立山連峰縦走その4(スゴ乗越小屋→越中沢岳→五色ヶ原→一ノ越→雷鳥沢)
前回記事『立山連峰縦走その3』からの続きです。
この日はスゴ乗越小屋から立山を目指して北上しました。まずスゴノ頭、越中沢岳と朝っぱらから手強い急登。しかしこの日の午前中は雲が少なく、遠くは富士山まで見える好天。全体的に上り基調の行程ながらも、景色が癒やしてくれるのか疲れはそこまで感じない。以降も鳶山、五色ヶ原と雰囲気の良い尾根歩きを楽しめました。と思いきやザラ峠を越えて獅子岳に至る頃には暗雲、程無くして土砂降り……とは言え雨雲は早々に去り、以降は特に問題なく目的地の雷鳥沢まで下れました。
他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。
【2020年8月】立山連峰縦走についての情報と記録 - 山とか酒とか
目次
スゴ乗越小屋→スゴ乗越→スゴノ頭
[4:33]スゴ乗越キャンプ場出発
当初は4時ジャストに出発の予定だったのですが、前日の到着が遅かったという事もあって睡魔に敗北し2度寝。よって出発時点で30分のビハインド。急ぎテントを畳んで出発……という所で驚く。周囲に張ってあったテントが軒並み無い。1~2張程度を残して皆既に出発してしまったようでした。
4時半は早立ちという程では無いにせよヘッデン必要な未明ですし、まだ決して遅くは無い時間。スゴ乗越なんて100名山ピークハントとは無縁の奥まった所に来る人は余程に山慣れした玄人揃いなんでしょうか……開始早々謎の敗北感を受けつつ最鞍部のスゴ乗越へ出発。
テントの撤収を始めた4時の時点ではまだ暗かったですが、出発する頃には空が白み始めていました。
空の様子。黒部五郎岳の山頂にて分厚い雲に大敗を喫した前日の朝とは違い、この日の天気は期待できそうな感じ。
スゴ乗越の手前から、これから登るスゴノ頭と次に登る越中沢岳を見上げる。両方のピークの間はかなり落ちていて、尾根歩きというより乗り越えていくって感じ。
赤くなった空と越中沢岳を見上げる。まだ辺りは暗くヘッドライトが必要ですが、点けると大量の蛾に集られる……一匹小さいのを吸い込んでしまって盛大に噎せる。飛んで口に入る夏の虫は勘弁願いたい。
[5:02-5:07]スゴ乗越
30分という短い距離ながらも案外アップダウンがあり苦労したスゴ乗越までの下り。辺りも次第に明るくなり始め、無害な蛾に代わり憎きブヨ共がお目覚め。2,147mと初日に笠新道を登って以来の標高の低さなので虫の量も恐ろしく多い。
本日一発目のピークであるスゴノ頭に登ります。1時間程の登りですが傾斜が急なのでスピードが出ず、虫に集られながら亀のように登る。
途中、雲が湧いてきてやきもきさせられましたが、程無くして流れてくれました……右の写真にはブヨ君が一匹写り込んでますね。
南側、薬師岳~赤牛岳の展望。水晶岳、鷲羽岳、笠ヶ岳、黒部五郎岳と低い標高ながら全て見えてるのが嬉しい……そして何より薬師岳の雄大さよ。否応なしにテンション上げさせられる。
稜線から山頂だけ覗く笠ヶ岳が本当に笠って感じ。今回の登山で登るまでは変な形の山だなー程度にしか思ってませんでしたが、一気に愛着持ちました。
スゴノ頭への登りの終盤で岩場となりますが区間は短いです。
スゴノ頭→越中沢岳
[5:59-6:12]スゴノ頭
急登を終えるとスゴノ頭の標識が見えました。実際の山頂は南東にありますが、植生保護を理由に立入禁止となり山頂は踏めない模様。
山頂がある東側のみ死角となって見えないものの、他の方面は中々でした。どっしりとした薬師岳と、間近に迫った越中沢岳の二大巨頭が目立つ。
南側を望遠で。水晶岳、三俣蓮華岳、笠ヶ岳、黒部五郎岳と鮮明に見える。
雲間からの陽光。既に日は高いですが雲は若干多い。
越中沢岳方面へ進みます。こんなに近く見える(実際1kmしかない)のにコースタイムでは2時間弱と、今回の行程の中では特にアップダウンのきつい区間。
こちらは北西側の方角。山は見えませんけど日本海が見えます。
富山の市街。富山湾を挟んで能登半島も……真夏とは思えない程に空気が澄んでますね。
一方、こちらは南東側。正面は越中沢岳から派生する名無し稜線ですが、右側には裏銀座の烏帽子岳が見えてますね。
越中沢岳方面。ザレ場混じりで中々に手強そうな登り。
スゴノ頭を下り始めて程無くして最鞍部。以降は越中沢岳山頂まで99%登りとなります。
越中沢岳の急登。段差の大きな岩場が続きます。
黙々と登る……けど、見た目よりは傾斜はきつくない感じです。
ガンコウランの実です……久々に見かけた。クラウベリーとも呼ばれジャムにもなるらしいです。
意外と歩きやすいじゃん、と油断してたらコースアウトしました。写真は2つ前の写真のザレ場を誤ってそのまま登ってしまった所からスゴノ頭、薬師岳方面を振り返ったもので、正規のコースはこの写真の右側から伸びています。
途中まで踏み跡があったので進んでしまいましたが、後半ザレが酷くなり明らかにおかしいと気付き引き返す……戻る時めっちゃ冷や汗出ました。
ガレの急登。基本尾根筋ですしマーキングも多いので、油断しなければ迷う事はないです。
少し登った所からスゴノ頭と薬師岳。空は明るいものの、太陽がピンポイントで雲に隠れている所為か地表が薄暗い……この急登の時に涼しいのはいいですけど。
変な岩が立ち並ぶ。
岩の多い尾根道。ここまで来ると急登は減り幾分か楽に。
シルエットとなった東側の山々、中央右が烏帽子岳で、左側の少し尖った山々の中で一番高いものが針ノ木岳……分厚い雲が太陽を覆ってますね。
後立山連峰の針ノ木岳と赤沢岳、爺ヶ岳を望遠で。北上し距離的に近付いてきたので徐々に大きくなってきましたね。
スゴノ頭から既に休み無しで1時間歩いてるものの、中々辿り着けない越中沢岳。
急登を登っていく。常に尾根上を進むわけではなく偶に巻いたり。
そろそろ五色ヶ原から出発した人とすれ違う時間……という事で、ここから何人かと立て続けに遭遇。自分は登りなので難儀せず進めましたが、下りだとザレが多いから大変そうだなーとか思いながら見送った。
急登を終えるとなだらか稜線に。堂々たる薬師岳も素晴らしいけど、その右後ろには白山が。
ミヤマコゴメグサとアキノキリンソウ。山の展望ばかりだと胃もたれするので高山植物観察も合間に挟む。
少し進んだ先が山頂……そして立山と剱岳が本日初お目見え。最後の上り坂も特に苦にならなかった。
越中沢岳→鳶山
[7:35-8:06]越中沢岳
越中沢岳に到着……スゴノ頭からコースタイム1時間50分は戦々恐々としていましたが、思った程でもなかったかなという印象。展望は思ったより良い。
少し引いて谷の方を入れて撮ったもの。雲は多いものの高く、見えるべき山が全て見えている。
赤牛岳、水晶岳、笠ヶ岳、黒部五郎岳、薬師岳、白山の並び。近いという事もありますが薬師岳の山体はやはり大きい……赤牛岳もいいね。実にいい。
最初に登った笠ヶ岳と黒部五郎岳。笠ヶ岳~抜戸岳の間に見える怪しげな凸凹は乗鞍岳です。
薬師岳、そして黒部五郎岳を単体で。どちらもメインディッシュ級の山で、これを1日で2つとも登ってしまったのは少し勿体無い気がした。
標高2,591mとそこまで高くないピークなので槍ヶ岳とかは赤牛岳水晶岳の山体に隠れて見えないですが、裏銀座から後立山連峰にかけての山並みは概ね見通せます。
一つ前の写真の山名入り……八ヶ岳や浅間山など遠くの山も幾つか。後立山連峰は白馬岳手前の天狗ノ頭まで見えました。
四阿山と餓鬼岳。遠いながらもどちらも存在感ある稜線。
烏帽子岳南の鞍部越しに見えた山。当時は八ヶ岳か南アルプスかって迷ってましたが、こうして望遠してみると八ヶ岳にしか見えませんね。
こちらは立山と剱岳。手前のなだらかな丘が五色ヶ原で赤屋根の山荘も見えます。
立山単体、そして剱岳方面を望遠したもの。まだまだ遠き道程よ。
西側。富山平野、白山方面の展望。中央に見える低いながらも謎の存在感がある山は300名山の鍬崎山。
白山を望遠。別山、御前峰、大汝峰と特定できます……凄い遠くの山も見えてる気がしますが、こちら側はあまり詳しくない。能郷白山とか見えるかな。
富山平野、富山湾、そして奥には左右に長々と伸びる能登半島。山ばかり見てると流石に飽きが来るので、こうして海に近い麓を見る事も時には必要。
更に望遠で。湾曲した富山湾が鮮明に見える。
どっぷり展望を堪能したら出発……次は正面に見える鳶山へ……こちらのコースタイムは2時間強ですが、越中沢岳の登りのようにもろくそ急峻では無いので安堵。暫く平坦で歩きやすい道が続きます。
足元で咲いていたチングルマ。ひたすらに可憐だ。
景色が良く浮足立つのは良いけど、浮石踏んでコケたら洒落にならないので慎重に進もう。
広尾根を過ぎると若干急めの下り坂。鳶山への登り返しを正面に見据えつつ下っていく。
正面に針ノ木岳。そしてこの辺りでようやく黒部湖が見えてきた。源流近くからだいぶ下ってきた。
山道とOHANA。ウサギギク、ハクサンフウロ、エゾシオガマなど種類は様々。
鳶山へ登る途中、越中沢岳方面を振り返る。薬師岳、白山なども横から。
登っている途中の鳶山。鞍部から1時間程度ですが意外と長い登り。
東側の展望。壁のように左右に伸びる裏銀座~後立山連峰の山々。
鳶山→五色ヶ原
[9:38-10:02]鳶山
鳶山に到着。こちらも越中沢岳と同様に東側の展望が優れてます。
山頂からは五色ヶ原&五色ヶ原山荘がよく見える。ここまで来ると流石に立山は近いですね。一日で辿り着けるか不安だったけど行けそうか?
こちらは西側、富山平野、白山方面。
眼下には五色ヶ原の湿原が広がり長閑な雰囲気です。時間の流れがゆっくりしてる気がする。
東側の山々を望遠で。見える山のラインナップが若干変わったということもありますが、越中沢岳の時と比べると晴れてきたので全体的な印象が少し違う。
前の写真の山名入り。槍ヶ岳が仲間に加わった他、先程まで見えなかった遠くの山も幾つか増えた。スバリ岳と赤沢岳の間に岩菅山とかも見えてる気がしますが、自信ないので記載してません。
北葛岳と重なっている浅間山。左奥に見える山は方角的には浅間隠山っぽいですが。
左は御荷鉾山の辺りで、右は奥秩父山塊。見える範囲での高い山は御座山? その左奥のなだらかなギザギザが特徴的な山は両神山です……まさか立山連峰から見えるとはね。
越中沢岳では水晶岳の山体に隠れてしまっていた槍ヶ岳がよく見えました。穂高岳が見えてるかは微妙。笠ヶ岳の左に乗鞍岳が見えるのも先程同様。
五色ヶ原越しの立山も良いですが反対側、越中沢岳、薬師岳と連なる稜線が中々に素晴らしき。
鳶山を後にして五色ヶ原の縁を進んでいきます。傾斜は緩やかになり木道を進む区間も多い。
五色ヶ原ってくらいなので当然の如くお花畑です。ハクサンフウロとかその他いろいろ。
五色ヶ原の残雪。左側、道なりに進んだ先には鷲岳のピークがありますがコースは巻いて直接五色ヶ原山荘に向かっています。
五色ヶ原山荘手前のなだらかな上り下り……正面には立山、獅子岳、針ノ木岳など。
少し下った所から鷲岳を見上げる。登山コースは無いらしいですが山頂は近く、頑張れば登れない事もないとの事。
木道を少し進んだ所で五色ヶ原山荘の屋根が視界に入りました。
五色ヶ原→ザラ峠→獅子岳
[10:29-10:46]五色ヶ原山荘
五色ヶ原山荘に到着。悪天候だったり体調不良だったりで遅れた場合はここで一泊する事も考えましたが、概ね予定通り歩けているので先に進みます……流石に10時台に行動終了はいくらなんでも早すぎるので。
しかし、この次のテント場は立山の外輪を乗り越え、その先の雷鳥沢キャンプ場と相当先……黒部五郎小舎からスゴ乗越小屋まで歩いた前日もそうでしたが、この辺りテント場の間隔が開いているのでしんどい行程になりがち。
この日も長丁場なのでチャージ。ちなみに水場は小屋から往復30分くらいかかるキャンプ場にしかないとの事なので諦めました。この日はそこまで暑くはなく大して水を消費してないですし、まあいいかと汲みには行かず。
先程鳶山から見た五色ヶ原の湿原……とても良い。予定ではスゴ乗越ではなくこちらでテントを張るつもりでした。
少し進んだ所から五色ヶ原山荘、鳶山、鷲岳を振り返る。雰囲気良すぎる。
こちらは進行方向……いよいよ急峻な立山が近付いてきました。一転して草木は少なくなり物々しい雰囲気に。
距離も5kmとないので、立山雄山の山頂に建つ授与所の建物が肉眼でも見えます……歩くと6時間くらい掛かりますが(この日は一ノ越から雷鳥沢に下りるので雄山には登りません)。
キャンプ場との分岐路。背後には最早見慣れた後立山連峰。
アキノキリンソウとかチシマギキョウとか。立山に近付きなんとなく植生も変わりつつあります。
見るからにしんどそうな登り。大きな山塊を2つ越えた前日とは違って、この日は小刻みな登り下りが続いてましたが……立山の登り返しは流石に長丁場となりそう。
まず立山手前の獅子岳への登り。最鞍部のザラ峠から1時間20分程度との事ですが、もう既にこの日6時間以上歩いてるので少々疲弊気味。
獅子岳と、そこから続く鬼岳方面の稜線が続く。稜線上は岩稜帯でアップダウンが激しい。
[11:17-11:29]ザラ峠
下りきった最鞍部がザラ峠。戦国時代、当時越中国の領主であったが佐々成政が厳冬期にこの峠を越えて徳川家康に会いに行ったさらさら越えの伝説で知られる。現在ではここから下る峠道は両側とも無く尾根道が通過するのみ。
獅子岳の登り返しは九十九折の急登。この日も後半戦、流石にしんどく牛歩気味。休み休み進む。
少し登った所から土台のような五色ヶ原を振り返る。
疲れてるからか烏帽子岳が槍ヶ岳に見えた……槍ヶ岳は右の写真。似てる。
急登の途中で見かけたトリカブト畑。青空が覗いていて、まだまだ天気も持ちそうだなーとこの時までは思ってましたが。
発射台のような梯子を登る際に見上げた時、分厚い雲が空を覆ってる事に気付きました。
急坂を登りきった所から五色ヶ原、鷲岳、鳶山方面。そして一気に厚みを増した雲。
なんか妙に薄暗くなってきました……嫌な予感。
しかし遠くの山々はまだ見通せます。左側の奥には八ヶ岳で蓼科山から天狗岳、硫黄岳、横岳、赤岳、阿弥陀岳と確認できる。麦草峠と思われる鞍部越しに見えるのは奥秩父の山(恐らく金峰山)。奥秩父の稜線は左側にも続いていますが雲が増えてきて判別できず……ちなみに蓼科山のちょうど手前には美ヶ原の電波塔群が見えます。
そして何よりも右側に富士山が見える事。今回の山行では初めてですね。
富士山を単体で。いつもならこの時期賑わっている富士山も今年は限りなく登山者はゼロに近い……落ち着いた頃にまた登ってみたいですね。
進むに従って黒部湖も近付いてきましたが、徐々に雲が増えてきて視界が奪われる事もしばしば。
岩稜に生えるハクサンイチゲと黒部湖。山を歩いてるとよく見かける何気ない景色。
獅子岳の山頂が見えてきた所。立山~五色ヶ原の周回は人気なのか、この辺り越中沢岳付近と比べるとすれ違う人が多いです……その立山は雲に覆われつつあり。
獅子岳→鬼岳→浄土山南峰
[12:51-13:13]獅子岳
獅子岳に到着……意外と長い登りでした。ザックを放り捨てて即休憩。
歩いてきた方面と黒部湖。今にも雨が振りそうな程に雲も増え薄暗くなってきましたが、展望はまだ辛うじてという感じ。
東側の山を望遠で。富士山とか南アルプス(見えてる一番高い山が甲斐駒ケ岳で右に鳳凰三山)とか、全体が見えるようになった八ヶ岳とか四阿山とか、赤沢岳と鳴沢岳の間に見える謎の山(志賀の山?)とか、鹿島槍ヶ岳と五竜岳の間に頭だけ見える高妻山~乙妻山とか新たに見えるように。雲が増えてきたので山名入りは作りませんが。
歩いてきた稜線。薬師岳と赤牛岳~水晶岳の辺りが良い……しかし西側からザラ峠の辺りに雲が流れ込み始めている。
こちらは進む先。左側が巻いていく鬼岳で、右側が立山雄山。
周囲をガスに包まれる事も増えてきた。黒部湖も薄らいでいる。
この辺で遂にぽつぽつが。まだにわか雨といった具合なので、暫くは雨具無しで粘っていましたが……。
鬼岳方面。コースは直登する事なく右側に逸れて行っています。一安心。
鬼岳のトラバース路。天気の悪さがおどろおどろしい雰囲気に拍車をかけている。
鬼岳は巻いていきますが、最終的にはそれよりも高い浄土山まで登る事になるので基本上り基調の道です。
巻道から獅子岳を振り返る。立山連峰を境に東西で明暗くっきり分かれているみたいでした。
先程の肩の部分を越えた所で雪渓のトラバース箇所が見えてきました。8月も後半ですが多少は残ってます。
雪渓の様子。殆ど夏道が出てましたが一箇所だけ雪渓を渡る箇所がありました……とはいえ斜面は緩く目印用にロープも張られてるので問題ないですが。
登っている最中から振り返った所。天気はますます悪くなってきた。
これまた発射台のような梯子場。険しいですが目印は多い。
梯子を登りきった所から獅子岳と先程歩いてきた残雪ゾーン。ガスが流れ込んできて奥の山は見えなくなる。
[13:55-14:21]鬼岳東面
この付近で土砂降りとも言える程に雨が一気に強まったので、しぶしぶ雨具やらザックカバーやら引っ張り出して装着。
完全防備の態勢で出発し、次は目の前の龍王岳の登り……しかし十数分歩くと雨は弱まる。
雲が抜け青空すら見え始めた西側の空(白山方面)。西風が強い日だったので、今日はもう雨は降らないなと確信。
切り立った岩が特徴的な龍王岳の登り……ですが、このピークも巻いていきます。
登っている途中から見た針ノ木岳、スバリ岳、蓮華岳。蓮華岳のみ陽光に照らされていて明るい。
龍王岳のトラバース路。山頂が近いのか、傾斜も徐々に緩くなってきました。
俯いた人の顔に見えた岩。
ガスに包まれる事が多いからかマーキング大盤振る舞いな上り坂。
振り返る。先程まで辺りに立ち込めていた雲は流れ、再び遠くの山を見渡せるようになりました。
槍ヶ岳&穂高岳。笠ヶ岳を登っている時には大きく見えた穂高も、ここまで来ると小さい……その右に見える双耳峰は焼岳? 初日に見えて以来か。
尾根の奥にベンチのようなものが見えて、長い登りの終わりに気付かされました。西側には雲海。
龍王岳の脇を越えた辺りから一ノ越山荘と立山雄山が視界に入りました。この辺りから立山エリアですし賑わってるのかなーと思いきや、つい少し前まで大荒れだったという事もあって歩いてる人の姿は無かった。
浄土山南峰→一ノ越→雷鳥沢
[15:17-15:50]浄土山南峰
立山三山の一つである浄土山の南峰に到着。山頂は非常に広く、富山大学所有の研究施設が建っています。
山頂の雰囲気。中央に見えるのが先程巻いてきた龍王岳で、左に立山雄山。雨は止んだものの風が強くめっちゃ寒く、無数にあるベンチも客待ちが多数。
いつの間にかに小さくなってしまった薬師岳とかだだっ広い五色ヶ原とか。
立山雄山を中心とした展望。浄土山のピークは少し離れており、左側の平坦な道を進んだ先にあります……剱岳の左側に見える目立つ山塊は毛勝三山。
立山雄山方面。後立山連峰の山では針ノ木岳がやはり目立つ。影のMVPか。
あまり長居すると日が暮れてくるので浄土山と雄山との鞍部である一ノ越に下ります。正面の雄山は今日登ってる時間は流石に無いのでまた後日。
一ノ越への下り。立山三山周回のコースに入ったからか途端に道は歩きやすく。
少し進むと室堂平の方面が見えてきました。ぽつぽつと人工物が見えて、それらを遊歩道のような道が結んでいます。今までとは違った少し日常寄りの気の抜ける雰囲気。
[16:16]一ノ越山荘
悪天候の後という事で前後の登山道では全く人と遭遇しませんでしたが、宿泊客は結構多いようで外を散歩している人が数人居ました……自分はテントなのでまだまだ先へ。
室堂方面は遊歩道風の砂利道が続いていますが、雷鳥沢方面はナチュラルな山道となります……ナチュラルすぎていきなりガレ場です。奥に見えるのは大日岳と奥大日岳。
奥大日岳を望遠すると手前には宿泊施設立ち並ぶ室堂平が。ミクリガ池、ミドリガ池といった火山湖も見える……そして遠い雷鳥沢のキャンプ場。
道端で沢山咲いていたクルマユリ。奥に見えるのはウラジロタデか。
黙々と歩いているとキャンプ場が徐々に近付いてきた。
道を下りきって以降、幾つかの沢を渡り回り込むように進みます。
歩いてきた一ノ越方面。浄土山は見えますが、立山雄山は雲に隠れてしまいました。
橋の上から一ノ越方面。すぐ右側がキャンプ場の末端なんですが、その間に雷鳥沢が流れていて渡れず遠回りを強いられます。
雷鳥沢にて
[17:37]雷鳥沢キャンプ場到着
この日も長丁場でしたが、目的地の雷鳥沢のキャンプ場にはなんとか18時前に到着……室堂から入ってキャンプだけしにくる人も多いのか、途端に俗っぽい雰囲気に。
ここもコロナ禍で空き気味でしたが、早寝早起きで早出なので他のテントと隣接しない所にひっそり設営。雷鳥沢がすぐ真下を流れていて沢越しに立山の山々を望める好立地ですが、川岸のキワなので雨が降った時は怖い。住宅だと土砂災害警戒区域に指定されそう。
テントの周辺。中々のロケーション。
キャンプ場全体の様子。昨年は留守のテントを狙った盗難事件が起こったらしく、今年は人の目に付きやすい管理施設の側に設営する人も少なくないとか、そんな話を受付の人から聞かされる……下界近くのテント場だとこういうのあるんですよね。
というか登山で留守にしてるテント漁った所で特に金目のものとか無いと思うんですけどね。自分の所にしても、くっさい寝袋と4日間の山歩きで生じた大量のゴミがあるくらいで泥棒も裸足で逃げ出すでしょうし、まあ変に心配はしないようにしときます。
テントの中から望むガスの乗った立山。この日は前日以上にアップダウンがきつく過酷でした……しかし翌日はここをベースにサブザックで剱岳を周回する予定なので、今日までのようにくそ重い荷物を背負って歩き回る必要はない。そう思うと俄然気が楽でした。
次回記事『立山連峰縦走その5』に続く。