御嶽山その2(百間滝→御嶽山→継子岳→開田登山口→旭ヶ丘バス停)
その1『黒沢里宮→油木美林遊歩道→百間滝展望台』からの続きです。
inuyamashi.hateblo.jpこの日は百間滝からスタート。御嶽山の剣ヶ峰に登頂する行程中でも核心となる一日で、その後は摩利支天山、継子岳などを経て開田高原方面に下山しました…下山という事でいいのか?
以下が今回のルート。記事の範囲は百間滝展望台から下山までとなります。
実際に行かれる方向けの情報記事はこちらです。
【2019年10月】御嶽山登山についての情報と記録 - 山とか酒とか
目次
- 百間滝展望台→黒沢口七合目→八合目女人堂
- 八合目女人堂→御嶽山剣ヶ峰
- 御嶽山剣ヶ峰からの展望
- 剣ヶ峰→摩利支天→五ノ池小屋
- 五ノ池小屋→継子岳→三ノ池避難小屋
- 三ノ池避難小屋→開田口登山口
- 開田口登山口→旭ヶ丘バス停→木曽福島駅
百間滝展望台→黒沢口七合目→八合目女人堂
[4:13]百間滝展望台出発
テントを撤収して出発。久々なので手間取って30分くらい後片付けにかかってしまった……途中、前日宿泊キャンセルしたお化け旅館を横に掠める。
油木美林遊歩道は黒沢口七合目まで続いていますが、相変わらず道は良いです。真っ暗闇でも楽勝で歩けるくらい。
[5:30-5:44]黒沢口七合目・行場山荘
七合目に到着。ようやく黒沢口のメイン登山道に合流した所ですが、まだ少し時間が早かったのか人の姿は全くないです。
水場があるのでここで補給。ただの沢水ですが水量が多くそこそこの味わい。Bランク+くらいかな。休みがてらアクエリアス製造してると背後からチリンチリンと…なんだか追い立てられるようにして出発。
へぼい所からのご来光となりました。
既にこの辺りは紅葉で木々も色づいてます。足元を見ると、ゴゼンタチバナの実もジャム一瓶作れそうなくらいには実ってる。麓はまだまだ暑さが残ってますが、山の方はすっかり秋という感じでした。
登っていくと木々が開けてきて視界もそれに伴い開けてくる…山登ってるって感じがしていいですね。向かいに見えるのは中央アルプスの木曽駒ヶ岳や宝剣岳。左側、奥には南アルプスの甲斐駒ヶ岳が目立ってます。
階段が多いですが、開放的な雰囲気で不思議と辛さを感じさせない。たまに振り返って景色を眺めては心身を回復。徐々に日も高くなってきた。
[6:45-6:56]黒沢口八合目・女人堂
もくもく歩いてると女人堂に到着。森林限界の境界みたいな所にある立派な小屋でした。
小屋のすぐ側に乗鞍岳方面を望む展望スポットがありました。雲ひとつ無い晴天に、どこまでも見える山々。イイネを付けたい衝動に駆られる。
ここもまた霊神碑が立ち並んでます。麓に建てるのと上に建てるのとではグレード的なものが違うのかな。
八合目女人堂→御嶽山剣ヶ峰
女人堂出発。景色が良すぎて中々先に進めない。
山、紅葉、小屋、そして雲海という素晴らしいロケーション。こういうのを丸一日ぼーっと眺めるだけの仕事がしたい。
次のポイントである石室山荘はハイマツ帯の僅か上に。すぐ目前のような気がしますが意外と遠い。
再び階段の連続。時たま背後を振り返って展望に癒やされながら進む。
ハイマツ途切れて火山らしい荒涼とした風景に。背後の風景も、遮るものは最早何も無くなった。
南アルプスを望遠で繋げてみる。左側奥には甲斐駒ヶ岳、右側にぽつんと佇むのは恵那山。雲海がまたいいね。
傾斜もどんどん急になってきた。が、よく登られている道なので、浮石のようなものは少なく別段歩きにくいという印象はないです。しんどいけどしんどくない、不思議な感覚。
麓、おそらくはあの雲の下から登ってきた。そう思うと早くも感慨深い。
[7:52-8:09]石室小屋
ここまで来ると纏まった登りはもう僅か。
覚明堂付近。信仰の山って日本津々浦々にありますが、ここはちょっと独特な雰囲気。
鳥居が入ると途端に日本らしい風景になりますね。
ちょっと進んだ所で剣ヶ峰との山頂への分岐に到着。現在は規制により、この場所以外からの山頂へのアクセスはできません。
この分岐点にてデカザックとは暫しのお別れ。軽荷というか手ぶらで山頂に向かう。
枯れ気味のニノ池を横目に。
これまでテント装備で亀さんペースだったからか、次々と登山者が追いついてきた。変な意地が湧いてきて抜かれないように山頂まで駆ける。
山頂直下には避難用シェルターが作られていたり、噴石でボコボコになった御嶽頂上山荘がそのままになっていたりと、噴火の爪痕が生々しく残っていました。そうした悲惨な過去とは裏腹に、この日は風も凪いでいて気の抜ける空気。日常と非日常、生と死の境界はどこにあるのか。
この階段を登ればいよいよ頂上という所。ここから先は私にとっての非日常。
御嶽山剣ヶ峰からの展望
[8:43-9:31]御嶽山剣ヶ峰
山頂に到着。きっちり整備された所でした。
山頂からは主に東側の展望が開けています。
まずは乗鞍岳、北アルプス方面。常念岳の右側、大滝山の右奥に見えるのは飯縄山か。薬師岳の左隣は北ノ俣岳。黒部五郎岳は薬師の手前に重なっている。
更に望遠で。槍ヶ岳や奥穂高岳は勿論、薬師岳、笠ヶ岳、立山剱岳、水晶岳など錚々たる面子が揃い踏み。当時笠ヶ岳の右奥の山が正体不明で人に聞いたものの、立山剱だったり黒部五郎岳や双六岳だったりで割れてましたが、帰って調べてみたら立山と剱岳の方が正解のようです。おめでとうございます。景品は特にありませんが。
志賀~浅間方面の山並み。手前の鉢盛山の右奥の鋭鋒は四阿山。浅間山の左手前には美ヶ原山頂の物々しい雰囲気の鉄塔群が見える。浅間山の右奥に見えるのは赤城山と榛名山もしくは日光方面の山か。篭ノ登山~湯の丸山の奥にも、薄いものの気になる稜線が見えている。
八ヶ岳~奥秩父の山並み。蓼科山から八ヶ岳にかけての山並みがくっきりと確認できます。右奥は奥秩父で、右側の山塊は金峰山や北奥千丈岳。左側はおそらく三宝山、甲武信ヶ岳、木賊山か。リサイズ前だと金峰山の所にうっすらと五丈石が見えたりします。
こちらは多くの山が見える中央アルプス、南アルプス方面。中央アルプスはほぼ全域に渡って見えますが、その後ろの南アルプスの方も主要な峰は殆ど確認できます…深南部の何がなんだかよく分からない辺りもばっちり。双耳峰の池口岳が目立っている。
あれはなんだろうこれはなんだろうと一つ一つ精査しながら眺めていると、時間があっという間に過ぎてしまいます。
富士山もよく見えました。右手前には塩見岳。左側は白河内岳。左端手前にあるのは宝剣岳。
更に南側に向いて恵那山方面。他と比べると低くて地味ですが、お気に入りの山です。雲海に浮かぶ船のよう。
景色が良くて降りたくない。つい噴火の事なんて忘れてしまうが、あの日も確かこんな感じの長閑で風が凪いでいる秋の日だったという。
こちらはニノ池方面。西側には白山も見えますが、こちらは火口壁が邪魔でいまいち見通せません。少し先の摩利支天山まで行った方がよく見えそう。
のんびりしていたら、いつの間にか山頂も賑やかになってました。あまり長居しても根が生えてきそうなので、押し出されるように退散します。
ポケモンGOも確認。山頂にジムあったので乗せましたが…未だ帰ってこない。16日に閉山したら来年の7月まで立入禁止だぞ。冬眠する気か?
※11月4日現在も乗っています。7月まで帰ってこなそう。
剣ヶ峰→摩利支天→五ノ池小屋
分岐に放置され拗ねている荷物を拾い先に進む。途中、御婦人のパーティからお菓子や果物など色々なものを恵んで貰いました。前回の大菩薩の時もそうですが、山にいると有り難くも、何かと人から食料を頂く事が多いです。よほどひもじくしてそうに見えるのだろうか。
左のものは頂いた手作り栗きんとん。思わぬ大好物との遭遇に感激。栗きんとんと言えばおせちのものを思い浮かべますが、岐阜の東濃辺りでは栗を潰して炊いた和菓子の事を指します。自分はそれが大好物で、中津川辺りの店からちょくちょく取り寄せているのです。
宣伝になっちゃいますが、以下おすすめのもの。山に持っていくには贅沢ですが、ちょっとした時のお茶菓子としてはおすすめです。
分岐すぐ先にはニノ池小屋。バッジを買おうと思ったら不在…かといってヒュッテまで行くのもなぁ。
晩秋だからかニノ池は枯れ気味でした。
ニノ池を通過すると風景は一変してだだっ広い光景が広がります。サイノ河原と呼ばれている所でその名の通り石積みが並んでいる。ちょくちょく紅葉していていい雰囲気です。
振り返り御嶽山。少し上るとサイノ河原避難小屋。
摩利支天方面に進むと三ノ池が見えました。帰りは開田コース経由なので最終的にはその湖畔まで下るのですが…随分と標高差ありますね。
けど逆に登ります。摩利支天乗越…摩利支天山への分岐に到着。
既に分岐の地点でも景色は良い感じですが、せっかくですので摩利支天まで足を伸ばしましょう。デカザックとは本日二度目の別行動。
乗鞍岳や北アルプスの山々もまだ見えます。手前の緩やかなピークは継子岳…当初の予定では立ち寄るはありませんでしたが、あそこに行ったらさぞかし北アルプスの展望良いんだろうなあと、危険な考えが脳裏に浮かんでくる。
まずは摩利支天山です。意外と険しい道ですが危険な場所は無いです。コースタイムも片道10~15分くらい。
[10:55-11:10]摩利支天山
御嶽山の山頂では叶わなかった西側の展望。白山が一際目立つ。
その白山を望遠で。左から三ノ峰、別山、御前峰、大汝峰など懐かしい山並みが見える。しんどかった思い出しかないね。
こちらは東側。辿ってきた道筋と御嶽山。
やや険しい所にあるピークですが寄り道する価値はありました。
分岐に戻りザックを再び回収して五ノ池小屋方面に下ります。地図を見ただけではあまり感じませんでしたが、実際歩いてみると起伏一つ一つが意外と大きく体力持ってかれます。テント装備だと尚の事足に来る。
五ノ池小屋→継子岳→三ノ池避難小屋
[11:52-12:00]五ノ池小屋
予定ではここから三ノ池方面に下山するつもりでしたが、その予定よりも少し早くの到着。先程見えた継子岳を周回するか…時間的には微妙な所ですが。
ちょっと悩んでいる間に足が勝手に継子岳に向かってしまっていました。傾斜も緩そうだしなんとかなるでしょうと…けど、せめて荷物を小屋に置いておくべきだったと思うよ。
継子岳の周回は四の池外周の火口壁をぐるっと一周するコース。継子岳~四の池までの下りとその後の登り返しが結構きつそう、と今になって気付くがもう遅い。
継子岳まではハイマツ帯の緩い道程。気持ちのいい道ですが、もやもや雲が上がってきてるのが気になる。
雲は増えつつあるものの展望は良いです。
[12:24-12:41]継子岳
乗鞍、北アルプスの展望を期待して来たのに、北側だけガスもくもくで見通せない…。
中央アルプスもこの時間帯順光気味でいい感じです。
間に起伏が沢山あるからか、時間の割にはあんまり距離稼げてないなぁという印象。
御嶽山方面を望遠で。山頂もまだまだ賑わってる頃でしょうか。
四ノ池までは先程遠目で見た通り、えらく急な下り坂です。ザック小屋に置いとけばよかった。無意味な修行でしたね。
一瞬だけガスもくもく。覆われたのはこの日その数分限りで、それ以降は掛かることはなかったです。
三ノ池の火口底は湿原帯となっています。花の時期に来てみたい場所ですね。
継子二峰と三ノ池を流れる小川。しんどいですけど景色に変化があって楽しい道です。
こちらは三ノ池。先程サイノ河原から見た時と逆側。火山によくあるターコイズブルーな感じの火山湖です。
[13:36-13:41]三ノ池避難小屋
思ったよりアップダウンがきつくて時間が掛かってしまいました。果たしてここから17時のバスに間に合うのか?
道が良ければ走れそうだけど荒れてたら無理かな…。
三ノ池避難小屋→開田口登山口
避難小屋から開田方面を示す道標がありません。それっぽい道筋はすぐに発見しましたが、この時点で少し嫌な予感を覚える。
暫くはハイマツ帯のトラバース道で展望は良いです。もとは旧営林署の見廻り道だったようで、他のコースと比べると史跡のようなものは気持ち少なめです。
かつての開田頂上方面との分岐。ここから麓に向けて下ります。さて、バスの時間も近いですし一気に駆け下りましょう。
出だしからモサモサ。走れるような道じゃありませんでした。
迷うような所は大してありませんが、笹薮の下に浮石のトラップが仕込まれていたりするので、足取りはかなり慎重に。そんな所を駆け下りるなんてとんでもない。小股で一歩一歩確かめながら、ひよこのようにヨチヨチ歩きで行進します。
紅葉も始まっていて景色は良いんですけどね。
特に歩きにくいのがこの涸れ沢の道。浮石が多くて何度か転けそうになりました。
四苦八苦しながら七合目避難小屋跡に到着。テントが張れそうな感じのスペースに、かつて小屋が立っていたらしいです。避難小屋も潰れるくらいに人の来ない寂れたコースという事ですね。
七合目を過ぎると一転して状態のいい道に。しかし、それまでで足が疲弊していてろくに走れず、よたよたと死にかけの亀のようなペースで歩きます。バスは無理だなと既にこの時点で諦めモード。
鬱蒼とした感じの苔の森。緑の海というべきか。
登山口の手前に鳥居があり、そのすぐ側に湧き水がありました。チョロチョロでここも心許ないですが、バスを諦めた以上どこかで水を調達する必要があったので、あるだけだいぶマシか。味はBランク+という所。沢水ではない分、弘法清水よりは美味い。
[16:58]開田口登山口到着
バスまで残り10分…10分で5km先のバス停に移動するスキルは持っていないので、本日はここで終了。帰宅を諦めてビバークとします。
すぐ側にお誂え向きな登山者用駐車場がありました。当然の如く車はゼロ台。どうせ誰も来ないでしょうし、ここを本日の宿としましょう。テント張って年単位で賞味期限切れてる予備食を食べて早々におやすみなさい。
開田口登山口→旭ヶ丘バス停→木曽福島駅
延長戦の三日目。バスの時間に合わせて出発。この日の予定は僅か1~2時間だけの下山…そして、あっという間に到着。お疲れ様でした。
この日は雲が多いとの事でしたが、まだなんとか御嶽山は見えてました。
ぼんやりと眺めていたらバスがやってくる。学生向けのバスのようで立ち客が出るくらいに混雑しました。デカザックが一人分の座席占領しててごめんなさい。
木曽福島駅。予定では昨日の内に帰宅しているはずだったので、その翌日にこの場所に立っているのが不思議な感じ…さて、どうしよう。このまま真っ直ぐ帰るにしても帰宅は昼過ぎを更に過ぎたくらい。つまり、どう足掻いても一日潰れてしまうという事になる。
観光でもしながらのんびり帰りましょうかね。
『中山道・鳥居峠を越える』に続く。