山とか酒とか

登山やお酒を始めとした趣味全般を雑多に、また個人的に有用だと思った情報を紹介しています。

山とか酒とか

天守山地から御坂山地その1(白糸の滝→天子ヶ岳→長者ヶ岳)

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いつか登ってみたいなと思っていた毛無山に行ってきました。

標高は2,000m弱と別段高い山という訳でもないですが、御正体山から杓子山、御坂山地と続く富士山を取り巻く一つの山地と考えると一際高いピークで、実際に奥秩父の山なんかから眺めたりすると大きな山体で中々に存在感がある。山の形としては鋭鋒という部類のものではなく、むしろなだらかで迫力のようなものは感じられない。しかし、なんとなく心惹かれるような山でした。

実際に行くとなると、問題は交通アクセス面。毛無山は日帰りで登るのが主流の山ですが、都内から行くとなると河口湖の駅から本数の少ないバスの利用となる。タイミング良く乗り継げたとしても麓に着くのは昼前。それからの登山となると最短コースを辿ったとしても時間的に余裕がなく、そんな慌ただしい登山はやりたくないので却下。

案として思い浮かんだのは、山麓をベースキャンプとして竜ヶ岳、雨ヶ岳を併せて周回してくるというもの。朝霧高原本栖湖の周辺は殊更キャンプ場が豊富なので難しくはないでしょうし、もし実際に行くのならこういうコースになるんだろうな……と思いつつ、2~3年くらい計画を温めていました。

しかし今年の秋、予定していた頸城山塊、台高山脈の縦走登山が悪天候やらで悉く流れてしまい、晩秋で行ける山域が限られ始めたこの時期。温めていた計画を掘り起こして毛無山行きを急遽決めたという次第です。

しかし長いテント泊登山をやりそびれていたので、長期の縦走をやりたいという気持ちも燻っている。毛無山近辺の地図を眺めてみると、毛無山を擁する天守山地は南の天子ヶ岳まで長く伸びており、北部方面も本栖湖精進湖の周囲を取り巻きつつ御坂山地に連結している……これを繋げて歩いたら相当に歩きごたえがあるのでは?と思って急遽拵えたのが今回のコースでした

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初日の行程です。正午近くになってからの登山開始という事で、大して歩いていません。白糸の滝の見物後に西進して天子ヶ岳へ登り、そこから尾根伝いに長者ヶ岳付近まで移動。その地点で日没を迎えてしまい、あえなく時間切れとなりました。

他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。

【2021年11月】天守山地から御坂山地、情報と記録 - 山とか酒とか

目次

富士宮まで電車移動

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おなじみの電車移動です。普段なら中央線で直に山に分け入っていくのですが、今回は一旦東京駅へ移動して東海道線の始発に乗り込みます。純粋な旅行ならともかく、山を登りに一旦海の方に出るというのは妙な気分。

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ぼーっとしている間に静岡県入り、三島駅で乗り継ぎです。ちょうど通勤通学のラッシュの時間帯で、これから山を登りに行く身としては少し肩身が狭い思い。なんとなく。

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富士駅身延線に乗り継ぎ……身延線なんて乗るのいつ以来だろう。10年くらい経ってるかな。

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北側にある専用の行き止まりホームを発着する身延線。出入りする電車は2両くらいの短編成のものが殆どを占めており、一転してローカル感がある。

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富士駅構内の様子。静岡県内の主要駅の一つには違いないですが、コンパクトに纏まっているような印象を受けます。

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東海道線は貨物輸送の大動脈……という事で頻繁に貨物列車が行き交っていました。

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身延線に乗り込み進路を北に変えると程なくして車窓には富士山が見えました。11月の富士の雪は山頂部に僅かに掛かるのみ。

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途中の富士根で降りてみました。今回は富士山を取り巻く山の縦走であり、何かと富士山を近くに感じられそうな登山になりそうでもあります。なのでその前哨戦とも言うべきか、富士山を落ち着いて眺められるような小駅にちょっと降りてみたかったという。

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富士根の構内の様子。身延線富士宮までの区間は複線ですけど、先程乗っていた東海道線なんかと比べるとローカル感がある。どことなく青梅線みたいな雰囲気。

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旧態依然とした構内踏切。バリアフリー化される駅が増えているので、こういう昔ながらの佇まいを残す駅も減ってきた。

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ホームから臨む富士山……という訳で、富士→富士根富士宮と富士が付く駅を続く事になりました。特に意味はありません。

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バスに乗り継ぐ富士宮で下車します。右側に見える1番ホームはかつて日蓮正宗の総本山である大石寺への参詣客を乗せた、所謂創価臨(参詣客に創価学会員が多かったのでマニアからそう呼ばれた)の団体列車の発着に用いられたホームとして有名で、富士宮の駅も今とは比べられない程に賑わっていました……しかし、その参拝客の大半を占めていた創価学会日蓮正宗と関係を断った事で団体列車はほぼ消滅。ここ暫くは一部の臨時列車が極稀に入るのみで使われておらず、線路は赤茶色に錆びています。

そうした栄枯盛衰の認識が頭の片隅にある為か、コンコースも人気が無くガラーンって感じの印象で人口13万人規模の都市の中心駅としては寂しく感じます。電車の本数も30分に1本くらいしか無いからでしょうか。

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駅の外に出た所。やや大仰気味な感じのペデストリアンデッキが設けられていますが、人通りは少ない。

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少し位置を変えてみたら富士山が見えて一安心。

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北方向に伸びる駅前通りを進んでいきます。電柱は地中化されていて、すっきりした印象の道。空も広く感じる。

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通りかかると何やら出店が並んでいました。調べてみると毎月16日に十六市という名の朝市が開かれるらしい。ちょっと唆られましたが、午前10時からの開催までもう暫く時間があるという事で今回は通り過ぎるのみ。

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富士宮中心市街地に近付くと、昔ながらのアーケード商店街である本町通りが伸びています。富士宮は元は大宮という名で、街の中心に鎮座する浅間大社門前町(鳥居前町)として形成されました。

戦国時代にはこの地を収めていた富士氏の居城である大宮城浅間大社近くに築かれる等して既にそれなりに栄えていましたが、江戸期に入ると富士山信仰の大衆化、所謂富士講の流行に伴い、大宮の市街地は山梨県の吉田(現在の富士吉田市)に並ぶ富士登山の登山基地として大いに発展。現在でもシーズン時には富士宮口五合目までのバスが運行されたりと、富士山登山においてのアクセスの拠点となる都市の一つとして知られています。

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浅間大社の入口が見えてきました。駅から少し歩いた所、隣駅の西富士宮駅の中間辺りに位置しています。

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浅間大社境内の湧玉池を水源とする小川を越える。以降は西富士宮駅方面まで暫くの間アーケード街が続いています。元来は門前となるこの付近が街の中心だったのでしょうか。

現在は人通りは少なく静かですが、近辺には観光案内所や富士宮焼きそばのアンテナショップ、観光客向け商店街のお宮横丁があったりと、富士宮駅以上に観光拠点的な場所だったり。

浅間大社と酒蔵巡り

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久々に訪れた富士宮の街。ただバスに乗り継ぐだけというのも勿体無いので浅間大社にも寄ってみました。訪れるのは多分二度目。

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大鳥居から臨む富士山。流石に規模は大きく広々としている。

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途中の小橋からの富士山

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富士山を視界に入れつつ先へ進む。富士信仰の中心的場所という事もあり、付近からの眺めは良い。

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参道を進んでいく。数は少ないですが屋台も立ち並んでいる。休日でも祝日でもないウィークデーなんですが、常設の屋台なんでしょうか。

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入口にある源頼朝像。現在、浅間大社で執り行われている流鏑馬の神事は1193年、頼朝が軍事演習の一環として行った富士の巻狩りに際して、浅間大社流鏑馬を奉納した事が発祥とされている。

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境内へと続く楼門。入口の脇には2021年の干支である牛の絵馬が掲げられている。

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楼門の様子。浅間大社の社殿は江戸初期、徳川家康の造営とされており、本殿、拝殿、楼門に関してはその当時のものが現存しているとの事。

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境内の様子。全国数多にある浅間神社の総本社とされている。ちなみに富士山の山頂一帯はこの浅間大社の私有地となっており、浅間大社奥社やその末社である久須志神社が建つ。

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広々とした境内。まだ9時過ぎなので観光客の姿は少なく静かな雰囲気。朱色に塗られた社殿が美しい。

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拝殿の背後の本殿を覗きに行きます。楼門や拝殿と同時期の建築ですが、本殿のみ重要文化財に指定されている。

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拝殿の内側と本殿外観。本殿は重層の楼閣のような構造で、神社建築としては特異な造りとされる。

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酒飲みとして毎回目が行く奉納酒樽。富士山に由来し富士山を信仰する神社という事もあって、銘柄も富士を冠したものが多い。

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境内の東側には湧玉池という水源があり、水汲み場も設けられています。浅間大社に寄ったのはこれから山に担いでいく用の水を汲む為でもあったり……。

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湧玉池の全景。中央の橋が掛けられた所には末社である厳島神社の小さな社が鎮座する。

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鴨が優雅に泳ぐ湧玉池の様子。富士山の伏流水が水源で年間通して湧出量は一定、水温も安定しているという。水質も良いようで、水底には梅花藻が繁茂している様子が見えました。

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水汲み場と池の脇に設けられた禊所。一通り見物は終えたという事で、本来の目的である水汲みに向かいます。

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水汲み場の様子。水量は豊富なようで、竹樋からドバドバと景気良く流れ出している。水温は10℃より少し上の所で安定しているとの話なので、キンキンに冷えているという訳ではない。味わいや口当たりに関しては、流石は富士山のバナジウム天然水という事で文句無し……煮沸云々はこの手の水場でよくある保険的な張り紙ですね。(実際に煮沸して飲んでる人って居るんでしょうか?)

で、ここを逃すと翌日の毛無山手前の地蔵峠まで水場がありません。晩秋でそこまでがぶ飲みしないとは思いますが、念の為に6リットル汲んでおく。

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御朱印も頂きました。昔一度訪れた際にはまだ集め始めていなかったので……そして御朱印帳も残す所あと1ページという所に。

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境内に季節外れの桜が咲いていました。十月桜という訳ではなく、枝の先端に僅かに見られる程度。

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浅間大社の境内を西側に抜けて南北を走る街道沿いを北方向に進みます。この道は中道往還と呼ばれる甲府と吉原(東海道吉原宿)を結んでいた古い街道で、東海道甲州街道を結ぶ主要街道の一つでした。現在でも富士宮から白糸の滝、朝霧高原富士五湖エリアを結ぶ主要道でもあり、国道139号線はそのルートを概ね踏襲している。

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その中道往還を少し北に進んだ所に富士高砂酒造という名の酒蔵があります。いい感じに年季が入った雰囲気ですが、全体的に小奇麗で気軽に入れそうな店構え……今回担いでいくお酒はこちらでの調達となります。

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酒蔵の入口。敷地の隅の方には水が流れており、後で聞いたら酒造用の仕込み水と同様のものという事。自由に汲んで良いとの事でしたので、浅間大社で汲んだ6リットルに加えて予備用の水筒にもう1リットル追加で汲みました。激重。

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酒蔵の中の様子。店内には冷蔵ケースがずらりと並びます。綺麗に整頓された内装を見た限りでは蔵元での小売も率先して行っている雰囲気。浅間大社に立ち寄った観光客なんかも一定数立ち寄ったりするのでしょう。

一般の観光客というのはせいぜい土産として買う程度で、冷蔵保存前提の面倒な生酒は面倒がって敬遠してしまいがち。観光地に立地する酒蔵はそうしたニーズに合わせて、ラインナップが火入れ済の常温酒に偏っている所も結構多いんですよね。

その点、この生酒の種類の豊富さは否応なく期待してしまいます。写真は掲載していませんが、常温酒の方も充実しています。

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幾つか並ぶ冷蔵ケース。日本酒の他に酒粕、甘酒……変わり種としてヨーグルト酒なんてものもあります。右のケースの高砂がレギュラー的な銘柄で、奥の駿州中屋は近年特約店向けに拵えた新しい銘柄。中屋の方は居酒屋かどこかで見掛けた事がある気がします。

そして左の冷蔵ケースに入っているものは蔵元販売のみの高砂の銘柄。所謂隠し酒という扱いで、裏という名の通りラベルの文字が左右に反転されています。

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試飲用ブースも設けられており、とりあえず限定の高砂を4種類程お試し。本来であれば全種類試してみたかったのですが、これから山に登るので少し自重。

高砂はレギュラーの高砂や中屋とはタンクそのものが別で、小仕込みで専用に醸造しているという。山田錦や雄町、辛口、山廃とスペック違いを10種類くらい見掛けたので手間が掛かってそうな印象ですが、試験醸造的な意味合いもあるのでしょう。

試したのは純米、本醸造、山廃純米雄町、からくちで全てが生原酒。純米はスダンダードな米の甘味、本醸造は甘味の終わりにキレ、山廃純米雄町は爽やかな甘味と酸味を前面に、からくちは甘さ辛さの抑揚のある味わい……といった具合にそれぞれ楽しめるのですが、全体的にそこはかとなく清涼感を感じたのは富士山の伏流水である仕込み水由来のものでしょうか。

持っていくのは一本なので、ポケモンの御三家を選ぶ時と似たような迷い方をしてしまう訳ですが、山廃純米雄町が特に気に入ったのでこちらを一本購入。

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建物の外観と高砂の酒樽。酒瓶の収納を待つザックの姿が見える。

前回の槍穂の縦走の際は岩場続きなので荷物の量をセーブせざるを得なかったのですが、今回はこれといって難所は無いので四合瓶を担いでいく本来の自分の登山スタイルで挑めます。

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入口で写真撮りまくっていたら中の人が出てきて記念写真的なものを撮ってくれたりとホスピタリティに溢れる酒蔵でした……人様に撮って頂いたらブログに載せるというのがポリシーなので掲載致します。

市街地に立地していてアクセスも便利で、お酒も生酒主体で個人的に好み。機会があればまた訪れたいですね。

高砂は流石にネットで見つかりませんでしたが、レギュラーの高砂の方はアマゾンと楽天で見つけましたので紹介させて頂きます。今回購入したものと同様に山廃造りですが、純米吟醸でスペックがワンランク上で使用米が山田錦なので味の傾向はだいぶ違うとは思いますが……。

こちらが四合瓶の方ですがアマゾンで扱っている所は見掛けませんでした。日本酒の在庫は流動的なので品切れの際はご容赦下さい。

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丁度、酒蔵の前にバス停があるので待機。程なくして白糸の滝方面に向かうバスが入ってきました。

白糸の滝観光

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白糸の滝観光案内所前のバス停で下車、今回の登山はここから歩き始めとなりますが……白糸の滝の見物に行ったりと、もう暫くの間観光モードは続きます。

この辺りまで来ると富士の山裾という感じ。富士山も非常に近く、そして大きく見えています。

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小奇麗に整備されたエリアから遊歩道に入ります。洒落た感じのショップが立ち並んでいますが、この日は観光客も疎らで閑散としていました。

白糸の滝富士五湖に並ぶ富士山観光の定番中の定番コース。コロナ騒動以前はインバウンド観光客で賑わっていたんでしょうね。

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坂を下っていきます。富士宮焼きそばとか川魚の塩焼き的なものを売ってる屋台なんかがあって唆られますが……こんな所で寛いでいたら山登りたくなくなっちゃうので泣く泣くスルーです。

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途中、音止の滝のビュースポットがありましたが、茂っていていまいち見えませんでした。

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こちらは白糸の滝です。丁度順光と言える時間帯。

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紅葉の小窓から覗くと微かに虹が掛かっているのが見えました。

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遊歩道の手前には昭和な感じのお土産屋が……白糸の滝より富士山主体のものが多く目に付くのはインバウンド観光客が多かった頃の名残でしょうか。

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遊歩道の階段で川縁まで下っていく。

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白糸の滝と遊歩道、そして紅葉……紅葉はもう少し後がベストシーズンかな。

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上の方からも見えた虹も鮮明に確認できます。

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橋の上から白糸の滝の全景を眺める。景勝地としての歴史は古く、源頼朝富士の巻狩りでこの地を訪れた際、この滝の美しさに惚れ込み歌を詠んだという話なんかもあったり。

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普通の観光地でこんな重装備で歩き回っているのは余程奇特だったのでしょう、これからどこに行くのかと問い掛けられる事もしばしば……その流れで写真撮って頂いたりとか。以降、5日目の御坂黒岳まで殆ど人と会わなかったので暫く自分の姿が入った写真はありません。(セルフで撮ったものは幾つかありますがお蔵入り)

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正面に一際大きな滝の流れがありますが、横の方にも幾筋もの細い流れがあります。これが白糸の滝と呼ばれる所以でしょうか、確かに一筋が細い糸のようにも見えなくもないようなそうでもないような。

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広い範囲に滝の流れがあります。一流観光地というだけあって、そんじょそこらの滝では中々見られないような景色です。

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最も大きな流れの所を望遠で。

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滝を眺める人々。写真に収める人々。SNSに投稿する人々。

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少し上に上がった所から富士山が……そして部分的ながらも白糸の滝も見えています。

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駐車場っぽい所に出ましたが、途中にお鬢水と呼ばれる源頼朝に縁のある湧水があるとの事で寄ってみましょう。

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中央下の窪地がお鬢水です。源頼朝が鏡のような水面に顔を映して鬢のほつれを直したという伝説があります。

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周囲は木々が茂って鬱蒼としており昼間でも薄暗い。パワースポットというか、スピリチュアル的で霊験あらたかな雰囲気。

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お鬢水の水面です。湛えている水面は一切の揺らぎはなく、確かに自分の顔も映り込みそうな感じ。

白糸の滝→天子ヶ岳登山口→天子ヶ岳

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[11:17]白糸の滝出発

正午も近付いた時分。前置きは長くなりましたが、いよいよ登山に向けて歩き始めます。

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暫くは富士山に背を向けての舗装路歩きとなります。

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田舎道のような所を暫く進むと、これから歩く天守山地の山々が見えてきました。背後には相変わらず雄大な富士山のお姿。

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天守山地を見え据えながら先に進む。正面に見える一際高いピークが最初に登る天子ヶ岳で、右奥のなだらかな起伏が長者ヶ岳かといった所。

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山が近くなり車通りも減ってきた。川のせせらぎだけが耳に入る。

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山の方に進んでいくと指導標があり、以降はそれに従って進んでいく。

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木々に埋もれるようにしてある白山神社の横を通過していく。社殿こそ小さいですが、鳥居の大きさや敷地の広さを見るに、元々はそれなりに規模の大きな神社だったのでしょうか。

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杉林の中の林道を暫く進む。木々の背が高く、進むべき道は影に覆われている。

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秋の風物詩であるマムシグサの実です。秋とは言え既に晩秋という季節、終わり際なのか少しくたびれているようにも見えます。

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[11:48-11:59]天子ヶ岳登山口

こちらが登山口となります。ここから天子ヶ岳、長者ヶ岳と登って田貫湖に下るルートはハイキングコースという扱いのようで案内も充実している。

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以降も暫く杉の植林の中の薄暗い道が続きます。

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途中、林道を跨ぐ場面が一箇所。

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舗装路を横断、案内に従って登山道に入る……以降、山頂までの区間の標高差700m、登り一辺倒の道となります。

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杉林の切れ目から青空。白糸の滝をうろついていた頃に比べて雲が増えてきました。

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基本、展望のない地味な登り坂です。

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薄暗い杉林の中、見上げれば琵琶湖みたいな形をした木々の切れ目から青空が。

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水7リットルに4合瓶が2本、食料は予備含めて7日分とその他諸々……重量級のザックを担ぐのは6月の上信越国境以来なので早々にバテる。登り坂が絶え間なく続くようなので途中で小休止を。

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と思ったらフラットな地面が。地図上には少し先に行った所に林道終点との記載がありますので、元々は麓から林道が続いていたのでしょう。

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元林道と思しき緩い登り坂から空を見上げる。白が占める割合が増えてきた。

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人気も感じられない静かな登り坂、じわじわ登っていく。

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このくらいの標高になると紅葉も既に終りを迎えていて、地面には落ち葉が堆積していました。

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林道終点を通過すると再び急登……振り返ると暫く振りに富士山が。

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少し開けた所があったので、そこから富士山の展望。雲が上がってきたものの完全に覆い隠すまでには至っていない。

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富士山を望遠で。雲の上に浮かんでいるようにも見えますね。

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富士山と青空。麓の方には毛無山を水源とした芝川の流れが見える。

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再び鬱蒼とした樹林帯に入りますが、杉林が連綿と続いていた先程とは違い広葉樹林帯。この頃になると登りも一段落してきてフラットな道に。

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途中、芝川町方面の分岐を示す道標がありましたが、マイナールートのようで肝心の道は落ち葉に埋もれていました。

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山頂近付いてきたなー、って感じの雰囲気。

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ちょっとした広場に出ました。天子ヶ岳のピーク上は南北に伸びたような形で広々としている。山頂はどこなんだろうと辺りを見渡すと展望地と書かれた標識を発見したので、それに従って進んでみる事に。

天子ヶ岳→長者ヶ岳

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[15:02-15:11]富士見台

天子ヶ岳の展望地である富士見台に到着。山頂看板らしきものも設置されていますが、ここは厳密には山頂ではない。

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富士見台というだけあって富士山の展望はそこそこ楽しめますが、他の方面は見えません。

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富士見台は行き止まりなので先程の広場に戻ってきました。付近にあった古びた祠を見るに、相当昔から登られている山のようです。

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[15:13-15:17]天子ヶ岳

天子ヶ岳の山頂……というか最高地点は登山道が経由していないようで、GPSを眺めつつ進んでいくと、私製看板っぽいものが幾つか設置されている一角に到着。展望は皆無に等しいですが、この場所が山頂のようです。

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看板にはキューピッドみたいな天使のシルエットが描かれているものの、天子ヶ岳の由来は天使ではなく、遠目から見ると山城の天守閣のように見えた事がその理由……なるほど、天子ヶ岳は元来は天守ヶ岳であり、だからこそ天子山地天守山地とも呼ばれるのかと、合点がいき人知れず納得していました。

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今回の登山においての記念すべき最初のピークである天子ヶ岳の登頂以降、天守山地の稜線に沿った尾根歩きに入ります……というかこれから6日間、毛無山御坂黒岳を越え、甲府盆地近くの蜂城山までの間、水を汲みに降りたり少し巻いたりする以外は愚直なまで尾根上を進んでいく。

右の写真、蜂の巣かと思って驚いたものの、よく見たらただのコブでした。

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全体的に木々が多い地味尾根ですが、木々の間からはこれから向かう長者ヶ岳、天狗岳と続く稜線が見えている。最も奥に見えているのは毛無山ではなく、熊森山西の1,633m無名峰。

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北西方面。方角的には南アルプス笊ヶ岳っぽいなと思われる双耳峰を発見しました。その右後ろには赤石岳から赤石岳にかけてと思われる稜線が……見辛いですが一応。

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上佐野方面への下山道の分岐です。地図では破線コースの扱いですが、東海自然歩道として整備されているコースらしく意外と歩きやすいとの事。身延線内船駅から佐野峠を越えて佐野川沿いから登り始めても面白そうだったなーとか思ったり。

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木々は多いながらも、どこか明るい雰囲気の尾根道。天子ヶ岳から次のピークである長者ヶ岳までの区間はそれなりに人通りが多いハイキングコース……らしいのですが、時間的に遅いからか、白糸の滝から歩き始めて以降未だ人と遭遇していません。

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木々の合間から辛うじてですが、田貫湖が見えました。湖畔にはキャンプ場が幾つかあり、色とりどりのテントも見える。

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一転、こちらは全く人気というものを感じられない道。稜線上に西日が差し込み始め、辺りが赤く染まっていた。

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緩くも長い登り返しの終わり際、長者ヶ岳の山頂のベンチが視界に入ってきました。

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[16:02]長者ヶ岳到着

今回の登山において2つ目のピークである長者ヶ岳に到着。まだ大して歩いていないのでもう少し先に進んでも良かったですが、ここから先は破線コースの上に日没も近い時間帯……という事で本日はこれにて行動終了となりました。

全体的に質素な山頂だった天子ヶ岳と比べると、こちらはベンチやら看板やら指導標やら三角点やらが無造作に立ち並んでいて賑々しい雰囲気。

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この長者ヶ岳天子ヶ岳と同様、切り取られたかのような富士山ビューが楽しめます。ベンチも多いのでこちらの方が休憩スポットとしては幾分か上等でしょうか。

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崖っぷちの方に近付いての展望。眼下には先程も見えた田貫湖が……まだ大して登ってないなという標高差。

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富士山の望遠です。最高峰である剣ヶ峰の山頂に観測所の建物と思しきものが見える。

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富士山方面だけではなく北西側も僅かに開けており、南アルプス方面が見通せました。ちなみに翌日登る天守山地の最高峰である毛無山は右端の枝の中にあり、ろくに見えない。

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少し望遠してみたもの。正面右の台形状のピークは尾根伝いに進んだ先にある1,349mコブピークで、右奥の高い山は先程も見えた熊森山の西に位置する1,633m無名峰。

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奥に見える稜線を望遠で。南アルプスでもかなり北側……雲に覆われていて判別しづらいですが、よく見ると白根三山でした。コブピークの奥に見えるのが間ノ岳で、左に農鳥岳と並びます。右側に見えるはずの北岳は雲に埋もれている。

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日が暮れてきたので夕食とします。前回の槍穂縦走の際はLCC並の厳しい荷物制限があったので食事も質素極まりないものでしたが、今回は無差別級なので、己の欲望に従って色々と……主食のアルファ米は変わらずですが、近所の燻製所で調達したポークステーキが初日の目玉。

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本日担いてきたお酒です。一つ前の写真のボロい方の四合瓶に入っているのが左の北光正宗……長野の北信地方飯山市のお酒です。元々、妙高山を始めとした頸城山塊の山々を登るつもりで用意したのですが、悪天候で中止になってしまったので今回の登山用の酒として流れてきました。

北光正宗のスペックは本醸造の生原酒という事で価格は非常にリーズナブルなんですが、強烈の甘味の後にアル添特有の強烈な辛味と、まさに激流のような味わいが楽しめる。アルコールも20度ある面白いお酒でした。

右が本日調達した高砂の山廃純米雄町です。山廃や生もと造りの酒にありがちな乳酸っぽさは少なく、トロッとしたようなまろやかな甘味と爽やかな酸味。辛味もキレという程ではなく余韻が楽しめるタイプです。

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そして念願の肉焼き。ソーセージでもコンビーフでもなんでもいいですが、夕食時に肉類を焼くという行為は自分の登山スタイルとして定着して久しい、欠かせない作業の一つ。儀式でもありアイデンティティでもある。

程よく焦げ目がついたそれをアテに日本酒を呷る……まさに至福の一時。これがないと山に来たという気がしない。

次回記事『天守山地から御坂山地その2』に続く

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