
登山用のお酒として島崎酒造の【東力士 極雫 袋吊り純米生原酒】を調達しましたので、甘口辛口などの味の解説やレビューをざっくばらんに書き殴ります。皆さんの日本酒選びに1ミクロンでもお役に立てますと幸いです。
一つ前の記事です→『034|白鹿 すずろ』
お酒のレビュー
概要と経緯
こちらのお酒は2025年10月の那須岳から二岐山までの縦走登山の際の登山酒として調達したものとなります。
当ブログ内で何度か書いてますが、登山で担いでいくお酒の選定としてはなるべくその山に近いもの、もし製造元となる酒蔵があればそちらに立ち寄って調達するというスタイルを取っています。
ただ、今回は途中で立ち寄る時間が無かったという事もありますが、そもそもとして沿線(東北本線の栃木県内区間)各駅の徒歩圏内に酒造がないという事で、今回はバスの乗り継ぎ駅である黒磯駅近くの酒屋さんで調達となりました。


黒磯駅の駅舎。すぐ上部を東北新幹線が通過している事もあって独特な形状。在来線である東北本線においては直流と交流の境界の駅という事で今も変わらず重要な駅で、跨線橋から見下ろす構内は広々としている。少し前までは駅構内での地上切り替えという方式が取られていました。(現在は高久方面にデッドセクションを新設する事で解消されている)


その黒磯駅の駅裏にある枡忠酒店(室井酒店)へ。地方の酒屋で朝7時という早朝から開いているのは非常に珍しい……開店時間によっては現地でのお酒調達を諦める事もあるので有り難い限り。
入店すると、いらっしゃいませの挨拶と共に奥の方から店主のおじさんが姿を現す。
犬山「これから那須の方に泊りがけで登山行くんですけど、夜飲む用に何か日本酒探してまして……」
店主「そういうお客さん多いですよ。昨日も三斗小屋行かれる人が立ち寄られたりとか」
三斗小屋温泉といえば自分も泊まった事があり、そこでは食堂での夕食の際に持参したお酒を持ち込めるのでとても有難かった記憶がある。(今はどうだか知らないけど)
犬山「ちなみにですけど、この辺りのお酒を銘柄で言うと何がありますか? やっぱり大那とか?」
店主「色々とありますよ。今うちにあるのだと大田原の旭興のひやおろしとか、あとはちょっと離れますが烏山の東力士も色々種類置いてます……よければこっちに色々ありますので、お時間大丈夫でしたらじっくり選んでみて下さい」そう言って、店主は別室の日本酒セラーを指す。
都内だと四谷の鈴傳とか、昭島の長塚酒店とかだろうか。倉庫を兼ねた冷蔵室に客が入って目当てのお酒を探すというスタイルのお店だった。都内ではたまに見かけるものの、地方ではかなり珍しいかも……それだけ日本酒に力を入れているお店ということで期待も高まる。

日本酒セラーに入ると結構な種類が犇めき合っていてなおさら混迷を極める事に……そんな中、冷蔵室の突き当りに試飲コーナーを見つける。
下調べの段階で知ってはいたものの、こちらの酒屋ではなんと試飲(しかも手酌)ができるという。酒蔵での試飲は有料無料問わずよくあるけど、小売店である普通の酒屋がそうしたスタイルを取っている所は少なく、仮にあったとしてもその時期推している一種類か二種類飲めるようにしている程度。ところがこのお店の試飲用のお酒は……ざっと見た限り15種類は余裕で越える。こんな所は見た事がない。
乗車予定のバスの時間までそこまで余裕が無いものの、店主の方に試飲の断りを入れていくつか試してみる事に。栃木のお酒にも色々と面白そうなものはあるけれど、これから登山という時に流石に全種類試す訳にも行かないので、この付近のものに絞った上で試飲。
その中で、一口飲んでこれは凄いなと思ったのが、今回記事で取り扱う【東力士 極雫 袋吊り純米生原酒】。酒米の種類は不明ですが、スペックとしては60%精米(純米吟醸規格)の袋吊りの純米生原酒となります。
それを一本日本酒セラーから持ってくると……店主は「それ、うちの中でも特に売れ筋ですよ」と若干得意げ。
犬山「これが飲んで、おおってなりました。新酒みたいに荒々しいのに全体的に調和もきっちり取れてて」
店主「良いでしょう? だからうちでは一年中尽きないように多めに発注してるんですよ」
そう言われ、ラベルをよく見ると去年のロットだった。新酒の時期としてはまだ早いと思ってたけど……とは言え、こうして言われないと気付かないという事は管理状態が良いのだろう。
という訳で登山酒は無事に決まり、そのまま黒磯駅からバスに乗車、スタート地点である一軒茶屋バス停から3泊4日行程の登山が始まりました。
登山の詳細につきましては『【2025年10月】那須岳から二岐山』の記事を参照下さい。

せっかくなので山の写真も少しだけ。こちらは2日目に登った茶臼岳からの展望……この日は好天な上に空気も澄んでいて、奥に続く三本槍岳、朝日岳といった稜線の先には吾妻連峰や磐梯山、安達太良山といった東北の山々もくっきり見えていました。

こちらも2日目、三本槍岳北側の須立山からこの登山でのメインである甲子旭岳のピークを見据えた所。この辺りは紅葉が見頃でした。
味覚の傾向

ソロ登山だったので自分一人だけのレビューとなります。
さて、味そのものは購入時に試飲したので知っているのですが……キャップをひねると中々のガス感。瓶詰めから1年近く経過しているので、瓶内発酵が進んでいるのでしょう。吹きこぼれないように何度か開け締めを繰り返してガスを抜きつつ開栓。
飲んでみるとやはり炭酸は強め。試飲した物は炭酸は完全に抜けていたので甘味が結構強く感じられましたが、こちらは炭酸による酸味でややドライに感じられたりと、同一銘柄の同一スペックのお酒ながら印象がだいぶ異なる。とはいえ、これはこれで食事に合いそうなのと、ガスが抜ける過程での変化も楽しめるので二度美味しい、みたいな感じで個人的には好印象でした。

※数値が高ければ味が優れているという訳ではないのでご注意下さい
料理との組み合わせ

登山一泊目の夜、和製シャンパンかってくらいに炭酸が強いので、とりあえず肉物のコンビーフ炒めと合わせてみました。
試飲した時にはどちらかと言うと単体で楽しむお酒って感じでしたが、炭酸のおかげでさっぱりしているので相性は抜群、95点の組み合わせ。(登山補正あり)

二泊目の食事風景。この日はメインは缶詰のニシンの蒲焼。やや甘めの味付けですが、お酒の方も濃厚なので相性はそこそこ。80点の組み合わせ。(登山補正あり)

三泊目(最終)の食事は鮭カマ塩焼きと合わせてみました。この頃になると東力士のガスもそこそこ抜けてきており甘味が際立ってきた頃。カマ焼きは塩味がやや強めだったのでつまみとしての相性は中々でした。90点の組み合わせ。(登山補正あり)
こちらの酒カマ塩焼き、おつまみとして中々良かったので紹介しておきます。若干オイリーで塩気があるのでそのまま食べると若干くどいのですが、その分お酒との相性は良いのでおすすめです。
スペック一覧表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵元 | 島崎酒造(栃木県那須烏山市)→(HPリンク) |
| 使用米 | 不明 |
| 精米歩合 | 60% |
| 日本酒度 | 不明 |
| 酸度 | 不明 |
| アルコール度数 | 17度 |
| 種別 | 純米酒(生原酒) |
| 購入価格(税込) | 1,815円(720ml) |
買えるお店の紹介(あれば)
極雫の同じスペックを楽天の方で見つけましたので紹介(Amazonでは取り扱い無し)。華やかで味わい深く万人受けするタイプという事で色々な方に飲んでもらいたいお酒。袋吊りにしては価格も比較的リーズナブルなのも良さげ。
東力士の銘柄の中でAmazonの方で扱ってるものだと、熟露枯という10年ものの熟成酒がありました。四合瓶で1万円(贈答用としてはそこそこ?)と日常的に飲むタイプのお酒ではありませんが、変わり種として紹介しておきます。
※流通量の少ない地酒なので、品切れ&リンク切れの際はご容赦下さい。
次回のお酒はこちら→『036|菊水 ふなぐち スパークリング』


