谷川連峰その1(土合駅→白毛門→笠ヶ岳→朝日岳→清水峠)
テント担いでの登山は今シーズン初となります……本来であれば5月中にどこか行きたかったのですが、コロナの緊急事態宣言やらで遠出は控えせいぜい日帰り登山に留めていました。
6月に入ってから緊急事態宣言も解除されたという事もあり、ある程度自粛ムードも解けてきたのではないかと思い、今回は少し遠出してのテント泊登山に行ってきました。
行き先は上越国境の谷川連峰。過去二回ほど三国峠から入っての縦走を試みた山域ですが、天候の悪化やら体調不良やらでいずれも仙ノ倉山地点で撤退しています。
こちらは一回目、今回と同じ6月の登山です。概ね晴天だった今回と違い稜線上は荒れに荒れまくり、匍匐前進しないと前に進めない程の荒天。強風の上雪まで降る始末でした。途中、エビス大黒避難小屋にて暫く雨風を凌いでいましたが、数日天候回復の見込みが無いので続行を断念。あえなく撤退。
二回目は4月、まだ残雪の多いシーズンでの登山となりました。天候に関しては、稜線上は曇りがちでありつつも前回よりは安定していたのですが、初日から体調が優れず、こちらについても仙ノ倉山から引き返し下山しています。
さて、今回は一回目と殆ど同じシーズン……流石に三連続三国峠発は飽きるので今回は逆方向、土合駅から白毛門、朝日岳と順に登り始める事にしました。予定では更に先、稲包山、白砂山方面の縦走を計画していましたが、丁度そちらに向かう頃梅雨入りになってしまうとの事で、結局三国峠からの下山となりました。
この日の行程です。地中深くにある上越線土合駅から脱出し、初っ端から麓からの標高差1,000m以上の白毛門へ激登り。無風で快晴という酷暑の中、道なりに笠ヶ岳、朝日岳へ進む……朝日岳からの360度の展望を満喫した後は更に西進し、清水峠の白崩避難小屋を宿としました。
他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。
【2020年6月】谷川連峰登山についての情報と記録 - 山とか酒とか
目次
登山開始まで
おなじみの電車移動です。テント泊は去年の大峯奥駈道の時以来だから、このザックと対面するのも半年ぶりくらい。当初は五日間くらいの予定だったのでそれ相応の重量です。水も既に満載で重いです。
八高線で関東平野を北上。とんでもないローカル線ですが高崎まで一番早く出られる手段なので、山に行く時もスキーに行く時も何かと使う路線。乗る度に減便してるような気がするのが気掛かり。
高崎で上越線に乗り換え。ここで初日の晩飯用に駅弁のだるま弁当を買っていくのが定例化してますが、この日はコロナで時短営業になっていて無常にもシャッターが下りたままでした。
上牧駅辺りの車窓から、これから登る谷川岳付近の山が見えた。雲ひとつ無い青空。天気に関しては大丈夫そうかな。
水上駅にて乗り換え。乗り換え先の列車は2両。普段なら席の取り合いになるこの駅でも、この時はコロナの影響でそこまでの混雑ではなかった。
水上以北の1日5往復の区間。下り線は湯檜曽から暫くは長いトンネルが続き、駅も地下にある地下鉄状態。駅間はだいぶ長いけど。
有名な土合駅で下車……何年かぶりかな。真夏でも鍾乳洞の中にいるみたいに寒い、というか冷たい。しっとりしてる。
ホームに下りたらまずは脱出。地中深くのこの駅から地上に出るのに何百段かの階段を登ったりで10分以上掛かります。エレベーターとかエスカレーターなんてものは無い。
改札口を目指してひた進んでいく。所々で湧き水のように漏水しているのでますます鍾乳洞っぽい。
地上に上がっても少し歩く。改札口まで続く長い長い通路、1日5往復しか列車が来ない駅にしては大掛かりな設備。
ようやく改札口。ゴール!と言いたいけど、ここからが長い長い登山の始まり。
土合駅→松ノ木沢ノ頭→白毛門
[9:04]土合駅出発
外に出る。雲ひとつ無い快晴。そして灼熱地獄。
朝日岳の登山口はロープウェイ乗り場方面に数分歩いた所にあります。その途中、さっき通ってきた土合駅の通路を潜る。
振り返ると土合駅の上り線の構内。地中深くにあった下り線と違ってこちらは普通に地上にあります。
上越線の橋梁。奥にレンガ造りの古びたトンネル。昭和8年に開通して戦後の高度経済成長期に複線化されるまでの間、こちらの線路が単線として上下線で使用されていました。
朝日岳の登山口はロッジの脇を進んだ所にあり、そこそこの広さの駐車スペースとなっています。それなりに車で埋まっている。
登山開始。9時過ぎと登山開始の時間にしては遅いですが、同じくらいに出発する人の姿も見られました。最後まで追いつかれなかったから白毛門までの往復だったのかな?
まず最初に橋を渡り対岸側へ。
橋を渡った後はひたすら鬱蒼とした樹林帯を登る。登山道の脇にヤマツツジが咲いてました。
少し進むと傾斜が一気に急になる。こんな感じの岩混じりの坂道が、最初のピークである白毛門まで3時間くらい延々と続く。
少し進み振り返ると谷川岳が見えた。目線的にまだまだ標高は低い。
谷川岳を背に黙々と登っていく。
振り返るとスタート地点の土合駅が見えました。
途中までは樹林帯ですが、徐々に背の高い木が減ってくる。
タニウツギ、東北辺りの山でよく見かける花かな。
黙々と登っていく。道はよく整備されていました。
岩ごろごろの道。左を見れば谷川岳。
松ノ木沢ノ頭手前のちょっとした岩場。岩の間にアカモノが咲いてました。
岩場からの展望。少しは標高稼いだかという所。
存在感ある赤城山。左に最高峰の黒檜山、中央右に電波塔建つ地蔵岳が見える。
[11:15-11:31]松ノ木沢ノ頭
松ノ木沢ノ頭のピーク……谷川岳を眺める為の展望台みたいな所。ここから見る谷川岳は岩むき出しで異様な感じに見える。
松ノ木沢ノ頭からの展望。
谷川岳の山頂部を望遠で。左がトマの耳で中央がオキの耳。どちらも頂上に立つ人の姿が見える。
これから向かう白毛門方面。まだ道程は長そう。
こちらは赤城山、上州武尊山方面。写真に映るおじさんは白毛門まで向かう予定だったのだが、しんどいからと途中で下ってしまった……。
いつの間にか森林限界を越えてしまったらしく、低木と岩場が交互する道が続く。
森林限界は越えた。つまり、振り返った時の展望はいつも良い。
白毛門までの道は長い。
振り返り谷川岳。
その肩に見えるのは苗場方面の山? 霧ノ塔というピークらしいです。
岩場を登る。全体的にきつい道ですが、案内はしっかりしてるのでガスって視界ゼロでも問題なさそう。
歩いてるとこれから向かう朝日岳方面の山々が見えてきた。右が白毛門、左の三角形が笠ヶ岳、その右の台形の山が朝日岳。
歩いてきた道と谷川岳。大規模な岩場の露頭。
白毛門に登るラストの所にちょっとした鎖場がある。引っ張って越えればそこが山頂です。
白毛門→笠ヶ岳
[12:18-12:33]白毛門
なんだかんだで3時間以上掛かってしまい白毛門に到着。
山頂広場の雰囲気。ここまで登って帰る人も多いらしい……山頂には山名入り方位盤もある。
ここで朝日岳ピストンの人と小話。もとは馬蹄形を日帰りで行う予定だったものの寝坊して断念したらしい……この日は以降、宿泊地の清水峠まで誰にも会いませんでした。
赤城山を望遠で。
こちらはスタート地点の土合駅。望遠すると駅舎と上り線ホームがよく見えました。
笠ヶ岳に向けて出発。6月はまだそこそこ残雪があり、雪渓を歩くような箇所もあります……雪渓の側にはショウジョウバカマ。
イワカガミやシャクナゲは多い。
雪が多く残ってます。
翌日登る予定の茂倉岳、一ノ倉岳。
笠ヶ岳までの登り。傾斜が急で地味にきつい……そんな時足元に生えていたイワカガミは癒やし。心のオアシス。
山頂部が平らな苗場山がよく見えました。
キンポウゲ、そして左下にはタテヤマリンドウ。
笠ヶ岳→朝日岳
[13:24-13:34]笠ヶ岳
白毛門から1時間弱で笠ヶ岳に到着。突き出た形のピークなのでここも展望は良いです。
谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳。
清水峠、谷川岳を望遠してみました。清水峠にある三角屋根の小屋は避難小屋ではなく、JR東日本の送電線監視小屋。
東側も気になる山が多い。燧ヶ岳、至仏山、日光白根山、上州武尊山など。
苗場山。少し標高が高いので若干雪が残ってます。
苗場山を単体で。ちょっと左側に見えるのは岩菅山かな? なだらかな所がたぶん裏岩菅山。
これから進む稜線。直下に笠ヶ岳避難小屋が見える……朝日岳の左奥に見えるのは堂々たる巻機山の山塊。
いい感じの山頂でしたが、まだ先が長いので早々に後にします。
朝日岳方面に進む。幾つか起伏を乗り越えていく感じ。
かまぼこみたいな形の笠ヶ岳避難小屋。かなり小さく、荷物を考えると2~3人くらいしか入れそうにない。
笠ヶ岳を振り返った所。起伏はなだらかで庭園みたいな雰囲気。
笠ヶ岳越しに谷川岳。そして苗場山。標高もだいぶ上がってきた。
進む先には至仏山、燧ヶ岳。燧ヶ岳の左に見える小さな起伏は景鶴山?
こんな感じの尾根道を歩いていく。概ね道は良かったです。
朝日岳方面の尾根道。
道上に残雪がある箇所も幾つか。ゆるゆるなのでアイゼン要りません。
清水峠。JRの巡視小屋の他、小さな白崩避難小屋も見えます。
東側斜面の残雪は多い。こういう雪混じりの景色は6月登山の醍醐味。
中々近付かない朝日岳。間の起伏が意外とアップダウンが大きい。
ミネザクラ、まだ咲きかけっぽい。
大きな雪田。側にはウスユキソウも生えてた。エーデルワイスってやつです。
朝日岳の最後の登り。山頂はあの岩の上らしい。
山頂近くの岩。でかい。
岩場付近から歩いてきた道を振り返る。
朝日岳からの展望
[14:56-15:25]朝日岳
ほぼコースタイム通りに朝日岳の山頂に到着。だだっ広い雰囲気の山頂でした。北側を見るとジャンクションピークの奥に巻機山、越後三山などもよく見える。
東側に祠のようなものがあったのでそちらへ移動。
ほぼ360度展望。少し遅めの時間なので、自分以外に誰もいませんでした。
東側の展望。
何度目かの赤城山の望遠。また秋頃にでも湖畔でキャンプしに行きたいですね。
赤城山と榛名山の間に見えた気になる山。子持山というらしいです。
東側の山々を望遠で繋げてみました。
一つ前の写真の山名入り。巻機山、八海山の八ツ峰が見切れて入ってないのが心残り。
関東最高峰の日光白根山。なんか勿体なくて登らずに取ってあるけど、そろそろ登ってもいいかなー。秋頃にでも。
上州武尊山、左奥には燧ヶ岳。どれもまだ登ってないな。
平ヶ岳と会津駒ヶ岳。平ヶ岳は登ったけどガスの中だったからリベンジしたい。
守門岳、越後駒ヶ岳、中ノ岳と並ぶ。左端のとんがりは八海山の入道岳。越後三山の縦走したのは4年前の同じくらいの季節の頃だったけど、難所だらけで今回の登山とは比にならないレベルのガチでキツいお山でした……。
守門岳、そして越後駒ヶ岳、中ノ岳を望遠で。手前の残雪付いたピークは朝日岳から巻機山への稜線途中にある大烏帽子山。
こちらは西側。これから進む谷川連峰の稜線と、その奥の山々。
一つ前の写真の山名入り。逆光気味であまり期待してませんでしたが、妙高山など遠くの山も微かに見える。
山頂広場の様子。
北側。右側の奥の方に海を挟んで佐渡島らしきものが?
雰囲気の良い山頂。
他に人も居なかったのでのびのび満喫できました。
朝日岳→ジャンクションピーク→清水峠(白崩避難小屋)
巻機山方面の縦走路との分岐であるジャンクションピーク方面に進みます。暫くは平坦な湿原地帯。
大きな雪田。ここを下った所に水場があるらしいですが、探す気は流石にしない。
少し進んだ所から朝日岳を振り返る。
越後三山を見据えながらの稜線歩き、最高すぎる。
ジャンクションピーク手前からシャクナゲロード。
[15:44]ジャンクションピーク
巻機山方面の縦走路が分岐していますが完全に藪道です……が、道っぽいのもあるような感じ。
ここから清水峠までは標高差500mの大下り。
清水峠を望遠で。だいぶ近付いてきました。JRの巡視小屋に比べて避難小屋のミニマムな事よ。
巻機山と越後三山。朝日岳から稜線が伸びている……いつか歩いてみたいけど長くて途中で飽きそう。
巻機山を望遠で。この近辺より雪が多く残ってます。
ちょっと足場の悪い縦走路を進んでいく……奥には魚沼辺りの盆地(塩沢付近)が見える。
巻機山を横目に。落ちたら谷底まで滑って数秒で下山できそう。
こちらは清水峠方面。上越のマッターホルンの異名を持つ大源太山が七ツ小屋山の右隣に見える。
残雪と谷川岳。
朝日岳を見上げる。思ったより道が長い。
アカモノとツマトリソウ。
最後の方はだらだら緩いアップダウン。
[17:03]清水峠到着
白崩避難小屋に泊まる方が一名いらっしゃいました。ソーシャルディスタンスという事で、この日は建物裏のテントスペースにて幕営する事に。
小屋泊の方に水場の場所を教えて貰い出発。清水方面に下る謙信尾根コースを少し進みます。
途中危なっかしい残雪のトラバースとかありましたけど、峠から10分くらいで水場に到着。沢水っぽいけど冷えてて美味い。
巡視小屋の方に戻ってきました。キンポウゲが無数に咲いてる。
小屋裏にてテント泊。夕暮れ時という事もあってブヨが大量発生していた。森林香を焚きまくって凌ぐ。
恒例のソーセージ焼き。夕焼けを眺めながら今日という一日を終える。
次回記事『谷川連峰その2』に続く。