山とか酒とか

登山やお酒を始めとした趣味全般を雑多に、また個人的に有用だと思った情報を紹介しています。

天守山地から御坂山地その3(毛無山→雨ヶ岳→仏峠→中之倉峠→パノラマ台→精進峠)

前回記事『天守山地から御坂山地その2』からの続きです。

inuyamashi.hateblo.jp

f:id:SISIS:20211223230405j:plain

三日目は天守山地を更に北上し本栖湖の外周。御坂山地との接続部にあたるエリアを縦走しました。まずは天守山地の最高峰である毛無山をスタート、タカデッキ、雨ヶ岳とピークを踏みながら縦走。雨ヶ岳からは竜ヶ岳方面には向かわず、未整備の尾根道を進み仏峠へ。そのまま中ノ倉岳、中之倉峠本栖湖の外周の山々を進んでパノラマ台へ登り返し。三方分山を目指して北上するも、途中の精進峠付近で真っ暗闇となり行動終了となりました。

他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。

【2021年11月】天守山地から御坂山地、情報と記録 - 山とか酒とか

目次

毛無山三角点→毛無山最高地点

f:id:SISIS:20211221225010j:plain

毛無山の山頂近くにて、未明に外を覗いてみるといい感じの街明かりが……初日に身延線で移動した富士宮から富士に掛けての市街地でしょうか。三脚持参で来たので暫く夜景を撮ったりして遊んでいました。

f:id:SISIS:20211221225012j:plain

日の出が近付いてきて次第に明るくなってきた頃。日の出そのものは見えないであろう雲の量で、左に見える富士山も山頂の方は完全に埋もれている。

f:id:SISIS:20211221225016j:plain

と思ったら徐々に雲が下がってきて富士山の山頂部が露わになりました。そのまま日の出が見えるくらいには回復を……と期待したものの、これ以上雲が取れてくれる事は暫く無かった。

f:id:SISIS:20211221225020j:plain

朝方の富士山を単体で。雲は多いですが、殆ど埋もれるようであった前日よりは見えてくれそうな気がします。

f:id:SISIS:20211221225023j:plain
f:id:SISIS:20211221225025j:plain

雲に浮かぶ富士山、山頂部の二段望遠。日が昇ってくる方向はこの大きな山体の背後のようで、仮に晴れたとしても見えないようでした。

f:id:SISIS:20211221225029j:plain

身支度をしながら富士山を眺めていると再び埋もれてしまいました。しかし上の方には青空が広がっているので、またそのうち取れてくれるだろうと期待。

f:id:SISIS:20211221225033j:plain

[6:44]毛無山出発

毛無山の山頂看板と僅かに雲から抜けつつある富士山。完全に明るくなるまで眺めていてもよかったのですが、この日の行程も長いので適当に見切りをつけて出発とします。

前回の記事にも書きましたが、この場所は山頂であるものの最高地点ではなく、所謂三角点ピークの山頂。肝心の最高地点はこれから向かう先にあります。

f:id:SISIS:20211221225036j:plain

山頂を出発した直後はこんな感じの木々に覆われた道。

f:id:SISIS:20211221225039j:plain

ずっと鬱蒼とした道が続くのかと思いきや、すぐに開けた所に出ました。見える富士山も日の出が後光となって神々しい。

f:id:SISIS:20211221225042j:plain

ようやく太陽そのものが見えました。富士の肩からの御来光というのも中々に神秘的です。

f:id:SISIS:20211221225047j:plain

尾根道の雰囲気。西側、南アルプス方面は終始木が茂っていますが、反対側の富士山方面は所々で展望地のように開けている場所があります。

f:id:SISIS:20211221225052j:plain

富士山と、雲の隙間から覗く日の出。

f:id:SISIS:20211221225055j:plain

辺りが朝日にに照らされて明るくなり始めた頃。左奥には前日歩いた天守山地、スタートの天子ヶ岳から稜線が伸びている様子が目で追えます。

f:id:SISIS:20211221225100j:plain

富士山方面。再び雲の中へ。

f:id:SISIS:20211221225103j:plain

毛無山の最高地点に程近い場所に差し掛かりましたが、どうやら登山道は経由していない様子。しかし、せっかくなら寄ってみようとコースを外れてGPSで確認しながら進む。

毛無山最高地点→タカデッキ→雨ヶ岳

f:id:SISIS:20211221225106j:plain

[7:00]毛無山最高地点

恐らくはここが毛無山の最高地点かなと思われる場所に到着……この場所が正真正銘、標高1,964mの地点です。山頂周辺には赤テープに加え、鉄製の梯子のような看板のようなよく分からない人工物がありました。

f:id:SISIS:20211221225109j:plain

再度コースに復帰します。この付近は殆どハイキングコースのような道が続いている。

f:id:SISIS:20211221225113j:plain

大見岳かなと思われる場所に到着。山頂部に幾つかのピークを持つ毛無山ですが、一般的な山頂の定義としては三角点ピーク、最高地点、大見岳の付近を包括したものとされるようです。

f:id:SISIS:20211221225116j:plain
f:id:SISIS:20211221225119j:plain

大見岳を下り始めるとガスが流れ込んできました。しかし薄く、すぐに抜けてくれそうでもある。

f:id:SISIS:20211221225123j:plain
f:id:SISIS:20211221225126j:plain

樹林帯の下り坂です。正面に見えるのは雨ヶ岳方面に進んだ先にあるタカデッキのピーク。

f:id:SISIS:20211221225130j:plain

左側、毛無山の西に位置する大ガレの頭のピークの奥には南アルプスの稜線が屏風のように広がる様子が確認できますが、この地点からでは木々が多く見通せない。

f:id:SISIS:20211221225134j:plain

樹林帯を抜けた所から毛無山を振り返る。先程通過した時と同様、斜面にガスがへばり付いている。

f:id:SISIS:20211221225138j:plain

雨ヶ岳方面に進みます。よく歩かれている道なのか道も良く指導標も多い。起伏も緩いので気楽に歩ける道です。

f:id:SISIS:20211221225141j:plain

左側のピークがこれから登り返すタカデッキです。この時点ではまだ雲が少し多め……しかし回復傾向であると信じたい。

f:id:SISIS:20211221225145j:plain
f:id:SISIS:20211221225149j:plain

木々の合間から何やら厳つい山が見えるという事で望遠してみる。中央に見えるのが甲斐駒ヶ岳で左にアサヨ峰、右側に鳳凰三山という並びでしょうか。鳳凰三山のシンボルとなる地蔵岳オベリスクは手前の観音岳のピークに隠れてしまって見えません。

f:id:SISIS:20211221225152j:plain

タカデッキの登り返しが近付いてきた頃。立ち塞がるかのように聳えていますが、登り自体は大した事ないです。

f:id:SISIS:20211221225156j:plain

タカデッキ富士山。この頃になると富士山を覆っていた雲も次第に流れていき、全体像が把握できるようになりました。

f:id:SISIS:20211221225200j:plain

富士山を単体で。頭上の雲が重々しい。

f:id:SISIS:20211221225204j:plain

こちらは富士山より南側、駿河湾方面です。微かにですが湾沿いの海岸線や伊豆の方の山が見えますね。

f:id:SISIS:20211221225208j:plain

富士の市街地の方を望遠してみると、もうもうと煙を上げる煙突が見えました。一帯に林立する製紙工場のものでしょう。そこから沼津湾を挟んだ背後に見えるのは伊豆半島の海岸線で、大瀬崎の東側の辺りかなと思われる。

f:id:SISIS:20211221225211j:plain

タカデッキの登り返しの途中、毛無山を振り返ってみる。先程まで付き纏っていた雲もいつしか消えていました。

f:id:SISIS:20211221225215j:plain

登山道の様子。毛無山から雨ヶ岳までの区間は終始歩きやすい道が続いている。

f:id:SISIS:20211221225218j:plain

樹林帯を抜けた所。暫く振りに富士山方面を眺めてみるとまたまた雲に埋もれていました。

f:id:SISIS:20211221225222j:plain

富士山と陽光。麓には朝霧高原が広がり、富士山の右肩には愛鷹山の稜線が見えます。

f:id:SISIS:20211221225225j:plain

タカデッキの山頂手前から毛無山方面の展望。意外に広々とした展望地が少なかった毛無山の山頂一帯ですが、この付近は特に開けており南アルプスの稜線も見渡せました。

f:id:SISIS:20211221225229j:plain

南アルプス方面の望遠で繋いだもの。塩見岳から南側の山々は概ね見えましたが、赤石岳より南側、聖岳、笊ヶ岳、上河内岳の辺りに雲が立ち込めている。上河内岳の左側に見える茶臼岳はこの時のみ見えたピークで、以降に向かう鬼ヶ岳や御坂黒岳等では標高が低くなる為か、手前の稜線に隠れて見えなくなってしまいます。

f:id:SISIS:20211221225236j:plain

開放感があって居心地の良い場所でした。

f:id:SISIS:20211221225240j:plain

富士山に雲が掛かったり抜けたりを繰り返すうちに随分と日も高くなってきた。

f:id:SISIS:20211221225243j:plain

富士山と日光。

f:id:SISIS:20211221225249j:plain

タカデッキの山頂手前から毛無山。左背後に伸びるのは天子ヶ岳、長者ヶ岳から続く天守山地の稜線。白糸の滝から登り始めて三日目となる天守山地縦走の締め括りに相応しい好展望でした。

f:id:SISIS:20211221225305j:plain

[7:50-8:00]タカデッキ

タカデッキのピークに到着。由来は調べても全く出てこないので推測となりますが、奥多摩秩父の方でよく見られる、山頂(突起)を示す『ドッケ』という有名な古語がありますが、『デッキ』と音が非常によく似ているので、こちらは恐らく同義なのではと思われます。一方で『タカ』の方は現代日本語とほぼ同様、高いという意味を成す『タカシ』という言葉が非常に古くから存在します。くっつけてみるとさながら高い峰という意味でしょうか……由来としては面白みはありませんが、そんなものでしょう。

ちなみに殆ど同名で同様の由来を持つと考えられる山の例として、身延山地に山梨百名山の一つである高ドッキョウというピークが存在します。

f:id:SISIS:20211221225255j:plain

タカデッキの山頂。切り開かれていて広場のようですが、周囲は木々に覆われていて展望はいまいち優れない。

f:id:SISIS:20211221225311j:plain

タカデッキ山頂から、蔓延る木の枝越しに富士山

f:id:SISIS:20211221225314j:plain

富士山を望遠で。陽の光を浴びて白く輝く雲とは対照的に、逆光気味で暗く見える。

f:id:SISIS:20211221225318j:plain

タカデッキから雨ヶ岳方面の尾根道の様子。笹の中に一本の道が通されている。

f:id:SISIS:20211221225321j:plain
f:id:SISIS:20211221225325j:plain

樹間から見える山シリーズ……塩見岳ですね。これは初級問題。

f:id:SISIS:20211221225328j:plain

少し移動した所から再び雪を被った山が……先程の塩見岳とはまた違った山の形ですが。

f:id:SISIS:20211221225332j:plain

赤石岳です。南アルプス南部では特に判別しやすい形の山で、左の主峰の赤石岳から右に小赤石岳と、なだらかな起伏が連続している山容が特徴。

f:id:SISIS:20211221225336j:plain

雨ヶ岳の山頂手前から富士山。この頃の時間帯になると麓の朝霧高原も鮮明に見えるようになりました。不規則に畑地や牧場が並んでいるのが長閑でいい感じ。

雨ヶ岳→御飯峠→仏峠

f:id:SISIS:20211221225408j:plain

[8:37-8:56]雨ヶ岳

竜ヶ岳方面とのジャンクションピークである雨ヶ岳に到着しました……が、太陽が雲に隠れてしまい辺り一帯薄暗い。

f:id:SISIS:20211221225411j:plain

山頂の雰囲気と富士山。東側は一面の笹原で、大きく開けており展望は良好。開放感のある休憩スポットでした。

f:id:SISIS:20211221225341j:plain

登山道は主稜線ではなく、支尾根となる竜ヶ岳方面の稜線上に続いています。しかし左側、仏峠方面に向かう主稜線の方にも獣道のような踏み跡が伸びているのが確認できる。

破線コースながら一般コース同様の歩きやすさだった長者ヶ岳から地蔵峠までの区間の例もあるので、ここから先も意外に普通の道なのでは……なんて事を考えてました。結果的には歩き始めてすぐ獣道は消失してしまい、概ね想像通りのワイルドな道程だった訳ですが。

f:id:SISIS:20211221225344j:plain

雨ヶ岳山頂から臨む笹原越しの富士山。右に見えるのは先程通過したタカデッキのピークです。

f:id:SISIS:20211221225348j:plain

露出を下げて撮ってみたもの。雲が多いですが高曇り気味なので展望自体は十分に楽しめる。

f:id:SISIS:20211221225418j:plain
f:id:SISIS:20211221225421j:plain

何度めかの富士山の望遠。富士宮の市街地から見た時は冠雪も少なく思えましたが、徐々に北側に回り込んでいくと雪化粧が濃くなってきた。

f:id:SISIS:20211221225354j:plain

富士山の左側に見える稜線。これから向かう御坂山地の山々にしては遠いなと思ってその場で調べてみると、杓子山、御正体山、丹沢方面との事。

f:id:SISIS:20211221225359j:plain

御正体山を中心に望遠。中央の丸っこい山が御正体山で、その左手前が杓子山(鹿留山)。その左に見える双耳峰のような山が今倉山、更に左奥に赤鞍ヶ岳と道志山塊の山々が続きます。

御正体山の右の少し遠くに見える山は丹沢です。その中でも一際高い山が蛭ヶ岳で、その右のなだらかな山頂が檜洞丸、その更に右側の山続きに見えるようなピークが丹沢山です。

f:id:SISIS:20211221225404j:plain

愛鷹山富士市街地方面を望遠してみました。朝の内には見えた伊豆半島はすっかり薄くなってしまいましたが、手前の湾曲した駿河湾の海岸線は依然としてよく見える。

f:id:SISIS:20211221225424j:plain

景色も堪能した所で出発とします。以降暫くは未整備のマイナーコースなので、恐らく富士山は当分見えなくなる。という訳で、最後に一度目に収めておく。

f:id:SISIS:20211221225428j:plain

主稜線を伝って仏峠へ下ります。難路扱いの破線コースですが、妙に道筋がはっきりしている。これは普通に道が整備されているパターンかなと拍子抜けしていましたが……。

f:id:SISIS:20211221225431j:plain

少し進むと一転して道が怪しくなってきました。道筋というか踏み跡も消失してしまいましたが、頻繁に赤テープを見かけるので気負わず進める。

f:id:SISIS:20211221225434j:plain
f:id:SISIS:20211221225437j:plain

中ノ倉山との間の最鞍部である仏峠まで標高差600m以上の下り坂……傾斜も急です。踏み跡がなく地面も柔らかいので、滑り落ちるように進んでいく。

f:id:SISIS:20211221225441j:plain

道の様子。台風か何かで落ちてしまったのか、赤テープは途中から殆ど見当たらなくなる。

f:id:SISIS:20211221225444j:plain

何も見えない中を突き進んでいると、自分は一体どこを歩いているのだろうと不安になりますが、この区間は終始右手に本栖湖の湖面が見えているので少し気楽でした。

f:id:SISIS:20211221225447j:plain
f:id:SISIS:20211221225451j:plain

途中の1,393mピークとの間の鞍部付近は特に急峻な坂となっており、季節柄落ち葉が堆積しているので非常に歩きにくい。あまりに急な箇所はカニ歩きでジグザグにトラバースしながら下る。

f:id:SISIS:20211221225454j:plain
f:id:SISIS:20211221225458j:plain

稜線上に倒木があったので無理矢理トラバースしたら大回りになって後悔した箇所が右の写真。横着しないで地道に越えればよかったね。

f:id:SISIS:20211221225501j:plain
f:id:SISIS:20211221225504j:plain

未整備の登山道、展望は殆ど皆無なんだろうな……と思っていたら樹間から塩見岳が見えた。

f:id:SISIS:20211221225507j:plain

1,393mピーク手前の鞍部に到着。地面はフラットで休憩ポイント的な。

f:id:SISIS:20211221225510j:plain

鞍部……という事は一旦登り返しとなります。鞍部を挟んだこちら側も傾斜は急ですが、登りであれば殆ど滑らないので歩きやすい

f:id:SISIS:20211221225514j:plain

1,393mピークへの登り返しの途中、雨ヶ岳から支尾根として伸びた先の竜ヶ岳が見えます。正面が竜ヶ岳のピークで、その左下には本栖湖の湖面。左奥に見えるのは御坂山地、恐らく鬼ヶ岳から十二ヶ岳辺りかと思われます。

f:id:SISIS:20211221225519j:plain

鞍部以降の尾根道は不思議とそれなりに踏まれている気がします。

f:id:SISIS:20211221225510j:plain

1,393mピーク付近。この地点で90度近い方向転換となりますが、樹木が密生していて方角が分かりづらいのでコンパスで確認しながら進む。

f:id:SISIS:20211221225525j:plain
f:id:SISIS:20211221225528j:plain

主稜線に乗り一安心です。背後には雨ヶ岳が見えていますが、かなり下ってきてしまったのか随分と上の方に見える。

f:id:SISIS:20211221225532j:plain

1,393mピーク以降は心なしか道が分かりやすく、起伏も緩くなるので歩きやすい。

f:id:SISIS:20211221225537j:plain

樹間から見える山シリーズそのnは八ヶ岳です。これは雲が多くて難易度が高かったものの、赤岳横岳の並びで直感的に把握。

f:id:SISIS:20211221225541j:plain
f:id:SISIS:20211221225544j:plain

この間延びしたような稜線は白根三山北岳間ノ岳。白根三山は見慣れているつもりですが、意外に分かりにくかった。

f:id:SISIS:20211221225546j:plain
f:id:SISIS:20211221225550j:plain

御飯峠に近づくに連れて広尾根っぽくなってきました。道筋は少し怪しいですが、殆どラットなので適当に進んでいく。

f:id:SISIS:20211221225553j:plain

[11:00]御飯峠

緩い傾斜を下りきった所で御飯峠に到着。雨ヶ岳、仏峠本栖湖、栃代の四方面が破線コースの十字路ですが、指導標は真新しく、本栖湖方面と仏峠方面の道の踏み跡は一般コース並に濃い。指導標の看板を見るに、最近になってハイキングコースとして整備されたようです。

f:id:SISIS:20211221225557j:plain
f:id:SISIS:20211221225600j:plain

御飯峠以降は道の状況も格段に良くなります。道標も頻繁に設置されている。

f:id:SISIS:20211221225604j:plain

最鞍部の仏峠まで少し急めの下り坂となります。

f:id:SISIS:20211221225607j:plain
f:id:SISIS:20211221225610j:plain

やけに多く見かける道標。どれもまだ真新しく、錆一つ無い。

f:id:SISIS:20211221225613j:plain
f:id:SISIS:20211221225617j:plain

仏峠が近付いてきました……が、今度は中ノ倉山の登り返しが正面に立ち塞がります。

仏峠→中ノ倉山→中之倉峠

f:id:SISIS:20211221225621j:plain
f:id:SISIS:20211221225625j:plain

[11:32-11:45]仏峠

本栖湖と釜額方面の分岐路である仏峠に到着しました。ここも御飯峠と同様に十字路ですが、本栖湖方面に関しては実線コースです。麓にはキャンプ場が幾つかあるので、ちょっとした山歩きができるように整備したのでしょうか。

f:id:SISIS:20211221225628j:plain

中ノ倉山方面は階段が続いています。道は良いですが、そこまで歩かれていない雰囲気。

f:id:SISIS:20211221225634j:plain

本栖湖方面の分岐。案内も充実しているので、適当に歩いていても迷う事は無いでしょう。

f:id:SISIS:20211221225637j:plain
f:id:SISIS:20211221225643j:plain

中ノ倉山への登り返しです。こちらも破線コース、難路の扱いですが殆ど一般コースのような道が続いていました。

f:id:SISIS:20211221225648j:plain
f:id:SISIS:20211221225651j:plain

それなりに急坂ですが、急登を避けるように道が付けられているので歩きやすい……しかし長い下りの直後の登りという事もあって少々しんどい。

f:id:SISIS:20211221225654j:plain
f:id:SISIS:20211221225657j:plain

紅葉を楽しめる標高まで下ってしまったようです。道中、燃えるような色の紅葉がちらほら。

f:id:SISIS:20211221225706j:plain

[12:16-12:22]中ノ倉山

仏峠から30分の登り返しで中ノ倉山に到着です。360度木々に囲まれた地味極まりない山頂ですが、三角点が設置されている。

f:id:SISIS:20211221225700j:plain

樹間からシリーズ。中央に赤石岳で、左側の頭だけ見えるのは聖岳。手前の稜線は農鳥岳から南に伸びる白峰南嶺で、聖岳の左手前には木の枝が掛かってしまって双耳峰の形には見えませんが笊ヶ岳も確認できます。

f:id:SISIS:20211221225710j:plain

中ノ倉山の次のポイントは中之倉峠です。同じ中ノ倉なのに文字が違うのは少し気になりますが……格助詞としての『之』と『の』は同義なので、特に深い意味は無いでしょう。地図(地形図)に地名として掲載された時期の違いとかでしょうね。

f:id:SISIS:20211221225714j:plain
f:id:SISIS:20211221225717j:plain

この区間、起伏が殆ど無く平坦な尾根道ですが、その分距離が長く感じられました。景色も樹林帯で変化がない事も拍車をかけている。

f:id:SISIS:20211221225720j:plain
f:id:SISIS:20211221225723j:plain

遠くの山が見えたらとりあえず写真に収めてしまう癖がある。見えているのは多分、農鳥岳塩見岳の間の辺り。

f:id:SISIS:20211221225726j:plain

余り歩かれていなさそうな地味尾根の割には道は良いです。

f:id:SISIS:20211221225729j:plain

中ノ倉山毛無山方面を振り返る。木の枝でよく見えませんが、毛無山は随分と距離を感じるようになった。

f:id:SISIS:20211221225732j:plain
f:id:SISIS:20211221225735j:plain

気付けば正午を過ぎてしまっていたようで日が傾き始めていました。樹間からは本栖湖の湖面が見え隠れしている。

f:id:SISIS:20211221225739j:plain

中之倉峠付近は主稜線上では最も本栖湖と接近する箇所のようで、掠めていくように進んでいく。

f:id:SISIS:20211221225742j:plain

少し開けた場所に出ました。本栖湖の湖面の奥には暫く振りの富士山……午前中は結構な量の雲に付き纏われていましたが、いつの間にかに全く無くなっていました。

f:id:SISIS:20211221225746j:plain
f:id:SISIS:20211221225750j:plain

中之倉峠に近付くにつれて、時折富士山を臨めるような開けた場所に出る事も。

f:id:SISIS:20211221225753j:plain

松と富士山。秋も深まってきた頃という事もあり、松の木の枝下には多くの松ぼっくりがぶら下がっている。

中之倉峠→パノラマ台

f:id:SISIS:20211221225756j:plain

[13:28-13:45]中之倉峠

ウッドデッキの展望台が整備された中之倉峠に到着。標高は1,065mで、今回歩いた天子ヶ岳から達沢山までの稜線上においては最低地点となります……つまり、これから登り基調の道が待ち構えているという事でもある。

f:id:SISIS:20211221225804j:plain

中之倉峠からの展望。広々とした本栖湖の湖面越しに臨む富士山は絵になる。実際、絵を書いている人の姿もありました。

f:id:SISIS:20211221225801j:plain
f:id:SISIS:20211221225808j:plain

ここは現行千円札野口英世)の裏面の逆さ富士が撮影された場所として有名で、パネルにはその旨の紹介がありました。

f:id:SISIS:20211221225810j:plain

少し引いた所から本栖湖、富士山方面の展望。残念ながら逆さ富士は見えませんでしたが、紅葉が丁度見頃でいい感じ。新緑の時期も綺麗だろうなと思ったり。

ちなみにこの展望台、麓の中之倉トンネル入口からものの30分の登りで辿り着けてしまうお手軽な場所なので、シーズン時の休日等は一般の観光客で賑わうらしいです。

f:id:SISIS:20211221225815j:plain
f:id:SISIS:20211221225818j:plain

富士山の望遠……白い雪と黒い山肌のコントラストが美しい。これまで雲が多くいまいちな天気が続いていた中、この一番の展望地で晴れてくれて、しかも偶々順光という時間帯であったという事は奇跡に近い。

f:id:SISIS:20211221225821j:plain

名残惜しいですが出発します。まだまだ先は長い。

f:id:SISIS:20211221225824j:plain
f:id:SISIS:20211221225827j:plain

富士山とは反対側、西側方面も僅かにですが開けている箇所がありました。見えているのは南アルプス塩見岳。眼下に伸びる紅葉で赤く染まった尾根の雰囲気も秋を感じられて良い。

f:id:SISIS:20211221225831j:plain

展望台付近の尾根道。以降も基本的に鬱蒼とした地味な道です。

f:id:SISIS:20211221225834j:plain
f:id:SISIS:20211221225842j:plain

道中の紅葉。主要ピーク上は粗方終わってますが、この付近は特に標高が低いので多く残っています。

f:id:SISIS:20211221225839j:plain

縦走路と下山道の分岐。縦走路であるパノラマ台方面は上の道に進みます。

f:id:SISIS:20211221225845j:plain

木の枝越しに本栖湖富士山が見える。けど大きく開ける事は無い。そんな感じの道が暫く続く。

f:id:SISIS:20211221225848j:plain
f:id:SISIS:20211221225851j:plain

これまでは愚直に尾根上を突き進むような道が殆どでしたが、この付近はハイキングコースとして整備されているのか、無駄な起伏をトラバースしていく箇所も。

f:id:SISIS:20211221225854j:plain
f:id:SISIS:20211221225858j:plain

中之倉峠からパノラマ台の登り返しは下り中心だったこの日で一番の登りですが、傾斜自体は緩い。しかし距離は長い。

f:id:SISIS:20211221225901j:plain
f:id:SISIS:20211221225907j:plain

青い空、偶に紅葉。静かな道。

時間的なものか人通りは少なく、パノラマ台の到着までに2組とすれ違った程度……本日会った人はそれに加えて中之倉峠の展望台で絵を描いていた人が1人で、合計3組。前日は1組のみで、前々日は白糸の滝を出発して以降は0人。偶にはこういう静かな山歩きがやりたくなる。

f:id:SISIS:20211221225904j:plain
f:id:SISIS:20211221225910j:plain

標高的にそこそこ稼いだ為か、本栖湖の湖面もだいぶ下の方に見えるようになりました。

f:id:SISIS:20211221225913j:plain

ハイキングコース同然の道なので道標も多い。緊張感無く歩ける。

f:id:SISIS:20211221225916j:plain

秋の風物詩、マムシグサです。冬が近い為かクタクタにくたびれている。

f:id:SISIS:20211221225919j:plain

坂を登りきったピーク上が主稜線の三方分山方面と本栖湖方面の下山道の分岐です。富士山の展望台であるパノラマ台はここから本栖湖方面に数分歩いた地点にあるとの事なので、分岐に荷物を置き身軽な状態で行ってきます。

パノラマ台→根子峠→精進峠

f:id:SISIS:20211221225922j:plain

[15:34-15:44]パノラマ台

分岐から少し歩いてパノラマ台に到着。パノラマという名を冠しているだけあって広い範囲の展望を楽しめます。

f:id:SISIS:20211221225925j:plain

パノラマ台の山頂広場。麓から1時間くらいで登頂できるらしく、ハイキングとしてはお手頃な山のようです。

f:id:SISIS:20211221225930j:plain

少し角度を変えてみた所。左側に見えるのが王岳、鬼ヶ岳方面に続く御坂山地の稜線。いつのまにか天守山地から御坂山地の方に移っていたようです。

f:id:SISIS:20220117012420j:plain

パノラマ台から富士山方面。先程の中之倉峠からの本栖湖越しの展望も良いですが、こちらは眼下に一面絨毯のような青木ヶ原樹海が広がっていて、また違った種類の絶景が楽しめる。

右側の小さい起伏はパノラマ台からの山続きにある烏帽子岳で、その奥には戦国時代に武田信玄が築城したとされる本栖城の遺構が残っている。

f:id:SISIS:20211221225958j:plain

一つ前の写真、樹海の中を切り開いたかのような家並みは精進湖民宿村。昭和41年に精進湖隣の西湖の湖畔集落で土砂災害が発生し、その被災地の住民の集団移住によって作られた集落で、古い地図では『精進移住地』と表記されています。何かと特異な光景なので、メディアとか結構色んな所で紹介されている場所でもあったり。

f:id:SISIS:20211221225950j:plain

御坂山地方面の山々を入れた広い範囲の展望……パノラマ台からのパノラマとでも。ちなみに精進湖の湖面はススキが茂っていて見えませんでした。

f:id:SISIS:20220128132653j:plain

山名入りです。大体の位置関係を表してみたかった程度なので細かくは記載していませんが。

f:id:SISIS:20211221225954j:plain

上下に大きく撮ってみたもの。視界に入る人工物と言えば民宿村の家並みくらいなもので、青木ヶ原樹海のスケールの大きさが際立つ。

f:id:SISIS:20211221225938j:plain

御坂山地方面の展望。天守山地を歩いていた頃と比べるとだいぶ近付いてきましたが、あまり歩いていない山域なので山座同定しようとしても当時は何がなんだかという感じ……ただ、その右奥に見える三ツ峠山に関しては山頂に立つ電波塔の存在で把握は容易でした。

f:id:SISIS:20211221225943j:plain

御坂山地を望遠で。帰ってから調べて判明しましたが、正面の一際高く見えるピークが王岳で、右端に鬼ヶ岳、十二ヶ岳。鬼ヶ岳の左側に金山、節刀ヶ岳と続いています。御坂山地の最高峰である御坂黒岳は鬼ヶ岳の真裏となり、重なってしまい全く見えません。

f:id:SISIS:20211221230001j:plain

逆光の上に茂っていていまいち見通せませんが、本日の出発地である毛無山方面の展望。左手前に見えるのは今回経由しなかった竜ヶ岳のピーク。

f:id:SISIS:20211221225946j:plain

素朴なパノラマ台の看板。パノラマ台というと観光用に取って付けたような山名に思えますが、その歴史は意外と古く発祥は戦前まで遡る。

f:id:SISIS:20220127013847j:plain

1/50000富士山 昭和3年二修・昭和5.5.30発行

昭和初期頃のこの付近の地形図です。本栖湖精進湖との間のピーク上にパノラマ臺の文字が確認できます。この頃には既に富士山を眺めるにおいて随一の展望台として知られていました。河口湖駅から本栖湖までの自動車(乗合自動車、つまりバス)が運行され、登山口には旅館が作られたりと一帯の観光開発も始まっていた。

f:id:SISIS:20211221230005j:plain

分岐にデポっておいた荷物を回収して先に進みます。

パノラマ台を出発したのが16時手前。いい感じに日が傾いてきましたが、当初の予定より大幅に遅れているのでもう少し進んでおきます……この付近は日帰りで登られるような山ばかりなので大荷物ではコースタイムが厳しく、気付けばずるずる遅れが蓄積していました。

f:id:SISIS:20211221230007j:plain
f:id:SISIS:20211221230010j:plain

日没近くとなり、辺りが赤く染まり始めました。

f:id:SISIS:20211221230013j:plain

翌日登り返す、ピラミッドのような形の王岳が右側に見えます。左側にはこれから目指そうとしている三方分山が見えますが、日が暮れるまでの到達は無理そうな距離感でちょっと諦め気味。

f:id:SISIS:20211221230021j:plain
f:id:SISIS:20211221230018j:plain

[16:15]根子峠

精進湖への下山道が分岐する根子峠に到着。この辺りで本格的に日が沈み始めました。

f:id:SISIS:20211221230024j:plain

日没を観察できるような開けた場所が近辺に見当たらなかったので、やむなく樹間から。巣ごもり卵が食べたくなってきた。

f:id:SISIS:20211221230026j:plain

日没後はものすごい勢いで辺りが暗くなり始める……流石は晩秋。シャッタースピードも露骨に落ちる。

f:id:SISIS:20211221230030j:plain

薄暗い中での尾根歩き。進める所まで進みましょう。

f:id:SISIS:20211221230033j:plain

足元が見えなくなってきたのでヘッドライトを装着。道の感じからして真っ暗でも問題無く歩けそうですが。

f:id:SISIS:20211221230036j:plain

[17:13]精進峠到着

暗闇の中を彷徨い、暫くして精進峠の分岐に到着。三方分山には辿り着きたかったですが、まだまだ先は長そうなので本日はこの辺で行動終了としました。

f:id:SISIS:20211221230040j:plain

夕食風景です。肉物が続いたので本日は魚介、ほたての水煮がメイン。

f:id:SISIS:20211221230044j:plain

富士宮で調達するつもりであった豆腐用に持参してきた醤油を使用。少し生臭さがあったので、フライパンで炒めても良かったな……と思ったのは既に胃袋の中に収納された後の事でした。

次回記事『天守山地から御坂山地その4』に続く

inuyamashi.hateblo.jp