山とか酒とか

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日本酒の適切な保存方法とは? 生酒じゃなくても冷蔵庫に入れるべき理由

前回は日本酒の選び方についてレクチャーしましたが…。

inuyamashi.hateblo.jp

さて、実際に日本酒を買った後、まず最初に悩むべくはその保管方法かと思います。

ワインなら12℃くらいのワインセラー、焼酎ウイスキーなどの蒸留酒は常温でOK、じゃあ日本酒は何処へ? となりますが、実際はどうするのがベストなんでしょう? …という訳で、今回は日本酒の保管方法についての記事です。

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とある生酒。裏面に要冷蔵と記載されている。

実際にお酒を見てみましょう。例えば生酒などにはラベルや瓶裏面に要冷蔵と書かれていますよね。それについては特に反抗せず指示に従っておけば良いのですが、酒屋さんによっては火入れ処理をしてあるお酒でも冷蔵ケースに大事そうに保管している場合もあります。

ラベルの記載でも、中には火入れのお酒でも冷蔵保存を指定されているものもあります。勿論そうでないものの方が圧倒的に多いですが、果たしてどっちが正解なのかって話になりますね。

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冷蔵ケースに入っているお酒が全て生酒…とは限らない。

さて、冒頭からいきなり結論を言ってしまいますが、特に理由が無い限り日本酒は全て冷蔵庫に入れて保管して下さい。生酒だろうがそうでなかろうが例外なく入れる事が無難です。

その理由については以下の項目にて説明します。また、それを知らずうっかり冷蔵庫に入らない一升瓶を買ってしまった時の対処法も併せて紹介致しますので、ご一読下さい。

目次

火入れ済の日本酒でも冷蔵庫に入れるべき理由

生酒を入れる事は当然として、火入れ済みのお酒を冷蔵庫に入れるべき理由ですが…その理由を一言で言えば、冷蔵保存とする事で変質するスピードを格段に抑えられるからです。

変質というと具体的にどうなるのか。分かりやすい変化といえば、紹興酒みたいな独特の臭いが付きます。これを熟成香といって、菊姫など熟成酒を中心に作る蔵元では敢えて付ける事もあります。 

とは言え、まず前提として最近流行の日本酒はフルーティな口当たりを前面に押し出した酒質のものが多いのです。そうしたお酒はどれも開封直後が一番美味しいという認識で造り手は製造しています。熟成香は劣化、オフフレーバーであると捉えているという所が多いという事ですね。

別に故意に熟成させて飲もうが購入者の自由ではありますが、最初の一本は造り手の希望通りの飲み方で楽しむのがマナーだと思います。勝手にイレギュラーな飲み方をしておいて、この酒は美味しい美味しくないなどと評するのはフェアではないでしょう。

ではお酒の変質を避ける、長期間変わらない味で飲む為には何を気をつけるべきかですが、その要因として光、温度変化、空気に触れる事での酸化が挙げられます。

常温保管であれば、常温保管であれば幾ら冷暗所に置いた所で昼夜の温度差を毎日続くので、変質の速度は早いです。冷暖房を入れる季節なんて特に顕著でしょう。

反面、冷蔵庫であれば温度は一定ですし光も差し込みませんから保管場所としては理に適っているという訳です。

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購入時、UVカットの特殊なビニールで覆われている事も。それだけ日本酒は光に対して敏感という事。

ただし空気に触れる事で生じる酸化は、ある程度量を飲んで瓶内に空気が増えてしまうと避けようがありません。その為、酒質の変化を求めない場合は開栓したらなるべく早めに飲む必要があるのです

家庭用冷蔵庫しかない時、うっかり一升瓶を買ってしまったら?

冷蔵庫に入れるべき理由を口を酸っぱくして説明しましたが、一般家庭ではウチの冷蔵庫に一升瓶なんて入らないよ! って場合が殆どだと思います。

けど心配しないで下さい。漏斗等を使って空いてる四合瓶に移し替えて小分けすればいいのです。四合瓶ならばドアポケットに楽勝で収納できます。栓である一升瓶と違ってねじり式のキャップですし、横にしても勝手に漏れてくる恐れはありません。

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漏斗と適当な空き瓶。一升瓶を丸々移し替えるには四合瓶2本と二合瓶1本が必要。

ちなみにその時使用する漏斗については金属製やプラのものより、シリコン製の方が汚れや臭いが付きづらく洗いやすいのでオススメです。

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四合瓶については、空いているものが無ければペットボトルでもOKですが、できれば光や温度変化を避ける為にも色付きガラス瓶の方が良いです。けど常温で放置するよりはマシなので、その場合は念入りに消毒した上で移し替えて下さい。ペットボトルは瓶よりも細かい傷が付きやすく、隙間に汚れが残り雑菌が繁殖しやすいからです

ただこのやり方、地酒屋や蔵元は決していい顔をしません。移し替える際に腐敗や劣化のリスクがあり、もしも移し替える先の瓶やペットボトルが汚れていて雑菌まみれだった場合、一気に腐敗してしまう為です。

それについて以前、とある地酒屋の方にお話を伺ったのですが、自分で移し替えた事が原因で腐敗させてしまい、何を考えているのか蔵元にクレームをつける非常識な人が定期的に現れるらしいのです。蔵元にクレームが来た時は殆ど必ず販売店である地酒屋の方に適切に商品を管理しているか確認の電話が来ます。それが続けば特約店から外されてしまう事もあるそうです…迷惑行為でしかありませんよね。

ですので、小分けして移し替える際は自己責任で。万が一劣化させてしまった場合でも、間違っても他所にクレームをするような真似は控えましょう

もっとも、適切に消毒すれば雑菌は殆ど死滅しますし、移し替えても問題はありません。そもそも日本酒というのは2割弱のアルコールを含んだ食品ですから、雑菌は他の食品と比べると繁殖しづらい環境下にあるのです。冷蔵保存しているとなれば尚更です。

瓶についてもよく洗った後に鍋で煮沸するのがベストですが、煮沸についてはポットから熱湯を注いで振り回すだけでも殆ど問題ありません。私も昔そうして保管していましたが、そのレベルの消毒でも中身が腐敗する事はありませんでした。というのも日本酒を腐敗させる菌として火落菌というものがあるのですが、それは60℃ちょっとで死滅する為です。熱湯入れて軽く振った程度でも、熱が伝って60℃くらいは行きますから。

ただ一つ注意してもらいたいのは、移し替える先の瓶がきちんと洗ってあるかを確認するべきであるという事です。洗い忘れの瓶はアルコールも飛んで雑菌の温床になっています。お酒を台無しにしない為にも、移し替える際は臭いを嗅ぐなどしてちゃんと洗ってあるものか確かめておきましょう。

ベストな選択は日本酒用冷蔵庫を買う事

前項では小分けして家庭用冷蔵庫に収納するお話をしましたが、日本酒を飲む上でベストな選択は専用の冷蔵庫を用意する事です。一升瓶が入る専用の冷蔵庫があれば、割高な四合瓶を買ってモヤモヤさせられる事も無くなりますし、酒を買う度に移し替えたりする手間も無くなります。

それに日本酒を適切な温度で管理する事ができるのも大きいです。

日本酒、とりわけ生酒って何度くらいで保存するのが推奨されているか分かりますか?

正解は氷温以下です。有名所の酒販店の冷蔵ケースは大抵マイナス2℃より下の設定です。それくらいになると酵母の動きは完全にストップするので変質しないという理論なのです。

蔵元の中にはそれを徹底している所もあって、きちんとした温度管理の冷蔵庫がないと特約店指定しないという王祿酒造なんかはそのケースですね。

逆に言えば、マイナス2℃以下までに低ければ理論上いつまでも保管できるという訳です。冬に出たお酒を庫内で寝かせて秋に出すなんていう『セルフ秋あがりorひやおろし』のお酒を作れるという事でもあります。実際の秋あがり酒についても年がら年中醸造している四季醸造の所でも無い限り、冬に作った酒を冷蔵保存したものを秋に売っているだけなので、質についても商品の秋あがりとほぼ一緒となります

しかし家庭用冷蔵庫ってもっと温度が高くて、実際の庫内温度は3~6℃くらいです。野菜庫はもっと高い。つまり厳密に言えば保存する温度に適していないという訳にもなります…チルドルームに入れれば良いでしょうが、とても四合瓶なんて入れる余裕は無いでしょう。

故にその為の日本酒専用冷蔵庫という訳です。日本酒にとっての適温で、日本酒を入れる事を主とした冷蔵庫という訳ですね。

けど、わざわざ日本酒だけの為に一台冷蔵庫を用意するなんて、酔狂を通り越して病気です…興味ない人からしたら、居酒屋でも開くつもりかとドン引きされる事うけあいですよ。 

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我が家のレマコム。庫内温度も日本酒にとってのベストをキープ。

私は病気なので専用の冷蔵庫を買ってしまいました。レマコムの三温度帯ストッカー。2013年に買ったので現在6歳ですが、バリバリ稼働中の現役です。日本酒以外には珈琲豆とかお茶とかウイスキー用のつまみとか詰め込まれている、正月のおせちが来たら真っ先に収納先になる、いろんな意味で使える奴です

一番小さい100Lのものでも一升瓶が縦置きで16本、上に未開封のものを横向きにすればMAXで20本入ります。価格も3万弱と手頃なので、本気で日本酒に嵌ったら思い切って買ってみるのも一つの選択肢です。

ただしその分でかいので導入予定の方は寸法を確認しましょう。あとコンプレッサーの音がそれなりにうるさいので寝室に置くのは向きません…いずれにせよ、買うならばちゃんと家族と相談してからにしましょう。

 

変化を許容できるのであれば、そこまで神経質にならなくても良い

以上の方法は全て変質を防ぐ為の方法です。しかし変質もとい変化を楽しむのもまた日本酒の楽しみ方の一つであります。そもそも、いくら氷温以下の冷蔵庫に入れて徹底的に遮光しても酸化については避けられませんので。

ですから、変化に対してそこまで神経質にならずに飲む、変化を劣化とせず熟成として受け入れる方が長くその日本酒を楽しめます。劣化だのなんだのって考えながら飲んだって美味しい訳がないですからね。

むしろ、今回の記事の内容は真逆となってしまいますが、敢えて常温で放置して熟成させたり、何度か瓶を移し替えるデキャンタなどをしてガス抜けを促したりする人も偶に居ます。買ったばかりで角がある、舌触りがギザギザしている等、もう少しまろ味が欲しい時はそうした事をすると味が馴染む…確かにそれは事実ではあります。

ですが、いずれにせよその銘柄の本来の味をよく知った人が行う上級者向けの手法です。安易に手を出してしまうとその日本酒を台無しにしてしまう恐れがあるので注意しましょう。

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熟成させたお酒が飲みたいなら、商品としての熟成酒を買うのが無難。

如何でしたか? 今回は日本酒を買い始めた人が悩みがちな日本酒の保存方法について解説しました。次回以降は日本酒にまつわる用語(純米、吟醸など)について触れた記事を作りたいと思います。

その前に登山記事を一回くらい挟むかもしれませんが、その時はその時で…。