前回記事『立山連峰縦走その5』からの続きです。
登山最終日であるこの日は別山、立山、浄土山の立山三山の周回を敢行しました。別山乗越までは前日と異なり新室堂乗越から大日尾根経由。以降は別山、真砂岳、富士ノ折立、大汝山、立山雄山とピークを踏む……この日は特に天気が良く日程の中では一番の展望で遠くの山までよく見えました。その後は一ノ越、浄土山と経由し立山三山を踏破。そのままバスの発着する室堂に下山するも、テントの回収の為に雷鳥沢を往復……その際の雷鳥沢の登り返しがこの日一番辛かった。
他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。
【2020年8月】立山連峰縦走についての情報と記録 - 山とか酒とか
目次
- 雷鳥沢→大日尾根→別山乗越
- 別山乗越→別山→別山北峰
- 別山北峰からの展望
- 別山北峰→真砂岳
- 真砂岳→富士ノ折立→大汝山
- 大汝山→立山雄山
- 立山雄山からの展望
- 立山雄山→一ノ越→浄土山南峰
- 浄土山南峰→室堂
- 室堂→ミドリガ池→雷鳥沢→ミクリガ池→室堂(テント回収)
- 室堂→美女平→立山駅→富山市街
雷鳥沢→大日尾根→別山乗越
登山6日目のテントから覗く空……既に明るい。前日に続き少なからずの寝坊。前日もそうでしたけど、いざ最終日!って思うと途端に気が抜けてしまうのは悪い癖。
この日もテントは背負わず空荷で立山三山を周回する程度。行程自体は軽く累計標高差もあっさり目ですが、この日はタイムリミットが存在。室堂にて16時台の最終バスに乗らなくてはならないのでそこまでの時間的余裕は無く、もし乗り遅れたら前日同様ここでまた一泊しなくてはならない。あと一日、あと一日……と引き伸ばしていくとなんか永久に脱出できなくなる気がするので、今日こそはと行きたい所。
[5:37]雷鳥沢出発
前日より23分早い雷鳥沢キャンプ場の様子。前の朝に比べると少しテントが増えたかなという印象ですがそれでもぽつぽつ。天気は雲一つ無い好天、鮮やかな青空に期待が持てる。
別山乗越までは前日は最短経路である雷鳥坂を往復。しかし2日連続同じコースは流石に飽きるという事で、この日は少々遠回りながらも新室堂乗越まで登り大日尾根を経由で向かう事に。こういう些細な気分転換は大事。
[6:01-6:05]新室堂乗越
大日尾根の尾根筋までは僅か30分足らずで到着。そこからは尾根上を別山乗越まで1時間以上歩く事になります。雷鳥沢から愚直に直登する雷鳥坂とは違い、こちらのコースは尾根伝いに進んでいくので早々に展望が開ける。右側、大日尾根を進んだ先に見える200名山の奥大日岳が印象的。もう一日延びたらこちらから下山してたかな。
日の昇る東側の空が立山という3,000mの壁に遮られているので、空は明るいながらも足元は薄暗いです。
この日は雲が立ち上がりやすい海側の方の視界も優れていました。富山湾の海岸線が見える……滑川の辺りかという所。奥にはうっすらと能登半島が左右に伸びています。
徐々に影が短くなりつつある一帯。これは6日間の日程の中で一番の好天か。
左は一ノ越~浄土山の付近の望遠……前々日歩き、本日も通過する予定の箇所。右は室堂から少し先、天狗平越しに見た白山。今日も鮮明に見えています。
北側に見えた山塊は毛勝三山……荒々しい稜線が目を引く。海の方を見やると先ほどとは少しずれて魚津の付近でしょうか、北陸新幹線が平野部を横断しています。
太陽が登りきっていない、薄暗く、そして長い登り。体感的に雷鳥坂経由よりはだいぶ時間が掛かる。稜線上に見えている剱御前小舎も一向に近付かない。
傾斜はそこまで急ではないですが長い九十九折の登り坂……散歩気分で歩く。足元に咲く白い花はだいたいチングルマ。
少し進んで標高を稼いだからか、室堂のビル街の奥では薬師岳が頭を出していました。相変わらずの厳つさ。
噴気が立ち上る室堂平横の地獄谷を望遠で……空焚きして焦げ付いたフライパンみたいな雰囲気。前日ビールとアイスを食した雷鳥沢ヒュッテは下の扇状の建物。建物がおんぼろだったのは火山物質を含んだ噴気で劣化が早いからかな。
高山植物であるウサギギクの群生。緩い尾根上なので花はザレの雷鳥坂よりも圧倒的に多いです。
エゾシオガマとオンタデ(ウラジロタデ?)。タデ食う虫も好き好きのタデ。
ヤマハハコとタカネヤハズハハコ。仲間です。
コイワカガミ。これは白いですが、おなじみピンクのものも沢山咲いてました。
室堂平に日が差し込み始めた所。標高も上がり、遠くに見える山も増えてきました。
一ノ越山荘の右側に見えるのは皆大好きな槍ヶ岳の穂先。南の方も雲が少なそうで安堵。
白山方面。雲は殆どなく奥の方まで見通せます。
白山を望遠で。空気が澄んでいるからか、御前峰や大汝峰細かいピークが一つ一つ確認できます。右側には笈ヶ岳、大笠山。左側には大日ヶ岳の稜線? 自分が白山を登った際に下山で使った三方岩山等のある念仏尾根も見えるか。
白山の左側、南西方向。高い山の少ない方角ですが、ぽつぽつと何かが見える。伊吹山は見えるかな?
別山乗越手前から室堂平。剱沢や剱御前小舎を出発して、奥大日岳を往復して新大日乗越から雷鳥沢に下山……という経路はモデルコースなのか、そんな感じで歩くみたいな事仰ってる方がちらほら居ました
しかし、別山乗越に登るまで写真数枚で終えてしまった前日の雷鳥坂と違い、こちらのコースは見所多数。お陰で初っ端から写真の枚数が嵩んでしまいましたが……時間があるのであれば、雷鳥坂より展望の優れてるこちらのルートをおすすめします。
別山乗越→別山→別山北峰
[7:14-7:24]別山乗越
前日より早い時刻に出発したのに、写真を撮ったりなんだりで前日より遅くの到着となってしまった別山乗越。右に見えるのが剱御前小舎。
剱御前小舎の横から剱御前のピークを見上げる。ここから往復1時間強との事ですが、寝坊の所為でバスの時間に間に合うか不安なので今回はスルーという事で。またな。
前日登った剱岳方面の展望。雲は少なく前日以上に展望は良さそう。背後の後立山連峰もくっきり明瞭。
剱岳を単体で。この格好良さよ……下山するのやめてもう一度登るか。みたいな衝動に駆られるけど流石に自重。
今回は別山乗越を乗り越さずにその立山の外輪を進み別山方面へ。左は剱澤小屋方面、前日、突発的な雷鳥撮影会が催された所の側。
少し登った所から北側、剱沢を見下ろす。中央右の奥に聳えるのが別山。そこから更に右側の立山雄山方面に歩いていきます……なだらかで歩きやすい稜線。岩場の上り下りで中々距離を稼げなかった前日の剱岳とは違ったジャンル。
別山を見据える……左側のピークが別山北峰でそちらの方が標高は上です。太陽は寝坊した自分を嘲笑うかのように既に高い。
立山雄山と剱岳。展望が良く写真を撮ってばかりいるので牛歩もいいとこ。
なんか物音がするなーと思ったら下の剣山荘の所に荷揚げ用のヘリがホバリングしてました。
荷揚げのヘリ。室堂平の方と行ったり来たりしていました。当たり前のように山小屋で食ったり飲んだりできるのも、こうした地道な運搬作業が行われてこそなんですよね……。
剱御前と剱岳を眺めながら歩く。
後立山連峰を単体で。白馬三山から朝日岳まで鮮明に見えますね。右奥の山は火打山と新潟焼山かという所。
登り終えてしまいましたが、やっぱりビジュアルの良い剱岳。本音を言えばもう何年後かに取っておきたかった山で、今回ついでのように登ってしまったのが勿体無かった気が。
山頂には何人かの人の姿がありました。皆早起きですね。
[7:49]別山南峰
緩い上り坂を進むと別山の南峰。地図上ではこちらが別山となっており、山頂には小さいながらも社があります。
別山南峰からの展望。山頂はだだっ広い雰囲気……これまでこの別山の山体が壁になって見えなかった東の山々もここに来て見えるように。
前日は雲に半分くらい隠れてた富士山もこの日は全体が露わに。
往来を続けるヘリを横目で眺めながら、より標高の高い別山北峰へと移動します。
別山北峰からの展望
[7:57-8:26]別山北峰
南峰からは数分で別山北峰に到着。もっこり僅かに盛り上がった所にあり展望は良いです。
別山北峰から別山、立山雄山方面。8月も後半に入りつつありますが、北斜面に雪が少しへばりついてる。
最終日にして今回の登山初の360度展望写真。360度殆ど雲が無いというのは割とレア。
存在感があるのは後立山連峰から続く東側の山々。その奥にも遠くの山が幾つか。
南~東側の山々を望遠で。富士山は勿論、南アルプスや八ヶ岳といった山々もよく見えます。奥秩父山塊は蓮華岳の左右に大きく伸びている。
前の写真の山名入りのもの。南アルプスは鳳凰三山から聖岳までの山が細かく見えます(仙丈ヶ岳は間ノ岳と完全に重なり見えない)。奥秩父の山も金峰山、甲武信ヶ岳と主峰が見えている。しかし最高峰の北奥千丈岳は蓮華岳の裏なので見えない。
北~東までの山。至近にある後立山連峰は勿論、頸城山塊や志賀高原の山は大きく横に伸びている。五竜岳と鹿島槍ヶ岳の間の大きな山塊が気になってましたが、あまりにも遠い山で帰って調べるまでなんだかよく分からなかった。
前の写真の山名入り。調べてみたら越後駒ヶ岳や平ヶ岳など東北に近い山が見えていた事が判明。妙高山と乙妻山の間に見える守門岳は自力で調べても分からず、人に聞いてようやく分かりました。日光白根山とか男体山も微かに見えてる。
頸城三山~浅間山を別個に望遠で撮ったもの……守門岳、越後駒ヶ岳、日光白根山とかの遠くの山はこちらの方が見やすいかもしれません。山名入りの方には記載してませんが、鹿島槍ヶ岳右の布引山の奥、白砂山の左辺りに上州武尊山の頭だけ見えていたり。
遠くの山ではなく間近にある剱岳も十分に見ておく。剱沢一本挟んでいるだけなので近く、迫力がありますね。
剱岳を中心とした展望。山は続くよどこまでも……そんな雰囲気。
以降は気になった山を個別に洗っていきます。左は白馬岳。巨大な白馬山荘の建物が山頂直下に見えています。短いけどやけに長く感じた山頂のザレの登りが懐かしい……右端は白馬鑓ヶ岳の山頂で、白馬三山の残り一つの杓子岳はその真裏で見えない。
右は新潟焼山と火打山。手前の不帰のキレットの荒々しさが際立つ。
左は唐松岳と、その背後に妙高山、火打山、新潟焼山の頸城三山。唐松岳の山頂の右側のピーク直下に唐松岳頂上山荘がありますが、暗くなってしまってだいぶ見づらいですが。
右は妙高山と、右の遠くに見える守門岳……距離は160km超と今回見えた山の中で富士山に次いで遠い。乙妻山は右に見切れている五竜岳の山体に隠れつつも少しだけ見えています。
五竜岳の単体。登った時ガスで何も見えなかったよね……。
帰ってくるまでは謎の山の扱いだった、五竜岳~鹿島槍ヶ岳の八峰キレット越しに見えた稜線。越後三山の越後駒ヶ岳や中ノ岳は山体が大きく分かりやすく明瞭そのもの。やや右側に見える巻機山はなだらかですが、割引岳の突起のような小さなピークが決め手。奥の山稜の右端は平ヶ岳と会津駒ヶ岳が重なってるけどおそらく平ヶ岳。ちなみにその前の稜線は苗場山から続いているものですが、肝心の苗場山は鹿島槍ヶ岳の山体に隠れてしまって見えませんでした。
こちらは鹿島槍ヶ岳。剱岳から見た時は綺麗に双耳峰に見えましたが、こちらから見ると殆ど重なってしまい、全くもって普通の山に。
鹿島槍ヶ岳から爺ヶ岳までの間に見える稜線。岩菅山や横手山、草津白根山、四阿山など主に志賀高原の山シリーズですが、その奥には日光白根山、男体山、赤城山といった遠くの山が見えています。日光白根山と男体山の間に見えるのは大真名子山もしくは錫ヶ岳。
浅間山を単体で。この辺りでは富士山に並びシンボル的なお山。煙は出てませんね。
浅間山の左側には浅間隠山が見えています。前回登った谷川岳からも見えて気になっていた山なので、近い内に登りたいなーとか思っていたり。
山名入りの写真では薄かったので記載しませんでしたが、赤沢岳と鳴沢岳の間の奥に両神山が見えています。左側には御荷鉾山とかの稜線も見えますが少し低い。奥秩父山塊は甲武信ヶ岳の辺り(三宝山、甲武信ヶ岳、木賊山と特定できる)までは明瞭ですが、そこから西になると幾重にも折り重なり少々分かりづらい。一番手前には御座山が見えるというのは分かりますが、それ以上はまあ。
赤沢岳~スバリ岳~針ノ木岳~蓮華岳のコの字型稜線の部分。針ノ木岳と蓮華岳の間の針ノ木小屋は今シーズンはコロナ禍で休業という事で、登っている人はいつもより少ないんでしょうね。
蓮華岳から針ノ木岳の間に見える八ヶ岳を望遠したもの。蓼科山、天狗岳、硫黄岳、横岳、赤岳、権現岳、編笠山と端から端までパーフェクトに見えました。蓼科山の左に見えるのは奥秩父山塊の金峰山で、よく見てみると五丈石らしき突起も確認できたり。
富士山を単体で。こうまでくっきり見えると安心すら覚える。
山成分の過剰摂取で胃もたれしてきたので、箸休め的に海の方を眺める。左側の尾根上に見える小屋は先程通った別山乗越の剱御前小舎です。その剱御前はというと中央右の凸部で、そこまで道は続いているのだとか……こうしてみると結構距離があり時間が掛かりそう。行かなかったのは好判断か。
剱御前小舎から右に登り、そこから奥に続く尾根の先には大日尾根の大日岳、中大日岳(奥大日岳は大日岳の手前)があり、その間には赤い屋根の大日小屋も見えてます。今期も10月までは営業しているとの事。
富山湾方面を渾身の力で望遠したもの。地上は流石に気温が高いので霞んじゃいますが、北陸新幹線が写真下の方を高架橋で真っ直ぐ横断しています。能登半島は薄いですが微かに見える。
こちらは白山。まだまだ鮮明に見える、長い牛の背のような稜線。
立山雄山方面。北アルプス南部の展望はこれから向かう大汝山や立山雄山の方が良いのではと思い、あまり写真に収めていません。
最後の締めに富士山。
別山北峰を後にします……30分の滞在の間、殆ど常に写真撮ってました。
別山北峰→真砂岳
再び別山南峰まで移動。途中、稜線から少し外れた所に硯が池なる池塘がありました。
[8:34]別山南峰
戻ってきました。そしてこれから向かう真砂岳、立山雄山方面を見据える。そこそこ険しそうには見えますが?
別山を下っていく。右手には室堂平を見下ろす事ができ、張りっぱで主人不在の自分のテントも肉眼で確認できる。
別山を下り終えると真砂岳の登り返しまでは大きな登りもなく起伏の緩い稜線歩き……真砂岳は正面手前側のなだらかなピークです。
下ってきた別山を見上げる。右は真砂岳方面へ向かう縦走路。立山三山の周回コース上なので道は流石に良いです。幹線道路レベル。
緩い起伏を登ったり下ったり……最終日はこういう気楽な山歩きがいいですね。クールダウン的な。
鞍部の真砂乗越の辺りから室堂平を見下ろす。角度が変わり雰囲気も少し変わってきた所。
前方には真砂岳の登り返し。一見すると長そうですけど、標高差100mと少し程度なので大した事はないです。
真砂岳の登り。急な傾斜は無く歩きやすい上りでした。
真砂岳→富士ノ折立→大汝山
[9:10-9:21]真砂岳
大して時間はかからず真砂岳に到着。向かう先に富士ノ折立、大汝山、立山雄山と立山の主峰が並んでいる。
真砂岳からの展望。南東側には内藤助カールという圏谷が広がっていて開放感があります。
後立山連峰の向こう側の世界に広がる山々。まだまだこの時間帯は鮮明。岩菅山の左に見える燧ヶ岳、至仏山は先程よりよく見えるかな……尾瀬も暫く行ってないな。
こちらは山頂より西側、室堂平側。ただただ雄大。
剱岳は別山の山体に隠れてしまい頭だけ見える状態。立山のなだらかさと剱岳の荒々しさの対比が中々。
真砂岳を後にします。天気が崩れる事も無さそうだ。
富士ノ折立へ。これまで同様緩いアップダウンを繰り返しつつ先に進みます。
正面に見える富士ノ折立。こちらも鞍部から100m強と登り返しは短い。
稜線上の様子……この辺から立山雄山方面から自分とは逆コースで周回してくる人とすれ違う事が増える。ハイキングの山という事で山慣れしてない人が多いように感じました。挨拶返事率も高尾山レベルに低い。
鞍部付近から内藤助カール。窪地になっていて雪が多く残っています。この日も日差しが強く、ひんやりが欲しい。
真砂岳と室堂平。中央奥に見えるのは奥大日岳と大日岳。
室堂平の内側がよく見えたので望遠で。網目のように歩道が張り巡らされているのが見える……中央には火山湖であるミクリガ池とミドリガ池も。ちなみに出発地の雷鳥沢のキャンプ場は右下です。
登り返しの際に足元に咲いていた花、タカネツメクサとトウヤクリンドウ。3,000mに近付き植生も次第に変わってきた。
鞍部の辺り。展望が良いのは嬉しいですが、良すぎて足が進まずやけに時間がかかるのが難点。
少し登った所から真砂岳方面を振り返る。内藤助カールに溜まった残雪も見える。
富士ノ折立の直下は少し足場の悪いザレた道ですが、区間自体は短い。高度が上がり、見下ろす室堂平の印象も変わってきた。
前方で何人かが挙動不審な動きをしていたので何かなと思ったら、近くに雷鳥がうろうろしてました。前日に続き2羽目の遭遇です。
こちらも子連れの個体で2羽ほどフワフワモフモフの雛を引き連れていました。ただ、殆どゼロ距離で観察できた前日程には寄ってきてくれなかったので、少し写真を撮った程度で後にする。
[9:51-9:58]富士ノ折立
急登を登りきって富士ノ折立に到着。ここから富士ノ折立、大汝山、雄山の同じくらいの高さのピークが至近で並んでおり、それらを総じて立山と呼ぶそうです……富士ノ折立のピークは前方の岩峰でコースも外れてるので登らなかった、というか登れるって知らなかったので、後々人が上に立っているのを見て軽く後悔。前日登った剱岳と同じ標高ですし登りたかったな。
富士ノ折立付近の稜線。一応は立山の山頂部という事になるんでしょうか。岩剥き出しで荒々しい雰囲気。
少し進み富士ノ折立を振り返った所。道はなだらかです。
次に向かうは大汝山。中央やや右寄り、少し奥に見えるピークです。
大汝山も富士ノ折立と同様にガレを積み上げた感じの山頂。直下に大汝休憩所の建物があり、売店やトイレなんかがありました。
大汝山→立山雄山
[10:15-10:34]大汝山
岩を登り大汝山に到着。標高は3,015mで、実は3,003mの立山雄山より標高は高く立山の最高峰だったり。
高々10メートル程度の差ですが、最高峰というだけあって展望は良いです。槍ヶ岳より北では唯一の3,000m峰。前日までは剱岳登れれば立山は行かなくてもいいやって思ってましたが……うん、立山も中々いいとこですね。
西側には後立山連峰、そしてターコイズブルーを湛えた黒部湖を眼下に。黒部湖の左側にはダムの施設も見えますね。
別山北峰からの展望は南側、木曽駒ケ岳の右側の山は立山の山体に隠れてしまって見えませんでしたが、ここは最高峰という事もあって360度視界を遮るものはなく、北アルプス南部の山々も全て見通す事ができました。
気温上昇に伴いやや霞みがちとなり、見える山は減ってきてますが山名入り。そこまで望遠していないので、山名は目立つピークと有名所のピークのみ記載……やはり目立つのは雄山の山頂越しに見える大きな山体の薬師岳。
雄山と薬師岳、黒部五郎岳、笠ヶ岳、水晶岳方面の山々。槍ヶ岳と穂高岳もよく見えます。
槍ヶ岳~薬師岳を望遠で。前日の剱岳よりは距離は近付いてますが、それでも遠くに旅してきた感がある。
槍ヶ岳、穂高岳を望遠で。奥穂高岳の右側には天狗岩、間ノ岳、西穂高岳と伸びる稜線。前穂高岳も結構目立つ山ですね。ちなみに手前に見えるザレのなだらか稜線は裏銀座の野口五郎岳。こちらの山体も大きく存在感がある。
水晶岳、乗鞍岳、笠ヶ岳の辺りを望遠で。赤牛岳や左奥の頭だけ出した鷲羽岳など細々と見えます。周囲より低いピークが連なってる三俣蓮華岳や双六岳、祖父岳の辺りとかも……けど笠ヶ岳~抜戸岳の稜線の向こうに見えるはずの御嶽山は雲が増えてきたからか見えませんね。
薬師岳越しの雄山。最初に登った笠ヶ岳から北端の剱岳までどこからでも大きく見えて、二回目ながらも山頂への登頂を果たした薬師岳が、今回の登山においてのメイン的な存在だったかな。
大汝山から室堂平方面。標高が上がり、上から見下ろす感がより強くなった。
本日何度目かの白山。まだまだ鮮明ですけど少し霞んできたかという所。
そして剱岳。このギザギザ見ると剱というより鋸とかに近いよなーとか今更ながら思ったり。鋸岳ってのも全国各地に沢山ありますけど。
谷底に見える黒部ダムを望遠してみたもの。なんかヤバい要塞のようも見えなくもない……有事の時は砲台とか伸びそう。右は黒部湖の湖面。五色ヶ原への登山口である平ノ小屋の方に向かう遊覧船(渡船)が見える。
今回の山行における最高峰、展望は流石としか言いようがない。
大汝山から立山雄山を目指します。コースタイムで片道20分の距離ですが、すぐ先に山頂が見えるように近いです。普通に歩いて10分掛からなかった。
岩尾根のトラバースっぽい所を歩いていきます。雄山から最高峰の大汝山までピストンする人が多いからかそこそこ人とすれ違うんですが、登山慣れしてない人も多く、バテて道の途中で座り込んで休んでる人なんかも見かけました。
目と鼻と先となった立山雄山。北側からは直登できず、巻道を通って一旦反対側に回り込む必要があります。
立山雄山からの展望
[10:43-11:20]立山雄山
大きな授与所の建物が視界に現れ立山雄山に到着。一応、今回の登山の最終目的地です……室堂から2時間足らずで登ってこれるライトめな山なので、登山者の姿はこれまでとは段違いに多い。
鳥居を潜り、山頂に建つ雄山神社峰本社に登ります。
山頂の手前にはゲートがあって、そこにある受付の建物で登拝料の500円を収めるんですけど、今シーズンはコロナのアレもあって早々に営業終了。下の授与所も含めて辺りは無人です……御朱印欲しかったのに。山頂の神殿も格子で囲われてしまっていました。
山頂からの展望……眺めは良いです。狭い山頂で普段だったら入れ代わり立ち代わりって雰囲気だったんでしょうけど、この日は登ってくる人も少ないので端の方に居座って景色を堪能しました。
雄山から望む剱岳。左奥に見えるのは毛勝三山。
剱岳とこれまで歩いてきた尾根道。中央やや右下が真砂岳で、中央~中央右にかけてが別山南峰~別山北峰。こうして見ると大して歩いていないように見える。実際悠長に写真ばっかり撮ってて、そこまで距離は進んでないですし。
黒部湖のある東側方面。授与所の辺りを含めた展望。このレベルの山を2時間とかで登れるのは凄いですよね……。
望遠したもの。別山北峰、大汝山の時と同様に色々と見えますが、この時間になると霞んじゃったり雲に覆われたりで見えなくなってしまった山も多い。
山名併記。今回の登山では最後なので細かく記載しました。八ヶ岳が見えなくなってしまったのが悲しき。
富士山から南アルプス、常念岳と大天井岳の辺りまで望遠したもの。前の山名入りより鮮明に見えていて、間ノ岳の左手前には薄く仙丈ヶ岳も見えます。それ以降も常念岳の左の奥聖岳~聖岳の稜線まで見える。
授与所と神殿、室堂平など。標高3,000mを越える山頂に山頂にこれだけ大きな建造物があるのは少し不思議な感覚……御嶽山の時もそうだったけど。
水晶岳+赤牛岳と薬師岳の山体が大きく目立つ方角。ここから再び単体シリーズ。やはり薬師岳が格好いいので何度も撮ってしまう。右は五色ヶ原越しの薬師岳。五色ヶ原山荘は近いのかよく見えますが、手前の尾根と奥の薬師岳の山塊の境界には3日前にテント泊したスゴ乗越小屋らしきものも見える。
黒部五郎岳と笠ヶ岳。笠ヶ岳は雲に埋もれかけています。笠ヶ岳の笠新道の登りはその後体調不良に陥る程にしんどく、黒部五郎岳の登りではメガネを紛失しかけて暗闇の中で一人大騒ぎ……色々あったな。
水晶岳と赤牛岳の稜線は薬師岳の前後を歩いている時に横目で見た際、とても大きな山塊に見えました……水晶には登ったことあるんですけどガスで視界ゼロだったのであんまり印象ないんですよね。これを見ると赤牛岳と合わせて改めて登ってみたいなと思わせられる。
槍ヶ岳と穂高岳は北アルプスのシンボル的なお山ですが、今回の山行では雲に隠れてしまう事が多くあまり印象がなかった。はっきり見えるようになったのは距離的に遠く離れた後半に入ってからの事でしたし。
槍ヶ岳の左には木曽駒ケ岳。その更に左には燕岳、大天井岳と続く表銀座の稜線が見えます。奥には常念岳も。まだ足を踏み入れた事が無く、ちょっとピンと来ないエリアでもあります。
雲に埋もれた八ヶ岳、富士山、南アルプスの順。八ヶ岳は雲に埋もれちゃってますが、より遠い南アルプスは鮮明に見える。
富士山と南アルプスの白根三山付近。北岳、間ノ岳……農鳥岳(西農鳥岳)は若干雲に埋もれている。
蓼科山以外隠れてしまった八ヶ岳は少し残念ですが、まあそう都合良くも行かないというもの。手前に広がるだだっ広い美ヶ原も見えるから良いか。牧場らしき開けた所も見えます。
蓮華岳の奥にはこれまでうまく見えなかった遠くの山々。奥に見えるのは御荷鉾山の稜線で、その手前に不自然に90度切れ落ちてる山はおそらく荒船山の艫岩。その真後ろには御荷鉾山系最高峰の赤久縄山が丁度見える。
浅間山の左右を広く望遠にしたもの。蓮華岳の右奥には両神山。御座山の左にも続く奥秩父の稜線等、別に山名入りを作ってもいいかなってくらいに遠くの山が見えてます。
蓮華岳山頂から右奥には武甲山が見えてるらしいですが、こうも米粒だと見えたからどうしたって感じも。後は志賀高原の山もよく見ると濃淡で幾重にも折り重なっているのが分かります。御飯岳と白根山(湯釜が近い方)の間には皇海山の頭?らしきものもうっすら見えてますね。
針ノ木岳+蓮華岳と鹿島槍ヶ岳の望遠。こうして見ると針ノ木岳~スバリ岳から下る辺りは結構険しいように見えますね……5年前に実際歩いた時はそこまでとは思わなかったですが。鹿島槍ヶ岳はここも大汝山から見えた通り双耳峰には見えない。
五竜岳とその左右に見える山々。黒姫山から高妻山乙妻山。妙高山から火打山、新潟焼山など存在感の強い稜線が続く。
それぞれを望遠で。高妻山と乙妻山の台形のような山の形は中々に特徴的。そして気になった稜線が戸隠山の右側奥に、非常に薄いながらも存在感ある独立峰と、その左後ろにはなだらかな稜線。磐梯山くらいまで該当する山が無いんですけど……まさかね。方角を精査してみると浅草岳南の毛猛山かも?
それに比べると妙高山と火打山の辺りは山が高いので遠くは見えませんが、これはこれで。
白馬三山方面は大汝山の山頂で隠れてしまって白馬鑓ヶ岳の辺りまでしか見えませんでした。その右の天狗の大下りを下りきった辺りには雨飾山が見えます。低い山で重なってしまいがちで特定しづらい山ですけど、こちらの方角からだとそこそこ存在感ありますね。
歩いてきた大汝山、真砂岳、別山、剱岳方面を眺めて終了。一線級の稜線でした。
下の授与所の所まで下ってきました。人の姿は多いですが、ネットとかで同じくらいの時期の写真を見るとやっぱ少ない。
授与所の軒下の日陰で涼んでいる人が多数……日陰に入るとひんやりしているので、気温はそう高くないのでしょう。
立山の三角点が設置されている方に移動しました。一等三角点は最高峰の大汝山ではなく、授与所から少し一ノ越寄りに進んだ所にあります。山頂の神殿近くはちょっとせせこましくて腰を据えて休憩する雰囲気ではないので、専らこちらで休んでいる方が多い。展望も北アルプスを見通せる展望台って感じで良さげ。
その展望台からの展望。南側に突き出ていて、山頂とはまた違った風情でした。
立山雄山→一ノ越→浄土山南峰
めっちゃ名残惜しいですがバスの時間があるので一ノ越方面に下山します。別山北峰、大汝山、そして雄山と一つ一つで長居しすぎてしまったので時間的余裕が意外とありません……浮石や落石に注意しつつ駆け下ります。
自分とは反対に立山に登っていく人が続々と。始発のバスに乗って室堂まで来た人が丁度登頂するくらいの時間帯のようでした。
賑やかな一ノ越までのザレ場。無秩序に歩いてるように見えますけど、上りと下りで別のコースになってて鉢合わせしないような配慮がされています……有り難いですよね。たまに知ってか知らずか逆走してくる人いますけど。
ちょっと平らになった休憩ポイント的な所。鞍部の一ノ越まで二ノ越、三ノ越、四ノ越とポイントがあり、ここは恐らく四ノ越?
賑やかな雰囲気の上り坂。運動不足なのか途中であからさまにバテてる人とかいたり、小学生くらいの子供を連れていたり、ローカットのスニーカーで特攻してたりと顔ぶれも様々。
眼下に一ノ越山荘……改めて見ると奥に長い小屋ですね。キャパは結構大きそう。
[11:45]一ノ越
鞍部の一ノ越に到着。さくっと難なく下ってこれたので、そのまま間髪入れずに浄土山に登り返します。雄山に行く人は多いですが、こっち側に進む人はめっきり少ない。
一ノ越の付近から臨む室堂平。曇りがちだった前々日とはだいぶ雰囲気が違いますね。
浄土山への登り。テント装備でここを下ってきた時は足が死にかけてて虫の息といった所でしたが、今回は軽荷での登り息も全く切れていない……こんな良い所だったっけ?と、体力の余裕の有無で印象も変わる。
振り返り一ノ越と立山雄山。本当にこの日は日程中一番の好天。
緩めの登りを進み、浄土山南峰山頂の手前……雪がへばりついてる。
またも鳴き声が聞こえてきた。今回で三度目の雷鳥です……立山に来るまでは全く会わなかったのに。流石にこの周辺は多いですね
この写真の中のどこかに動物が隠れています……的な写真。10秒以内に探せればIQ120。
急いでるという事もあって3度目の雷鳥はあっさりお別れ。浄土山方面へ。
浄土山南峰→室堂
[12:07]浄土山南峰
富山大学の施設の建つ浄土山南峰。前々日来た時は豪雨の直後、風が吹きすさんでいてひたすらに寒かった……そんな記憶が残る場所。
少し進んだ所から浄土山と、これまで歩いてきた剱岳、別山、立山雄山と続く稜線。真砂岳のすぐ右側に、雄山の山頂からは見えなかった白馬岳が見えますね。
浄土山までは殆ど平坦ななだから稜線地帯。池塘もあったり、池塘の奥には白山が見えたり。
五色ヶ原から薬師岳方面。正午も跨いで流石に雲が増えてきた……けど、もう十分堪能したからいいか。
[12:14-12:20]浄土山
遙拝所跡の石垣が残っています……ここは厳密には浄土山の山頂ではなく、実際の山頂は前の写真の中央、人の立つケルンの辺り。
遥拝所跡から立山雄山を遥拝。遥拝所ってだけあって、ここから臨む立山は雄大そのもの。雲ちょっと増えてきて日も陰ってきましたけど、これはこれで雰囲気があるというもの。
室堂方面に下ります……中央右に見えるのは室堂から道路沿いに少し下った所の天狗平。
急坂を下り室堂山展望台の分岐に……しかし時間があんまり無い。侵食激しい立山カルデラを見下ろせる好展望地らしいですけど、雲出てきちゃったしいいかなーとスルーして下る。またの機会に。
展望台の辺りから室堂平に下るまでは緩い遊歩道のような坂です。中央にはミクリガ池。美女平や大観峰に向かうバスとかが発着する立山ホテルも間近。
ヨツバシオガマの群生。しかし日が陰ってしまいいまいち映えない。
途中の休憩所。ここもハイキングのコースという事で人気はそこそこ……左側、立山ホテルに隣接するバスターミナルは近い。
室堂平が近付いてきた所。一段低い所にある雷鳥沢の辺りとはまた違った雰囲気ですね。
室堂平に下りました。以降は完全に観光エリアで、山道というよりは観光地という雰囲気が漂う。
正面に見えるのは立山室堂山荘。室堂のバスターミナルはすぐ側にありますが、雷鳥沢まで張りっぱなしのテントを回収しに戻らなくてはなりません……往復で2時間。しかも復路は2日ぶりにテントを担いでの歩行。中々に憂鬱。
室堂→ミドリガ池→雷鳥沢→ミクリガ池→室堂(テント回収)
[12:50-13:02]立山室堂山荘
立山室堂山荘は室堂界隈にある宿泊施設の一つですが、その敷地内には国の重要文化財に指定された室堂小屋の建物が残されています。内部は資料館として整備されており自由に観覧できます。入場も無料なので時間があったら寄ってみましょう。
この建物は日本最古の山小屋として知られ、1980年台くらいまで実際に立山室堂山荘の母屋として使用されていましたが、元来は江戸期の信仰登山における参詣者向けの宿泊施設として建てられたもの。重要文化財の建造物としては最も標高の高い所にあるものとして割と有名だったりする。
こちらが先程の室堂小屋に代わって建てられたニュー立山室堂山荘。文化財ではなく現役の方。といっても30年建ってるのでニューという感じではないですが、よく手入れされているのか清潔感がある。
遊歩道を雷鳥沢方面へ。途中ミクリガ池とミドリガ池の池塘がありますが、こちらは小さい方のミドリガ池。右側には別山で左側には奥大日岳。中央奥に見えるのは剱岳ではなく毛勝三山です。
ミドリガ池を反対側から。登山しているというより、公園内を散策しているような印象を受ける。
途中の休憩スポット。火山ガスが絶え間なく噴出している地獄谷が近く、風向きによって一帯の濃度が高まったりすると警報機が鳴るらしいです。
地獄谷を見下ろした所。荒涼とした光景。まさに地獄。
恐山みたいな雰囲気の地獄谷下部。道のようなものが見えますが、かつては遊歩道があり自由に歩けたらしいです。今では火山活動が活発化したとかで全面的に通行禁止。
先程登った立山を眺めつつ雷鳥沢方面に下っていきます……結構な下り。そして下った分だけ後々登らなくてはならないという現実
道なりに進んだ先には宿泊施設である雷鳥荘の建物。雷鳥沢はそこから更に進み、谷底まで下った所です。
途中にあった血の池……鉄分を含んでいるので酸化し赤くなっている。池というよりは湿地帯のような雰囲気ですが。
強風とかで火山ガスが流れてくると通行止めになるので、高速道路とかにある吹き流しが道に沿って設置されています……程無くして雷鳥荘の建物へ。
雷鳥荘からは我が家がある雷鳥沢のキャンプ場が見下ろせますが、まだ遠い。標高差も大きい。
階段を下っていく。正面に見えるのは雷鳥沢ヒュッテ。
途中の展望台から地獄谷。噴気孔が近いのか中々の硫化水素臭。風向きによっては盛大に噎せる。目にも染みる。
[13:38-14:35]雷鳥沢
階段を下り終えて雷鳥沢に無事帰還しました。昼下がり、テントの設営に勤しむ人が多い時間帯。
帰還して終わり……とはならず、まずはテントの撤収。あらゆるものが出しっぱ、散らかしっぱなしで出てきたのでやけに手間取り、1時間くらい格闘した末にようやく一つのザックに収束した。
そして辛いのはテントとかその他諸々を背負っての登り返し。この日一番のきつさでした……軽荷で歩いた二日間、すっかり肩やら腰やらがぷにぷにになってしまったのか、重荷が食い込み苦痛に呻く。
流石にしんどくなったのでみくりが池温泉の売店で涼を得る。ここでようやくの生ビールです。本音を言えばジョッキで頂きたかったんですけど、室堂以降の乗り継ぎやらが多くまだ一日は終わりではない。自重。
室堂まで歩きます。16時台……というか16時には余裕で間に合いそうなのでのんびり歩く。途中まではミクリガ池の湖畔を通る風光明媚な道。
雲が一気に増えて薄暗くなってしまったミクリガ池。終バスが近いので帰る人が多く、どこか物寂しい、名残惜しいような雰囲気があった。
こちらはだだっ広い室堂平。先程下りてきた所まで戻ってきました……バスターミナルが隣接する立山ホテルはすぐ右側の建物。
室堂→美女平→立山駅→富山市街
[15:39]室堂到着
これにて6日続いた徒歩での度は終わり……さらば立山。そしてバス乗り場に移動しようとすると土産物屋等、急に現れる俗っぽい空間。強引に俗世に引き戻されたかのような感覚に陥ったり。
バスが行ってしまったばかりだったので、チケットを買って時間つぶしにその辺りをうろうろ、土産買ったり肉まん食ったりおやき食ったり……しかし右のゆるキャラみたいなのが気になる。深夜徘徊とかしてそう。
立山高原バスに乗り込む。改札口に長蛇の列ができていたので油断してたら乗れないのではと少し慄きましたが、バスは二台体制だったという事もあって割とガラガラでした。そりゃコロナ禍の御時世、密室に詰め込むような事はしないか。
1時間弱ほどバスに揺られて、美女平にてケーブルカーに乗り換え。こちらはバスのように柔軟に増発とかできないので結構な密具合でした。
元々は物資運搬を旨とした輸送施設だったとの事で、ケーブルカーに貨車が取り付けられているのが珍しい。
立山駅に下りたら富山の市街地へ行くべく富山地方鉄道に乗り換え……なんですけど、大部分の人は車で来ているようで地鉄の駅に向かう人はそこまで多くないです。しかし本数が1時間に1本とケーブルカーの1/3しかないのは不便すぎるな。
暇なので駅の外に出たり入ったり。右の写真の奥に見えるのが先程乗ったケーブルカーの乗り場です。
せっかく立山駅に下りたなら、隣接した所にある38段スイッチバックで有名な立山砂防軌道を見物に行きたかったなーと帰ってきてから思う。まあ当初の予定では欅平に降りる予定で、室堂に降りるのは完全に予定外。下調べ不足は仕方ないかな。
電車の時刻まで駅舎内の休憩所で寛いでました。山から降りると主食がソフトクリームになってしまうのは何故なのか。
なんか地下鉄っぽい雰囲気の富山地方鉄道立山駅。待ってる間にケーブルカーは更に1本到着しましたが、こちらに乗り換える人は10人居るか居ないかという程度。みんな公共交通使おうぜ。
立山駅のホーム。昔はここまで大阪直通の特急サンダーバードとかが乗り入れてたらしいけど、今ではそんな雰囲気は微塵にも感じられない。ちょっと侘しさを感じる地方私鉄の駅でした。
電車は富山行きなのでそのまま乗り通しても良かったんですけど、長く乗ってると眠ってしまいそうなので、気分転換に岩峅寺駅から上滝線に乗り換えて向かう事にします。
暫く乗って富山駅の櫛形ホームへ。東急の車両が止まってるの見ると、蒲田とか昔の渋谷みたいな東急の頭端式ターミナル駅のような雰囲気がある。
5年前、ここから折立へバスで向かった時以来か。なんか来る度に小奇麗になっていく富山駅の駅前。もう遅いのでこの日は散策する事なく真っ直ぐ宿へ。
宿にチェックインして風呂入ったり荷物整理したりと諸々の後処理を終えた後に食事。ラーメンが無性に食べたくなったので地鉄ビル東にある富山ブラックの店へ……富山来る度に寄ってるので3度目くらいかな。
富山ブラックは醤油にそのまま麺を突っ込んだかのような塩辛いのが特徴のラーメンだけど、ここはそこまで塩辛くなく普通に美味しい。
一週間にも及んだアルファ米生活に終止符を打ち、ラーメンの大盛り、生ビールのジョッキ、チャーシュー丼も付けての夕食風景……美味い、美味すぎる。
次回記事『立山連峰縦走 帰路と総括』に続く。