倉岳山から菜畑山(梁川駅→倉岳山→高畑山→赤鞍ヶ岳→菜畑山→道志の湯)
2020年1月、倉岳山、高畑山から赤鞍ヶ岳、菜畑山方面の縦走登山に行ってきましたので、その時の情報などを記します。実際に行く際の参考にして頂ければ幸いです。
目次
山域についての案内
概要
倉岳山、高畑山は、高尾以西の中央線沿線に幾つかあるハイキングコースの中では割とポピュラーな山々です。どちらも大月市が指定する秀麗富嶽十二景に含まれているという事もあって富士山方面の展望が優れており、土休日を中心に日帰り登山の方で賑わっています。アクセスも良くコースも歩きやすいので初心者の方にもオススメの山です。
赤鞍ヶ岳、菜畑山はそれらより南側に位置する道志山塊に属する山で、アクセスの不便さや山域の地味さも相まって静かな山でした。しかし中でも菜畑山については富士山、西丹沢方面の展望は良く、それなりに登られる方は居るような雰囲気でした。
それら二つの山域は雛鶴峠を経由する尾根道によって繋がれていますが、地味に長いのと終始展望がいまいちなのも相まって、あまり歩かれていない印象でした。無理に繋げて歩く必要は無いように思います。
登山口へのアクセス
倉岳山・高畑山
それぞれ中央本線の梁川駅、鳥沢駅からそのまま登り始めます。どちらから登る際もバスを使わなくて済むので、特に下山時は帰りの時刻を気にせず済むのが利点です。
赤鞍ヶ岳・菜畑山
それらの登山口となる道志村は公共交通が壊滅しており、非常に本数が少ない上、登山に使えるようなバスはごく僅かです。ちなみに冬期は土休日全便運休となり完全に滅びます。素直にマイカーやレンタカー、タクシー等で行きましょう。
上野原市秋山地区からも二十六夜山を経て赤鞍ヶ岳に登る事ができますが、こちらも例によって一日一往復しか無く使いづらく、始発のバスもそこまで早くないのでオススメしません。
コースの状況
梁川駅→倉岳山→高畑山
よく整備された道ですが、沢沿いの箇所を中心に所々で昨年の台風の爪痕と思われる箇所があり、倒木があったり等、若干道が荒れていたりしました。立野峠以降の稜線上はほぼ無傷。
高畑山→雛鶴峠→赤鞍ヶ岳(朝日岳)
高畑山から道志方面に向かう連絡路のような尾根道ですが、人気がないコースなのか殆ど人が歩いた形跡の無い道でした。道標などは妙に立派ですが、たまにしか無いです。踏み跡が薄く誤って支尾根に入り込んでしまう事もあるので、注意しながら進みましょう。
赤鞍ヶ岳(朝日岳)→菜畑山→和出村バス停
道志山塊の稜線上はそれまでの道に比べると比較的歩かれているのか道筋は濃いです。菜畑山からの下り道は、少し下った地点で林道と合流。そのまま林道沿いに下っても下山できますが、道志の湯方面は途中で分岐する山道を経由した方が近いです。
実際の登山記録
今回のルートです。
経緯&前置き
かなり遅くなっちゃいましたが、この記事をもって本年初投稿となります。
一応、大晦日元日と高尾山方面に二年参り登山に行ったり、日本酒関連のものを書き溜めていたりとネタはあったんですけど、なんだか今の今まで正月気分が抜けきらず、こんな時期に……更新は相変わらず不定期となりますが、山に行った時は必ず何かしら書くと思いますので、本年もよろしくお願いします。
さて今回の山行ですが、前回の大岳山の行程がちょっと短かったので、もう少し長めのものを登ってみようとした次第です。登る山は前回は奥多摩だったので今回は場所を変えて中央線沿線。中でもまだ登った事が無かった倉岳山、高畑山に行ってきました。
しかし、それだけだと行程的にどうも物足りない。どこか抜けられる方面はあるかと地図を眺めてみると、尾根伝いに歩くと道志村の方に抜けられるようだ。道志の辺りは何かと不便でまだ足を踏み入れた事がないので、今回はそちらの方に降りてみようと適当に決めたのですが……この道志、交通アクセスの項でも触れた通りバスは無いのです。つまり、まっとうな手段では帰る方法は無い。さあどうなるか。
梁川駅→倉岳山
[5:50]古里駅出発
始発を乗り継いで梁川駅までやってきました。まだまだ辺りは真っ暗で登山者の姿もゼロ。一月という時期ですが、そこまで寒くはないのが助かる。今年は暖冬ですね。
人気のない町。駅前の梁川橋を渡り対岸へと進んでいく。この日は満月で、月明かりの当たる場所はヘッドライトいらずの明るさでした。
林道を山に向かって歩いていると、途中で登山道の取り付きが分岐しています。木々で鬱蒼としていて真っ暗。真っ暗の道を歩くのは大峰山以来なので注意しつつ歩く。
ひたすら人気のない道を進んでいく……ちなみに左の写真の右のモヤは心霊写真でもなんでもなく、ただの私の口から吐き出されたエクトプラズムです。
歩いていると次第に空が明るくなってきました。
立野峠までは沢を登りつめていく。去年の台風によるものか若干道が荒れていましたが、歩くのに支障を来す程ではありませんでした。
[7:10]立野峠
立野峠まで登ると風が吹き付けて流石に寒い。しかし木々の葉はすっかり落ちていて、冬の低山らしい開放感を感じられる。やはり低山は真冬に登るに限りますね。
全体的に木々の茂った尾根道ですが、時折それらが途切れて展望の広がる箇所もあります。写真の山は恐らく、前回登った大岳山。北東側にぽつんと孤立するように見えました。
倉岳山に登っている途中、木々の合間からその次に向かう高畑山が見えました。起伏はそこそこ。
[7:30-7:45]倉岳山
割とあっさり倉岳山に到着。誰の姿もない。本日一番乗りのようでした。
360度という訳ではありませんが、幾つか展望の良い方面があります。
秀麗富嶽十二景に指定されているという事もあって富士山方面はよく見えます。その左側に伸びているのは丹沢。
富士山を単体で。
望遠。陰影が深く見えるこの時間帯の富士山は好き。
正面に見えるのは南大菩薩の黒岳&白谷ノ丸。白谷ノ丸の笹原が白く見えます。
笠取山、唐松尾山や飛龍山などの奥秩父の稜線。奥秩父には何度と行っていますが、実はこの辺りは未踏のエリア。残雪期くらいに歩きたいですね。
雲取山もよく見えました。その右手前に見えるのは昨年登った扇山です。
倉岳山→高畑山
お次は稜線沿いに高畑山へ向かいます。意外と登り下りがある。
中間の鞍部に当たる穴路峠。ここから鳥沢駅に下山する事も可能です。
そこから少し登ると天神山の山頂です。
天神山では北側の展望が広がっていました。扇山、百蔵山。そして奥秩父の雲取山、飛龍山など。
振り返り倉岳山。この辺から、高畑山から登ってきた他の登山者の方とちらほらすれ違う。上野原方面まで縦走されるという方もいらっしゃいました。
高畑山の山頂手前で雛鶴峠方面の分岐がありました……なんか怪しげな道ですが、とりあえず山頂まで行きましょう。
[8:26-8:31]高畑山
小さな広場となっていますが、倉岳山程には展望はありませんね。
ここも秀麗富嶽十二景に指定されており、富士山方面の展望は優れています。
高畑山→雛鶴峠
高畑山で引き返し、先程の分岐から南下します。これまでの踏み慣らされた道からは一転して、人が通っているかどうか分からないような所を歩いていく。落ち葉が積もっている上に踏み固められていないので、ちょっと歩きづらい。
一応道標なんかはありますが。
平坦な所は少なく、アップダウンの多い尾根道です。去年歩いた大峯奥駈道を思い出す。
ひたすら登り下りが続く。時々、木々の合間から富士山が見えたり。
高岩のピーク。背後には先程登った高畑山、その西に伸びる大桑山。
高岩から少し進んだ所にある展望地。眼下にはリニア実験場。登山を切り上げてリニア見学施設に行こうとも思ったのですが、冬期は試験走行の休止期間との事で行ってもつまらないと思いパス。
向かいに見えるのは道志山塊、赤鞍ヶ岳と菜畑山の間にあり、後程通る岩戸ノ峰です。角度を変えれば富士山も。
富士山を単体&望遠で。頭だけ。
鉄塔が現れました。周囲は大抵狩り払われているので展望は良いです。
左の写真、西側の正面奥には矢平山。眼下には上野原市秋山(旧秋山村)の集落見えます。東側には富士山と三ツ峠山。
三ツ峠山の右側に見えるのは清八山、本社ヶ丸かという所。間に見える南アルプス……位置的には悪沢岳かという所? もしくは手前の山か。
三ツ峠山を望遠で。電波塔が目立つので山座同定が容易な山。
[9:19-+9:30]雛鶴峠
鞍部の雛鶴峠まで降りてきました。ここから先は道志の山域。帰るのも難儀しそうなエリアなのですが。
雛鶴峠→サンショ平→赤鞍ヶ岳(朝日山)
下山するにしてもまだまだ早い時間。なんとかなるだろうと、リニア実験場を横目にしつつ先に進む。
途中見えた南アルプス。やや雲が出ていて分かりづらい。
基本的に鬱蒼とした尾根道で展望は利きません。
雪の積もった山が樹間からチラチラと。こちらも南アルプス。
日向舟のピークかという所。何も見えません。
サンショ平方面へ……GPSの軌跡を見ると分かりますが、この付近で一度盛大にコースアウトし、名もなき支尾根を下ってしまいました。この辺り、罠みたいな赤テープが多いので注意が必要です。
基本的には尾根筋を進めば間違いはありません。たまに地図にない謎の巻道が分岐していたり、罠テープが張られていたりしましたが、いずれにせよ後々合流する事はなかったので、楽せず尾根を歩きましょう。
傾斜は緩いながらも長い登り坂。道もあまり踏み固められていないので歩きづらい。
歩いていると傾斜のなだらかな尾根上に登りました。南側には、これから向かう道志山塊がすぐ側に。
[10:53-11:02]サンショ平
二十六夜山からの稜線が合流する所です。麓の無生野にそのまま下る事も可能らしいですが、荒れているとの注意書きがありました。
赤鞍ヶ岳方面へ出発。登り一辺倒かと思いきや、割とがっつり下る。
東側を向くと関東平野方面が見えました。高尾山も見えるかなという所。
北斜面なのでちらほら雪が残ってますが前回の大岳山の時程ではないですね。一応アイゼン持ってきたのですが、この日は使わずじまいでした。
[10:53-11:02]赤鞍ヶ岳(朝日山)
ここで道志山塊の主脈に合流。展望はないながらも、青空が映える雰囲気の良い山頂でした。テント張ると気持ちよさそう。
赤鞍ヶ岳(朝日山)→菜畑山
藤野のやまなみ温泉まで歩けばバスはあるとの事でしたが、コースタイムで6時間。まだまだ正午前の時分ですが、流石にしんどいという事で、この付近では展望の良いとされる菜畑山を経由し、そのまま下山する事にしました。
正面には今日いつだかに見えた岩戸ノ峰のピーク。道志山塊もそれなりにアップダウンがきついです。年末年始に歩いた高尾城山とは大違い。
岩戸ノ峰にて小休止。ちなみに今回の登山でストックを新調しました。以前のものが九日間にも及んだ大峯奥駈道登山に耐えられず、ラバーの部分が崩壊してしまった為。金属部分も歪み始めていたので仕方なく買い替えたのです。
購入したのはブラックダイヤモンドのトレイルプロショック。前使っていたものと同じですが、何年かぶりに買うとマイナーチェンジされているのか随分と軽量化されていました……私は長年使っていますが、衝撃吸収機能があるので下りの際に膝や足首が怖い人にはオススメです。
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木々の合間から南アルプスの悪沢岳&赤石岳。赤石岳は赤石小赤石と連なる形が特徴的なので分かりやすいですね。
菜畑山への登り返し。本日ラスト登りです。
[13:20-13:52]菜畑山
木々が途切れ開けた所に出ると、そこは菜畑山の山頂でした。読みは『なばたけうら』です。山や峰をウラと呼ぶのは奥多摩でもありますね。ウラというのはもともとこの付近で使われていた、何かの先端を表す古語だったそうです。
評判通り展望は良いです。特に丹沢~富士山方面が優れています。
丹沢の大室山と加入道山。その右に見えるのは塔ノ岳、鍋割山方面の稜線かというもの。
逆光ながらも南側にうっすらと見えるのは箱根山。そして、徐々に雲に埋もれつつある富士山。
菜畑山→道志の湯→帰路
のんびりと景色を眺めたら下山します。菜畑山だけ登る方も多いようで、これまでの道と比べると良く踏まている道です。
林道に合流し、そこから再び道志の湯方面に向かう山道へ。
途中、鉄塔付近で視界が開けました。正面に見える西丹沢の加入道山が中々にいかつい山容。西丹沢も行きたいな。
道志の村が見えてきました。山間の小さな村ですね。
[14:49]和出村バス停到着
麓に下りバス停に到着……お疲れ様でしたと言いたい所ですが。
バスの本数が全然ありません……帰れるバスが無い事は分かっていましたが、まさか休日は全便運休とは想像以上。交通弱者に厳しい村ですね。
村の雰囲気は良い感じです。すぐ近くに加入道山が聳えています。
どうやって帰るのかという問題を先送りにし、丹沢方面に少し進んだ所にある道志の湯にて入浴。良い感じに現実逃避できました。
さて、お風呂に入って気持ちよくなりましたが……事態は何も解決していない。むしろ日が暮れてきて状況は悪化しつつある。
この時点での外気温は僅か4℃。気候の良い季節ならともかく、こんな真冬に夜を明かしたら風邪じゃ済まなそうですね。
ここは伝家の宝刀、ゴールデンビッグサムを使用して乗り切る事に……見送る事数台。御殿場まで向かうという兄ちゃんの車が乗せてくれて、バス停がありそうな山中湖付近で下ろしてもらいました。大変感謝。
山中湖の平野バス停から富士山駅経由で帰ります。新宿行きの高速バスで寝て帰りたかったのですが、一応聞いてみるも休日という事もあって近い時間のものは全て満席。
いつだかぶりの富士急で帰宅しました。