山とか酒とか

登山やお酒を始めとした趣味全般を雑多に、また個人的に有用だと思った情報を紹介しています。

年越し登山 小仏城山から高尾山薬王院(相模湖駅→小仏城山→薬王院→高尾山口駅)

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2021年の12月から翌年1月に掛けて小仏城山及び高尾山へ年越し登山、及び高尾山薬王院への初詣に行ってきました。

年末年始の高尾山登山と高尾山薬王院への二年参りは10年以上続いている家の年中行事となっているのですが、去年はコロナ禍の只中。終夜運転が中止されている上に山頂も立ち入り禁止という事で、この年に関しては高尾山行きを取り止めて単身雲取山の年越し登山に向かいました。

それから一年、今回は自粛も多少緩和され終夜運転も2年振りに実施。しかし山頂への立ち入りは依然として制限されているという事で、前年同様見送って大菩薩嶺への年越し登山を新たに計画。準備も済ませていたのですが、寒波の接近で山頂がマイナス17℃とかで無理なので中止。

その中止の決断を下したのが大晦日、31日の朝の事でしたので新しく計画を立てるにしても時間が足りません。とは言え外に出ての年越しが既に習慣付いているので、家でぬくぬくテレビを眺めながらなんとなく年が過ぎていた……なんて年の越し方は性に合わない。

急遽どこかにと考えると、思いつくのは普段行っている高尾山方面の二年参り。しかし前述の通り高尾山頂への立ち入りは禁止。代わりに小仏城山辺りにでも登ろうと考えるも、薬王院から城山方面に通り抜ける事ができるのか不明。

規制情報に拠ると山頂を巻いている登山道は普通に通れるらしいのですが、薬王院の上の方に混雑時に入場規制を行うゲートが設けられているので、その地点で門前払いにされるのではないか。そんな不安が付き纏っていたので、今回は初めに小仏城山に登ってから薬王院に向かうというコース取りとなりました。

目次

今回歩いたルート

相模湖駅→小仏城山

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本日も電車に揺られて西へ……途中、高尾から甲府行きに乗り換えです。単に高尾山に登るのであれば京王で高尾山口駅に移動するのがセオリーですが、今回は小仏城山相模湖駅から登り始めるという普段とは違ったコース。

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高尾の一駅先、相模湖駅で下車します。年越し迫る大晦日の夜、ホームに人の姿は見当たらない。

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構内を高速で駆け抜けていく貨物列車。物流に年末年始なんてものは関係なく、ただ淡々と仕事をこなすのみ。頭が下がる。

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[22:02]相模湖駅出発

相模湖の駅から歩き始めます。この駅には比較的最近来たばかりで、同年2月に戸倉三山から陣馬山の縦走をした際にこちらに下りました。当時は到着地でしたが今回は出発地。

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国道20号線大垂水峠方面に進みます。辺りは真っ暗闇ですが国道沿いという事もあって街灯が豊富。とはいえ歩道が未整備気味でガタガタしてるので、足元を照らす為にもヘッドライトは早々に装着。

途中、旅籠のような建物が幾つか視界に入ってきたので地図を見てみると、ここは元々小原宿という名の甲州街道の宿場町だったようで、かつて本陣として使用されていた建物も残るとか。明るい時間帯に改めて来てみたいですね。

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登山口に家並みが広がる千木良の集落に入りました。ここも旧甲州街道沿いで、一帯は開けていて家屋の数も多い。また相模湖から相模川沿いに少し下ったこの辺りは渓谷となっており、古くから景勝地として知られている場所らしく温泉旅館なんかもあったりします。

一説に拠ると、千木良と地名は京都の千本松原(千本通松原通の交差地)から由来したものらしく、この付近には他にも旧相模湖町の中心集落である与瀬が八瀬(比叡山の西麓、八瀬比叡山口の駅がある事で知られる)や、先程通った小原は大原(比叡山北西、大原三千院で有名)、桂川相模川山梨県側での呼び名。京都洛西に同名の河川がある)、極めつけが相模川の対岸に位置する相模嵐山(嵯峨の嵐山が由来で、武蔵嵐山を始め他にも同様の例がある)と、京都に由来する地名が多々あります。

現地の観光案内等の解説では京都の高僧(弘法大師伝説ともされる)によって名付けられたとありますが、平家の落人伝説という説もあり、個人的には後者の方が信憑性が高いかなと思ったり。まあ完全に眉唾としてしまうよりは何か理由があったとする方が面白いでしょう。

閑話休題。相模湖側から入った所に善勝寺というお寺があり、地元の子供と思しき男の子が鐘を突いて遊んでいるのを見掛けました。今回薬王院に到着するのは完全に年を跨いでしまった後で除夜の鐘は聞けないなと思っていたので、思わぬ所で鐘の音が耳に入って満足。

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[22:44]千木良登山口

先程のお寺の裏手から登り始めます……ここから先は登山道、先は流石に街灯もない。

これから登る小仏城山陣馬山高尾山の縦走路の経由地で今まで数えきれない程に登っていますが、毎回高尾山まで歩き通してしまうので今回のように相模湖から登るというのは初めて。

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完全な闇の中の登りです。東海自然歩道として整備されている道なので道筋は分かりやすい。暗中模索という訳ではなくスムーズに進める。

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道の様子。麓からの標高差は470mとそこそこですが、道が良いので標高差の苦労は感じられませんでした。

小仏城山で雑煮

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[23:58-翌日2:33]相模湖駅出発

年越しギリギリという所で小仏城山の山頂に到着。到着して数分後、年を跨いだ瞬間に相模湖南にあるプレジャーフォレスト(旧ピクニックランド)から打ち上げ花火が上がりました。

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年越し数分後、東京方面の夜景。中央左側に一際高く見える塔が東京スカイツリーで、その右側にビルに埋もれるようにして見える赤いしましまが東京タワー

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年を越した後は鍋会に突入。今回は急遽予定を立てたので参加者は母親と自分の二人だけと寂しい限りですが、熱燗を作ったりしてそれなりに楽しむ。二合瓶を煮立った鍋に漬けて熱燗を作るのは最近のお気に入り。

しかし中々お湯が湧いてくれない。そもそも寒くて大菩薩嶺行きを取り止めたというだけあってこの付近の気温も当然低く、持参した温度計を見てみるとマイナス7℃。思った程ではないなというのが本音ですが、寒いものは寒い。

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今回持ってきたお酒です。左が燗酒用に持ってきた会津の銘酒である栄川の火入れ純米酒。水のようでさらっと癖がないタイプのお酒ですが、燗にすると味わいの幅が広がるので自宅でも専ら燗酒用。お屠蘇を作るのにも使用しました。

右は長野の小布施、豊賀純米吟醸中取り無濾過生原酒。吟醸の生原酒という事で華やかなお酒で甘味も強めですが独特な酸味が印象に残る。個人的に好きな銘柄で、これまで何本か飲んでいます。こちらは今回は冷酒用として。

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冷酒用に持ってきた豊賀ですけど、あまりにも寒いので途中から燗に漬けてしまいました……しかし酸味の存在感が強いタイプのお酒なので温めると咽せる。この酒は冷酒向きだなーとか文句言いながら結局全部燗にして飲んでしまいました。

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つまみはお雑煮です。餅を金網で焼いてから投入したのですが、寒くて中々全体に火が通ってくれず表面が焦げてしまった。その上、つきたての新しい餅だったので一緒に煮込んだらすぐさま溶けてドロドロになりポタージュスープのような有様……山での食事なんて雑で良いんですよ、と自己弁護。

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コップに入れた水が凍ってしまう程度の寒さでした。燗酒と雑煮(のような何か)で身体が温まっている内に出発します。

小仏城山→高尾山薬王院

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相変わらず暗闇です。酒をあれだけかっ喰らった直後なので流石に千鳥足。階段から足を踏み外さないように一歩一歩慎重に進んでいく。

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途中のもみじ台。景信山や陣馬山での初日の出を目指す方が多いようで、途中で何人かとすれ違いました。

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問題の高尾山方面の道ですが、やはり封鎖されています……が、山頂を迂回するように通されている5号路は問題無く通行できました。

山頂から薬王院寄りのトイレ近くで休憩中、どこからともなく警備員の方がやってきてどこから来たのかどちらに向かうのかと半ば職質みたいな感じで根掘り葉掘り。絶対に山頂に人を入れまいみたいな気概が感じられました。

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薬王院裏手の不動堂、権現堂まで下ってきました。一番上にある不動堂の裏手にはゲートがあり、そこで見張りの人が何人か待機。先に向かおうとする人には片っ端から声を掛けて山頂に行くという人は追い返していましたが、迂回して城山方面へ……とでも説明すれば通してくれそうな雰囲気でした。実際、城山までの区間では何人も見掛けましたし。

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不動堂、そして大本堂の方へと下っていきます。

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[4:11-4:37]高尾山薬王院

薬王院の大本堂に到着しました……が、やけに空いてます。例年であれば境内手前の階段の所で入場規制を行っているのですが、今回はそれがありませんでした。十数年行き続けていますが、ここまで空いているのは初めてかな。

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大本堂と軒下に掲げられた天狗。賽銭箱の前に参拝者の列が出来ていないというのも驚きです。

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大本堂と境内の様子。例年であれば長蛇の列が形成されているおみくじ売り場も暇そうです。スムーズに買えるのは良いんですけど、本当に元旦か?

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鐘撞堂です。二年参りの際に通り掛かると除夜の鐘の音が辺りに響き始め、一年も終わりだなーと感慨に耽りつつ高尾山を目指すのがいつものコースでした。

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去り際に御朱印御朱印帳を。何十回と行っている薬王院ですが灯台下暗しと言うべきか、これまで御朱印を貰った事が一度として無かったので今回貰いました。書いて頂いたのは本尊の薬師如来

加えて寺院用の御朱印帳が2ページを残して埋まってしまうような状態だったので、これを期に新しいものを。厳つい天狗が良い感じですが、秋以外で使ったら季節外れなデザインだなとか思ったり。

高尾山薬王院高尾山口駅

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高尾山口駅への下山を目指して進みます。店なんかはちらほら開いていますが、どこを歩いてもやはり空いてるなーという印象。

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[4:55-6:13]ケーブル高尾山駅

ケーブルカー駅に隣接した展望台に到着。例年であれば露店が立ち並んでいる地点ですが一切見当たらず。

展望台というだけあって反対側が開けていて初日の出を拝めるスポットなので、毎年それを待つ人が留まって通行を阻害してしまう事が問題になったのでしょうか。露店が立ち並んでいた場所はテープで区切られ、初日の出待ちの人の為のスペースが設けられていました。

では消えた露店はどこに行ったのか。毎年ここで売られている升酒を呷ってほろ酔い気分で1号路を下るのが王道なので大いに困る……と狼狽えていると、屋台はビアガーデンの方に移っており升酒もあるとのアナウンスが。ひとまずの安堵。

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付近からの夜景です。まだまだ夜は深いといった所ですが、この時はまさか明るくなるまで留まるとは思いませんでした。

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そしてここで一つ騒動。なんと同行の母親が財布を落としてしまったという。中には保険証やクレジットカードなど面倒になるような代物が沢山。当然大騒ぎに。

すぐさま近くの警察の方に事情を話し、無線で本部の方に連絡。そして拾得物として届いているとの事が判明。あの雑踏の中、まず帰ってこないだろうなーと思っていたので本当に幸運というべきか……そして再び薬王院の方の本部まで行って遺失物届けを書いたり、本人確認に一悶着あったりしたというのが[4:55-6:13]という時間の内訳となります。

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ビアガーデンへの階段。この辺りで母親が財布が無い事に気付かれたようです。そのまま気付かず下山していたら……と思うと背筋が寒くなる。

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財布を回収した後、ビアガーデンまで戻ってきました。肉まんや団子等といった、かつて展望台にあったラインナップは粗方揃っているようですが、場所が動線に沿っていない為か至極閑散としています。

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升酒の屋台も無事発見。干支の焼印が入った升を土産に持ち帰る事ができる……というか、お酒本体よりこちらが目当て。升単体でも売っていましたが、それは流石に本末転倒という事で一献。

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本年の干支である虎の焼印が入った升です。中身のお酒は樽の木の香とアルコール感が前面に出ている古色蒼然とした味わい。

スペックの詳細は定かではありませんが、千代鶴の銘柄で知られるあきる野市中村酒造で製造されたものらしいです。浅川沿いの高尾と秋川沿いのあきる野では山一つ隔てているので違和感を覚えますが、元々『高尾山』の銘柄は陣馬街道沿いにあった中島酒造という酒蔵で醸造されていたようです。しかし廃業を期に中村酒造の方に継承されたとか。

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例年であれば御来光を待たずに下山し、終夜運転の電車に乗って帰宅するのがセオリーなんですが、今回はセオリー外のコース取りの上、セオリー外の出来事が起こってしまい気付けば空は明るくなっていました。

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日の出も間際となると、ゆっくり眺められるような場所は粗方埋まってしまっていてどうしようもないです。人の頭越しに見てもなー、と初日の出待ちの人々を尻目に下山します。

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既にリフトも動いている時間帯ですが、いつも1号路で帰っているのでそちらから自力下山。辺りも次第に明るくなり始めていました。

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ケーブルカーの清滝駅の前に到着です。この辺りも空いてるなーというのが印象。お土産屋も閉まったままです。

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参道の様子。いつも買っている高尾まんじゅうのお店の開店が7時からとなっており買えず……以前は午前3時とか4時でも売っていたんですけど。

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[6:55]高尾山口駅

高尾山口駅に到着しました。冒頭でも書いた通り2年ぶりに終夜運転が行われていたのですが、到着が遅くなってしまいその有り難みを享受できなかったのが少し心残り。