
自宅の晩酌用に土佐酒造の【桂月 CEL24 純米大吟醸50 生酒】を調達しましたので、甘口辛口などの味の解説やレビューをざっくばらんに書き殴ります。皆さんの日本酒選びに1ミクロンでもお役に立てますと幸いです。
前回の記事です→『003|冨玲 純粋清酒(上撰)』
お酒の概要と経緯

秋の彼岸の頃のお話。お墓参りに家族で出向いた帰りの事、「そういえば冷蔵庫が日本酒1本分空いたから買ってく?」って事で、近所のS商店に立ち寄る事に。
ここの酒屋では時々商品の試飲をさせてもらう事が可能で、その場合はブログの方で「このお酒は試飲可能」と書いて知らせている方式。今回も【本金 ひやおろし】の試飲ができるという事が書いてあったので、それを試しに飲んでみて気に入ったら1本買おうという事になりました。
犬山「これ試飲できるって書いてありますけど、お願いできます?」
この日の店番の方は店主の奥さんと思われる女性でした。ちなみに冷蔵ケースには商品紹介の所に(試飲できます)と書いてあるので、ブログを見てなくても大丈夫。
店員「はーい、では少々お待ちくださいね」
そう言ってテーブルにお猪口(蛇の目)を並べて注ぎ始める。たまにこの店では試飲会を開いたりするので、その時に使うテーブルだろう。※店舗移転後はまだ参加していないので推測
本金は我が家では恐らくよく飲む方の銘柄だと思う。長野の諏訪にある酒蔵(酒ぬのや本金酒造)の銘柄で、諏訪五蔵という上諏訪の市街地に5軒ある酒造のうちの一つ。その中で初めて飲んだお酒という事もあって思い入れがあるので個人的に贔屓しており、今年も5月の美ヶ原→霧ヶ峰の縦走(記事未作成)の時の登山酒として【本金 純米吟醸 美山錦 諏訪 無ろ過生原酒】を購入したばかりだった。
犬山「これ使用米はなんです? 通常の純米のものと同じ?」
店員「そうですね、ひとごこちですから同じだと思います」
いつも通り、まず家族から先に飲ませて評価を訊ねるパターン。
家族「甘酸っぱい。これはかなり好きかも」
続いて自分も飲んでみる。ファーストインプレッションは甘味、それに続いて酸味と、これまで飲んできた本金の傾向に忠実な濃醇な味わいですが……。
犬山「これ、秋あがりじゃなくてひやおろし(火入れ)だよね……その割にはかなりフレッシュな感じする。生酒って言われても信じるかも」
店員「これは……(ラベルを再び見て)、そうですね。火入れですね」
犬山「かなり気を遣って瓶火入れしてるのかな。ただ新酒とは結構違うと思うし、これはこれで美味しい」
家族「うん。これが良い。これにしよう」
という訳で家族の評価も上々だったのでこれにしようかと決めかけたのですが……その後の店員さんの提案により、既定路線から大きく逸れる事になった。
店員「他に試飲できるものがありますけど飲んでみますか? 今だと天明の秋あがりが試せますよ」
酒飲みで、これ飲めるよと言われて断る人間はいない。「せっかくなのでお願いします」と言うと冷蔵ケースから【天明 秋あがり 生純吟】の瓶を取り出して注いでくれる……しかしサービスなのか、ここの試飲は普段飲みかと思うくらいに量が多く、蛇の目のお猪口のかなり上の方まで注いでくれる。嬉しいけど。
天明は福島の会津坂下のお酒。酒蔵までは足を運んだ事はないものの、日本酒飲み始めたばかりの割と早い段階から飲んでいるので、こちらも馴染みの銘柄と言える。
家族「さっきと比べると甘さは控えめかも。けど美味しい」
家族のレビューの後に自分も飲んでみる。さっきの本金とは傾向は異なり、こちらは甘さはメインではなく、むしろ酸味の方が主張している。味わいとしてはかなり複雑味があるものの、終わり際がさっぱりしていて上手く纏まっている感じ。
犬山「食中としてはこっちの方が合いそう。個人的には好きなタイプかな」
店員「これも結構人気なんですよ」
瓶を手に取ってラベルをまじまじ観察(この頃になると説明を待たずに直接見るように)
犬山「ラベルには生純吟って書いてあるけど、生酒とは書いてないから火入れかな」(後々調べてみると、出荷時に一回火入れの生貯蔵酒でした)
家族「火入れっぽいね。落ち着いてる」
傾向は違うが、これはこれで良いなとう評価に定まりつつある頃。
店員「あと、もう一本試飲用のものがあるんですけど」
店員さんはそう言いながら冷蔵ケースから更に1本【黒牛 純米 秋あがり】を出してきた。3本目になると「飲みますか?」の行程は省略され、空いたお猪口にそのまま注がれる。
家族「あ、黒牛だ」
店員「ご存知ですか?」
犬山「酒蔵行った事あるんですよ。自分一人だけですけど」


黒牛を醸す名手酒造店には以前、家族旅行で紀伊半島を巡っていた最中、自分一人別行動(紀勢本線で和歌山・大阪方面に向かっている途中、家族を置いて一人ぶらり途中下車で海南駅に降りた形)して訪れた事がある。家族にはその時の印象が強烈に残ってるようだ。(この旅行に同行した弟とも、たまにその話になる)
犬山「けど、この秋あがりは飲んだ事無いと思う。見かけはするけど」※実際はここでの試飲会で飲んだ事があった
先ず家族に飲ませてみる。
家族「濃くて飲みごたえがある。黒牛って濃いお酒が多いんだっけ?」
犬山「うちで買うのは濃いのが多いかな。これも原酒で度数が18~19あるからね」
自分も飲んでみると……確かに濃厚。味の傾向としては中庸から辛口寄りで、これも酸味が印象的。食中向けの味わいではあるものの、そのままで味わえてしまう全体的なバランスの良さも感じられた。
などとして予定外に3種の試飲となってしまった訳ですが……最初はなんだかんだで本金になるだろうと思っていたものの、ここまで色々と飲んだり話したりすると思考が混沌してきて、気付けば酒選びの迷宮を彷徨ってました。
犬山「で、どれ買う?」
家族に訊ねる。自分のポリシーとして基本、家族や他の人と一緒にお酒を買いに来ている時はその人に選んでもらうという事にしてます。というものの、自分一人で選んでばかりだと無意識でも似たような傾向のものばかりになってしまうので、意外性も無くつまらないんですよね。
家族「そういえば本金飲んだばかりだよね。個人的にはこれが一番好きだけど」
本金を買いにきたはずなのに、そんな事を言い始める。
犬山「確かに5月に美ヶ原持ってったばかりだね……まあ他から選んじゃっても良いと思うけど」
そう言うと、試飲したものではない全然関係ないお酒に目を向ける家族。秋田県のイラストが前面にプリントされた福乃友の純米吟醸と、ペンギンがプリントされたこのお酒【桂月 CEL24 純米大吟醸50 生酒】。その2つから迷った末に後者を手にとった。
家族「これがかわいいと思う。これにしよう」
という訳で結果的には予定していた本金でもなく、試飲した天明と黒牛でもなく、ジャケ買いという形で着地(不時着?)……お酒に限らず、迷いに迷うと予定していたものとは全然関係ないものを選んでしまうケース、割とあるあるだと思います。
本日購入したお酒『桂月 CEL.24 純米大吟醸50 生酒』
— 犬山 (@Urayama_City) September 25, 2025
CEL.24という吟醸香を引き立たせる酵母を使用したお酒。他にも興味を引かれるのは色々とあったけど、ラベルのペンギンと目が合った気がしたので今回はこちらに。
桂月は高知の土佐酒造の銘柄。銘柄自体もしかすると始めてかもなので楽しみ。 pic.twitter.com/Bt6Hd1CiuJ

桂月は高知県の土佐酒造のお酒。土佐町という、すぐ水不足になる事で有名(不名誉)な早明浦ダムの近くに酒蔵があるらしい……。
四国にも何度か行ってますが、こっちの方は行った事ありませんね。土讃線の大杉駅からバスが出てるらしいので、車なしでも行けない事は無さそうです……いずれ登ってみたいと思っている石鎚山系の麓にあるので、登山的にはちょっと気になる立地。(工石山経由で入って石槌山方面に縦走という案も考えているので)

写真は、2021年春に登った高知県と徳島県の県境にある三嶺(剣山系)の山頂。同じ四国山地とは言えど石鎚山系と剣山系で全然違いますが、石鎚山系には登った事無いので載せてみる。本州の山とはまた違った雰囲気の素敵な稜線でした……また行きたいな四国。
味覚の傾向

早速、今回も先に家族に飲んでもらい、レビューしてもらう。
犬山「どう?スペック的には華やかで甘めっぽいけど?」
家族「うん甘い。美味しい。あと酸味も少しあるかも」
犬山「酸味?」
家族「そう酸味」
自分も飲んでみると……甘味が強いので前面ではないものの、酸味の印象もかなりある。ただ酸っぱいという訳ではなく、甘味や吟醸感とうまく調和して終わり際を引き締めている感じ。
山田錦50の純米大吟醸の生酒という事である程度は味が想像(甘い華やかなお酒)できていましたが、この酸味はちょっと特徴的……CEL24という高知県の日本酒酵母が、"甘酸っぱさを引き立たせる"というものらしいので、その特徴が作用しているのでしょうか。
何れにせよ、この甘さ・華やかさ・ノビ・酸味・キレがバランス良く合わさった完成度の高い、ハイレベルなお酒でした。

※数値が高ければ味が優れているという訳ではないのでご注意下さい
料理との組み合わせ

かなり甘い酒ですが、酸味があるお酒なので色々な食事にも合うのではないかと、今回は鰊の刺身や手羽先の甘辛揚げとかと一緒に。手羽先には流石にお酒が負けてしまうものの(それでも悪くはなく60点程度)、鰊は脂の甘味とお酒の酸味が互いを引き立たせあって、中々良い相性に思えました。70点くらいの組み合わせかな。
スペック一覧表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵元 | 土佐酒造(高知県土佐郡土佐町)→(HPリンク) |
| 使用米 | 山田錦 |
| 精米歩合 | 50% |
| 日本酒度 | -4 |
| 酸度 | 1.4 |
| アルコール度数 | 15度 |
| 種別 | 純米大吟醸酒(生酒) |
| 購入価格(税込) | 3,960円(1,800ml) |
買えるお店の紹介(あれば)
記事で紹介したペンギンラベル(山田錦使用)は既に時期外れになってしまったのか扱っているお店が見当たらなかったので、代わりに吟の夢という酒米を使用した純米大吟醸生酒を紹介致します(使用酵母はCEL24で同じです)。スペックとしては、今回のペンギンのものと同じで日本酒度-4なので、全体的な傾向は似通ってるものと思います。
桂月を醸す土佐酒造はAmazonに日本の中小企業というカテゴリでストアを持っているみたいなので、興味がありましたら覗いてみて下さい。→『桂月 土佐酒造(Amazonストア)』
※流通量の少ない地酒なので、品切れ&リンク切れの際はご容赦下さい。
次回のお酒はこちら→『005|木曽路 上撰(本醸造)』
