飯豊連峰縦走の初日となるこの日は、登山用のお酒の調達と登山口までのアクセスが内容のメインとなります。
移動手段は例によってローカル電車移動。福島県入りした後は磐越西線で会津方面に向かい、途中の喜多方にて今回の登山用酒の調達。その後は野沢駅からデマンドバスを利用して弥平四郎。そこから更に飯豊連峰の登山口となる弥平四郎登山口まで歩きました。
他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。
今回歩いたルートのGPSログです。
【移動】喜多方まで
今回の登山の相棒は日数の割には大荷物。アイゼンはともかくピッケルはもう今シーズン使わないと思って仕舞ってあったのですが、大日岳の直下の雪渓が斜度が急で必要という話だったので持っていく事に。アイゼンも念の為に12本爪を持参。
過剰装備かなーと思いつつも結果としてはどちらも使用……緩んで滑りやすい怪しい雪面が多かったので、特に12本爪は重宝しました。(逆に予備で持っていった軽アイゼンは全く使わなかった)
旅の始まりは上野駅。昨年の船形連峰、蔵王連山に続き今年は3月に残雪期の高原山に登ったりと、最近はこちらの方面を贔屓しがち。


黒磯駅で乗り換え、新白河駅で乗り換えと以前の青春18きっぷのルートで北上します。スタイルが染み付いてしまっているのか、青春18きっぷが実質廃止となってしまった後も変わらずの鈍行旅。


郡山駅で磐越西線に乗り換え。会津の方に向かうのは久しぶりですが電車は2両で接続もいまいち……以前はここまで不便じゃなかった気が。磐越道経由の高速バスに劣勢のようでした。
磐越西線の車窓からは磐梯山がよく見えました。以前登った時はガスの中で何も見えなかったので、いつか吾妻連峰とセットでリベンジしたい。


会津若松駅。時間があったら観光するつもりでしたが、野沢駅からのデマンドバスの予約が早い時間のものしか取れなかったので残念ながら素通り……まだ一度も歩いた事がない会津若松の街歩きは次回に。


途中の塩川駅で列車交換待ち。磐越西線も以前は喜多方駅まで電化されていたのですが、近年会津若松駅~喜多方駅の間の架線が撤去(非電化化)されてしまったとかで、構内には使われなくなった架線柱のみが寂しく立っていました。
塩川駅を出発した直後、明日以降登る飯豊連峰が車窓から見えました。この年は例年よりも雪が多かったという事もあり、遠目から見ても6月とは思えない程の雪の量。一見すると残雪期の春山のようでした。
喜多方で日本酒調達
喜多方駅に到着。当初の予定では登山用の日本酒調達の後、蔵造りの古い町並みを歩いたり喜多方ラーメン食べたりと暫く観光するつもりだったのですが、先に書いた通りデマンドバスが早い時間帯のものしか予約が取れなかったので、やむなくカットに……。
喜多方駅の駅舎。辛うじて日本酒調達する時間はあったので、駅から最も距離的に近い喜多の華酒造場に向かいます。
喜多の華酒造場の外観。駅から歩いて10分程度で到着しました。
販売施設内にある冷蔵ケース。要冷蔵酒のラインナップも豊富という事で期待が持てます。


試飲の対応もしていたのでおすすめを一通りお試し。それぞれ味の幅は広く、甘辛濃淡様々なタイプのお酒の飲み比べを楽しむ事ができました。
酒造り用の仕込み水も汲む事ができたので、登山用の水として7リットルほど汲ませて頂きました。(右の写真の左の瓶の所に注ぎ口があります)
試飲していて特に印象的だったのは今回購入した『星自慢 特別純米無濾過生原酒』と『天の希 純米吟醸』でしたが、日本酒度+10の『辛口純米 蔵太鼓』や上品な味わいの『喜多の華 うすにごり』辺りもそれぞれ特徴があり、飲んでいて楽しかったです。
ラストにおすすめされて飲んだ貴醸酒『きたのはな』も貴醸酒ゆえのインパクトがあって中々でした。
時間になったので駅に戻りました。喜多方と言えば市内に11もの酒蔵がある酒どころ。次回もう少し時間に余裕が取れれば、蔵の街の散策と並行して酒蔵巡りもしてみたい所です。
野沢から弥平四郎登山口
喜多方駅から少し進んで野沢駅で下車。この駅からデマンドバスに乗り継ぎます。
降り際、運転手の方から「これから飯豊ですかー?」と声を掛けられる。話によれば、つい最近杁差岳に登ったとの事で、列車の時間調整の停車中の間にちょっと小話。ハクサンイチゲの開花状況を教えて貰ったりしました。


野沢駅の駅前少し進んだ所から予約していたデマンドバスに乗り込みます。当初の予定では17時台のものに乗るつもりだったのですが、その時間は他方面への予約が入っていて弥平四郎に行くのは無理との話で、1本早めた15時台のものに乗る事に……ともあれ、予約が取れたので一安心でした。(乗れなかったらおそらく野沢駅で野宿となっていた)
[16:21]弥平四郎バス停出発
山間に入った所にある弥平四郎のバス停から歩き始めます。時間は既に16時過ぎ。予定のバスに載ってたら18時過ぎの歩き始めとなり途中で間違いなく暗くなっていたと思うので、早い便に乗れたのは結果オーライだったかも……。
バス停は旧学校の敷地内にあり、準備しながら運転手の方と小話。今年は雪の量が凄まじかったらしく、集落内にも雪の重みで潰れた家が数軒あったなんて話も。


弥平四郎の町並み。古来より木地屋(木工業)や飯豊連峰の登山基地として栄えた集落で、豪雪地帯らしい大きな屋根の建物が立ち並ぶ。旅館の名を掲げた大きな建物も多く独特の雰囲気がある。(旅館は現在どこも営業していない)
集落の北端の鏡山登山口との分岐。飯豊連峰方面の登山口は右側の道を1時間半歩いた先にある。


登山口までの林道歩きの様子。以前飯豊連峰に登った時はこの道を車で通ったのですが、ここまで荒れていたかなといった印象。まだシーズン前だからでしょうか。
と思いきや、途中で林道が崩れていました。徒歩では乗り越えられそうなのでそのまま先に進みますが、この様子だと弥平四郎からのコースは殆ど歩かれていないという事でもあるので少々不安に。
新長坂コースの入口に差し掛かりました。以前来た時は往路に新長坂コース、復路に新コース(上ノ越経由)というコース取りでした。
この先を少し進むと祓川山荘という無人の避難小屋があり水場もあるらしいのですが、水に関しては先程の酒蔵で大量に汲ませてもらったので、今回はそのまま新コースの登山口に向かいました。
[18:01]弥平四郎登山口到着
新コースの登山口に到着しました。広々とした駐車場がありますが、アクセスする林道が崩れているので車は一台もありません……そのスペースを利用して、本日はここでテント泊としました。
以前来た時もこの駐車場でテントを張っての前夜泊という行程でした。その時は同行者も居た上に他の車も5~6台止まっていたのでそこそこ賑やかでしたが、今回は人の気配も全く無し。翌日通った三国小屋の小屋番さん曰く熊も結構出るとか……まあ熊が怖くて山登りができるかって感じではありますが。
見上げると、翌日歩くであろう稜線が見えました。方角的にはには巻岩山辺りでしょうか。


初日の夕食風景。そして先程、喜多の華酒造場にて調達した2種類の日本酒の飲み比べ大会。
『純米吟醸 天の希』の方は、福島県浜通り富岡町で収穫した天のつぶを使用米としたお酒。 米の特徴なのか、清涼感のある甘い風味が独特だったのが購入の決め手。『星自慢 特別純米無濾過生原酒』の方はやや甘めの濃厚なタイプ。けどバランス良くて飲み飽きない……どちらも味の傾向が違い、毎晩の飲み比べを楽しめました。
『飯豊連峰その2』に続く