山とか酒とか

登山やお酒を始めとした趣味全般を雑多に、また個人的に有用だと思った情報を紹介しています。

初心者向け! 1000種類飲んだ私が伝授する、本当に美味しい、飲みやすい日本酒の選び方

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皆さん日本酒って好きですか?

酒なんて不健康なもの飲まないよ! って人だったら何しに来たのって感じですが、この記事を開いたという事は、好きでも嫌いでも、多かれ少なかれ興味がある方が大半でしょう。

けど、あまり飲んだ事がない人にとっては日本酒って何から飲んだら分からない、一歩を踏み出しづらい無駄に敷居が高いイメージがあると思います。実際、銘柄やそれを製造する蔵元も星の数ほどあり、何がなんだか分からないような状況なのではないかと思いますが…。

実際、安直にスーパーやコンビニなどで選ぶと妙に酒臭いものが多く、失敗してしまいます。お酒でもなんでも最初のものって後々まで印象に残りやすいですからね。そこで外れを掴んでしまうと、自身の中で日本酒=美味しくないというイメージが根付いちゃって、次にはお酒を買う時の選択肢で日本酒が候補に上がる事が無くなってしまうと思います。

一介の日本酒を愛する人間としてそういう方が増えてしまうのは悲しいので、今回は初心者の方向けに失敗しない日本酒の選び方を、軽く1000種類は飲んでいる私が一からレクチャーします。

あくまで右も左も分からない初心者の方向けですので難しい用語、分野の話はしません。むしろ徹底してそういった要素は排除しています。気楽に読める分、百戦錬磨な方には退屈な内容かもしれませんが、その辺はご容赦下さい。

目次

※★はその項目の有用度です。

自分の好みを把握する【★★★★★】

これが大前提であり、再優先事項です。一体自分はどんな味を日本酒に求めているのか、そして自分自身がどれだけ日本酒の味を知っているのかを認識する事から始めましょう

まず、日本酒の味の種類は大別して辛口と甘口のものがあります。少し齧った方であれば、辛口というと淡麗がセットについてくる新潟淡麗酒のイメージが未だに強いでしょう。越乃寒梅、久保田、八海山などは特に認知度が高いと思います。

淡麗辛口とは正反対のものとして、濃醇甘口という傾向のものも多くあります。甘口でしかも濃醇と言うと言うと、くどくて悪酔いしそうなイメージを持たれるかもしれませんが、これも糖類添加の三増酒時代の化石のような古いイメージで、現在の甘口とは完全なる別物であります

ちなみに現在の主流は淡麗辛口ではなく、濃醇甘口もしくは濃醇旨口のものとなっています。先程述べた新潟端麗酒の蔵が一転して濃醇旨口系のものを作り始めるくらいですので、それなりに大きなムーブメントだったりします。ですので、初めてでしたらその流行りに則って『濃醇旨口』の味わいのものを選ぶのが無難です…何故って? 主流であり売れ筋である以上、作り手側も力入れて作っているからです

また、味わいが濃醇であるが故に飲みにくさの最たる要因であるアルコールの辛味が紛れるので、必然的に飲みやすい酒ともなります。水のような~という謳い文句のお酒で少しでも飲みにくさを感じた方は、敢えて真逆な濃醇な酒質のものを選ぶ事をおすすめします。

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有名地酒屋、小山商店の店内。これだけ種類があっても今や濃口系のお酒が大半。

甘味辛味もどういった傾向の甘味辛味かという点で違いますし、香気成分の種類、酸味、炭酸の有無など差別化する要因は沢山ありますが、いきなり全部を把握するというのも難しいので、まず最初は分かりやすい辛口か甘口かという点を念頭に置くだけで十分。大事なのは自分が何が好みなのか考えて飲む事です。そうした思考や経験の蓄積が、より美味しいお酒への道標となるのです。

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瓶裏面のスペック表。数値以外にも味わいの解説が記載されているものも稀にある。

無難な価格帯&初心者向けの味わいのお酒を選ぶ【★★★★★】

特に理由が無ければ、最初は純米以上(特別純米純米吟醸純米大吟醸等)と表記された生原酒を選んでみて下さい。このスペック以上のものであれば、安酒特有の舌にへばり付くようなえぐみ、喉が灼けるようなアルコールの辛味等、まずい日本酒特有の要素は殆ど感じられないと思います。

価格帯についてですが、だいたい純米、特別純米の生酒は一升瓶で3000円前後純米吟醸3000~4000円弱の辺りが相場です。四合瓶であればその半額、一升3000円の場合は四合で1500円という感じですね。

山田錦や雄町、愛山等高級な酒米を使っているとそれぞれもう少し価格が上がります。とは言え銘柄によって結構ブレますので参考程度にどうぞ。

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冷蔵酒コーナーに限れば、価格は3000円前後のものが多い。

そうした相場を大きく外れたお酒についてですが、最近は醸造技術の向上などにより、安くても纏まった味わいのお酒が増えてきています。ただ、極端に安い酒というのは価格相応の作りをしている所が多く粗雑な味わいのものが大半です。

高い場合も注意が必要です。勿論それだけお米を削っていたり、酒米自体も高級なものを使っていたり、製造に一工夫などして価格に上乗せされている場合が殆どなのですが、商品自体が酒飲み相手ではなく贈答用というケースもあります

贈答用や観光客用に向けた銘柄というのは普段飲みに向けた商品ではないので、価格と品質の善し悪しが比例しない事が多いです。5000円出してアルコールの辛みしかないような酒なんて結構あります。

勿論そうした土産酒や贈答用酒であっても、酒飲みの期待に答えられる程のクオリティのものを作ってる所もあるのですが、一般的にそうでない所の方が多いです。故に、その銘柄を作る蔵元はどういうポリシーでお酒を作っているのか等、最低限確認しておくとハズレを掴む確率はぐっと低くなります。

旅先でお土産にお酒を買う時は特に注意しましょう。最近は道の駅とかでは凝った酒が置いてある事が多いですが、古びた土産物屋などでは依然として昔ながらの割高土産酒が置かれている事が殆どです。

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典型的な純米吟醸無濾過生原酒。スペックが裏面にしか記載されていない事もある。

色々書きましたが、何を買えばいいのか分からなかったら最初は日本酒度±0前後の『純米吟醸無濾過生原酒』を買っておけば間違いは無いです。純米ほど雑味はなく、純米大吟醸ほど派手でもない、バランス重視で万人受けする味わいのものが多いからです。

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中庸から徐々に自分の好みに近付ける【★★★★】

一体どれが中庸と呼ばれるとこれまた個人の舌に拠るところがありますが、ここでは現在の売れ筋、主流の味という事にしておきます。

例えば獺祭純米大吟醸50(現在は獺祭・純米大吟醸45にリニューアル)という酒飲みなら知らない人は居ない、超有名なお酒があります。味わいは旨口ではあるものの極端に辛くもなく、極端に甘くもない、どちらにも偏っていないバランスの良いお酒なので、それを基準に自分の中の好みに近づけるように探していくと効率良いです。

バランスのいい酒なんて他にもいくつもあります。人気が高まりすぎて転売屋の商材と化している十四代而今などのプレミア系銘柄も、万人受けする味わいだからこそ人気を保っているという面もあります。

けど、どうして私が獺祭を勧めるかというと、大量生産をしている為にどこでも誰でも何時でも入手ができるからです。地酒というのは少量生産であるが故に安定的に供給されないのがウィークポイントです。けど獺祭であれば今日日ネットで探せばどこでも売ってるので、欲しくなったら一年中買えます

せっかく勧めたお酒が年一回販売の季節限定酒では、例え基準の味わいであっても入手機会が少なすぎて、他の種類のお酒と比較するような飲み方はできませんよね。ですから私は誰かに日本酒をレクチャーする時は、いつでも買える獺祭を当面の常備酒として勧めているという訳です。

ちなみにこの獺祭、日本酒入門酒とか初心者向けとか飲んでる奴はビギナーとか少し齧った人からはバカにされてますけど、決してつまらない酒ではなく独特の味わいもあります。故に色々飲んで回って一周してきて、やっぱり獺祭に戻るという人もいますし、私自身も偶に飲みたくなります。とてもバカにしたもんじゃありませんよ

価格も一升で3300円山田錦の45ですからスペックの割には安いです。

まず最初に味わうなら四合瓶(720ml)が良いですが一合分ほど割高となります。容量についてはお財布や冷蔵庫の空き具合と相談して決めましょう。

自分自身と縁のある地域のお酒を選ぶ【★★★】

地酒というくらいですから、愛郷心がある人なら縁もゆかりも無い地域のものより、縁深い地元のお酒を飲みたいですよね。

最近だと割とどこの地域でも濃醇系銘柄を作っている所もあるので、探すのはそこまで苦労しないのではないかと思います。琉球王国や南九州焼酎王国以外であればどこにでもあります。東京や大阪、北海道にだって普通にあります。山梨ワイン王国にも数が少ないながらもあります。

その地元の地酒の入手方法ですが、地域の酒を中心に置いている酒屋に当たるのも良いですが、直接蔵元に足を運んでみるのが一番おすすめの方法です。最近では巷で人気の工場見学のように、蔵元で製造行程を見学させてくれる所も少なくないですし、ちょっとした観光気分で訪ねてみましょう。大抵試飲もさせてくれます

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蔵元に行けば大抵試飲ができる。あくまで購入を前提とした試飲なので最低限節度は持ちましょう。

地酒屋でおすすめを聞く【★★★★★】

地酒屋とはスーパーやホームセンターなどの量販店じゃありません。日本酒をメインで扱ってる街の酒屋さんの事を指します。

というのも、生産量の少ない日本酒は問屋を通さず特約店制度で小売店に直接入ってくるので、仕入れに問屋を通すスーパーなどにはまっとうな方法では並ばないのです(転売系業者などを経由して並ぶお店はあります)。ですから少量生産の日本酒を買うには地酒屋にその重い足を運ぶ必要があります

わざわざお酒だけを買いに専門店まで…というと少し面倒かもしれませんが、そうした酒屋の店主ってプロですので、何を買ったら良いのかと尋ねれば的確なアドバイスをしれくれます。むしろ初心者こそ行くべきなのです

ある程度自分の好みが固まってきたらネットショップなどを活用してもいいですが、まずは実際の店舗に行って、色々と相談したりすればその分野の知識がつくのでおすすめです。

こちらは日本でも五指に入るくらいの超有名地酒屋のネットショップです。有名銘柄からマイナーまで幅広くカバーしてるので、ある程度自身の好みが分かってきたら活用しましょう。

銘酒系居酒屋で飲み比べる【★★】

銘酒系居酒屋とは日本酒を飲む事をテーマに置いた居酒屋の事です。

少しお金が掛かる飲み方ですが、自分の舌で試せるので確実ではあります。特に最近は蔵元と直接の繋がりを持つ居酒屋が増えているので、そうした店だと店員の日本酒に対する造詣も深く、地酒屋同様に的確なアドバイスが期待できます。蔵元の人を招いてのイベントを開いたりする所なんかも増えつつあるので、ある程度知識を蓄えたらそうした催しに参加してみるのも楽しいでしょう。

逆に高校生のバイトが回しているようなチェーン系の店ですと期待できません。怪訝な顔をされるだけです。日本酒を開拓する目的で行くのでしたら、事前にそういった空気のお店かどうか下調べしましょう。

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幾つもの銘柄を飲み比べたり、美味しい料理と合わせて楽しんだりできるのが居酒屋の醍醐味。

価格の相場は少し良い酒で一合1000円くらいです。安い所だと一合で600、700円くらいの店もありますね。大抵、数種類でいくらとかいう飲み比べセットなんてものがあるので、色んな種類を楽しみたい場合はセット系を選ぶとお得です。

また最近は何千円か払って銘酒飲み放題というお店も増えつつあります。いろんなお酒をガッツリ飲み比べたい場合はそうしたお店を選ぶと良いでしょう。私は肝臓痛めたくないので飲み放題系のお店にはあんまり行かないですけど。

イベントの試飲ブースに足を運んで飲み比べる【★★】

最近は日本酒系イベントも増えています。入場料を払って中では飲み放題(食べ物は別料金)という形態の所が多いですね。

沢山飲める人でしたら安上がりで済む上、大抵ゲストに酒造関係者が招かれていて貴重な話を伺ったりできるので、おすすめの手段の一つです。友達同士で誘って行ってみると楽しいかも知れません

楽天チケットでお酒に関するイベントを検索

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越後湯沢駅に併設されている利き酒処『ぽんしゅ館』、500円でお猪口5杯分飲める。

イベントとは違いますが、酒造の盛んな地域の駅や観光地などに行くと極稀にコインを入れてお酒が飲める自動酒販売機があります。スペックは無難なものが多く火入れのものが中心ですが、手軽に楽しめる上、中には季節限定の生酒なども扱っている事もあったりします。新潟、越後湯沢、金沢などにあるらしいので、見掛けたら寄ってみるのも良いかも知れません。

身近にいる日本酒に詳しい人に話を聞く【★】

身近に詳しい人が居ればですが、気心知れた間柄であれば「日本酒って何飲んだらいいの?」って気軽に聞くだけでいいので楽ではあります。

しかし日本酒の好みって人それぞれなので難しい問題です。『日本酒は美味い不味いではなく、合うか合わないかという嗜好品である』…相手がその事実を理解していない人だと、ただの好みや価値観の押しつけになってしまうので、仮にアドバイスをくれても得られるものは少ないです。

逆に言えば、利き酒アドバイザー的な知識を持ってる人であれば、自身の好みではなく、客観的な見方をして何がその個人に合っているのかを判断してくれるかもしれません。そんな人そうそう身近にいないですけどね…私? やってもいいですけどお金取りますよ

理屈抜きに片っ端から飲んでみる【★★★★★】

これまで長々と書きましたが、如何ですか? 頭がパンクしましたか? そういう時は一旦考える事をやめましょう。

結局の所、色々な種類を片っ端から飲む事が見識を広める一番の手なのです。ですから頭でっかちにならず、これは美味しそうだなと思ったらひとまず買ってみるというのも良いでしょう。最近は風変わりなラベルのものも多いですし、ジャケ買いなんかでも全然良いと思いますよ。

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埼玉県だけにしても蔵元の数はこれだけあります。考えるのはやめて片っ端から飲みましょう。

予備知識無しで買ったものが当たりだった時の感動さたるやです。印象も変に下調べして買ったものよりも、その方が後々までに残りやすいです。私自身も偶に新鮮味を味わいたくて、敢えて下調べせず冒険して買う事がありますから

だとしても、スーパーで並んでいる常温酒を選ぶような、見え透いた地雷を踏み抜くような真似は辞めましょう。せっかく美味しい酒を求めているのですから、面倒でも様々なラインアップのある地酒屋まで足を運びましょうね。

はせがわ酒店以外でも日本酒を扱うネットショップは掃いて捨てる程あります。まずは深く考えず直感的に、ピンときた銘柄を注文してみるのもいいかもしれません。

おわりに

という訳で、今回は私の山行記録などで度々登場させている、日本酒について触れたものを長々と書かせて頂きました。結論としてはなんでもいいからとりあえず買って飲んでみろという甚だ投げやりなもので終えてしまいましたが、この記事が少しでもご自身の日本酒探検の御力添えとなれたのでしたら幸いです。

最近では一部で日本酒ブームなんて言われて持て囃されていますが、一般大衆に芋焼酎が浸透した焼酎ブームの時程の勢いはありませんし、本当に静かなブームだと思います。

このまま静かなブームで終わってしまうのはファンとしても残念で、ヤマレコ時代からちょくちょく登場させたのも普及活動の一環ではありました。効果なんて1ミリも無かったと思いますが

けど、ブログに媒体に変えた事で大っぴらに日本酒の話題を扱う事ができるようになったので、以降も山行記録を書く合間にでも続けていきたいと思います。

ちなみにこの次には日本酒の保存方法についての記事を書きました。興味がありましたら続けて読んで頂けると嬉しいです。

inuyamashi.hateblo.jp