沼津周辺をレンタサイクルで右往左往(熱海→沼津→内浦→韮山城→興国寺城)
6月、沼津で入院している親戚の見舞いに行き、そのついでに周辺をレンタサイクル使って散策してきました。
単なる観光に加えてサイクリング、鉄道、アニメ聖地巡り、旧跡城跡巡りと結果的に闇鍋みたいな旅になってしまいましたが、日帰りの割には存外楽しめたので忘れない内に日記として記しておこうと思います。
目次
出発→熱海にて温泉卵製造
始発を乗り継いで品川駅。東京始発なので品川から乗ると良い席にありつけない事が多いんですが、この日は運良く海側ボックスというAランク座席を確保できました。
目的地は沼津ですが、今回はその前に熱海で温泉卵を作るというサブミッションがあるので熱海にて途中下車。ただ少し早く到着しすぎてしまったので、時間潰しに伊東線の網代駅まで足を伸ばしました。
網代も温泉街ですが朝7時台では流石に観光客の姿は見掛けません。ひっそりと静まり返ってます。
網代で待ってると観光列車のリゾート21(黒船電車)がやってきました。この時間帯なのでビジネスや学生の姿の方が多いです。電車の空気も浮かれたリゾート気分って感じはしない。
熱海の一つ手前、来宮駅で降りました。熱海の市街地は熱海~来宮の若干来宮寄りにあるので、熱海の街歩きをする際はこの駅からスタートする事が多かったり。
その駅から東側にある石造りの古びたメガネトンネルを潜ってすぐの所には、市内でもまあまあ大きな来宮神社があります。
来宮神社。ここも気が向いた時に偶にぶらっと立ち寄ります。境内にカフェがあったりと俗っぽい…いえカジュアルな雰囲気の神社です。神田明神みたいな感じ。
神社の裏手には樹齢二千年を越える阿豆佐和気神社の大クスがあり、幹周幹高共に鹿児島県の蒲生の大クスに次いで二番目だったりします。
それと、早朝なので当たり前ですが他に人の姿も無くカフェもやってませんでした。霊験あらたかな気配は観光客がうじゃうじゃ居る日中よりあるかも。
熱海の市街地に降りてきました。この昭和臭い鄙びた雰囲気が好きでよく来るんです。今回は方向が違うので銀座通りや貫一お宮はパス。
市街地をやや外れた所に小沢の湯という無料で温泉卵が作れるスポットがあります。まずここが第一の目的地…この日はやたら蒸し暑かったのですが、蒸気吹き出すこの周囲はこれまた別格の暑さでした。
訪問時点では普通に使えましたが8月の終わり頃に故障してしまったらしく、修理が終わるまで暫く使えないようです。次に来る頃までには直っていて貰いたいですね。東京近郊じゃ貴重な温泉卵製造スポットなので…。
わざわざ手間暇掛けるのにパック100円の安卵を使うのもアレなので、今回はちょっと良い卵を持参してきました。わざわざ持ってくるのが面倒な人は、向かいの商店で買い求める事ができるので、そちらでも調達できます。
さて、高温の蒸気が常に吹き出しているので必然的に備え付けのトングを使う事になるのですが、卵がつるつるしていて結構危ういです。取りそこねて割れてしまってる跡もありました。出し入れする際は慎重に。
温泉卵の製造を終えたら熱海駅に向かいます。午後通ると日帰り観光客で賑わいを見せてる仲見世商店街もこの時間帯は至って静かです。そもそも開いてる店が少ない。
熱海駅に到着しました。何年か前に小奇麗に改築し、すっかり垢抜けたイメージが定着してますね。以前の木造の素朴な感じも好きでしたけど、日帰り主流になった今ではこのくらいカジュアルな方がいいのかも。
沼津駅→沼津港、我入道
熱海から丹那トンネルを越えて三島、そして沼津。
沼津に降りました。この辺り来る時は大抵三島で車に拾って貰うので、沼津で降りるのは随分と久々。乗り換え以外で降りるのは十年ぶりくらい。
十年くらい経ってるけど、鋼製の電車がステンレスになったくらいで駅の雰囲気はあんまり変わってないですね。跨線橋なんかいつのだよって感じ。
現在沼津駅の構内にある車両基地を原の方に移転させる計画があり、それに併せてこの駅も高架化するという話があります。長年の問題であった市街地の分断がそれで解消されますが、静岡県内の主要駅で唯一昔ながらの雰囲気を残す駅だったので、ちょっと寂しくもあります。
ずらっと伸びたホーム上屋が圧巻で、その支柱に海外製の古レールが使われている箇所もあったりします。高架になったら見られなくなるノスタルジーな風景。
十年ぶりくらいに駅の外に出てみると流石にだいぶイメージが変わってますね。駅前すぐの所にでかでかと聳えていた西武が影も形も無くなって、全体的にだだっ広い雰囲気に。
街の方もだいぶ元気がない感じです。まあ自分もこの辺り来る時はほぼ車で中心街なんか殆ど来ないのですが…そんだけこの辺りは車社会化が進んでる地域ってことでもあります。
途中、沼津グランドホテル様でチャリンコ借ります。NUMAZUレンタサイクル「ぬまクル」、価格は1日辺り1000円と少々お高いですが割と本格的なクロスバイクです。本格的とかどうか判断できる程自転車に詳しい訳じゃないですが。
当時は沼津グランドホテルで借りましたが、現在ぬまクルのホームページではその記載がありません。もしかすると取りやめてしまったのかもしれないので、利用の際は一度連絡した上でどうぞ。台数については当時2台か3台と心許ない感じでしたが、平日だったので余裕でした。
自転車を確保したら、立て看板の普通怪獣にさっさと行けと蹴り出され出発。
駅前通りの西側のアーケード街を少し進んだ所に桃屋という惣菜パンの店があります。随分と鄙びた店構えですがグーグルのレビューで高評価だったので、ここで昼飯用のカツサンドを購入。価格はリーズナブルでした。次から次へと地元民と思われるお客さんがやってくる、地元密着型の人気店という印象です。
ひとまず大通りを西に向けて快走、そこから沼津港線の廃線跡を辿って沼津港に向かいます。道に迷わないようと地図を見ながら漕げるように、わざわざスマホホルダー持参で来ました。
今はもうありませんが、かつては古地図のように沼津港方面には沼津港線と呼ばれる支線がありました。今の沼津港の辺りまで伸びていますが、もともとは海産物ではなく東海道線建築の為の資材運搬(当時は海運が盛んだった)を目的に敷かれた相当に歴史ある路線だったりします。
こちらがその廃線跡。ほぼ全線に渡り、蛇松緑道という名の遊歩道として整備されています。
富士の裾野にある街という事で、沼津の市内には湧き水が吹き出している所がちらほらあります。この辺りにも途中、ドバドバと音を立てて景気良く流れている水場を発見。この日はやけに暑かったので、ここいらで水筒満タンに補給していきました。
遊歩道として整備されているものの、道中あんまり線路が通ってた事を示すものは残ってないのですが、末端の方に申し訳程度に鉄道公園的な所がありました。
廃線跡をそのまま直進すると沼津港へ。特に用事も無いですがぶらぶら歩いてみる。なんか暫く来ないうちに観光地特有のギラついた風情に。
既に十時を回っていたように思いますが、その割には空いてました。
意味もなく港の方を覗いてみる。奥に展望水門のびゅうおが見えます。
狩野川を跨ぐ橋の上から富士山方面を眺めるが、手前の愛鷹山さえも十分に見えない。
沼津港より狩野川の対岸側には我入道という古くからの街があります。何の変哲もない集落ですが、昔ながらの漁村という事もあって寺や神社がぼちぼちあります。
集落の端に八幡神社がありました。本殿は高台の上にあるので登ってみるも、やはり富士山は見えず。
我入道を出て南下。途中、沼津の御用邸を通り過ぎます。
海沿いを走りたいので今回のようなコース取りをしたのですが、沿岸部を通るR414は道幅が狭い上に交通量がかなりあるので、自転車だと結構危ない感じです。歩道もたまにあっても、未整備でガタガタに朽ちかけてる使い物にならない類のものなので逆に危険でした。スレスレで走ってくダンプとかいて怖いですけど、素直に車道を走りましょう。
内浦→伊豆長岡
必死にペダル漕いでると内浦エリアに入りました。
長浜城は少し前に行ったばかりなので、今回はこの辺りで終点、折返しとします。
アニメを一通り見た程度のニワカであんまり詳しく無いのですが、ラブライブサンシャインの聖地で有名な三の浦観光案内所までやってきました。
遠目から見るとそうでもないですが、なんか入るのに凄く勇気要る。この心がムズムズこそばゆい感じ、良いね。
ちょっと前のアニメなので、こんなんだったっけなーと少し懐かしみながら内部をうろうろと徘徊する。周囲には缶バッジつけまくった重装甲級のラブライバーの方が一人居た程度でひっそりしてました。アニメなんて縁がないような婆様が店番してたのが実にミスマッチ。
ラブライブサンシャイン、沼津もそうですが、内浦、伊豆長岡の辺りでもちらほら見掛けましたし、割と広域的に力を入れてる様子でした。この手の町おこしで自治体の枠を跨いでるのは珍しいんじゃないかな。
ここいらでカツサンドを胃袋に突っ込んで燃料補給。甘辛ソースでサクサク、昔懐かしいって感じのカツサンドでした。
観光案内所の向かいにドリンク売りの移動販売車が来ていました。言うまでもなくラブライブ関連のものです。ファンアイテムなのでカツサンドが二つ買えるくらいの値段と少々お高い感じですが、せっかくなので買ってみました。
販売員のお姐さんの前に立つと何にしますかと聞かれる。メインキャラ九人のそれぞれをモチーフにしたものがあるようで、少し迷ったけどその中で渡辺曜ちゃんのものを選んで購入。ナタデココ入りのジンジャエールで甘ったるくなくていい感じ。600円しますけどまあ、たまにはこういうのも良いんじゃないかな。
一杯買う毎にオマケにランダムでキャラのコースターが貰えるのですが花丸でした。
三の浦観光案内所のある長浜は古地図にも記載されてる古い集落です。ちらほら古びた建物がありますが、どちらもサンシャインの聖地らしいです。
バス停近くのこのロケーションは良いですね。しがらみとか何もかも忘れて、頭を空っぽにして寝転がりたいね。
三津三差路から東に折れ、坂を越えていきます。クロスだから楽勝かと思いきや自転車は自転車、当たり前だけど辛い。
山越えして長岡・韮山エリアに入りました。
伊豆長岡温泉付近。地図では左下の辺りにあります。写真のようにそこそこの街で、そこそこ規模の大きな温泉地ですが、明治時代の古地図において温泉マークが付いてない事から分かるように、温泉地や保養地として栄えたのはそれより後だったりします。
なんか面白い所無いかなーとぶらぶらしてると、白石の石棺なるものを発見しました。石棺というと古墳の中に収まってるイメージですが、これは平成に入って近くにある洞古墳から保存目的で運び出してきたらしいです。
ちなみに洞古墳の洞という地名は今はありませんが、古地図には長岡温泉の上辺りにその記載があります。
風光明媚な狩野川の川縁を走っていく。後部座席にAqoursのメンバーを6人載せてる定員オーバー気味なタクシーを見掛けました。
伊豆箱根鉄道の伊豆長岡駅。この辺りも来る時は100%車なので、チャリンコで駅前まで乗り付けるのは中々に新鮮でした。ここもラブライブ一色、かと思いきや韮山反射炉のアピールが混じってて中々のカオス。調和とか諦めてる感じが良いね。
駅を横切り東へと進む。韮山とか長岡の辺りはいちごが名産で、歩道脇の柵もいちご柄。登山してる時も思うけど、こういう公共物の特に意味もない装飾って好き。
韮山城→伊豆箱根鉄道サイクルトレイン
伊豆長岡からは韮山城方面へと向かいます。山城ですが南北に起伏が二つあり、まずはその内の南側、韮山城天ヶ岳砦の方へ。切り通しから取り付きます。
が、割とガチな山道で靴底すべすべのスニーカー未満な靴では役不足(誤用)で、程々まで進んで途中で引き返す事にしました。
気を取り直して韮山城本丸の方へ向かいます。切り通しからも行けそうですがどうにもメインルートでは無さそうなので、隣接する貯水池を回り込み正門っぽい所まで移動します。
韮山城と言えば戦国時代北条家が関東攻略の際に構えた城で、それが叶った後も伊豆半島支配の中心として整備されていたと言います。割かし有名な城なので全体的によく整備されていました。
天守跡からは以前縦走した沼津アルプスがよく見えます。低山ですけど、割かし起伏があって縦走するとなるときつい山でした。
天守跡付近の様子。南に天城の方の山が見えますね。
麓には江戸時代、韮山代官所であった江川邸があります。韮山城もそうですが、この辺りは江戸以降も伊豆支配の中心地とされていたようですね
チャリを少し走らせて韮山駅に到着。伊豆箱根鉄道はサイクルトレインをやっていて自転車を電車内に持ち込めるので、今回それを活用しました。サイクルトレイン、最近たまに見かけるけど実際に使うのは何年か前に近江鉄道で湖東三山巡る時に使った時以来です。
伊豆箱根鉄道のサイクルトレインは乗れる場所が決まっていて。右の写真の地面にあるように記されています…けど、そこで律儀に待ってると駅員の爺様が肩を怒らせながらやってきました。
「自転車乗せる時は一声掛けてもらわないと困るよ~」
どうやら車椅子で乗る時みたいに、事前に乗車駅と下車駅を知らせるシステムのようでした。
いや知らんがな。そんな事ホームページに書いてなかったし(現在は記載されています)。というか改札通る時に言ってくれと…って、その時駅員さん駅員室の奥で呑気にお茶してて居なかったんだっけ。まあ大人な対応して適当にあしらいました。
サイクルトレイン、一悶着ありましたが凄く便利なシステムには違いないです。日中空気運んでるようなローカル線は是非とも採用してくれればと思うんですけどね。往路はチャリ復路は電車に乗って帰る、みたいに乗り捨てみたいな使い方できるので。
最近じゃバリアフリーの一環で地方のしょぼい無人駅にでもスロープとか整備されてて導入に支障がない所も増えてきたので、もう少し普及して欲しい所。
三島市街→病院にて温泉卵賞味→興国寺城→沼津駅
少し進んで三島二日町駅で下車。正直、大した距離でも無いので韮山からそのまま自転車でやってきた良かったんですが、久々にサイクルトレインな気分に浸りたくて敢えて使いました。
すぐ側にある三嶋大社も少し前に行ったばかりなのでスルー。福太郎餅くらい土産に買っても良かったかもね。
三島から旧東海道をガンガン西進します。本来の目的地である沼津市民病院は沼津の西にあるので、沼津の市街地を丸々横断する事になります。
黄瀬川を越えて市街地に入りました。
沼津市民病院にて、本来の目的であるお見舞い。なんか荒ぶってる感じの像が出迎えてくれました。
熱海で作った温泉卵も含めてここで食い散らかしました。まあまあいい感じに出来上がってましたが、モノによっては既に固茹で状態になっていたりしてムラがありました。次回作る時は時々かき混ぜるようにしよう。
本来の目的であるお見舞いを済ませた頃、日没までもう少し時間があったので足を伸ばして原方面に向かいました。興国寺城というこちらも韮山城と同様、戦国時代頃の城跡が近くにあります。
狭くて自転車で走るには危険な感じの道をひた走る。帰宅ラッシュ的な時間帯にかち合ってしまったのか、やたらと交通量が多い。何度かクラクション鳴らされる。
興国寺城の場所は古地図で言う根古屋の辺り。根古屋とか根小屋というのは関東地方に幾つかありますが、どれも共通して中世時代に豪族屋敷があった集落が由来の地名とされています。つまりこれから向かう興国寺城も、その豪族屋敷を戦国時代に入ってそのまま城館に置き換えた所とも考えられます。
興国寺城麓の穂見神社。韮山城と比べるとだいぶマイナーですが、真新しい幟がパタパタとはためいてました。戦国ブームだからかな。来年の大河も戦国ですし。
この付近は今川、武田、北条による領地の取り合いになった場所で、一時期は北条早雲が本拠地としていたなんて歴史浪漫ある話もあったりなかったり。
綺麗に整備された韮山城と比べると、こちらは野趣溢れる感じです。こういう未整備な城跡も雰囲気あって良いですね。
天守台付近から見下ろす。山裾にありますが、そこまで高さはありません。小規模な城郭だったようです。
興国寺城から南下し原へ、その中心街ほど近くにある高嶋酒造に向かいます。いつだか買った白隠正宗は割と美味しかったのでまだ店が開いてたらなんか買おうかと思ったのですが、時間的に遅くシャッターが無情にも閉まってました。
ただ、蔵元の横には日本酒の仕込み水を自由に汲めるスポットがあり、そこでコーヒー淹れる用の水を土産に頂く。今まで飲んだことないくらいの超軟水でした。
こちらは東海道線の原駅。ここからサイクルトレインしたら楽でしょうが間違いなく怒られるので、素通りし地力で沼津まで戻ります。
海沿いには千本松原があるのですが、その側の湾に沿った所にサイクリングロード的なものがあります。クロスバイクで海風を浴びながら走るのは気持ちが良い。
夜の沼津の市街地。丸一日乗り回して酷使したレンタサイクルを返却し、後は帰るのみです。夜でも街があんまり賑わってないのが気掛かり。
次にここに降り立つ頃には高架化されてて、雰囲気もガラリと変わってるのかな。