前回記事『立山連峰縦走その1』からの続きです。
この日は秩父平から双六小屋を経て黒部五郎小舎まで稜線歩きです。当初の予定では双六小屋→太郎平とそこそこな距離歩くつもりでしたが、前日中途半端な地点でギブアップしてしまったのが響き、この日はかなり手前の黒部五郎小舎で打ち止め。行程も短いです。とは言え、この日は前日とは打って変わって天気は悪く稜線上は終始雲の中。そんな時に延々と歩いても何も面白くないので結果的には良い巡り合わせだったのではと後々思ったり。
他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。
【2020年8月】立山連峰縦走についての情報と記録 - 山とか酒とか
目次
秩父平→弓折岳→双六小屋
[4:45]秩父平出発
少し明るくなり始めた所で出発。前日のうちに双六小屋まで辿り着けなかった以上、この日はどう足掻いても黒部五郎小舎までしか行けないので早出する必要は無かったのですが、変な所にテント張っているのを咎められるのが嫌なので一応ね……。
電波が繋がったので天気予報は確認済み。一日中ガス、稜線上は昼過ぎ頃から雷雨の恐れ。見た瞬間にテンションだだ下がる文言が並んだ。
笠ヶ岳山荘が休業中だからか、コース上藪が繁茂してる箇所が結構ありました。朝露でずぶ濡れになりながら先に進む。
ガスの濃い稜線。ご来光とか見えるはずもない。
基本ガスの中ですが時々青空が見えたりします。本当に時々ですが。
天気の悪い時はお花を眺めるに限る。左はハクサンイチゲで右はクルマユリ。前回の谷川連峰の時も見かけたハクサンイチゲはもう終わりの時期で数は少なかったですが、クルマユリはそこそこ群生してました。
向かいの穂高岳(ガスで見えない)。どうやら稜線上に雲が蟠ってるだけで麓は晴れてるみたいです。
ハクサンフウロとかが咲くお花畑の斜面。
ガスの中、大ノマ岳を無意識のうちに通り越して鞍部の大ノマ乗越へ。弓折岳まで再び登り返しですがそこまで長くはない。
鞍部に下ると一転して視界が回復し、初日に泊まったわさび平小屋のある蒲田川左俣谷が見える。しかし登ってガスの中に突っ込むと再び視界不良に。
[6:18-6:30]弓折岳
ガスの中、弓折岳に到着。
山頂付近はだだっ広い感じで、メインのルートから少し入った所にあります。すれ違った人から雷鳥がいたよーなんて話を聞いたものの遭遇できず。ガスっててハイマツが茂ってて……潜んでそうな気配はするんですけどね。
弓折岳から下ってすぐの所で鏡平山荘方面から道と合流します。流石にこちらは人通りが多い……そしてこんな天気だからか時間帯からか、新穂高方面に下山する人が圧倒的に多かったり。
合流点から先に進みます。ゆるやか稜線ですが、微妙に標高上げてくのでガスが濃くなる一方。
荒涼とした広尾根を過ぎるとお花畑が。
木道沿いのお花畑。
チングルマは道中結構見かけましが、既に花が散ってほわほわの綿毛になってるものが多かったです……秋の足音は聞こえつつある。
この辺りは通行量が多いのか登山道が丹沢みたいに抉れ気味で、所々で補修箇所とかストック使用禁止箇所がありました。そのうち階段と木道ばかりになるのかな?
緩やかな下り坂の先に双六小屋が見えました。
双六小屋のテント場。7時過ぎという登山的にはもう相当遅い時分ですが賑やかでした。寝坊してる訳じゃなくて、今日は後は新穂高に下るだけって感じの人が多いんでしょうたぶん。
双六小屋→双六岳→三俣蓮華岳
[7:34-7:45]双六小屋
5年ぶり2度目の双六小屋です。本日の目的地は黒部五郎小舎ですが、あんまり早く着いても仕方ないのでここで軽食でも食べて時間を潰そう……と思いきや、軽食は10:00~という残酷な現実。
前回はカレーを食べたら具沢山で思ったより美味しかった。今回は前日カレー食べたからうどんを食べよう、いやラーメンでもいいな……そんな感じに涎の垂れる妄想をしつつ心弾ませながら歩いてたんだ。
この日一番の楽しみを奪われた感を堪能しながら、小屋向かいの石垣に座って景色を眺める。表銀座方面は晴れているらしく向こうの空は明るい。
裏銀座方面は曇天。視界は殆ど無し。
時間は余りそうですが、何もせずじっとしていても仕方がないので先に進みます……この天気なので槍ヶ岳方面に向かう人も疎ら。
少し進んで巻道との分岐。どうせ登っても何も見えないのだから巻いちゃおうかと考えるも、ショートカットしたら時間ますます余るよなーと思い当初の予定通り直登。
こんな登りだったかな?という急登。前回歩いた時は下りでしたしガスもなく槍ヶ岳もよく見えたので、全く別の場所という印象。
だだっ広い双六岳の肩です。ここから眺める槍ヶ岳は格好いいんですけどね……この日は生憎20mと見えません。
双六岳の山頂が見えてきた。
[8:53-9:25]双六岳
適当に歩いて双六岳。何も見えない。そして寒い。岩陰で風を凌ぎつつお菓子を食べたりして時間を潰す。
流れ作業的に三俣蓮華岳方面へ……ここまでガスが濃いと殆ど無心で歩くので意外と疲れなかったり。
巻道の一つとの合流点。こんな感じの天気なのでピークを巻いてる人もかなり多いです。
白い尾根道。
少し下ると視界がそこそこ広がりました。雲の下にまで下ったみたいです。
やや望遠で。三俣蓮華岳~双六小屋を結ぶ巻道がよく見えます。奥に見える赤茶の抉れた壁のようなものは西鎌尾根から伸びる硫黄尾根。
視界が悪いので稜線上のお花シリーズその2。左はチシマギキョウ、右はハクサンボウフウとウサギギク。
ヨツバシオガマとタカネヤハズハハコ。ヨツバシオガマは時期なのか到る所で咲いてました。
三俣蓮華岳→黒部五郎小舎
[10:35-11:04]三俣蓮華岳
何も見えない三俣蓮華岳山頂。ここから裏銀座、すなわち後立山連峰へと稜線が分岐している一大ジャンクション。
山頂標識は少し離れた所にあります……相変わらずの視界不良とは言え、双六岳の時と比べると幾らかガスも薄くなってる気が?
待てどもガスが晴れないので、諦めて黒部五郎小舎方面へ。三俣蓮華岳から標高500mくらいを一気に下ります。
山頂を下りるとガスは薄くなります。
三俣蓮華岳を振り返る。着実に雲は薄くなってますけど、結局この日は三俣蓮華岳、双六岳方面の雲は取れずじまいでした。
中央右のなだからピークが祖父岳。その左側の尾根伝いに雲ノ平山荘が見えます。前日遠く離れた笠ヶ岳からは明瞭に見えたのに、谷一つと距離を縮めたこの日はうっすらとしか見えず。
砂礫地に咲く色鮮やかなヨツバシオガマ。荒涼とした景色の中のオアシス的存在よ。
三俣山荘からの巻道と合流し、暫くは傾斜の緩い尾根道となります。
少し進んだ所から黒部五郎小舎に向けての急下降が始まります。そして下った分だけ登り返すという現実。
黒部五郎小舎と黒部五郎岳(雲の中)。
黒部五郎小舎にて
[12:39]黒部五郎小舎到着
黒部五郎小舎には正午過ぎの到着。あまり早く着いても仕方ないと休み休み歩いた上に歩行時間自体も短かったので、なんか歩いた気がしない一日でした……あまりに早く着いて暇なので黒部五郎岳を空荷で往復してもいいかなと考えるも、山頂があのガスの中かと思うと足は根が張ったように動かず。
黒部五郎小舎のテント場は完全予約制との事。自分はこの日予約無しで特攻したのですが、たまたま空きがあったので泊まれました……もし空きがなかったら2日連続ゲリラテントを張る羽目になってたので一安心。
ただ、テント1名1,500円は少し気になりました。今シーズンは小屋泊減ったりコロナ対策とかが増えたりで色々大変なのは分かるんだけど、流石に高いなー。
狭いテント場ですが、この時間の到着なのでまだテントも疎らです……好きな所に張り放題。
ホテルでも角部屋だとテンション上がる時分はテント場の隅っこに設営。色々なものを干しまくれるのは早着の特権。
湿地帯で長閑……しかし雲が厚くて辺りは妙に薄暗く、少し不気味な雰囲気があった。
なんか寂しくなったので小屋へ行き、エビスを買って黒部五郎の肩をぼーっと眺めながら呷る。明日登る山を見つつ、昨日今日はろくに歩けてないから明日以降頑張らないとなーとか憂鬱な事考えました。
加えてTシャツも購入。山Tシャツは槍ヶ岳で買ったものが一着あるんですけど、酷使しすぎて摩耗でボロくなってたのでもう一着欲しかった所……槍はともかく黒部五郎はネームバリュー的にどうなんだろう。登山あまりしてない人にはピンとこないかな。
小屋から眺める黒部五郎岳の肩。小屋に荷物を置いて往復してるのか、軽装の人がそこそこ下ってくる。山頂どうでしたー?と訊ねると真っ白!との事。けど達成感あるのか皆一様に表情は晴れやかでした。
まあ天気は明日に期待しましょうという事で少し早めの夕食に移行。丁度いい角材みたいなのがあったのでそれをダイニングテーブルにして並べまくる。
さんまの蒲焼を湯煎。お肉だけじゃなくて魚も摂ろうね。
食事を終えて翌日用の水を汲みに行った帰り。テント場はそこそこ埋まりつつあった。
食事も終えて翌日の準備も終えて、特にやる事無いので空を眺めてると程なくして眠気が来たので、日没を待たずにテントのファスナーを閉じた。
次回記事『立山連峰縦走その3』に続く。