
2025年も残り僅かになりましたので、当ブログ毎年恒例の『一年の中で印象深かった日本酒を紹介する記事』を作りました。
2022年末に最初の記事を作った当初は10銘柄だったこのシリーズ。今年は例年に比べて心に残ったお酒が多く、ランキングで紹介させて頂くのは12銘柄(プラス番外編でもう1銘柄)。例によって個人の所感や備忘録的な内容に終始した記事となりますので、暇潰し程度に読んで頂けますと幸いです。
目次
まえがき
2025年に入ってからブログ作成に若干時間が取れるようになり、6月の飯豊連峰登山の記事から執筆再開(2023~2024年期間中の登山記事に関しては未だ目処は経ってませんが、作成の予定あり)、加えて日本酒銘柄の個別記事『日々!日本酒シリーズ』を新たに作り始めたりと、記事作りに対するモチベそのものはそこそこ高まってくれた一年でした。
登山についても、夏は何十年に一度レベルの酷暑(毎年言ってる気がしますが)に秋は雨続き……と気候的には厳しかったものの、その割にはそこそこの頻度で山に行けており、特に11月中には過去一とも言える長さ&難易度の『台高山脈から室生火山群』という、過去の大峯奥駈道や奥秩父山塊(記事未作成)を大幅に超越するような登山を行ってきたりと、こちらにしても結構な充足感でした。
そして登山にコンスタントに行けているという事は、同時に登山用の酒の調達の為の酒蔵訪問の機会も多いという事。加えて今年は日々!日本酒シリーズの作成を始めた事で今までよりも意識的に日本酒を飲むようになったという事もあり、ゆえに印象的だった日本酒の数も多く、予定していた10銘柄に収まりきれず今年は12銘柄と少々はみ出してしまったというのが事の次第です。
※1 今年から日本酒銘柄の個別記事を作るようになったので、詳しい紹介につきましては各記事のリンクからどうぞ。
※2 銘柄の項目それぞれに掲載しているレーダーチャートは味覚や印象の強弱です。数値が高ければ高いほどお酒として優れているという訳でありませんのでご注意下さい。
こちらは昨年、2024年版の記事となります。去年は東北の山に多く足を運んでいたという事もあって、挙げたお酒も東北の物が多めでした。
2025年 心に残った日本酒ランキング
12位 嵐童 純米吟醸 生

本年のトップバッターとなる第12位は山形県飽海郡遊佐町、鳥海山麓に立地する杉勇蕨岡酒造場の【嵐童 純米吟醸 生】です……こちらのお酒は2025年元旦の正月酒として用意したものでした。
杉勇蕨岡酒造場のメインの銘柄は杉勇。地酒界隈ではそこそこ知られた名ではありますが、自分は過去何かしらのスペックを一度飲んだ事があるかないか程度。その別ブランドである嵐童は当然今回が初めて。スペックは出羽燦々50%磨きの実質的には純米大吟醸規格の生酒となります。
味わいとしては……正月らしく派手なお酒を狙って購入したのですが、そのイメージ通り超が付く程華やかなお酒(カプエチ系)。ただ派手な割には甘味の強さは極端というほどでもなく、意外にも飲み飽きない味わい。吟醸香の強いタイプのお酒は個人的に日常飲みしない人間なんですが、これはこれで結構ありかも……と思い今回ランクイン。

背面ラベルのスペック表示。

こちらのお酒を購入したのは、都内でも屈指の有力酒販店である聖蹟桜ヶ丘の小山商店。既存の人気銘柄も粗方取り揃えているようなお店ですが、日本各地の酒造が首都圏での販売に向けて相談に来るよう所なので、最近ブランド立てされた新進気鋭とも言える銘柄も多く扱っているのが特徴。
なので、こちらに赴くのは主に新しいお酒のリサーチという目的で、タイミングが合えば店員の方からそれとなく情報収集をしたりしています。今回も丁度、先代店主の小山喜八さんと店内でお会いしたので、新しい銘柄を幾つか教えてもらいました。嵐童はその中の一本となります。

ちなみにですが、杉勇蕨岡酒造場がある遊佐といえば3年前の2022年の鳥海山登山の際の下山でもあったり……酒蔵の所在地を見てちょっと懐かしくなりました。

正月酒という事でおせち料理に合わせてみました。派手なタイプなので食事全般との相性はそこまで……ですが、これはこれで十分有りかなって感じ。個人的には、単体で飲むかちょっとしたつまみ(銀杏とか蕎麦味噌とか)と合わせて酒主体で楽しむのが良さそうなお酒です。
※個別記事は『040|嵐童 純米吟醸 生』を後日公開予定。

| 蔵元 | 杉勇蕨岡酒造場(山形県飽海郡遊佐町)→(HPリンク) |
| 使用米 | 出羽燦々 |
| 精米歩合 | 50% |
| 日本酒度 | -4 |
| 酸度 | 1.7 |
| アルコール度数 | 16度 |
| 種別 | 純米吟醸酒(生酒) |
| 購入価格(税込) | 3,564円(1,800ml) |
今回のものと全く同じ嵐童の純米吟醸の生酒バージョンは見当たりませんでしたが、火入れバージョンは楽天のショップで取り扱いがありましたので紹介致します。違いは火入れの有無のみなので、味わい的には近いかなと思います。
11位 十一正宗 特別純米酒 しぼりたて生酒

第11位は栃木県矢板市の森戸酒造の【十一正宗 特別純米酒 しぼりたて生酒】。このお酒は今年3月の高原山登山の際の登山酒として用意したものです。調達したのはその高原山の麓に立地する森戸酒造で、矢板駅からミツモチ(山名)への登山口までの歩きの過程で立ち寄りました。(十一正宗という銘柄だから11位に入れたという訳では……少しあるかも笑)
スペックは、使用米は不明ですが精米歩合60%の特別純米生酒となります。味わいとしては、スタートに甘味とやや強めの酸味、そしてそこそこ鋭利なキレが遅れてやってくるタイプ。加えて若干の炭酸も少々。飲みごたえがありつつもキレもしっかりしているので、食中は勿論、単体で飲んでも十分楽しめるお酒でした。

高原山登山の際に立ち寄った十一正宗を醸す森戸酒造、こちらはその案内看板。お酒の調達後に登る高原山が遥か遠くに見えています……ミツモチの登山口までは公共交通は無く、矢板駅→森戸酒造→ミツモチ登山口までの登山口までのアプローチだけで一日がかりでした。

森戸酒造は矢板駅から北に5kmほどの距離、徒歩で1時間程度の所に立地。売店もあり、写真右の入口から店内に続いています。
以前は矢板駅から高原山の麓の兵庫畑という所まで路線バスが通じており、酒蔵訪問と登山口までのアクセスどちらでも活用できそうだなと思っていたのですが、近年廃止になってしまい徒歩で向かう事に……。


森戸酒造の店内の様子。残念ながら試飲の対応はありませんでしたが、それぞれのお酒の味の傾向を詳しく聞く事ができたので、そうした情報を元に選ぶ。
購入したのは蔵元限定酒という特別純米のしぼりたて生酒。限定というだけあってネット上には全く情報が流れていないお酒でもあります。加えて今回は雪山登山という事もあり燗酒も作りたかったので、普通酒のワンカップも併せて購入しました。
ちなみに十一正宗の銘柄以外に、これから登る山名を冠した高原山という銘柄もあり、そちらを買うべきか長い事悩んでました。

お酒の調達後は本題である高原山登山。ミツモチの山頂で宿泊して2日目、高原山における最高峰の釈迦ヶ岳への登りからの展望です。残雪期なのでもう少し雪が締まっているかなと思っていたのですが、数日前に降り積もったばかりらしく途中からラッセル地獄に……特にこの急登は斜度もきつくピッケル必須でした。


途中の宿泊地での夕食風景。森戸酒造で購入した十一正宗とおでん……ワンカップは容器ごと鍋に入れて燗酒に。ワンカップの中身である【地酒 十一正宗】も燗映えがいい感じの中々のお酒でした。

高原山は無雪季でも登れますが、敢えて残雪期を選んだのはコースがない明神岳から前黒山までの縦走をしたかったからでもあったり。通常であれば藪や灌木で埋もれているような尾根ですが、この時期は写真のようなゲレンデ状態で歩きやすい。

下山前日は前黒山の山頂でテント泊でした。一帯は、これまで越えてきた釈迦ヶ岳、鶏頂山等といったピークが望める好ロケーション。

高原山の山々を眺めながらの十一正宗は格別のお味……やはり登山のお供にはその土地のお酒に限ります。
※個別記事は『059|十一正宗 特別純米酒 しぼりたて生酒』を後日公開予定。


| 銘柄 | 十一正宗 特別純米酒 しぼりたて生酒 |
| 蔵元 | 森戸酒造(栃木県矢板市)→(HPリンク) |
| 使用米 | 不明 |
| 精米歩合 | 60% |
| 日本酒度 | 不明 |
| 酸度 | 不明 |
| アルコール度数 | 15度 |
| 種別 | 特別純米酒(生酒) |
| 購入価格(税込) | 1,600円(720ml) |
| 銘柄 | 地酒 十一正宗 |
| 蔵元 | 森戸酒造(栃木県矢板市)→(HPリンク) |
| 使用米 | 不明 |
| 精米歩合 | 不明 |
| 日本酒度 | 不明 |
| 酸度 | 不明 |
| アルコール度数 | 15度 |
| 種別 | 普通酒 |
| 購入価格(税込) | 330円(180ml) |
十一正宗はAmazonでも楽天でも取り扱いあるお店を見つけられませんでした……これぞ地酒。ただ、製造元の森戸酒造の公式オンラインストアでは買えるみたいなので気になった方はどうぞ。
10位 吉寿 本醸造

第10位は千葉県君津市、千葉屈指の酒どころである久留里に立地する吉崎酒造の【吉寿 本醸造】となります。こちらのお酒は12月に久留里で酒蔵巡りをした際に購入したお酒で、同じ吉崎酒造の銘柄では他にも購入したもの(『062|吉寿 しぼりたて 純米吟醸無濾過生原酒 夢かえる』を作成予定)もありますが、記事作成時点で開栓しているのはこちらの本醸造酒の1本のみ。
こちらのお酒は当初は燗酒用として購入したのですが、冷や(常温)で試しに飲んでみると意外にもしっかりとした旨口。この手の常温酒のアル添本醸造としてはかなり甘めではありますが、全体のバランスが良く単体だけでどんどん飲み進めてしまう。
真骨頂としてはやはり燗酒としての起用で、40℃半ばまで上げてみるとノビと膨らみが一気に増強。そのまま飲んでも美味しく燗映えもはっきりとした形で現れる、たかが本増醸とは侮れないお酒でした。

側面のラベル表示です。最低限の原材料と度数のみと至極シンプルな表示。


こちらは久留里線の久留里駅。今回の吉寿を調達した吉崎酒造がある久留里の町の玄関口となる駅です。久留里は千葉県でも屈指の酒どころで、徒歩圏内に吉崎酒造(吉寿)、藤平酒造(福祝)、須藤本家(天の原)、少し離れた所に森酒造場(飛鶴)、宮崎酒造店(峯の精)と5軒の酒蔵があり、駅舎内にも展示としてそれぞれの酒蔵の四合瓶が並べられています。


久留里の駅前には【生きた水久留里・酒ミュージアム】という日本酒をテーマにした施設があり、こちらでは久留里周辺の酒蔵に纏わる展示がある他、コイン式の有料試飲や四合瓶の販売もやっています。
久留里の酒蔵は試飲対応の無い所が多い(対応しているのは福祝の藤平酒造のみ)ので、色々な蔵のお酒を試したい場合はこちらでという形。ただ、販売に関しては取り扱いしているお酒の種類がごくごく限られるので、瓶で欲しい場合は各酒蔵を巡るのが確実かと思います。

展示の中の吉崎酒造(吉寿)のコーナー。様々な種類の酒瓶が並んでいますが、あくまで展示品で、並べられたお酒の全てをここで販売している訳ではありません。


こちらが吉寿の銘柄を醸す吉崎酒造。久留里駅や先程の酒ミュージアムから徒歩数分という所にあります。試飲の対応はありませんが、製造元という事で吉寿の銘柄の品揃えは一番……前述した通り、今回は本醸造の他に右の冷蔵ケース内の純米吟醸無濾過生原酒を購入しました。


吉崎酒造の敷地内では仕込み水が汲める所があり、酒蔵の人のすすめでこちらで味見させて頂きました。酒の町であり湧水の町でもある久留里には水汲みスポットは多いですが、こちらの水が味わいがまろやかで最も美味しかったです……次回行く時にはプラティパス2本分くらい汲みたい。

こちらは吉崎酒造の近くにある高澤の水。道路に面した所にあり、久留里でも特に人気の水汲みスポット。こちらも中々の味でした。

酒蔵巡り一本だと不健康極まりないので今回も周辺の観光を……こちらは久留里の町から少し離れた所にある久留里城の天守。久留里の町は中世以来この久留里城の城下町でした。
久留里城というとコーエーの歴史ゲームやってた人だと里見氏のイメージが強いと思いますが、江戸以降も明治の廃城令まで久留里藩の藩庁として機能していました。(途中、藩主の改易により廃藩、廃城となっていた時期もあり)
現在、本丸の天守台には天守が建ちますが、こちらは浜松城天守を参考にして建てられた模擬天守との事。展望台として使用されているようですが、何年か前の地震で損壊が確認されたという理由で訪問当時は中に入れずでした。

こちらは資料館のある二の丸からの展望。眼下に見える開けた辺りが当時の三の丸で、藩主御殿を始めとした城の中枢となる施設は主にこちらにあったとされています。
という訳で、久留里を本格的に歩いたのは今回が初めてですが、歴史ありお酒ありで思った以上に楽しい町でした。立ち寄っていない酒蔵もまだまだあるので、また近い内に行ってみたいです。

吉寿の本醸造の燗酒をししゃもと合わせてみた所。ししゃもの苦味がお酒の甘味を引き立たせて実にいい感じ。
※個別記事は『063|吉寿 本醸造』を後日公開予定。


| 蔵元 | 吉崎酒造(千葉県君津市)→(HPリンク) |
| 使用米 | 不明 |
| 精米歩合 | 70% |
| 日本酒度 | +1 |
| 酸度 | 1.8 |
| アルコール度数 | 15~16度 |
| 種別 | 本醸造酒 |
| 購入価格(税込) | 2,458円(1,800ml) |
吉寿の銘柄を扱っているお店はAmazon、楽天ともに見つけられませんでした。ただ、製造元の吉崎酒造の公式ショップからは購入が可能なので気になった方はどうぞ。
9位 醸し人九平次 うすにごり 生酒

第9位は愛知県名古屋市緑区の大高という町にある、萬乗醸造の【醸し人九平次 うすにごり 生酒】です。こちらは誕生日プレゼントで頂いたもので、個人的に久しぶりの醸し人九平次(以降九平次と記載)でとても美味しかったのでランクイン。(九平次だから9位に入れたという訳では……大いにあるかも笑)
九平次は以前はよく飲んでいた銘柄で、特に50%磨きの純米大吟醸シリーズ(山田錦&雄町)を好んで飲んでいました。ただここ何年かは値上げ&自分の好みの変化&他にも特徴的な面白い銘柄が増えてきた事もあって、すっかり足が遠のいてしまっていて……今も変わらず味の完成度が高いお酒だと思うんですが。
そんな時に頂いた九平次のうすにごりですが、基本的には火入れとなる九平次では珍しい生酒。山田錦使用とあるものの精米歩合は非公開で、純米や吟醸といった特定名称の表記はありません。九平次の中でもちょっと変わり種なお酒です。
味わいとしては、甘辛のバランスは至極中庸、分かりやすく派手なタイプのお酒ではなく、むしろ綺麗で落ち着いた印象。うすにごりという性質のお酒の割には透明感があるのは特A地区産の山田錦だからでしょうか、ゆえに食事とも合わせやすいです。流石は九平次と思わず唸ってしまうお酒でした。

背面ラベルです。キャプションが若干ポエミーですが、黒田庄産の山田錦を100%使用したお酒との事。

とりあえず酒の肴としては定番のお刺身と合わせてみましたが、第一印象から食中酒としてのポテンシャルが高そうだなと思った通り相性は中々で、どのお刺身とも及第点以上。
どちらかと言えば……酒質としては繊細できめ細やかなタイプなので、マグロやサーモンといった味が濃い物より、真鯛やヒラメ等の淡白な物の方が組み合わせとして優れている印象でした。

今回の九平次もそうですが、今年は自分では買わないような少々価格帯がお高めな日本酒の頂き物が多く、こちらの写真で並んでいる郷乃譽(『020|郷乃誉 生酛 純米大吟醸酒 無濾過』で紹介予定)やくどき上手(『025|くどき上手 Jr.の愛山33 純米大吟醸』で紹介予定)も同様のお酒。この時は、その頂き物3本を並べて鰻丼などと合わせてみました。
※個別記事は『023|醸し人九平次 うすにごり 生酒』を後日公開予定。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵元 | 萬乗醸造(愛知県名古屋市緑区)→(公式HP無し) |
| 使用米 | 山田錦 |
| 精米歩合 | 不明% |
| 日本酒度 | 不明 |
| 酸度 | 不明 |
| アルコール度数 | 16度 |
| 種別 | 純米酒(生酒) |
| 購入価格(税込) | 2,310円(720ml) |
紹介した九平次のうすにごりは完全予約販売(毎年2月頃出荷)で一般販売していないので、購入には特約店での事前予約が必要です。ネットショップでははせがわ酒店やクイーンズ伊勢丹等で取り扱いがありますので、欲しい場合はそちらの方から予約しましょう。
8位 〆張鶴 月(本醸造酒)

第8位は新潟県村上市の宮尾醸造の『〆張鶴 月(本醸造酒)』となります。〆張鶴は酒どころ新潟県を代表する銘柄の一つで、首都圏を始めとした他地域でもスーパーに並んでいるようなお酒ですが、改めて飲んでみたら結構美味しかったので今回8位にランクイン。
個人的な事情として、〆張鶴は父方の実家(同じ下越に所在)の定番酒だったのでとても縁深いお酒なんですが、その後は若干疎遠気味になったという事もあり、本格的に日本酒を飲み始めてからは飲む機会には恵まれていませんでした。
ただ今年6月の飯豊連峰縦走の帰り際に立ち寄った際、親戚の伯父さんから同じ村上の大洋盛(『015|大洋盛 特別本醸造』で紹介)と共にお土産に頂いたので、今回改めて飲む機会が……そうして今回頂いたのは、五百万石を始めとした酒米を55~60%まで磨いた本醸造酒となります。
味わいとしては意外なまでの旨口酒(甘辛のバランスとしては中庸)。前述した通り、〆張鶴といえば新潟を代表する日本酒銘柄の一つで、故に新潟淡麗辛口の筆頭のような久保田の千寿等に近い味のお酒だと勝手に思っていたので、こんな甘くて味わい深いお酒だったのか? という驚き。それでいてキレもしっかり確立していて料理にも合わせやすい、長年人気である事が窺える完成度の高いお酒でした。
後日、よく行く酒屋の店主に〆張鶴の月が意外と甘かった事を話すと、「〆張鶴は辛口じゃなくて旨口だよ」とさも当たり前のように言われ二度驚き。改めて調べてみると、ちゃんと味を解説しているような酒屋さんでは淡麗旨口と表現されている所が多くあり……詳しい人にとっては常識のようでした。

村上市の中心駅である村上駅は列車運行上の区切りの駅でもあり、鉄道で旅をしていると何かと立ち寄る機会の多い駅。駅舎に面したホームには、その村上の代表銘柄である大洋盛と〆張鶴の酒樽が2つ仲良く並んでいます。


今は全盛期ほど量は取れなくなったみたいですが、村上と言えば鮭。軒先に新巻鮭が吊るされている光景は冬の風物詩。いつか村上のお酒と一緒に楽しんでみたい所。

帰宅後、頂いた〆張鶴と大洋盛をイカ刺しと合わせてみました。旨口とは言えしっかりとキレがあるので、魚介系との相性は抜群。流石は海に面した町のお酒というだけある。
※個別記事は『014|〆張鶴 月(本醸造酒)』を参照

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵元 | 宮尾酒造(新潟県村上市)→(HPリンク) |
| 使用米 | 五百万石など |
| 精米歩合 | 55~60% |
| 日本酒度 | +4 |
| 酸度 | 1.3 |
| アルコール度数 | 15度 |
| 種別 | 本醸造酒 |
| 購入価格(税込) | 2,490円(1,800ml) |
〆張鶴は規模の大きい酒蔵の銘柄なのでなのでAmazon、楽天ともに取り扱いがありました。そこまで辛くもなく、それでいて食中に合わせやすいお酒を探してる方にはおすすめです。
7位 龍游 ひとごこち59 無濾過生原酒

第7位は長野県伊那市の春日酒造の【龍游 ひとごこち59 無濾過生原酒】です。こちらのお酒は今年8月の中央アルプス縦走の際に持参した登山酒で、伊那市にある酒蔵に立ち寄って調達しました。
酒蔵の数が全国2位という長野県ですが、伊那市や駒ヶ根、飯田等の都市を包括する伊那地方(飯田線沿線)にも多くあり、個人的に把握していない銘柄もかなり多くあったので、前々からいつか巡ってみたいなと思っていた所でした。
こちらの龍游も全く知らない銘柄(春日酒造のメイン銘柄の井乃頭は聞いた事はありましたが)。購入したのはひとごこちの59%磨きで、実質的なスペックは純米吟醸無濾過生原酒となります。(純米や吟醸といった特定名称の表記は無し)
味わいとしてはややドライ気味の酸味系。担いでいった中央アルプス縦走が酷暑に苛まれた登山だったので、酸味でさっぱりしていて清涼感のあるこのお酒は特にお気に入りでした。

背面ラベルです。


龍游を醸す春日酒造は、飯田線の北側の中心駅である伊那市駅のすぐ駅裏というか、構内に隣接した所に立地しています。駅の改札口から歩いて3分もかからない所でしょうか……駅近の酒蔵は幾つかありますが、ここまで近い酒蔵は珍しい気がします。

店内では試飲もできたので、色々と飲み比べた上で選べたのも嬉しい所。ただ、メイン銘柄の井乃頭も含めてどれも特徴あって美味しくて迷いに迷ってしまい、最終的には絵柄がかわいらしい右の龍游を選んだという形。(つまり、実質ジャケ買い)

龍優を担いでいった中央アルプスの展望。写真は赤梛岳~空木岳の稜線上からの展望で、今回歩いた区間では景色が雄大で特にお気に入りでした。

その翌朝の東川岳付近からの空木岳、南駒ヶ岳方面の展望も中々……夏の天気が変わりやすい季節の登山でしたが、雨に降られなかった事は幸い。

その中央アルプス縦走のお供になったのは今回の龍游と、同じ伊那市の酒蔵である宮島酒店にて購入した信濃錦(『007|信濃錦 艶三郎 純米生原酒』で紹介)。恒例のコンビーフ焼きと合わせました。
信濃錦の方は龍游とは味の傾向がほぼ真逆、甘味たっぷりで飲みごたえがあるタイプで、こちらはこちらでとても美味しかったです。今回惜しくもランキングには入りませんでしたが、13~14位くらいの位置付けにはなるかも。

帰宅後はヒラマサの刺身、鶏の唐揚げ等と合わせてみた所。後味がさっぱりしているので、食事全般に合わせやすいお酒でした。
※個別記事は『008|龍游 ひとごこち59 無濾過生原酒』を参照

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵元 | 春日酒造(長野県伊那市)→(HPリンク) |
| 使用米 | ひとごこち |
| 精米歩合 | 59% |
| 日本酒度 | 不明 |
| 酸度 | 不明 |
| アルコール度数 | 15度 |
| 種別 | 純米吟醸(生原酒)※特定名称の表記無し |
| 購入価格(税込) | 2,200円(720ml) |
龍游を取り扱っているお店はAmazon、楽天ともに見つけられませんでしたが、同じ春日酒造の井乃頭の銘柄を扱うお店は楽天の方で見かけましたので、個人的に試飲して特に美味しかった美山錦の純米吟醸を紹介致します。
6位 飛鳥井 生酛づくり純米無濾過原酒

第6位は福井県丹生郡越前町の丹生酒造の【飛鳥井 生酛づくり純米無濾過原酒】です。今年から始めた日本酒銘柄を個別紹介する記事『日々!日本酒』のシリーズの記念すべき一本目として置いた、ブログ的にも転機とも言えるお酒なので今回ランクイン。
製造元は福井県の丹生酒造。日本酒をあれこれ飲むようになって10年以上となるので全く知らない酒造というのはだいぶ減ってきましたが、こちらの酒造は知識に無く、ゆえに銘柄の飛鳥井を飲むのも初めて。日本酒の世界もまだまだ奥が深いなーと思わされたのが、『日々!日本酒』シリーズを始めたきっかけでもありました。(悪天候が続いて山登りに行けなかった間の暇潰しという面もありますが)
そうした飛鳥井の銘柄の中でも、今回購入したのは九頭竜80%精米の、所謂低精白寄りの純米無濾過原酒(生酛造り)となります。
味わいの傾向としては、甘味は極端に控えめで酸味が全面的に主張する所謂大辛口(日本酒度が+17ある)に分類されるお酒。ゆえに切れ味も鋭く食中(特に魚介系)には非常に合わせやすいタイプではあるのですが、飲み終わりに不思議と甘い芳香が湧いて出てくるのが個人的に感じられた特徴……思いっきり辛口なのに後味が柔らかいお酒ってそう無い気がするので、ちょっと新鮮でした。

背面のラベル表示。アルコール度数は18度とやや高め。辛口は辛口でも濃醇辛口に分類されそうです。

この飛鳥井には絶対に寿司に合うだろうと合わせてみた時の写真。酸味系のお酒には同じく酸味系の食事が良く合う。

青魚とも合いそうだなと思ったのでサンマの塩焼きとも合わせました。こちらとも中々の相性……というか魚介全般ならなんでも合わせられそうな優秀な食中酒でした。
※個別記事は『001|飛鳥井 生酛づくり純米無濾過原酒』を参照

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵元 | 丹生酒造(福井県丹生郡越前町)→(HPリンク) |
| 使用米 | 九頭竜 |
| 精米歩合 | 80% |
| 日本酒度 | +17 |
| 酸度 | 不明 |
| アルコール度数 | 18.4度 |
| 種別 | 純米酒(無濾過原酒) |
| 購入価格(税込) | 3,080円(1,800ml) |
四合瓶のみですが、飛鳥井の紹介した同じスペックの生酛純米原酒が楽天で取り扱いがありましたので紹介致します。ほか、製造元の丹生酒造の公式ショップでも買えるようなので、色々選びたい方はこちらの方がおすすめかも。
5位 うごのつき 純米大吟醸 無濾過生原酒 雄町

第5位は広島県呉市、仁方という港町にある相原酒造の【うごのつき 純米大吟醸 無濾過生原酒 雄町】です。うごのつき(雨後の月)は個人的にお気に入りの銘柄で割とコンスタントに買っているのですが、改めて飲んでみて、やっぱり良いお酒だなーと再認識させられたので今回5位にランクイン。
スペックとしては雄町を50%まで磨いた純米大吟醸無濾過生原酒です。個人的に見ている雨後の月の特徴としては華やかさ(スペックによっては甘味)とキレの両立というものがありまして、特に吟醸系のシリーズではそうした方針が顕著。今回の雄町もしっかりとした甘味から一拍置いてやってくる鋭いキレが秀逸で、これだけ華やかな酒質なのに食事にも問題なく合わせられそうなのは凄いと思わされる……また近い内に別のスペックも試してみたいです。

側面ラベル。このブログで紹介するお酒としては少々スペック高め(値段もお高め)のお酒です。


こちらの写真は雨後の月を醸す相原酒造が立地する仁方の駅と駅前通り。相原酒造はこの町中にあり、その近くには宝剣の銘柄を醸す宝剣酒造もあります。宝剣の方も個人的に好きな銘柄なので、いずれ何かしらを紹介したい所。

青椒肉絲等の中華料理と合わせてみました。甘味がやや強めのお酒なので、食中用でもこってりした料理と相性が良いです。(淡白な料理だとお酒が勝ちすぎてしまう)
※個別記事は『012|うごのつき 純米大吟醸 無濾過生原酒 雄町』を参照

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵元 | 相原酒造(広島県呉市)→(HPリンク) |
| 使用米 | 雄町 |
| 精米歩合 | 50% |
| 日本酒度 | -1.0 |
| 酸度 | 1.4 |
| アルコール度数 | 16度 |
| 種別 | 純米大吟醸酒(生原酒) |
| 購入価格(税込) | 4,180円(1,800ml) |
時期的なものか、うごのつき(雨後の月)の同一スペックの雄町の純米大吟醸無濾過生原酒を扱っているお店はAmazon、楽天ともに見つけられなかったので、比較的買いやすいと思われる火入れの特別純米酒を紹介致します。
4位 星自慢 特別純米 無濾過生原酒

第4位は福島県喜多方市の喜多の華酒造場の【星自慢 特別純米 無濾過生原酒】です。こちらは今年6月の飯豊連峰縦走の際の登山酒として、喜多方の酒蔵に立ち寄り購入したものになります……つまりは第8位の〆張鶴とは登山を挟んだ前後に飲んだお酒という事でもあったり。
スペックは、麹米に五百万石、掛米にタカネノミノリを使用してそれぞれ50%、55%まで磨いた特別純米無濾過生原酒となります。味の傾向としてはまず全面に甘味の強さが来ますが、酸味や渋味も同時に介在しており若干複雑。単体で飲んでも十分楽しめる骨太なお酒でした。

背面のラベル表示です。

星自慢を醸す喜多の華酒造場がある喜多方までは磐越西線を利用……飯豊連峰の登山口(西会津町の弥平四郎)までのアクセス途中に途中下車という形。
日本でも屈指の酒どころである会津盆地ですが、その中にある喜多方も酒の町。ホームには市内に所在する酒蔵の酒樽が沢山並べられています……なんでも11もの酒蔵があるとか。


喜多の華酒造場は、その喜多方駅から最も駅寄りの酒蔵で徒歩10分程度の所に立地。当初の予定では市内の複数の酒蔵を巡り歩くつもりでしたが、時間の都合で今回はこちらのみの立ち寄り。(経緯は飯豊連峰1日目の記事を参照)
売店では試飲の対応も行っており、様々な種類を飲み比べた上で2本に絞り込み。甘辛濃淡、風味も千差万別、それぞれのお酒の味の幅が広い為に迷いに迷いつつも、今回は星自慢と天の希(『018|天の希 純米吟醸』にて紹介)を選びました。

飯豊連峰縦走のお供となった2本の日本酒を並べた所。甘くて複雑で飲みごたえのある星自慢と、華やかで繊細でかつ不思議な風味のある天の希という全く違ったタイプのお酒の飲み比べ。交互に飲んでいるだけで対比が楽しくどんどん進んでしまうので、お酒の消費スピードが今回早く4泊5日でどちらも空に。

メインの飯豊連峰縦走はガッツリと雪が残っていて、所々で雪山の様相を呈していました。12本アイゼンはともかくピッケルは使わないだろうと思っていましたが、大日岳直下の急斜面の残雪地帯でやむなく使用。それでいて稜線上は酷暑で肌は焼け、常に大量のブヨに纏わりつかれる等……行程的にはそこまでの長さではないものの過酷な登山でした。
写真は御西小屋~烏帽子岳の残雪地帯。クラックだらけの雪庇の上を歩くのはただただ恐怖……しかし雪の残る季節ならではの景色を堪能できて概ね満足でした。

飯豊連峰のピークの中でも特にかっこいいなと思った北股岳。この周辺に限らずですが、ハクサンイチゲを始めとした高山植物が見頃で常に花畑を歩いているかのような感じ。

梅花皮小屋でのブヨと格闘しながらの優雅な食事風景。正面に見える雲が乗ったピークが飯豊連峰最高峰の大日岳。この日の午前中に登頂し、その時点ではガスは無く山頂からの展望も堪能できました。

最後の宿泊地である杁差岳の山頂でブヨと格闘しながらのんびりお酒を飲む様子。過酷な登山でしたが、乗り切れたのはお酒の力のおかげ。たぶん。
※個別記事は『017|星自慢 特別純米 無濾過生原酒』を参照


| 銘柄 | 星自慢 特別純米 無濾過生原酒 |
| 蔵元 | 喜多の華酒造場(福島県喜多方市)→(HPリンク) |
| 使用米 | 五百万石(麹米)、タカネノミノリ(掛米) |
| 精米歩合 | 50%(五百万石)、55%(タカネノミノリ) |
| 日本酒度 | -1 |
| 酸度 | 1.7 |
| アルコール度数 | 18度 |
| 種別 | 特別純米酒(生原酒) |
| 購入価格(税込) | 1,634円(720ml) |
| 銘柄 | 天の希 純米吟醸 |
| 蔵元 | 喜多の華酒造場(福島県喜多方市)→(HPリンク) |
| 使用米 | 天のつぶ |
| 精米歩合 | 55% |
| 日本酒度 | 不明 |
| 酸度 | 不明 |
| アルコール度数 | 16度 |
| 種別 | 純米吟醸酒 |
| 購入価格(税込) | 1,650円(720ml) |
大容量の一升瓶のみですが、星自慢の同じスペックの特別純米無濾過生原酒を扱うお店が楽天にありましたので紹介致します。濃くて甘いお酒を飲みたい人におすすめ。
3位 最愛 特別純米酒 生酒

以降トップ3へ……第3位は愛知県海部郡蟹江町の山田酒造の【最愛 特別純米酒 生酒】となります。こちらのお酒は今年11月の台高山脈から室生火山群までの縦走の際の登山酒として担いでいったもので、そのアクセスの過程で蟹江にある酒蔵に立ち寄り調達しました。
台高~室生は冒頭のまえがきでも書きましたが、今年で一番どころか過去一番過酷かつ長い登山(行程11泊12日、総距離204km、登りの累計標高差13,740m)で、こちらのお酒は同時に買い求めた醉泉(『047|醉泉 特別本醸造 生酒』にて紹介予定)と共にその登山の精神的な支柱となってくれた立役者……とは言え8泊目で空瓶となってしまいましたが。
スペックとしては愛知県若水を60%まで磨いた特別純米生酒となります。全体的な味わいはややドライながらも甘味を始めとした味わいが乗っており、それが静かに奥底まで伸びていく……綺麗なタイプであるものの相反する飲みごたえも十分感じさせる不思議なお酒でした。

ラベル表示です。


登山のスタート地点である三重県の尾鷲までは関西本線→近鉄名古屋線→紀勢本線と乗り継ぎますが、その途中の関西本線の蟹江駅で下車。最愛を醸す山田酒造はその蟹江駅から徒歩10分ほどとそこそこ近い所に立地しています。
写真は山田酒造の外観。入り方が若干分かりづらく、隘路に面した左の写真の入口から入ると、右の写真のように売店の玄関へと続いています。


店内の様子。整然とお酒が陳列されていますがこちらは展示用の空瓶で、この中から種類を指定すると奥から持ってきてくれるスタイル。
右の写真はBABYMETALのファンが持ってきたというグッズが収納された飾り棚。なんでも最愛の銘柄がメンバーの名前と同じという事で、ファンからは聖地として認識されているとか……以前はもう少し雑然と並べられていたらしいですが、売店のリニューアルの一環でこの形になったとの事。

名古屋という大都市の近くの酒蔵なので試飲対応は無いだろうと思いきや、尋ねてみるとまさかのOK。時間的に余裕がそこまで無かったので何本かで収めましたが、それでも幾つかの種類を飲み比べる事ができました。
その中でも気に入ったのが今回の【最愛 特別純米酒 生酒】と【醉泉 特別本醸造 生酒】。最愛は繊細で伸びるタイプで、醉泉は甘味とキレのメリハリがあるタイプと、傾向が異なる2つのお酒を今回の登山酒として選びました。


写真は山田酒造がある蟹江の風景。古くからの町並みが蟹江川沿いに広がっており、近くには登録有形文化財にも指定されている甘強酒造の建物があります。甘強酒造はみりんをメインで製造している酒蔵ですが日本酒も作ってるので立ち寄ってみたかったですが、時間の都合で今回は立ち寄らず。(後に正月のお屠蘇用のみりんを通販で購入しました……どこかで紹介したい)

本題であるその後の台高山脈から室生火山群までの縦走……その途中の尾鷲道上のピークであるマブシ嶺での飲み比べ風景。今回は行程が長いので日々セーブ気味に飲んでいたものの、それでも8泊目で尽きてしまった。

こちらは台高山脈の最高峰となる大台ヶ原の日出ヶ岳からの展望。尾鷲から大台ヶ原まで続く尾鷲道は難路扱いという事もあって誰一人と会いませんでしたが、こちらのピークは百名山でもある上、すぐ近くまで道路が通じているという事もあってハイキング客が沢山……前後区間の静寂が嘘のような賑わい。


大台ヶ原から池木屋山までの区間は台高山脈縦走における長い長い核心部で、通過には丸3日間を要しました。
区間中は偶にマーキングや踏み跡は残っていますが、風化が進んだ事で道は殆ど廃道と化しており要所でのルートファインディングは必須。登り下り用のロープもちぎれている所が大半でした。
写真は特に過酷だった湯谷ノ頭のピークとその先の山ノ神ノ頭までのトラバース。尾根伝いに下ろうとしたものの崖で無理だったので、別の尾根を下ってそこからトラバースして尾根に復帰するというコース取り……をしたものの、そのトラバースも急斜面&手がかり無し&足元ザレザレで超絶恐怖でした。電波も全く入らないし、滑ったら終わるなーと思いながら戦々恐々と進んだのを思い出します。

そうした難路区間も池木屋山で終わり、以降は一転して快適な道程へ(アップダウンは相変わらずきついですが)……写真は赤グラ山の下り始めから千石山方面の展望。この登山でも特にお気に入りの風景でした。


そうした過酷な登山の中での食事は唯一休まる一時であり、心身の回復にとって必要不可欠。メニューは最初こそ缶詰等のつまみが豊富で充実していましたが……。


後半になると左のコンビーフ焼きを最後に、以降は乾き物や非常食の魚肉ソーセージしかなくなりひもじい食事風景に。
※個別記事は『048|最愛 特別純米酒 生酒』を後日公開予定


| 銘柄 | 最愛 特別純米酒 生酒 |
| 蔵元 | 山田酒造(愛知県海部郡蟹江町)→(HPリンク) |
| 使用米 | 若水 |
| 精米歩合 | 60% |
| 日本酒度 | 不明 |
| 酸度 | 不明 |
| アルコール度数 | 16度 |
| 種別 | 特別純米酒(生酒) |
| 購入価格(税込) | 1,706円(720ml) |
| 銘柄 | 醉泉 特別本醸造 生酒 |
| 蔵元 | 山田酒造(愛知県海部郡蟹江町)→(HPリンク) |
| 使用米 | 山田錦 |
| 精米歩合 | 60% |
| 日本酒度 | 不明 |
| 酸度 | 不明 |
| アルコール度数 | 17度 |
| 種別 | 特別本醸造(生酒) |
| 購入価格(税込) | 1,650円(720ml) |
最愛も醉泉もAmazon、楽天ともに扱っている所を見つけられませんでしたが、製造元の山田酒造の公式ショップから購入が可能なので、欲しい方はそちらからどうぞ。
2位 亀齢 純米 クラシック

第2位は広島県東広島市、日本三大酒どころの西条に立地する亀齢酒造の【亀齢 純米 クラシック】です。こちらは登山酒ではありませんが、味覚の面で非常に気に入ったので今回上位にランクイン。
スペックは八反錦と中生新千本の68%磨きの単なる純米酒(火入れ)ですが……味わいはやや濃い目で、しっかりと甘味が伸びてその後暫くしてから丁寧に切れる。そのノビとキレの調和が今年飲んだお酒の中でも抜群で、全体を俯瞰した時に非常に綺麗に纏まっている。思わず「凄いお酒だな~」と言葉が漏れてしまう、そんなお酒でした。
亀齢は個人的にとても好きな銘柄でこれまで何種類も飲んでいますが、またいずれ別スペックを試してみたいです。

背面ラベルの表示です。


こちらは一昨年の2023年の西中国山地登山旅行で西条に訪れた際に通りがかった亀齢酒造の外観。この時は他の酒蔵で蔵開きをやっていたのでこちらには入らなかった……いつか必ず訪れて試飲とかしたい。

食中酒としての起用が輝くと思ったので色々試してみました。
まずはサワラの西京焼きと合わせてみましたが、いきなり抜群の相性……甘辛どちらもはっきりしている上に飲みごたえあるお酒なので、甘味の強い西京焼きとも相性は良いです。

味の濃いホッケの干物とも合わせてみましたが……完璧とも言える相性に思わずガッツポーズ。(吉田類風)
※個別記事は『010|亀齢 純米 クラシック』を参照

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵元 | 亀齢酒造(広島県東広島市)→(HPリンク) |
| 使用米 | 八反錦&中生新千本 |
| 精米歩合 | 68% |
| 日本酒度 | +3 |
| 酸度 | 1.6 |
| アルコール度数 | 17.5度 |
| 種別 | 純米酒 |
| 購入価格(税込) | 2,750円(1,800ml) |
亀齢の同じスペックの純米クラシックは生産数そのものが絶対的に少ない為かAmazonでも楽天でも扱うお店を見つけられなかったので、代わりに自分が普段よく飲んでいる辛口純米八拾を紹介……これ本当に美味いので、濃醇辛口が好きor試してみたい方には凄くおすすめです。安いし。
1位 飛鶴 しぼりたて 本醸造無濾過生原酒

今回のランキングの第1位は、10位の吉寿と同じ千葉県君津市にある森酒造場の【飛鶴 しぼりたて 本醸造無濾過生原酒】となります。こちらも吉寿と同様、久留里での酒蔵巡りの際に購入しました。
飛鶴の銘柄を醸す森酒造場は千葉県内でも規模の小さい酒蔵で、生産量は僅か100石(20石という話も……)。メイン銘柄の飛鶴も地元以外ではまず出回らないお酒との事。
自分は日本全国の酒蔵あちこち巡るようになって久しいですが、その際の方針として"地酒らしい地酒を優先的に飲む"というものがあります。この場合の地酒の定義は"地元の人による地元の人の為のお酒"で、すなわち地元で消費されるのが大半で首都圏を始めとした大都市圏では手に入りづらい、もしくは手に入らないようなお酒の事を指します。そうした定義にこの飛鶴という銘柄はものの見事に合致していました。
というのも、最近はそうした原理主義的な地酒を作る酒蔵も廃業、もしくは流行りの味に変えて大都市圏向けに売り込んだりして(これはこれで業界全体から見ればプラスですが)方針転換する所が多いので減少傾向にあります。少なくとも、つい10年前まで地方を旅していればそういう所は図らずとも見つけられたのですが、今は下調べして当たりをつけないと中々巡り会えません。
さて、飛鶴は飛鶴でも今回のスペックは千葉県の飯米であるふさこがねを65%まで磨いた本醸造無濾過生原酒で、アルコール度数は19度と中々特徴的なお酒……この飛鶴の本醸造無濾過生原酒、Xの投稿を始めとしたネット上では720mlの四合瓶しか情報が無かったので当初はそれを買うつもりだったのですが、尋ねてみると一升瓶もあるというのでそちらを購入。注文すると冷蔵室から無地の瓶を取り出してきて、その場でラベルを貼って売ってもらいました……10年くらい前にはこんな風にして売ってくれる酒蔵もあったなーと思わずノスタルジーでした。
味の方はと言うとこれもまた特徴的。最初には大きな塊のような甘味がやってきて、そこから強引にアルコールの辛さで切れるという、非常に濃いながらもメリハリがあって飲んでいて楽しいお酒で、それでいてどこか纏まっている印象も受ける。甘辛のバランスとか抑揚の感じは菊水ふなぐち(『022|菊水 ふなぐち スマートパウチ』で紹介予定)に近いですが、風味そのものはだいぶ違ってこちらの方が複雑味がある感じ。

背面ラベルも販売時に貼り付けてくれました。2025年3月の製造(瓶詰め)なので半年以上経っているという事もあってか、味わいの奥に円熟味を感じました……先程受けた纏まった印象というのはそれが由来な気がします。
一方、3月に新酒としてできたばかり物もそちらはそちらで面白そう。(想像するだけで荒々しそう)


飛鶴を醸す森酒造場には久留里線で向かいましたが、久留里線の末端区間である久留里~上総亀山間は廃止が予定されているので、折角なので乗り納めに来ました。
写真は廃止予定の終点の上総亀山駅。久留里線は高校生くらいの頃に一度乗りに来た事があり、おそらくそれ以来ぶり。

上総亀山駅から2駅戻って平山駅。向かう先である森酒造場はこの駅と隣の久留里駅のほぼ中間という所に位置しているので、今回はこちらの駅から歩き始める事に……ちなみにこの駅も廃止区間にあるので廃駅になってしまう予定。

森酒造場は久留里の市街地(久留里市場)から西に2km弱離れた所にあり、敷地の入口には写真のような案内看板があります。看板的に直売をやってそうな雰囲気なので安堵。


こちらが森酒造場の外観と内部。正面の扉の中が倉庫兼売店となっていて、右の写真のようにケースに収められた形で売られています。目当てである本醸造無濾過生原酒は四合瓶しか並んでいませんでしたが、尋ねてみると一升瓶もあるとの事で歓喜。

こちらは10位の吉寿の所でも紹介した、【生きた水久留里・酒ミュージアム】の森酒造場(飛鶴)のコーナー。酒蔵で見かけたのは数種類でしたが、思ったよりも色々なスペックのお酒があるようです……今回の本醸造無濾過生原酒は個人的にとても良かったので次回は色々と試してみたい。

がっつり濃厚なお酒なのでローストビーフと合わせてみました。(醤油ベースのタレにつけるローストビーフは日本酒のつまみだと個人的に思ってます)
※個別記事は『061|飛鶴 しぼりたて 本醸造無濾過生原酒』を後日公開予定

| 蔵元 | 森酒造店(千葉県君津市)→(HPリンク) |
| 使用米 | ふさこがね |
| 精米歩合 | 65% |
| 日本酒度 | 不明 |
| 酸度 | 不明 |
| アルコール度数 | 19度 |
| 種別 | 本醸造酒(生原酒) |
| 購入価格(税込) | 2,640円(1,800ml) |
案の定というか、飛鶴の同じスペックの本醸造無濾過生原酒を扱うお店はAmazon、楽天ともにみつけられませんでしたが、森酒造場の公式HPから買える(ショップ形式ではありませんが)ので欲しい方はそちらからどうぞ。本醸造無濾過生原酒は商品一覧には載ってないですが、在庫があれば買えると思います……たぶん。
あとがき
という訳で、以上が本年のランキングとなります。去年は東北地方のお酒に偏重していましたが、今年は中部地方のものが多い(新潟1、長野1、福井1、愛知2の5銘柄)印象でしょうか。一方で、九州や四国といった西日本のお酒は広島を除いてちょっと少なめ……来年はそちらの方を意識して飲んでみたいです。
そしてもう一つ、今回ランキングにはあまりにもありふれたお酒という事で敢えて入れなかったのですが、改めて飲んでみたらとても美味しかったので更にお酒をもう一つ、ランキング番外編として挙げさせて頂きます。
番外編 大関 上撰 金冠(ワンカップ)

ランキング番外編という形で今回特別に挙げたお酒は兵庫県西宮市、日本一の酒どころである灘五郷における今津郷に立地する、大関(株)の【大関 上撰 金冠 ワンカップ】です。
所謂ワンカップ大関ですね。コンビニやスーパーの他、自販機でも売っているような至極ありふれたお酒ですが……こちらのお酒は今回、3位の最愛の所でも触れた台高山脈から室生火山群までの縦走の途中で酒切れになった際に急遽調達したものです。なので後半のアップダウン激しい室生火山群の踏破を無事にこなせたのは誇張無しにこのお酒のおかげ。
味わいとしては、冷や(常温)で飲むと甘味が全面に。その後に酸味や苦味といった昔ながらのワンカップ大関の風味。懐かしくもそれなりに楽しめるのですが、燗酒にすると一気に角が取れてかなりまろやかに……中々の燗映えぶりに恐れ慄く。
コンビニバイト時代よく見かけた、大関をレンチンしてた常連のおじさんの気持ちが今になってようやく理解できました。ワンカップ大関は燗にしてこそと。

ワンカップ大関のラベルの裏側には風景画が描かれています。(この時初めて知った)

ワンカップ大関を手に入れたのは台高山脈から室生火山群までの縦走の後半、三峰山かから麓(松阪市美杉町)に一旦下山し、続く登山に向けてお酒の調達に出向いた時の事。当初は近隣にある【道の駅 伊勢本街道御杖】で調達しようと思ったのですが、旧伊勢本街道を歩く途中で雰囲気の良い酒屋さんがあったのでそちらに立ち寄る事に。


こちらがワンカップ大関を購入した北山商店……色褪せた酒看板が実に良い味出しています。扱っているお酒は他にも鉾杉の純米吟醸の小瓶があったりして唆られましたが、目当てとなる四合瓶の扱いが無かったのでこれ1本のみ購入。
ただ次に向かった道の駅でお酒の扱いが一切無く、この日の夜はこれ1本のみで凌ぐ事に……分かっていたら2~3本買っていたのにと後悔先に立たず。(1本しかなかったからこそ、いつもより飛躍的に美味しく感じられたという事もありそうですが)

ワンカップ大関は鍋に入れて燗酒にして楽しみました。道の駅では食料の方は無事に調達できて、この日は山での食事としては少々贅沢にアマゴ(川魚)の甘露煮という郷土食チックなものを一緒に湯煎。

その日の夕食風景。アマゴの甘露煮は頭から尻尾まで柔らかく全て食べられる……これがワンカップ大関に物凄く合う……五臓六腑に染みました。

その後は大洞山、尼ヶ岳、倶留尊山と室生火山群のピークをそれぞれ登頂して、途中では夕日に輝くススキ野原で有名な曽爾高原を観光。

最終日に立ち寄った室生寺の本堂(潅頂堂)と三重塔。この日は雨となりましたが、無事にゴールである室生口大野駅まで歩き通す事ができ、12日間にも及ぶ長い縦走を終える事ができました……これもワンカップ大関のおかげでしょう。
※個別記事は『056|大関 上撰 金冠(ワンカップ)』を後日公開予定
| 蔵元 | 大関(兵庫県西宮市)→(HPリンク) |
| 使用米 | 不明 |
| 精米歩合 | 不明 |
| 日本酒度 | ±0 |
| 酸度 | 1.4 |
| アルコール度数 | 15度 |
| 種別 | 普通酒 |
| 購入価格(税込) | 248円(180ml) |
同じ上撰のワンカップ大関だと単品売りしているのは楽天のみです。Amazonだと10本入りからとなります。(2025年12月現在)
という訳で、番外編を含めたお酒紹介は以上となります。
今年もゴージャスな大吟醸酒から普通酒まで色々なお酒を幅広く楽しむ事ができました……来年も肝臓に無理させない程度にはお酒を楽しめる一年にしたいですね。











