
飯豊連峰縦走の最終日となる5日目は杁差岳の山頂での日の出見物と、権内尾根経由での下山がメインの内容となります。先ずは前日の宿泊地である杁差小屋から日の出に合わせて杁差岳の山頂に登頂し、暫く景色を堪能した後は小屋に戻りテントを撤収。そこからいよいよ下山となり長者平、前杁差岳と酷暑の権内尾根を下っていく。千本峰、権内ノ峰、カモス峰と降りてきた所で樹林帯に入り、程なくして東俣川沿いに下山。そこから更に林道を東俣彫刻公園、大石ダムと進み米坂線の越後下関駅を目指しましたが、途中で近場に済む親戚の伯父さんに車で拾って貰い、その日は流れで近場の温泉旅館に宿泊。帰路を辿るのは翌日の午後からとなりました。
『飯豊連峰その4』の続きの記事となります。
他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。
今回歩いたルートのGPSログです。

山行記録
杁差小屋~杁差岳

最終日は杁差小屋からスタート。山頂直下の小屋という事で、テントを張ったまま日の出の見物に山頂まで移動します……まだ3時台というのに周囲は薄明るくなり始めていました。
次第に東の空が赤みを帯びてきた所。小屋泊の2人組も登ってきて、日が昇るまで暫く山座同定タイム。
日が出てくるのはどの辺りの山かなという話になり、結論としては船形山っぽいなと……船形山と言えば去年登ったばかりなのでなんとなく山の形は覚えてるのですが、確かにそれっぽいかも。(後々確認しましたが正解でした)
その右側に伸びているのが蔵王連峰や吾妻連峰、安達太良山等。気温が高く霞みがちで遠くの山が殆ど見えなかった今回の山行ですが、この日の日の出前は例外的によく見通せました。
船形山、二口山塊辺りの山名入り。船形山は去年春の残雪期、二口山塊は去年晩夏の蔵王連峰からの縦走とどちらも最近登ったばかりで、記憶に新しい山の名前が並ぶ。
こちらは仙台神室以南の蔵王連峰と吾妻連峰、安達太良山。どちらも稜線くっきりで細かいピークの判別もできました。
本来であれば一つ前の写真と結合させたかったんですが、撮影時に微妙にズレたりしたのか残念ながら上手く行かず……。

船形山(船形連峰)の三峰山の辺りから日が昇ってきました。ツボ足の北泉ヶ岳~三峰山きつかったなー、なんて事を思い出しながら眺める。
日が昇ってきた頃の空模様……この日も雲は少なく暑くなりそう。
更に昇ってきた頃。僅かな時間、周囲は一際強い赤に染まる。

日の出見物も一段落した所で2人組が小屋に戻ろうとしていたので、その前に写真撮ってもらいました。その後は飯豊本山バックにとか、杁差小屋バックにとか互いにリクエストしながら写真を撮り合う楽しいひと時。
日が昇った後の杁差小屋と飯豊連峰。この日も飯豊本山までくっきりと見えました。
飯豊連峰の望遠。見えている山の殆ど全て越えてきたと考えるとちょっと感慨深い。
山名入りです。大日岳は見えませんが、西大日岳は辛うじてといった所。飯豊本山が最終日でもよく見えていたのは嬉しい。
やや角度を変えて撮ったもの。日の出前によく見えていた船形山や蔵王連峰は霞んでしまい殆ど見えなくなりました。
小屋に戻る前に再度飯豊連峰の全景。また季節を変えて歩いてみたい山々。
山名入りです。今回の登山で、今までノーマークだった二王子山が登りたい山リストに加わった……行くなら残雪期に門内岳からの縦走かな。

杁差小屋の望遠。テント場は少々狭いものの小屋のキャパはだいぶ余裕ある感じ。

[6:28]杁差小屋出発
テントを撤収して杁差小屋を後にします。先程の2人組の方は片付け途中、一足先に権内尾根を降りるべく山頂に向かっていきました。
この頃になると頼母木小屋からのピストンの方々がちらほらと……杁差岳に登るのは丸森尾根か足ノ松尾根で頼母木小屋まで登ってそこで1泊、翌日に往復してその後下山といったコースが人気のようです。

杁差小屋……長閑で良い小屋でした。

[6:35-6:43]杁差岳
下る権内尾根は杁差岳を越えた先なので再び登頂。もう何度も登っているのでそのまま通過するつもりでしたが、なんだか名残惜しくなり最後に景色を目に収めておく事に。
山頂北側の展望。これから向かう権内尾根は右側の方に伸びている起伏のある尾根……見た感じ、最初のポイントである前杁差岳までも結構距離がありそうな。
中央の低くなった所にある山は大熊尾根。途中に小屋があり、かつては杁差岳登山のメインルートとして用いられていたコースのようですが現在は廃道となっています。
こちらは南側、もう何度も撮っている飯豊連峰ですが、去り際に一枚。
杁差岳→長者平→前杁差岳
杁差岳から権内尾根方面に進みます。長者平までの間は緩いアップダウンの道が続く……山の斜面には残雪も。
杁差岳と飯豊連峰を振り返った所。これまでの道と比べるとそこまで人通りは多くはないはずですが、道は比較的よく刈り払われていました。
少し進んだ所にある湿原が長者平。1~2週間ほど前の記録では一帯が雪に埋もれていたようですが、この時点では縁の方に残るのみとなってました。

[6:56]長者平
湿原の脇の道沿いには立つ長者平の看板。道には近くの残雪の雪解け水が流れ込んでいて、ちょっとした沢のような様相を呈している……残雪期の杁差岳での水の確保は、雪を溶かすよりもここで直接汲んだ方が手っ取り早いかも。
長者平の池塘越しの飯豊連峰と杁差岳。周辺一帯の笹が寝ているので、割と最近まで雪に埋もれていたような感じ。
長者平の雰囲気。雪解けからそう経っていないという事もあってか、高山植物の姿はまだありませんでした。

長者平から先に進むと前杁差岳が見えてきました。ここから見ると一際突き出た鋭鋒のようにも。
少し進んだ所から同方面。前杁差岳までの間は幾つかの小さなアップダウンを挟む。
更に進んだ所から前杁差岳。東側の斜面は風化が進み抉れている。
前杁差岳まで残り1回の登りとなった所。通過点の山ながら三角形の格好いい山容……この辺りの景色も全体的に開けていて良い感じ。


前杁差岳の登り。先程横から見た通り東側が崩れている。ザレも相まってちょっと怖いので、笹を手掛かりに登る。
ザレの登りから杁差岳。やはり大きくて存在感がある。


西側には麓の町と日本海の海岸線が見えてきました。場所としては胎内川沿いの旧黒川村辺りでしょうか……出発地の弥平四郎から離れて以来ずっと人里離れた山の奥でしたが、いよいよ麓が近付いてきた感が出てきた。
前杁差岳→千本峰→権内ノ峰→カモス峰

[7:21-7:29]前杁差岳
前杁差岳に到着。それまで鋭鋒のように見えていましたが、実際は手前から奥に伸びたような形なので、先程の坂を登りきったら暫く平坦な道を進む……歩いていて、そう言えば杁差岳の山頂から見た時は台形状のピークだったなと思い出す。
前杁差岳から北側、これから進む権内尾根方面の展望。手前に伸びる起伏のある尾根を辿っていくようです。


この辺りはドウダンツツジが沢山咲いていました。
更に進んだ所から権内尾根方面。少し先のなだらかなピークが次のポイントである千本峰のようです。

[8:19-8:28]千本峰
そのまま下って僅かに登り返した所が千本峰のピークで、足元に小さな看板が置かれていました。木々の間から見えるのは先程通過した前杁差岳……既にだいぶ下ってきた感。
千本峰からの展望。正面の山の手前の谷間に東俣川が流れていて、最終的にはその川沿いに下る事になる。


付近に咲くオニアザミとヒメサユリ。ヒメサユリはまだ時期的に早いのか最終日にして初遭遇。
正面に見えるピークの裏側に次のポイントである権内ノ峰となります。この辺りから標高が下がってきた事もあって灼熱地獄に……日差しで肌が焼ける。
痩せ尾根地帯から杁差岳、前杁差岳。長い道程。
更に進んだ所から北側の展望。痩せ尾根の先に見えているのが権内ノ峰です。権内尾根の名前の由来となるピークの割には存在感が薄め。
[9:05-9:23]権内ノ峰
権内ノ峰に到着。開けていて展望は良く、振り返ると杁差岳が堂々と。
しかしこの辺りの暑さは風が全く通らず特にやばめ。すれ違った人の話では麓の新発田は35℃超とか……6月の気温とはとても思えない。
権内ノ峰からの杁差岳。手前に前杁差岳が遮る形で聳えているので杁差岳そのものはあまり見えなかったり。

道端のタニウツギ。標高も1000を下回った頃という所で植生も徐々に変わってきた。


更に先では色鮮やかなヤマツツジが乱舞。緯度が高い分、関東の方よりは見頃だいぶ遅めですね。


こちらもヤマツツジ。酷暑の中の癒やし的な。


その先は僅かですがロープが敷かれた岩稜帯。地図にも表記されていたので身構えていましたが大した事は無く……。
この場所も含め、権内尾根はこれと言って特に難所は無く比較的歩きやすい道でした。コースそのものは長いので体力的にハードではありますが。

足元にはカラフルなニホントカゲが。
次のポイントであるカモス峰に近付いた辺り。この付近が最後に展望が開けた場所で、以降は下山まで鬱蒼とした樹林帯の中となります。
カモス峰→林道終点→東俣彫刻公園→大石ダム

[9:51-10:12]カモス峰
カモス峰に到着。ここで先行していた昨日の2人組に追いつく……暑さにかなりバテてそうでしたが、このピークは日陰である上に風も通るので涼しい。自分も20分ほどこの場所で雑談しながら涼を得ました。


カモス峰からは東俣川の沢沿いまで標高差500mを一気に下る。急坂ではあるものの、道筋はよく整備されていて歩きやすい。行程2日目の弥平四郎から上ノ越までのコースより整備されているかも。(あちらはまだ時期的に未整備だったかもですが)

東俣川の川沿いに下った所に掛けられているのが東俣第二橋。これ以降暫くの間コースは川沿いを高巻きするようなトラバース路が続きます。
第二橋からの展望。川面までだいぶ高さがある。

トラバース区間へ。他の方のログの写真で怖そうだったのでやや警戒気味でしたが、ここも基本歩きやすく大荷物でも問題なく通過。
トラバース地帯の様子。右下の草が開けた所が道。道自体はフラットで幅も別段狭くはない、ごく普通に歩ける道でした。

更に進み見えてきた橋が東俣大橋。登山道はここで終了なので一息つく感じ。
東俣大橋からの眺め。冷たい風が通り抜けていて天国のように涼しい。

[12:08-12:26]林道終点
橋を渡った先が林道の終点。そこからは更に林道歩きで大石ダム方面へ向かいます。
林道終点で河原に降りる道があったので、そちら寄って頭から水を被ったりして暫く涼む……本音を言えば泳ぎたいくらいだったけど、雪解けの時期だからか流れが凄まじく溺れそうなので自重。

東俣川沿いの林道は全体的に、これ林道?って感じに荒廃気味でした。気温的には麓の方が高そうですが、日差しのキツさが無い分先程までの尾根上よりはだいぶマシかも。

東俣彫刻公園手前の崩落箇所。車の通行は無理そうですが自転車は通れそうで、実際に林道終点まで往復する人も居るとか。

崩落箇所の所に水場があったので、涼むついでにここで水分補給。

[14:19-14:35]東俣彫刻公園
権内尾根コースの実質的な登山口となる東俣彫刻公園に到着。駐車スペースには本日すれ違った方々と思われる人の車が並んでいました……しかし公共交通利用の自分はそのまま駅まで歩き続行。

途中にゴジラ岩なる看板が。


見上げてみると確かにそれっぽいものが。


[15:28-15:49]大石ダム
東俣彫刻公園から1時間弱歩いて大石ダムに到着。この少し前で先程の2人組の車が通りがかり駅まで乗せてくれるとの有り難い申し出を頂きましたが……もう暫く歩きたい気分だったので遠慮してしまった。


事務所近くに建つインフォメーションハウスは博物館のような施設で見応えあり。このダムの水源地となるのか、杁差岳を始めとしたこれまで歩いてきた山々のジオラマなんかもあったり。

ダムカードも貰いました。ここ最近なんだかんだ集めつつある……。
ダムの天端からの展望。5日間の登山中ずっと好天だった通り、暫く纏まった降雨が無い為か渇水気味でした。


[16:38]県道272号線に合流後のピックアップ地点
大石ダムから更にそのまま米坂線の越後下関駅を目指して歩いていると、翌日挨拶に立ち寄る予定だった親戚の伯父さんが県道に合流した辺りまで迎えに来てくれてピックアップ。そのまま登山終了となりました。最初は駅まで歩く気まんまんでしたが、酷暑の中の舗装路歩きにうんざりし始めていたので正直助かったかも……。
【移動】旅館で満喫&東京までの帰路


登山終了後は付近の名店という『お食事処 とよふじ』にて少々早目の夕食。看板メニューという焼肉定食は焼肉は独特の香ばしい味付けで、ご飯2杯にビールのジョッキ2杯と進みに進む。


食事の後は同じ関川村内にある『雲母温泉 寿荘』にて宿泊。源泉かけ流しの湯量豊富な温泉を満喫をしました。

久しぶりの旅館らしい旅館での宿泊という事で浴衣姿を撮ってもらったり。

館内には田中陽希のサインがありました。杁差岳登山の際に宿泊したのかな。

翌朝の朝食……純然たる旅館の朝ごはんといったメニュー。写真には映ってないですが白飯がとても美味しかった。関川村は米どころ新潟の中でも特にお米のレベルが高い所らしい。


その後は父方の実家のお墓参りに行ったり、近くに住む親戚の果樹園を見させてもらったり、ザックに入り切らない程の手土産を頂いたりで、なんか完全に田舎に遊びに来た甥っ子のような感じに……。


ハウス内に吊るされた葡萄。収穫はだいぶ先といった所。


新発田駅まで車で送って貰ってそこから帰宅となります。この日の内に帰れれば問題ないので、帰りも往路同様に鈍行乗り継ぎ旅で……。


新津駅で乗り換え。このベンチ、見かける度に気になってる。


長岡駅から上越線へ。途中、よく行く上越国際スキー場を車窓から……最近は越後中里とかの方が多いけど。

水上駅まで来ると関東圏という事で、なんかもう帰ってきた感がある。

帰りの八高線の車内にて手土産に頂いた村上の酒のうちの1本、【大洋盛 特別本醸造】をテイスティング。日本酒度+5という数値通りの辛口酒ですが、思ったより甘味旨味も感じられる……。
今回の大洋盛に関する記事はこちら→『015|大洋盛 特別本醸造』

八高線の明覚駅で列車交換待ち。酔い覚ましにホームを歩いてみたり。

その後、夕食に八王子ラーメンを食べてこの旅は締めくくりとなります(店は福生ですが)。近場に住みながら初めて食べましたが、玉ねぎの甘味が凄く好み……近い内に本場八王子に行って有名店で食べてみたいかも。
という訳で、最終盤なんだか旅行気分というか親戚の家に遊びに行くような空気になってしまったので、飯豊登山の過酷さ(酷暑、残雪、ブヨの3トップ)がだいぶ薄れてしまったような気がしますが……これはこれで良いクールダウンになった気が。
次の行き先ですが、天気的には終始ほぼ好天で満足度の高い登山だったので当分はいいかなーって気分ですが、まだまだ長い夏ですし、あと1~2回どこか長めの登山に出かけたいですね。
※次回の登山はこちら→【2025年8月】中央アルプス
PR(分県登山ガイドの紹介)
分県登山ガイドの新潟県版です。新潟も谷川連峰や頸城山塊といった名山が多い県で、広範囲の山々を包括した一冊となります。今回登った杁差岳の内容もありますので、興味が湧きましたらどうぞ。





































