【2020年12月】御正体山・西丹沢登山についての情報と記録
2020年12月、御正体山から西丹沢方面の縦走登山に出掛けてきました。この記事ではその時の情報などを記しますので、実際に登る際の参考にして頂ければ幸いです。
目次
山域の案内
御正体山
御正体山は山梨県の都留市と道志村の境界上に位置している山で、相模川と道志川に挟まれた山脈である道志山塊の最高峰です。標高もさる事ながらその山体は立派で、遠くから見ても近くの三ツ峠山や杓子山と並んで大きく、付近の山々の中でも特に存在感がある山です。
日本二百名山に指定されているという事もありそれなりに名前が知られた山ですが、山頂付近は木々が茂り鬱蒼としているので展望は皆無です。ただ山頂肩にある峰宮展望台においては一方向が切り開かれており、富士山方面の展望スポットとなっています。
前述の通り展望の少ない地味な山ですが、都心からのアクセスもそこまで悪くない上に二百名山とネームバリューがあるという事もあって登山道や指導標については良く整備されています。近隣の丹沢や三ツ峠山等に比べれば空いておりそこそこ登り応えもあるので、人と干渉しない静かな山歩きを楽しみたい場合にはおすすめですね。
登山口までの公共交通を使ったアクセス
富士急行の都留市駅から北側の登山口である御正体入口バス停(三輪神社)まで富士急バスの便がありますが本数は非常に少なく、特に早朝時間帯の便が乏しいので登山に使えるバスは限られます(冬季を除く土休日は登山口に8時台、9時台着のバスがあります)。帰路の都留市駅方面行きに至っては平日の最終バスが午前中なので殆ど使い物になりません(土休日には15時台発のものが1本あります)。登山口までの距離は歩けなくもない距離(最寄りの谷村町駅から5km程度)なので、バスの本数の少ない平日はタクシーもしくは駅からそのまま歩き始めてしまうのが無難でしょう。
また御正体入口バス停から道なりに少し先に進んだ所にある道坂峠、山中湖村と道志村の境界に位地する山伏峠にもそれぞれ登山口はありますが、どれも同様にバスの便は貧弱です。
【時刻表】富士急バス(都留市~御正体入口・道坂峠、富士山駅~山伏峠等)
バスの便はありませんが東桂駅から鹿留川方面に進み、途中の池ノ平の登山口から入山するコースも割とメジャーです。谷村町駅から御正体入口方面に徒歩で向かうものと比較しても、山頂までの所要時間はそう変わりません。
甲相国境尾根
御正体山、道志川の南側。山中湖の東側の三国山から菰釣山を経て西丹沢に繋がる稜線は甲相国境尾根と呼ばれます。その名の通り甲斐(山梨県)と相模(神奈川県)の境界に位置する、標高1,100~1,300mのピークが続く尾根道で、ほぼ全域に渡って縦走路が整備されています。御正体山同様こちらも木々が多く展望は殆どありませんが、途中の菰釣山のピークに関しては富士山方面の展望が優れています。
※山梨県と神奈川県の境界なので定義上は西丹沢の大室山まで含まれますが、西丹沢は個別に後程取り扱うので、便宜上ここでは畦ヶ丸までの区間のみ触れています。
登山口までの公共交通を使ったアクセス
西側の三国山等の山中湖周辺の山を除き、路線バスが殆ど滅びている道志村内を登山口とする山が多いので、公共交通利用者には厳しい山域です。一応富士急バスの路線が山伏峠や菰釣山登山口の最寄りとなる中山バス停に10時台到着のものとありますが、帰路の最終バスが15時台でその上冬季は運休となったりと使い勝手は頗る悪いです。
ほか富士急湘南バスでアクセス可能な西丹沢ビジターセンターを起点として畦ヶ丸を越えてくる事も可能ですが、行程は長く日帰りでは厳しいので、その場合は途中にある菰釣避難小屋で一泊するのが一般的でしょう。
【時刻表】富士急湘南バス(新松田駅・山北駅~西丹沢ビジターセンター等)
西丹沢
西丹沢はそのまま丹沢山地の西側の山域の事で、厳密には主稜線(丹沢主稜)である塔ノ岳・丹沢山・蛭ヶ岳の西側に位地するエリアを指します。展望も良く人も多い東丹沢や表丹沢の山々と比較すると奥まった山深い所にあり、どのピークも鬱蒼としていて展望は乏しく地味ですが、その分人通りは少なく丹沢の他のエリアに比べると静かな登山が楽しめる山域です。
登山口までの公共交通を使ったアクセス
公共交通利用の場合は神奈川県山北町内、丹沢湖北部に位地する西丹沢ビジターセンターを起点としたものが一般的です。アクセスの際に利用できる富士急湘南バスの路線は新松田駅・山北駅を発着しており、本数は平日に関しては6.5往復。休日であれば多少増えます。
【時刻表】富士急湘南バス(新松田駅・山北駅~西丹沢ビジターセンター等)
本数は非常に少ないですが、橋本駅から津久井湖を経由して道志村東端の月夜野まで向かう神奈川中央交通の路線もあります。土休日であれば7時台に到着する便があるのでそこそこ使えます。ちなみにこのバス、丹沢主稜縦走の際の登山口となる焼山登山口のバス停も経由します。
注意点としてですが、橋本駅から月夜野まで直行するバスはなく全ての便が途中三ケ木にて乗り継ぎとなります。また終点月夜野から先の方面には道志村の市街地方面のバス路線がありますが全く接続していません。
大室山、加入道山方面の登山口は道志川沿いにあるので都留市駅、富士山駅方面からやってくる富士急バスの路線も利用できますが、別の項でも述べた通り登山に使えそうなバスは殆どありません。
実際の登山記録
今回は上記のコースで歩きました。
御正体山から西丹沢その1(谷村町駅→御正体入口→御正体山→山伏峠→油沢ノ頭)
初日は谷村町駅から御正体山を乗り越えて甲相国境尾根方面に向かいます。今回の行程ではコース上一切水場がないので7~8リットル背負ってと、そうした大荷物を背負っての登山口までの地味に長い舗装路歩きや、御正体山への結構な急登に早速打ちのめされかけるもなんとか登頂。展望は評判通りよろしくないですが、天気の方もよろしくなく、富士山はどの方角にあるのかわからない程に雲が多い。途中でストックが折れたりなんだりしながら先に進み、油沢ノ頭で日没となりテント泊。予定では菰釣避難小屋まで向かうつもりでした。
御正体山から西丹沢その2(油沢ノ頭→菰釣山→畦ヶ丸→加入道山→大室山→犬越路)
甲相国境尾根上のピークを踏みつつ西丹沢へ足を踏み入れる一日。この日もいまいち天気は良くなく、普段であれば臨める菰釣山からの富士山も雲の中。しかし前日よりは良く三ツ峠山や御正体山、箱根方面の山まで見えたのでひとまず満足。途中で二本目のストックが折れてしまうも杖代わりになりそうな適当な枝を拾ってなんとか対処しつつ、畦ヶ丸、加入道山、大室山と展望の殆ど無い西丹沢特有の地味なピークを踏んで回る。予定地の犬越路避難小屋まではなんとか予定通り辿り着けましたが、翌日の天気は……。
御正体山から西丹沢その3(犬越路→西丹沢ビジターセンター、帰路など)
最終日であるこの日は檜洞丸、そして主稜上の蛭ヶ岳、丹沢山と経て宮ヶ瀬に下る……予定でした。未明に様子見に小屋の外に出てみるもガスが濃く雪がちらついている始末。縦走は諦めてせめて檜洞丸だけでも……と回復を期待して日が昇るまで小屋に留まったものの、天気予報にて昼頃までこの調子が続くという事が判明。心が折れる乾いた音が無人の避難小屋に響き渡り、やむなくの途中下山となりました。