前回の大菩薩で思ったよりも調子良く歩けたので、久々にテント泊登山しに御嶽山まで行ってきました。ここ暫くは登山の頻度が低く行っても日帰り程度だったので、重荷持っての登山は去年春の平標仙ノ倉以来。テントや寝袋、ザック等もその間物置部屋の肥やしになっていて、芽が生える寸前となっていました。
www.yamareco.com暫くテントを担いでおらず体力的に少し不安だったので行き先選定に悩みましたが、小屋も多く閉山前で人が多そうな御嶽山を選択。噴火関連のニュースで目にする機会が多かった上、スキーでもよくこの辺りには来るので、なんか既に登った気になってしまっていましたが…よくよく考えてみれば、山頂まで行った事は一度もなかったので。
以下、今回のルート。一日目は百間滝までとなります。標高グラフが東側から見た御嶽山みたいでいいね。
実際に行かれる方向けの情報記事はこちらです。
【2019年10月】御嶽山登山についての情報と記録 - 山とか酒とか
目次
登山開始まで
いつものように中央線に乗り継いでいきます。初っ端の座席籤引き、最近はロングを掴まされる事が多いのですが、この日は運良くボックス座席でした。車内の混雑具合もせいぜい塩山から韮崎まで高校生が溢れていた程度で、そこから先は空気輸送で居心地がいい。
右の写真は今度家族と行く予定の五丈石が目立つ金峰山。五丈石登りは過去に一度断念しているので次回こそは。登ったからどうって事でもないですが。
はるばる塩尻。そのホーム上にはぶどう畑なんて素敵なものがあります。その手前にはワイン樽があったりとワインの街アピールに余念がない。
塩尻のワインといえば井筒や五一などありますが、私自身は井筒の生にごりワインがお気に入りです。
|
|
ワインというよりは葡萄酒って感じで、甘酸っぱく果実味を感じさせる味です。従来の酸味渋味の強いワインが苦手な人にはオススメ。糖分が多くエネルギー補給になる上に栓もしっかりしてるので、山に携行していくのに適しているかもしれません。
話が脱線しましたが、塩尻から中央西線に乗り継ぎする際、普通列車同士の接続がクソなので暇つぶしに松本へ。話だけではなくルートの方も脱線。
松本の最も駅舎寄りのホームには立ち食い蕎麦屋があるのですが、ここはちょっとした有名店。立ち食い蕎麦といえば茹で置きの流水麺みたいな奴が多いですが、ここのは特上を選ぶと生そばから茹でてくれます。
コシ抜群で蕎麦の風味香る…という訳ではないですが、その辺の有象無象の駅蕎麦と比べると少しは違うのかな。なんとなく来る度に食べてしまう。
途中からグルメ紀行っぽくなってしまいましたが、松本から中津川行きに乗って軌道修正。二両ぽっちのワンマンカーにゴトゴト揺られて木曽福島に向かいます。宿場町巡りの外国人が多いですけど、以前この辺りでよく見掛けたアジア人の姿は少ない。色々あるんだろうね。
木曽福島で降りて、そこから少し歩いた所でバスに乗ります。バス自体は駅を経由するのですが、今回はコンビニにちょっと必要なものを買いに市街地に降りる必要があったのです。
そのコンビニに行くのにこれまた難儀しました。駅前やや北にある階段を使えばスムーズに下れるのですが、その存在に気付かずぐるっと南側の車道を大回りしてしまう。その所為で駅に戻る時間が無くなり途中のバス停から乗る羽目に…ともあれ目当てのバスには無事に乗れましたので結果オーライ。
この時点では一泊の予定でしたが、大は小を兼ねるという事でいつものクソデカザックです。酷使しすぎてそろそろ穴が空くかもしれない。加えて今回はヘルメットのおまけつき。
黒沢里宮→油木美林遊歩道入口
[12:56]黒沢里宮出発
意外と混雑していたコミュニティバスに揺られ三十分、黒沢里宮で下車します。ロープウェイ乗り場まで行く観光路線だと1,500円取られますが、地元住民用のこの路線だと一乗車200円と実に懐に優しい。
こちらが御嶽神社黒沢里宮。神体である御嶽山を奉拝する為の里宮(麓の神社)で、似たようなのが王滝の方にもあります。思ったより質素な作りの神社でした。
里宮の近くには木曽御嶽本教(御嶽教から分離された別物)の施設や御嶽山日野百草丸のの販売店が立ち並び、その奥には太陽の丘公園という不思議な雰囲気の公園があります。まだまだ舗装路は続きますが、一応この地点から歩き始め。
御嶽山や乗鞍岳がちらちら見える中での歩き。この日は十月中旬に差し掛かったとは思えないくらいに暑く、日陰に飛び移りながらの歩行。
流石にこんな所歩いてる奴はあまり居ませんね。とぼとぼ歩いてる姿が不憫に映ったのか、一台通りかかった車から乗せていってやるぜ的なお誘いを頂きました。けど心意気に感謝しつつも恐縮しつつも固辞。まだまだ体力的には余裕ですので地力で歩きましょう。無理はするな。けれども楽はするな。
二合目半。開けた所に出ると御嶽山がその姿を現す…遠い。予定通りだと明日の朝、あの天辺に立ってるはずですが、いまいち現実味がない。
黒沢コースは古くから御嶽講で賑わった道で、その道すがらには数多くの遺構が残っていました。写真に見られるような石柱は霊神碑と呼ばれるもので、木曾御嶽山信仰にまつわる人間の死後、崇拝する御山(御嶽山)に魂を引き取って貰えるようにと御嶽山の周囲に建立されたもの…言ってしまえば御嶽教信者のお墓という訳です。
今でこそ写真のように、そうしたお墓の入口には神社式の鳥居が立っていますが、廃仏毀釈以前は神仏習合で墓に関しては仏教式のもの(そもそも発祥が修験道なのでもとは仏教寄り)と混在しており、現在のように神道系の形になったのは明治、神道系新宗教としての御嶽教が確立されて以降の話という事です。
何もない舗装路ならそろそろ飽きてくる頃合いですが、御嶽信仰に関連する遺構が色濃く残っていたり、御嶽山自体もちらちら見えたりして楽しいです。車ですっ飛ばすのは勿体無いかも。ちょっとした旅気分に浸りながら歩けました。
九十九折の道を進んだ所は御嶽教における修行の場らしく、人工の滝が並んでいます。霊神碑もそれだけに多く、宿泊施設等も立ち並び一際の賑わいを見せていました。廃墟のようなものも多く、人気は全くと言っていい程ないですけど。
ようやく油木美林遊歩道への登山口である駐車場が見えてきました。ここから山道に入ります。
油木美林遊歩道入口→滝巡り→百間滝展望台
[14:39-14:47]油木美林遊歩道入口
油木美林遊歩道は舗装路の脇から伸びています。多くの人は入ってすぐの所にあるこもれびの滝と不易の滝の見物に使う程度で、百間滝まで行く人は物好き以外あんまり居ないみたいです。実際、ネットで山行記録を探しても皆無に等しいです。
入口から数分歩いた所にあるこもれびの滝の展望台。木漏れ日というには少々日が傾き過ぎていてうすぐらの滝でした。
こもれびの滝から少し進んだ所に不易の滝と百間滝との分岐があります。まだ時間に余裕がありそうなので不易の滝を見に行きました。
不易の滝。ドバーって流れる滝も爽快でいいですけど、こういうチョロチョロ的なのも神秘的で風情ありますね。
滝見物を終えて先に進むとします。情報に拠るとここから先は階段の崩落でごく最近(2019夏頃)まで通行止めだったらしいですが、これまでの歩いてきた中で、通行止めを知らせるものは特にありませんでした。なので現在では普通に通れそうな感じです。
登り始めて暫くは階段地獄。途中にある真新しい階段…この辺りが補修箇所でしょうか。確かにこの階段が無かったら上るのも難儀しそうです。
鬼階段ゾーンを終えて尾根に上がると途端になだらかで歩きやすい道になります。道幅も広い。根っこも飛び出てないし走れそう。トレランに良さそうな感じの道です。
途中にある弘法の清水。本日の水補給はここでと宛てにしていたのですが、水量がしょぼくて名前負けしてます。が、ここで汲まないと今日の夕食と明日の朝食がままならないので適当に汲んでいく。
見た目は泥混じりっぽくてアレですが、割と澄んでいて口当たりもまあまあ行けます。流石は弘法大師の御業という所か。湧き水ソムリエ三級の私からするとBランク-くらいの味わいかな。
木々の合間からは乗鞍岳も見えました。実は乗鞍か御嶽のどっちにするか直前まで迷っていました。こうして見ると乗鞍の方にも行きたくなりますね。
[16:46]百間滝展望台到着
当初は廃屋同然となってる百間滝小屋の内部もしくは軒下辺りで野宿しようと思ったのですが、なんか思ったよりあばら家具合が酷く、近くに居て崩れてきたら洒落にならないので展望台の所まで避難しました。
写真だとフラットだからという理由で鳥居っぽいものの下、神様の目の前に張っちゃっていますが、流石に罰当たりっぽくて落ち着かないのですぐに道の脇に移動しました。
付近から見える百間滝。那智の滝みたいに落差のあるタイプです。展望台という割にはいまいち見通しが利かないんですよね。
日没前、木々の途切れた所から御嶽山。晩飯はアルファ米がトラウマレベルで飽きているのでパスタ。さっきのトリコロール物干しはその伏線でした。加えて恒例のソーセージ。登山に肉は必要。
ちなみに本日のお酒の中身はこちらです。埼玉のお酒、『亀甲花菱・無濾過吟造り本醸造生原酒』。最初の予定では日光白根に行くつもりだったので、北関東のお酒を調達してしまったのです…何度か買っている銘柄ですが、甘辛共にがつんと濃い感じの酒質のものが多く登山向けではあります。酒のんだーって感じがする。
食後、近くの神様に盃を一杯供え、明日の好天を祈願しつつ就寝。残念ながら夢には出てくれませんでした。
その2『百間滝→御嶽山→継子岳→開田登山口→旭ヶ丘バス停』に続く。