
自宅の晩酌用に鶴野酒造店&福光屋の【谷泉×加賀鳶 2025 純米】を調達しましたので、甘口辛口などの味の解説やレビューをざっくばらんに書き殴ります。皆さんの日本酒選びに1ミクロンでもお役に立てますと幸いです。
一つ前の記事です→『010|亀齢 純米 クラシック』
お酒のレビュー
概要と経緯
冷蔵庫の日本酒の在庫が減ってきたので近所のS商店にて補充に行った時の事。何にしようかざっと眺めてみると、お店の冷蔵ケースの中でふと風変わりなお酒を発見。
これは初めて見るかも……と、手に取って説明書きを呼んでみると腑に落ちる。このお酒は能登半島地震で被災した鶴野酒造店(谷泉の銘柄がメイン)と福光屋(加賀鳶の銘柄がメイン)によるコラボ商品、いわゆる復興応援酒という位置付けのお酒で、ゆえに2つの銘柄を合体させたような特異なデザインとなっているようでした。
能登半島と言えば日本四代杜氏の一つである能登杜氏の発祥地とも知られ、今でも宗玄や奥能登の白菊を始め酒蔵も多い地域ですが、そのどれもが震災で甚大な被害を受けてしまったようで……ただ、中にはこのお酒のように他の酒造の応援があったり、酒造設備を間借りさせてもらったりして、なんとか酒造りの灯を消さないように頑張っている所が多くあります。(東日本大震災の時も赤武や磐城壽など、こういう動きは多かった)
という訳で自分も応援という向きは勿論あるけど、単純に谷泉と加賀鳶のコラボ酒は一体どんなお酒か、純粋に飲んでみたいという気持ちになったので今回はこのお酒に決めてみました。
お酒の内容としては、谷泉の純米酒と加賀鳶の純米酒を単純に1:1でブレンドしたものとの事。同じ酒造のものをブレンドしたお酒は多くあれど、蔵を越えてブレンドするというのは桶売り桶買いみたいなのを除けば今ではちょっと珍しい気もする。
ただ、現在は谷泉も加賀鳶も同じ酒造設備を作ってるので垣根はそこまで高くないのでしょう。(ちなみに被災した鶴野酒造店は2025年現在は福光屋の設備を間借りして共同醸造という形で酒造りを続けているとの事)
犬山「このお酒、どんな感じです?」
一応尋ねてみると、今書いた感じの説明を一通りしてもらった上で……。
店員「味わいとしてはすっきりとした辛口ですねー、けど薄くはなくて味はしっかり乗ってますよ」
犬山「なるほど」
ここ最近は甘くて濃いお酒ばかり飲んでいて、食事に合わせやすいドライ傾向なお酒を探していた所だったので渡りに船とも言えた。
店員「ちなみに試飲もできますけど、どうします?(この酒屋では時々試飲ができる。一例→『004|桂月 CEL24 純米大吟醸50 生酒』」
犬山「お願いします(食い気味)」
という訳で試飲した上で購入しました。味の詳細は味覚の傾向の所で解説。
本日購入したお酒、谷泉×加賀鳶 2025 純米(鶴野酒造店&福光屋 共に@石川県)
— 犬山 (@Urayama_City) July 19, 2025
能登半島地震で被災した鶴野酒造店と加賀鳶の銘柄で有名な福光屋が共同開発した企画酒。
いわゆる復興支援酒で、両者の代表銘柄を合体させたようなラベルデザインが印象的。 pic.twitter.com/8kQGVBfSSq


谷泉を醸す鶴野酒造店は、能登半島のいわゆる奥能登と呼ばれるエリアの中心部の能登町に位置しています。この辺りは自分自身がまだ高校生だった頃、のと鉄道能登線の廃止前に乗りに来て沿線をうろうろした事があったりします。当時未成年で当然お酒はご法度だったので、酒蔵があるという認識そのものが皆無でしたが……。
訪れた能登町の中心の市街地の宇出津は少し先にある奥能登の中心とされる珠洲よりも人が多い印象の町で、こんなに賑やかな所なのに廃止になるのか……というのが当時の印象でした。
能登線の廃止後は奥能登も輪島の方には割と行くものの、宇出津や珠洲方面は完全に足が遠のいてしまっていて(お酒を飲みながら公共交通で移動する旅行スタイルなので)、穴水より東はたぶん鉄道廃止以来踏み入れてない気がします。
そこで2024年1月の能登半島地震がありまして、色々と意識するきっかけができて最近ではちょっと行ってみたいなと思いつつもあったりする感じで。酒蔵でも珠洲の宗玄酒造なんかは現地での生産&販売も再開してたりするので、おいしい食事とも合わせての酒めぐりを今でも十分に楽しめそうではあります。


鶴野酒造店は能登町でも鵜川と呼ばれる集落にあります。流石に行った事は無いだろうと思って過去の写真を探してみると、現役当時の鵜川駅の写真が残ってました。このブロック造りの駅舎は今現在でも残っているらしいです。(今回の地震にも耐えたとか)

一方の加賀鳶の銘柄を醸す福光屋は金沢のお酒。こちらは都心にも直営店を持っていたりデパートでの取り扱いもあったりする北陸の酒造の中ではかなりの有名所です。加賀鳶は幾つか飲んだ事がある程度ですが、新潟端麗辛口みたいなイメージで飲んでみたら全然違って意外と旨口じゃん?みたいな印象でした。以来、割と気に入ってたり……個人的には【加賀鳶 極寒純米 辛口】を燗にしたのが好きです。
酒造は金沢にありますが、金沢を代表する観光地であるひがし茶屋街にも福光屋ひがしという立呑処兼アンテナショップを出してるみたいなので、お酒好きの方は立ち寄ってみては如何でしょうか?(自分が最後行った時はまだ無かったので未訪問……行ったらレビュー&ご一報よろしくお願いします)
味覚の傾向

例によって家族から先のレビュー。
家族「さっぱりしてる。さっぱり辛口」
犬山「新潟の淡麗辛口に近い?」
家族「そこまで薄くはないかも……よくよく考えると、そこまでさっぱりじゃないかな。それなりに濃いかも」
自分は試飲の上で買ったので味は既に知っていますが、立呑での試飲と腰を据えて飲んでみるのとでは印象も異なる……という事で心機一転、改めて飲んでみる。
まず最初に印象深いのが、ごわごわした角張ったタイプの旨味の広がり。それからワンテンポ遅れ、鋭利なキレによって押し流されるといった感じ。独特の清涼感も相まって飲む度に口の中がリセットされるので、青魚とかによく合いそうだなとイメージ。
ちなみにこのお酒、谷泉と加賀鳶のそれぞれの純米酒のブレンドという事ですが、おそらくは両者の酒質が近いのでしょう(同じ酒造設備を用いた上で、ブレンドする前提で作っているのですから当然ではありますけど)。ゆえに飲んでいぐはぐになる事は無く、もともと一つのお酒だったと言われても信じてしまうくらいには調和している良質な食中酒でした。

※数値が高ければ味が優れているという訳ではないのでご注意下さい
料理との組み合わせ

いかにも青魚に合いそうなお酒だなと思ったのでイワシの刺身と一緒に……ほぼ予想通りの相性の良さ。酒質がかなりドライなのでイワシの脂の甘味が引き立ち、お酒の方も清涼感ある芳香が引き立つ相乗効果。95点くらいの組み合わせ。

今度は鯖の押し寿司、アサリの酒蒸し、かぼちゃの炒め物等、様々なものに合わせてみました。押し寿司やアサリには言うまでもない相性の良さですが、特に良いなと思ったのはかぼちゃの炒め物。単体で食べていると甘くて手が止まりがちなので、それを辛口の谷泉&加賀鳶で流す。押し寿司85点、アサリ90点、かぼちゃ85点の組み合わせ。
スペック一覧表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵元 | |
| 使用米 | 五百万石、能登ひかり、フクノハナ、他 |
| 精米歩合 | 70% |
| 日本酒度 | +4.5 |
| 酸度 | 1.9 |
| アルコール度数 | 14度 |
| 種別 | 純米酒 |
| 購入価格(税込) | 3,080円(1,800ml) |
買えるお店の紹介(あれば)
Amazonと楽天どちらも扱っているお店が有りましたので紹介致します。ドライ&辛口で食事に合わせやすいお酒をお探しの方にはおすすめ。能登への復興支援にもなりますよ。
※流通量の少ない地酒なので、品切れ&リンク切れの際はご容赦下さい。
次回のお酒はこちら→『012|うごのつき 純米大吟醸 無濾過生原酒 雄町』

