
自宅の晩酌用に相原酒造の【うごのつき 純米大吟醸 無濾過生原酒 雄町】を調達しましたので、甘口辛口などの味の解説やレビューをざっくばらんに書き殴ります。皆さんの日本酒選びに1ミクロンでもお役に立てますと幸いです。
一つ前の記事です→『011|谷泉×加賀鳶 2025 純米』
お酒のレビュー
概要と経緯
自分はこれまで恐らく300銘柄、スペック違いで2000種類くらいの日本酒を飲んでますが、これだけ数飲んでいると中には「ここの酒造は唯一無二だなー」と、推してもいいなと思える所も幾つかあります。
その中の一つがうごのつき(雨後の月)を醸す相原酒造。銘酒界隈では割と有名な所で、いわゆるフルーティ系とも評される吟醸香を前面に出した華やかなタイプの銘柄を多く醸しています。
フルーティ系のお酒は流行りなので割とどこでも作ってるのですが、ここのお酒が他と一線を画しているのがキレに対する意識(たぶん)。一般的にフルーティ系というか吟醸系の日本酒というのは甘口でノビ重視。なので単体で飲む分には美味しく頂けるものの、終わりに甘さが舌に残ってしまうので食中酒としては不向きだったりします(個人の見解です)。
一方で、ここのお酒は大半の種類でキレがしっかり確立しているので、どんなに甘くて華やかでも食事に合わせやすいんですね。そういう傾向(ノビとキレの両立)のお酒は他にもありますけど、ここのお酒は酒質が非常に繊細で、方針を突き詰めるという点においては頭一つ抜けている気がするんです……。

今回は無濾過生原酒の雄町でしたが、以前は山田錦を選びました。今回のお酒も中々でしたが、こちらの方も広がりとキレの両立が素晴らしいお酒でしたね……甘味は今回の雄町より控えめで、その分キレがシャープだった印象。

個人的に雨後の月で最も頻繁に飲んでるお酒はこちらの辛口純米と、その生原酒バージョン(『030|雨後の月 辛口純米 無濾過生原酒』で紹介)で、雨後の月ファンになったきっかけとなったお酒でもあります。
傾向そのものは辛口と標榜している通りですが、始まりの甘味旨味もしっかりとあり、そしてやはり終盤のキレが見事な一本。食中酒として秀逸という事もあり、年に1~2本は飲んでるかも……前回では今年のお花見のお酒に選んだ時でした。


うごのつき(雨後の月)を醸す相原酒造は広島県呉市の仁方という小さな港町にあります。町には呉線の仁方駅があり、昭和頃までは仁堀航路(呉線の仁方駅~予讃線の堀江駅)という、日本で国鉄連絡船が通じていた駅として有名ですが現在は無人駅。写真の木造駅舎はその時代の生き証人だったようですが、最近になって簡易的なものに建て替えられてしまっていて残っていないという。

仁方は現在でも瀬戸内海方面の海や島々への玄関口という位置付けの町のようで、大崎下島、岡村島方面へと続く安芸灘とびしま海道のアクセス口として付近にはバスも停車。自分が以前訪れた時も、四国の今治からフェリーを乗り継ぎ大崎下島、そこからバスで仁方まで行って呉線に乗り換えるというコースで辿りました。その時の旅行記(登山後)はこちら→『四国中国登山旅行10日目 芸予諸島巡り、大崎上島と大崎下島』

ちなみにですが、同じ仁方の町には宝剣の銘柄を醸す宝剣酒造もあります。こちらも銘酒界隈では今回のうごのつき(雨後の月)と並んで一線級に有名なお酒だったり。近場でありながらまた歴然と傾向が違う銘柄なので、また近い内に飲んでみたい所……。
味覚の傾向

初開栓の時は弟氏(吟醸系大好き&辛口酒アンチ)が居たので、いつもの家族と合わせて3人でのテイスティングとなりました。
犬山「一本空になったから開けられるけど何がいい?」
そう言って客人である弟に、冷蔵庫に入っている日本酒のリストが書かれたホワイトボードを見せる。
弟氏「うごのつきの雄町開けてよ。美味そうじゃん。駄目?」
犬山「別にいいけど、それ今現在うちで一番高い酒だから心して飲めよ」
そう言ってお猪口に注ぎ、最低限のレビューを依頼。
弟氏「甘くて華やか。洗練されてるね。流行ってるだけある」
犬山「キレあっていいでしょ」(まだ飲んでないけど断言)
家族「確かに飲み終わりさっぱり。あまり無いタイプというか、いつも飲んでるお酒よりグレード一段階上な気がする」
弟氏「今日で一番美味いお酒だと思う。辛いお酒ばかりだったし」
犬山「刺身にはさっきの百楽門(『019|百楽門 純米吟醸 無濾過生原酒 五百万石』で紹介予定)も良かったでしょ」
弟氏「うごのつきの方が絶対にいい」
家族「私はどっちも違ってどっちも良かった」
というやり取りの後、自分も飲んでみる。飲み始めはかなり甘めで華やか……しかし、やはり終わり際にスパッと鋭利に切れる。以前飲んだ山田錦の同スペックのものに比べると最初の甘味や膨らみは強いかもしれないが、全体的な傾向は近いと思う。
日本酒そのもののグレードというか点数を付ける考えは否定的な自分であるけど、こういうお酒はありそうで中々無いので大事に飲んでいきたいですね。(普段買ってるお酒の中だとちょっと高めだし)

※数値が高ければ味が優れているという訳ではないのでご注意下さい
料理との組み合わせ

今回は青椒肉絲との組み合わせ。全体的に濃い目かつスタートの甘味が強いので、味が濃いタイプの食事に合います。刺身だと赤身とかがいいかも。
しかし、この甘さと香り高さでしっかりと料理に合わせられるのは素晴らしいですね……85点の組み合わせ。
スペック一覧表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵元 | 相原酒造(広島県呉市)→(HPリンク) |
| 使用米 | 雄町 |
| 精米歩合 | 50% |
| 日本酒度 | -1.0 |
| 酸度 | 1.4 |
| アルコール度数 | 16度 |
| 種別 | 純米大吟醸酒(生原酒) |
| 購入価格(税込) | 4,180円(1,800ml) |
買えるお店の紹介(あれば)
全く同じスペックのものは見当たらなかったので、同じひらがなシリーズ(特約店限定)の特別純米酒を紹介致します。火入れですが使用米に雄町も含まれていますので、全体的な傾向は近いかなと思います。(価格もだいぶお手頃です)
※流通量の少ない地酒なので、品切れ&リンク切れの際はご容赦下さい。
次回のお酒はこちら→『013|伊根満開 古代米酒』
