山とか酒とか

登山やお酒を始めとした趣味全般を雑多に、また個人的に有用だと思った情報を紹介しています。

御正体山から西丹沢その1(谷村町駅→御正体入口→御正体山→山伏峠→油沢ノ頭)

コロナに翻弄された2020年もラスト1ヶ月を残すのみとなりました。このくらいの時期に入ると流石に寒いのでテント泊の登山なんか普段はやらないのですが、10月末に行った尾瀬方面の登山が不完全燃焼な結果に終わってしまったので、今年はもう少し延長戦をと、近場の本来日帰りで登るべき山を無理やり繋げてテント泊(避難小屋泊)縦走と行ってきました。

行き先は御正体山から西丹沢にかけてのエリア。御正体山から甲相国境尾根の稜線かけては完全に未踏。西丹沢に関しては何年も前に最高峰である檜洞丸を日帰りで登った事がある程度で、殆ど足が向かない山域でした……どちらも公共交通機関を使ったアクセスが悪いのが原因。

ですが泊りがけであればアクセスが難しい甲相国境尾根の山々なども尾根伝いに歩いていける時間的余裕があるので、この際一気に歩いてみようと思った次第です。

結果として見れば今回の山行も3日目に雨に降られて途中撤退という至極中途半端な結果に終わってしまったのですが、泊まりがけの登山で山中ダラダラ過ごしたいという本来の目的は一応達成できたので満足しておきます……本音を言えばやはり丹沢主稜の方まで歩いて繋げたかったんですけどね。

f:id:SISIS:20201212010125j:plain

初日は富士急行谷村町駅からスタート。土休日のみバスを利用して最初の舗装路歩きはカットできますが、この日は生憎平日なので諦めて駅から歩き始めました。道中は水場が一切無く、7リットル以上の水を担いでの御正体山の登りは中々にきつく感じました……天気も悪い上に木々が茂っていて展望自体も良くないので修行のような登山。山伏峠から先は甲相国境尾根に入り菰釣避難小屋を目指すも途中で日没、タイムオーバーとなりやむなく油沢ノ頭のピークにてテントを張りました。

他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。

【2020年12月】御正体山・西丹沢登山についての情報と記録 - 山とか酒とか

谷村町駅→御正体入口

f:id:SISIS:20201209212910j:plain
f:id:SISIS:20201209212913j:plain

中央本線で西進。途中、大月駅にて富士急の下り始発列車に乗り換えます。この始発には何度か乗っていますが、こうまで真っ暗なのは初めてですね……一年で最も日の短い季節、未明というか夜と言ってももいい頃。

f:id:SISIS:20201209212918j:plain
f:id:SISIS:20201209212921j:plain

[6:42]谷村町駅出発

大月から数駅揺られて谷村町駅にて下車……都留市駅谷村町駅、どちらを出発しても大して距離は変わらないのですが、今回はこちらからスタート。

駅名の谷村町都留市中心市街地である谷村から取られており、かつては都留市(都留郡)の中心的な駅でした。一方で隣に都留市駅という市名を冠した駅がありますが、こちらは戦後の昭和の大合併において自治体としての谷村町を含めた都留郡の町村が合併し都留市が設立した後、都留市駅の旧来の名称であった谷村横町から改称された比較的新しいもので、その際に駅前にバスターミナル等が整備され名実ともに都留市の中心駅として確立しました。

しかしその後の車社会化の進行に伴い谷村の市街地は空洞化、どちらの駅も既に拠点性は失っています。現在の実質的な中心は後年になって郊外に新設された都留文科大学前駅で、特急も専らこちらに停車します。

ちなみにこのコロナ禍において、人との接触を避けるという名目で富士急行線内の多くの駅が無人化されており、この駅も例に違わずそうでした。かつての地域の中心駅が無人駅というのも寂しさを感じますが……コロナが収束したら本当に戻るのかな?

f:id:SISIS:20201209212935j:plain
f:id:SISIS:20201209212928j:plain

駅舎は昭和4年の開業当時のものと古いです。所々で和洋折衷の感があり、辺りが朝霧に覆われているのもなんとなく似合う。

f:id:SISIS:20201209212925j:plain

入口となる切妻屋根の先端に取り付けられている風見鶏。yは『Yamuramachi』の頭文字でしょうか。

f:id:SISIS:20201209212932j:plain
f:id:SISIS:20201209212939j:plain

駅見物を終えて歩き始めます……駅を少し進んだ所で交差するのは谷村の市街地のメインストリートである国道139号線。既に日が昇り始めている時間帯ですが、霧に覆われている為か辺りは薄暗い。

f:id:SISIS:20201209212943j:plain
f:id:SISIS:20201209212948j:plain

山の方に歩いていく。市街地を越えた所で小さな峠を越えます。

f:id:SISIS:20201209212952j:plain
f:id:SISIS:20201209212956j:plain

峠越えのトンネル。二本掘られてますが、旧道の方を歩行者用に転用しているという雰囲気。

f:id:SISIS:20201209213000j:plain
f:id:SISIS:20201209213006j:plain

峠を越えると再び山間の平地に出ます。沿道には人家も多いですが、道志村へのメインルートの一つなので車通りがかなり多い。途中にはコンビニもある。

f:id:SISIS:20201209213010j:plain
f:id:SISIS:20201209213014j:plain

ちらほらと火の見櫓が見える。山間の田舎町といった風情。

f:id:SISIS:20201209213017j:plain

平日は1日3往復しか走ってない路線バスが道志方面からやってきました……窓が曇っていたのでそこそこ乗客はいそうな感じ。逆方向に道志方面に向かうバスの始発が11時台とかなので登山にはまるで使えないのが痛い。

御正体入口→峰宮展望台→御正体山

f:id:SISIS:20201209213021j:plain

[7:45-7:56]御正体入口

御正体山の登山口に到着、近くに御正体入口のバス停があります。地図を見ると駅から1時間40分くらい掛かるとの事でしたが、頑張って歩いたからか1時間程度での到着となりました。もう既に疲れた。

f:id:SISIS:20201209213041j:plain
f:id:SISIS:20201209213036j:plain

入口には三輪神社という神社があります。いつものように安全祈願に立ち寄ります……ここで好天も祈願しておけばよかったね。

f:id:SISIS:20201209213031j:plain

三輪神社の社殿。三輪神社と言えば三輪山を神体として崇めている大神神社から分祀された神社ですが、こちらは御正体山を神体として崇めている。

f:id:SISIS:20201209213044j:plain
f:id:SISIS:20201209213049j:plain

登山口から林道が続いているのでそのまま道なりに進みます。途中で横切る小さな沢が今回の登山においての最後の水場

f:id:SISIS:20201209213055j:plain

水量はそこそこ。味見してみましたが、湧水ではなくただの沢水なのでまあ飲めるなという程度のもの。

f:id:SISIS:20201209213103j:plain
f:id:SISIS:20201209213058j:plain

途中で霧に包まれるものの空は至って晴れている……青空が視界に入った事で今日の天気は大丈夫そうだなと安堵しますが。

f:id:SISIS:20201209213106j:plain
f:id:SISIS:20201209213110j:plain

[9:12]菅野林道終点

分岐に突き当たり案内板に従い右へ。そこから少し進んだ所にいかにもな取り付きがあり、ようやく山道に入ります。

f:id:SISIS:20201209213114j:plain

取り付きから入った所。分かりやすい道ですが、伸び放題のススキで一見すると廃道の趣き。コロナ禍で刈払いとかしていないんでしょうね。

f:id:SISIS:20201209213118j:plain
f:id:SISIS:20201209213122j:plain

少し藪っぽかったのは入口付近だけで以降は歩きやすい道となります。青空が鮮やかで期待しながら歩を進める。

f:id:SISIS:20201209213130j:plain
f:id:SISIS:20201209213134j:plain

1.3kmの区間で500mの登りなのでそこそこ急坂です。水満載の荷物がやたらと重いので細かく刻みながら進んでいく。

f:id:SISIS:20201209213138j:plain
f:id:SISIS:20201209213141j:plain

青空を眺めながら歩いていく。今日一日好天だなーと、まだこの時点では疑っていなかった。

f:id:SISIS:20201209213149j:plain
f:id:SISIS:20201209213152j:plain

[10:37-10:48]峰宮展望台

御正体山の肩に当たる峰宮跡のピークに到着。峰宮展望台という名前だけあって一方向(富士山方面)の展望が優れています。付近の木にもそうした旨の張り紙が……では期待を胸に抱いて富士山を眺めてみましょうか。

f:id:SISIS:20201209213157j:plain

現場からは以上です。

f:id:SISIS:20201209213200j:plain
f:id:SISIS:20201209213205j:plain

気を取り直して先に……と気分を切り替えたい所ですが、なんか徐々に雲行きが怪しくなってきました。先程までの青空は一体?

f:id:SISIS:20201209213209j:plain
f:id:SISIS:20201209213213j:plain

木々の多い樹林帯、なだらかな坂を登りきった所が御正体山の山頂です。

御正体山→山伏峠

f:id:SISIS:20201209213223j:plain

[11:16-11:34]御正体山

今回の行程において最初の目的地である御正体山に到着。重荷の割には標準コースタイム前後で歩けているので良い感じ……山頂には御正体権現を祀る社が建っています。御正体という名の由緒は諸説あるみたいですが、何れにせよここも信仰登山で栄えたのでしょう。

f:id:SISIS:20201209213217j:plain

山頂周辺の雰囲気。展望は皆無ですが広々としていて開放感があります。江戸期には寺院が建っていたという説もあるらしいですがどうなんでしょう。

f:id:SISIS:20201209213228j:plain

そこそこ休憩したら先に進みます。天気は相変わらず雲が重い。気分も重く足も重い。

f:id:SISIS:20201209213231j:plain

山伏峠方面に進んだ所にも小さな社がありました。

f:id:SISIS:20201209213235j:plain
f:id:SISIS:20201209213240j:plain

山伏峠までの間には小さな起伏が幾つかありますが、急峻なものはなく難なく乗り越えていく。

f:id:SISIS:20201209213243j:plain
f:id:SISIS:20201209213247j:plain

天気が悪い上に樹林帯の中で展望も悪いので、足元から写真のネタになりそうなものを探してしまいがち。

f:id:SISIS:20201209213251j:plain

前ノ岳、中ノ岳、奥ノ岳といった具合に小ピークが続いていきます。各ピークにはベンチも設置済みと至れり尽くせりな感じ。

f:id:SISIS:20201209213255j:plain

一概に晴れと言ってしまうには微妙すぎる空模様。

f:id:SISIS:20201209213305j:plain
f:id:SISIS:20201209213309j:plain

踏み均された尾根道を進んでいく。道は良いですがすれ違う人は居ない。

f:id:SISIS:20201209213312j:plain
f:id:SISIS:20201209213317j:plain

鬱蒼とした木のトンネルを抜けると鉄塔と出くわす。

f:id:SISIS:20201209213320j:plain

奥多摩並みに鬱蒼とした山域ですが、鉄塔付近は切り開かれているのでそこそこ展望があります……天気が悪いので本来であれば間近に見えるはずの富士山も気配すらありませんが。

f:id:SISIS:20201209213326j:plain

石割山の右側に山中湖の湖畔……ではなく自衛隊の演習林が見えます。方角的にはその奥に富士山が見えるはずなんですが、中腹の裾野すら見えないという。

f:id:SISIS:20201209213330j:plain

鬱蒼とした道を黙々と歩く。晴れてたら日が差し込んでまた雰囲気違ったんでしょうけど、なんだか薄暗くておどろおどろしい雰囲気の尾根道でした。

山伏峠→石保土山→油沢ノ頭

f:id:SISIS:20201209213352j:plain

[13:46]山伏峠

山中湖村道志村の境にある山伏峠に到着。下ればすぐに国道413号線なので、ここを起点として御正体山、石割山、甲相国境尾根方面へ登山する人も多いです。通過するバスの便数も少ないですが、山中湖の湖畔にある平野バス停まで徒歩で1~2時間程度なので歩けない事もない。

f:id:SISIS:20201209213356j:plain
f:id:SISIS:20201209213401j:plain

峠付近には社がありました。古くからのものなんでしょうけど周囲は笹払いされておらず若干荒れ気味でした……最鞍部から少し進んだ所に下山道の分岐があります。

f:id:SISIS:20201209213405j:plain
f:id:SISIS:20201209213409j:plain

大棚ノ頭まで登り返しとなります。標高差100mくらいなので大した事ない登り。

f:id:SISIS:20201209213413j:plain
f:id:SISIS:20201209213418j:plain

途中で巻道がありました。尾根道よりも道は濃いですが……悩みましたが尾根を直登して大棚ノ頭のピークへ。特に何も見えない鬱蒼とした山頂。

f:id:SISIS:20201209213422j:plain
f:id:SISIS:20201209213425j:plain

大棚ノ頭から石保土山方面……に下ろうとするも道がありません。距離は短そうなので特攻しても良かったのですが、反対方向の三国山方面には濃い道が……一旦下ることにします。

f:id:SISIS:20201209213429j:plain

大仰な案内板の立つ分岐路に出ました。どうやら山伏峠~大棚ノ頭南分岐~石保土山といったふうにピークを踏まないコース取りになっているようで、先程スルーした巻道が正規ルートだったようです……持参の古い地図ではピークを踏んでいたので思いっきり間違えました。

f:id:SISIS:20201209213440j:plain

石保土山方面のトラバース路を進む。倒木にはキノコが蛾のようにへばり付いている。

f:id:SISIS:20201209213434j:plain

小さなキノコ共。たぶん食えない。

f:id:SISIS:20201209213448j:plain

再び送電線の近くに入り視界が開ける。

f:id:SISIS:20201209213443j:plain

恐らく不老山方面。雲で何も見えませんが、視界が開けて谷筋が見通せるというだけで少しは幸せになる。

f:id:SISIS:20201209213451j:plain

再び樹林帯の中を歩きます。道は丹沢の稜線並には整備されている。

f:id:SISIS:20201209213455j:plain
f:id:SISIS:20201209213500j:plain

ここに来て再び青空が見えるようになりましたが、雲が下がっていて山並みは何も見えない。歩いている稜線上も薄いガスが流れてくる事もしばしば。

f:id:SISIS:20201209213504j:plain
f:id:SISIS:20201209213508j:plain

何の変哲もない青空。山に引っかかった雲は重い。

f:id:SISIS:20201209213513j:plain

整備された階段。間に積まれたビニールの土嚢が滑りやすく、変に体重が掛かったせいかストックが一本折れてしまいました……まあもう一本あるから大丈夫かと続行。

f:id:SISIS:20201209213517j:plain
f:id:SISIS:20201209213520j:plain

[15:11-15:24]石保土山

特に展望のない石保土山に到着。ここもテーブルが整備されています……更に菰釣避難小屋方面に向かいますが、ストックが一本になってしまったので思うようにスピードが出ない。

f:id:SISIS:20201209213528j:plain
f:id:SISIS:20201209213532j:plain

小さなアップダウンを繰り返しながら先に進んでいきます。時折ガスに包まれる。

f:id:SISIS:20201209213535j:plain

霧の中、木々の合間に見かけた小鳥。

f:id:SISIS:20201209213539j:plain

一際目を引いたツチグリ。栗ではなくキノコの仲間で、突付くと胞子を吹き出します。

f:id:SISIS:20201209213542j:plain
f:id:SISIS:20201209213546j:plain

黙々と進んでいく。道自体は歩きやすいので難なく進めるのですが、大荷物の上に片方ストックだとやはり時間が掛かる。

f:id:SISIS:20201209213550j:plain

[16:35]油沢ノ頭到着

菰釣避難小屋まで残り1時間という所、このまま進んでも以降はひたすら暗闇の中となると思われ、途中の油沢ノ頭のピークでやむなくテントを張る事に……指定地ではないのでテントの写真は掲載しません。

f:id:SISIS:20201209213557j:plain
f:id:SISIS:20201209213603j:plain

晩御飯です。今年のテント泊登山はこれで終了の予定なので、近所の燻製所のちょっと良いソーセージアソートを持参してきました。ソーセージといえばビールなのでIPAエールを……こんなの担いでるから荷物が重くなるんだよ。

f:id:SISIS:20201209213609j:plain
f:id:SISIS:20201209213606j:plain

軽く炒めて頂きました。荷物が重く展望もない歩荷訓練みたいな一日でしたが、夕食から就寝前のこの気の抜けた時間が疲弊した心身を癒やしてくれる。

次回記事『御正体山から西丹沢その2』に続く。

inuyamashi.hateblo.jp