
自宅の晩酌用に畑酒造の【大治郎 渡船二号 生酛純米生酒】を調達しましたので、甘口辛口などの味の解説やレビューをざっくばらんに書き殴ります。皆さんの日本酒選びに1ミクロンでもお役に立てますと幸いです。
前回の記事です→『005|木曽路 上撰(本醸造)』
お酒のレビュー
概要と経緯


まだまだ暑さが残る9月上旬、隣町にあるN酒店にて。
店主「いらっしゃい。今日はどういうのがいい?」
犬山「今日は白紙から自分一人で決めたいかな。気分のみでこれ1本って決めたい感じ」
日本酒を買う際に、「これってどんな味?」くらいの事を聞く場合は多いけど、全く聞かずに味を推理しつつ、実際に味わった時の予想とのギャップを楽しんだりもしている。むしろ最近はそういう選び方の方が多い。
店主もこういう面倒くさい客相手にも慣れたもので、「じゃあ、ごゆっくり」と、会話を打ち切ってレジ前のノートPCに目を落とした。
さて、この日は中央アルプス登山から帰ってきて暫くした頃で熱中症っぽい疲れも残っていたので、あまり濃厚過ぎるものはちょっときつい。だから今回は少しさっぱり系、とは言え水っぽくない、飲みごたえや奥行きもそれなりに両立しているような……半ば矛盾している気もするけど、そうしたお酒が欲しい気分だった。
単にさっぱり系が欲しい場合、アルコール度数15度未満の低アル酒を選べば目当てから大きく外れることは無い。ただ、低アル酒は加水で薄めて調節している物が多い以上(発酵を止めるタイプの物もあるけど)、水っぽかったり、飲んでいてちょっと物足りないなと思ってしまう物が結構多かったりする。
一方、ここの店は以前は低アル酒や夏酒といったものは「ただの薄い酒」と容赦なく断じて殊更否定的で仕入れないようにしていた。ただ最近は考えが変わったのか、他の酒屋等に比べると圧倒的に少ないものの低アル酒や夏酒も見かけるようになってきた。つまり、吟味をした結果でこれは置いていいというものが少なからず出てきたという事だろう。
自分自身の考えというか肌感覚としても、低アル酒でありながら不思議と味が乗っている……なんていう個性的で良いお酒も増えつつあるので(もしくは、それ以外は淘汰されたか)、以前に比べると希望に近いものは選びやすくなっていると思う。
そうした思考を持ちつつ冷蔵ケースをざっと見て、まさにこれだと思ったのがこの畑酒造の【大治郎 渡船二号 生酛純米生酒】。大治郎と言えば濃醇(特に酸が印象的)というか骨太な味わいの銘柄として有名であるものの、これはアルコール度数が14度と低アル酒の範疇。しかし生酛造りの生酒という事でしっかり味が乗ってそう。
犬山「じゃあこれで」
店主「決まりました? ああこれ、結構いいっすよ」
味のネタバレに気を遣って、店主はそう言うだけに留めてくれた。
この日はこちらの大治郎に加えてうごのつき(『012|うごのつき 純米大吟醸 無濾過生原酒 雄町』で紹介)も購入しました。
本日調達した日本酒、大治郎 生酛純米生酒(畑酒造@滋賀)、うごのつき 純米大吟醸無濾過生原酒 雄町(相原酒造@広島)
— 犬山 (@Urayama_City) August 1, 2025
大治郎は全体的に濃いイメージ持ってるけど、今回14度の低アル見つけて気になり選んでみた
うごのつきの雄町は一回くらい飲んだ事あるかも…凄く美味しかった記憶あるのでリピート pic.twitter.com/reyRjlX3Yd


大治郎の製造元は滋賀県東近江市の畑酒造。酒造は東近江市の中心市街地である八日市から、近江鉄道八日市線の沿線を少し近江八幡寄りに進んだ太郎坊宮前駅のほど近い所にあります。いつか行ってみたいですけど、特に試飲の対応とかは無さそうな様子で。(小売はしているみたいですが)
東近江市というか、近江鉄道の沿線は鄙びたような雰囲気が個人的に好きで、新八日市駅を始めとした古い駅舎を巡ったり、重伝建の五個荘金堂を歩いたり、湖東三山をレンタサイクルで回ったり、けいおん!の聖地の豊郷小学校旧校舎に赴いたりと、沿線にはこれまで何度と訪れていたり……。

ちなみにですが、大治郎と言えばやはりこの和紙を貼り付けたラベル(濃醇タイプ)のものが定番となります。今回の低アルタイプもとても美味しいですが、こちらの方がやはり大治郎らしい野太い味わいで……書いてたらまた飲みたくなってしまった。
味覚の傾向

まず最初に家族のレビューから。
家族「かなり綺麗なタイプ。酸味が綺麗で好きなタイプ」
犬山「さっぱりしてる?」
家族「さっぱりしてて食中向け。それで甘くもなく辛くもなくって感じ」
いざ自分も飲んでみると……確かに甘辛も香りもどちらも控えめ、しかし薄い感じはしない。終わり際には大治郎らしい存在感のある酸味で切れるが、それまでに広がりやノビも十分に感じられる。ゆえに、さっぱり傾向のお酒なのになんだか満足感がある。
という訳で、無事に飲みごたえある低アル酒に行き着く事ができました。飲みごたえがあるので単体で飲んでみても意外と楽しめますが、やはりこういったタイプのお酒は食中に合わせてこそが真骨頂でしょう。

※数値が高ければ味が優れているという訳ではないのでご注意下さい
料理との組み合わせ

今回は秋らしくサンマの塩焼きを合わせてみました。白身はどんな酒でも合わせやすいですが、青魚はどっちかというとさっぱりしたお酒や濃醇辛口の方が合うかなーと個人的に思います。なので今回のさっぱり系の大治郎はほぼ抜群とも言える相性でした。90点の組み合わせ。
今シーズン(2025年秋)のサンマ……豊漁という事で価格も手頃だったのでたくさん食べられるかなーと期待してたんですけど、取れすぎて休漁のニュースが出て以降は値段も上がっちゃったのであまり買えずに。(例年に比べるとモノとしてはいいサンマが多いんですけどね)

タコの刺身と合わせてみました。タコは淡白なので基本どんなお酒でも合いますが、この大治郎の低アルでも中々の相性。80点の組み合わせ。
スペック一覧表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵元 | 畑酒造(滋賀県東近江市)→(HPリンク) |
| 使用米 | 渡船二号 |
| 精米歩合 | 65% |
| 日本酒度 | +3 |
| 酸度 | 2.5 |
| アルコール度数 | 14度 |
| 種別 | 純米酒(生酒) |
| 購入価格(税込) | 3,190円(1,800ml) |
買えるお店の紹介(あれば)
今回紹介した大治郎の低アル版(渡船二号)は一通りネットを探しましたが、現時点(2025年10月時点)ではどこも品切れでした。
ただ、Amazonのみ(楽天は無し)他スペックの大治郎を扱う店がありましたので、良さそうなものを2つほど紹介。どちらも酒米は吟吹雪使用で精米歩合も同じですが、うすにごりorそうでないかの差異があります。(アルコール度数はうすにごりの方が高いです)
今回飲んだ低アル版も美味しかったですが、この和紙のラベルのシリーズこそが濃醇な本来の大治郎のイメージに近いお酒なので、銘柄としての最初の一本はこの辺りから選んでみる事をおすすめします。
※流通量の少ない地酒なので、品切れ&リンク切れの際はご容赦下さい。
次回のお酒はこちら→『007|信濃錦 艶三郎 純米生原酒』

