう。
入門本も一冊は持っておくと安心です。とりあえず定番中の定番のヤマケイのものを紹介。



































