山とか酒とか

登山やお酒を始めとした趣味全般を雑多に、また個人的に有用だと思った情報を紹介しています。

月山から六十里越街道その2(念仏ヶ原避難小屋→月山→姥ヶ岳→湯殿山神社→細越峠)

この日は月山の登頂という今回の登山においての核心となる一日でした。スタートの念仏ヶ原避難小屋から月山の山頂までは標高差1,000mものキツイ登り。登頂後も姥ヶ岳、湯殿山神社と足を進めていき、そこから更に今回の登山のもう一つのテーマである六十里越街道を少しだけ歩き進める。一日の行程としては前日の2倍近い長丁場で……。

月山から六十里越街道その1」の続きの記事となります。

inuyamashi.hateblo.jp

他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。

【2022年9月】月山・鳥海山登山旅行 - 山とか酒とか

目次

今回歩いたルートのGPSログです。

念仏ヶ原避難小屋→清川橋→千本桜

この日は長丁場となるので1時半起き3時半出発という早立ちとなりました。眠気覚ましのコーヒーも少しばかり濃い目にドリップ。

避難小屋での一夜ですが、小屋そのものが広い上に貸切状態だったので悠々自適に過ごせました。そして荷造りを済ませた後は掃き掃除を忘れずに……避難小屋利用時の最低限のマナーです。

[3:20]念仏ヶ原避難小屋出発

3時半の出発を予定していましたが、テントではなく避難小屋泊だったので普段より少しだけ早く準備が終わりました。

小屋の周辺はまだまだ夜の延長線のような感じですが、ヘッドライト灯して出発とします。

真っ暗闇の中の念仏ヶ原の湿原。木道が苔と朝露でヌルヌルしていて尾瀬の木道よりも滑る。故に足取りは慎重に。

湿原を抜けて樹林帯へ入り暫くした頃から清川橋までの下り坂が始まります。標高差150m程度ですが斜度が急な上に道も悪く、暗闇の中の通過となると少し不安になる道。先月の台風で清川橋の前後の区間が荒れているという事だったので、普段はもう少し歩きやすいのかもしれません。

[4:11-4:18]清川橋

急坂を下りきった所が清川橋……この人気のないコースには似つかわしくない無骨なコンクリート橋が架けられています。

かつては木造の橋が架かっており、それが流出して以降は渡渉の必要があり増水時は渡れない問題があったらしいですが、2015年に現在の橋が完成して楽ちんに渡れるようになったとの事です……しかしどんな立派な橋だとしても、川面も窺えない暗闇の中では不気味さを覚える空間でした。

清川橋からは沢沿いを高巻き気味に進んで高度を上げていきます。今回の登山は後に登る鳥海山も含めて難所と言える難所は少なかったのですが、この区間はちょっと危うい感じでした。

難所は沢沿いの区間のみで、尾根に向けた急登が始まった辺りからは割と普通の道に……この頃には空も明るくなり始めていました。知らぬ間に日の出も迎えていたようです。

尾根上に乗った辺りからの展望。朝焼けの時間帯は終わり、既に日も高くなっていました。

前日は雲が多くていまいち見通せなかった月山の山頂方面が見えてきました……が、なだらかな尾根のようでどれが山頂なのか判別できない。

少し進んだ所から同方面。尾根に乗って以降は平坦な尾根道と急登を繰り返しつつ標高を上げていく。

木道越しの月山。青空が広がっているものの山の背後の雲が不穏です。この日は台風崩れの低気圧が日本海側の少し外れた所を通過していく為に天候が不安定で、完全に晴れるかどうかの確証が持てなかった日でもありました。

そうした不安を裏付けるかのように周囲のガスも急速に増えてきた。これでは山頂からの展望は期待できないだろうと消沈。

高山植物が咲く湿原地帯。しかし陽光が分厚い雲に遮られているので全体的に薄暗い。

足元を見るとチングルマが群生していました。時期的に花は終わり実となっている。

チングルマの名の由来はこの実の形状が風車に見え、稚児車と呼ばれたのが珍車と転化したものとされています。実際、由来通り本当に風車のような形のものも中には。

東側の谷を見ると、暗雲とも言えるような黒々した雲が……追いかけてくるようにこちらに接近しつつある。

一方、これから進む方面には雲がありません。急いで登ればガスが上がってくる前に登頂できそうにも見えますが……まだこの地点から山頂までの標高差は800m近くと結構なもの。

尾根上の1221mピークを乗り越えて以降、千本桜までそれなりの斜度の急登が続きます。道自体はあまり踏まれている感じはしないものの、特に問題なく歩ける程度には整備されている。

雲の動きに一喜一憂しながら登っていきます。次第に青空が小さくなってきた。

この頃になると一帯がガスに覆われてしまう事もしばしば。

道端に落ちていた看板には月山まで1.3kmという表示。ここまで歩いたかと感慨深くも思えますが、コースタイムでは未だ2時間近く掛かる。

再び開けた所が千本桜の湿原。急登らしき急登を終え、以降は山頂の直下を除いてなだらかな斜面が続く。

千本桜→賽ノ河原

[6:35-6:55]千本桜

清川橋から月山までの登りの中間地点に当たる千本桜に到着。高山植物であるミネザクラの群生地が広がっている事がその名の由来らしいです。

千本桜の到着時点で残念ながらガスの中となってしまいました……しかしガスそのものは薄いようで、雲越しに見える太陽の輪郭線も鮮明。少し待てば回復するのではと暫し待機してみます。

ガスは一過性のものだったようで予想通り抜けてくれました。

雲の遥か上にまで昇った太陽。ガスが立ち込めていたのはこの一帯だけだったようで、流れた後は遙か先の地平線まで見通せるように。

行く先には未だガスが立ち込めていますが、この分だと流れてくれそうなので期待しつつ出発します。

晴れ晴れとした中の登り坂。若干藪が深い箇所もありますが、一本道で迷いようがないので気楽に進める。

木々の分け目のような道を進んでいく。風が強い為かブヨやアブも殆ど居らず快適な道程。

陽光に照らされ、色鮮やかに輝くオヤマリンドウ。

まだガスが滞留していますが、着実に流れつつある。

少し歩いた所でガスが抜けました。正面が月山方面ですが、右側に見えるピークは山頂ではなくその北側に位置する大峰のピーク。

この付近は既に森林限界のようです。視界が広く開放感がある。

歩いてきた道を振り返る。麓近くは未だガスが蟠っているようでした。

雲海の上の筋状の青空。上部には燦然と光る太陽。

平坦な所は湿地となっている所が多く池塘も幾つか。その周囲にはリンドウを始めとした高山植物が咲き乱れていました。

月山まで続く緩い傾斜の山道。山頂までの標高差はこの地点から3~400mという所ですが、思ったより距離があるのか数値以上に遠く感じられた。

偶に歩いては麓の雲海の方を振り返る。そして登頂するまで上がってこない事を祈る。

歩けど中々近付けない月山の山頂。左側の雲が掛かっている辺りが山頂のようです。

直後山頂の雲が流れ、月山神社の施設と思しき建物群が見えてきました。見た感じ、思った程の距離はなさそうですが。

この付近は道も踏み跡程度と薄いものの、斜度は緩く歩きやすい。

背後の雲海も少し落ち着きを取り戻したように見える。暫くは上がってくる気配はなさそうです。

山頂に続く道の様子。雪解け水の通り道なのか、所々でガレた涸れ沢のようなものが見られます。

石の流れが一筋に続く涸れ沢の様子。コースはすぐに横断してしまう。

涸れ沢を見上げる。水一滴と流れていませんが、水場マークが付いているので早い時期であれば水の流れがあるのかもしれません。

道端に咲く高山植物。左はアキノキリンソウで、名前の通り秋に差し掛かった頃の山でよく見かける。右のタカネトウウチソウはあんまり見掛けない花かも。

標高が上がるにつれて視野も格段に広くなってきました。比較的近い所で雲の中に埋もれかけている山は葉山

月山の山頂もあと一回の登りという所まで近付いてきました。その手前には大きな岩が無数に転がり、地図では賽ノ河原と記載されている。

視界が広がる事によって遠くの山々もちらほら見えるようになりました。こちらは南東方向、蔵王の稜線です。最高峰の熊野岳のみが船のように浮かんでおり、それ以外のピークは殆ど埋もれていました。

賽ノ河原に近付き石が増えてきた頃の風景。

再び反対方面。手前の半分雲に埋もれた山は先程も見えた葉山。天気が良ければその奥に船形山が見えるらしいです。

賽ノ河原→月山

[7:50-8:04]賽ノ河原

賽ノ河原の標識が置かれた場所に到着。標識は横倒しとなって久しいようで、半ば自然に還りつつあります。

賽ノ河原から月山を見上げる。山頂までの距離は300mとの事なので、もう目と鼻の先の距離です。

賽ノ河原から谷側の展望。

未明から歩き続けている事もあってか、朝露でザックが湿ってしまっているので少し乾かす。

大小の石が転がる賽ノ河原の風景。この付近の踏み跡は特に薄く、石のペンキマークを追っていく形になります。

平地となった場所にはぽつぽつと池塘が見られる。

賽ノ河原以降はこれまで平坦だった道から一転して急峻な道となりますが、区間そのものは短い。

幾つかの石の間を縫うようにコースが続いているものの全体的に下草が繁茂しています。しかしペンキマークが豊富な上に道跡そのものは明瞭なので特に問題ない道でした。

以降ちらほら見かけるようになるハクサンイチゲ。まだ花開いたばかりなのか全体的に丸っこい。

こちらもハクサンイチゲ。茂みから背を高く伸ばした大きな花はいつ見ても存在感がある。

賽ノ河原を振り返る。一見してどこが道だか分からないくらいには踏み跡が薄いですが。

褪せたペンキマークのあるこの石を越えていきます。写真だと分かりにくそうですが、上の方に道が続いているのが見えるので迷う事は無さそうです。

終盤は中々の斜度の急登。石を掴みながら登っていく。

再び賽ノ河原を見下ろしてみた所。圏谷やカールとでも言えるような地形が広がっています。

そのまま進んでいると先程見えた蔵王の右側に何やら気になる稜線が……見た限り、更に遠い場所の山のようですが。

一つ前の写真の望遠。左が蔵王で、右に見えているのは吾妻連峰のようです。遥か遠くのように見えますが、実際は100kmも離れていなかったり。

吾妻連峰の望遠。中央の最も高いなだらかなピークが西吾妻山。左側には東吾妻山一切経山が見えますが、こちらは重なってしまっていてピークの判別が難しい……その更に左に見える凸凹は吾妻小富士と思われます。

頂上まであと僅かという所。事ある毎に立ち止まって写真を撮っているので中々進まなかったり。

賽ノ河原の展望……広々としていて良い眺めです。緑と雲海の境界が波打ち際のようでもある。

こちらの方面は眺めの良さが気に入って何度も写真を撮っていた。雪の多い東北や北海道の山って感じの風景で好きです。

最後にもう一枚、同方面の展望。

気付けば月山神社が殆ど目前という所に見えていました。急登も終わったのか以降はなだらかな道程に。

更に進むと山小屋である上小の建物も見えてきました。山小屋としては規模が大きいようで、ちょっとした体育館のようにも見える。

南側に突き出た展望地っぽい場所があったので少し寄り道してみました。

景色は良いのですが、東側の雲が少しずつ上がってきているのが気になる。

展望地からの眺め。上小と山頂に鎮座する月山神社が左側に見えています。中央のポールが立っているのがこれまで歩いてきた肘折コース

雲の方を望遠してみたら何か新しい稜線でも見えるかと思ったものの、特に目新しいものは見えませんでした。

岩混じりの山肌越しに先程も見えた吾妻連峰

同方面を望遠したもの。こちらの稜線は先程よりも雲が少なくなり、細かい起伏が見えてきました。一番右側の西大巓から西吾妻山といったピークもよく見える。

月山山頂からの展望

[8:37-8:50]月山頂上小

念仏ヶ原避難小屋をスタートしてから約5時間、月山の山頂直下に建つ上小に到着しました。小屋の手前で他のコースと合流となり、以降は暫く人通りの多い賑やかな道中となります。

上小の南にはかつては鍛冶小屋という山小屋が建っていたようで、開けたスペースとなっています。この場所であれば邪魔にならないだろうと、荷物を置き身軽になって山頂の往復へ向かう。

鍛冶小屋跡から月山神社上小の方面。月山の山頂は神社とほぼ一体化しているように見えます……左側にはこれまで見えなかった西側の方面、庄内平野越しの日本海が。

月山神社の様子。まだ時間的に早いのでそこまででもないですが、この頃からちらほら人の姿が。

月山神社とその上部に広がる青空。低気圧が近くを通過するという事で天候が心配な一日でしたが、杞憂に済んで何より。

石碑が立ち並ぶ月山神社の参道の様子。石碑の多くは登拝記念碑で、修験道を始めとした山岳信仰の盛んな山ではよく見られる光景。

石段の途中に社務所がありますが、開いているのは7~8月という事で門扉は板で打ち付けられていました。この時の為に御朱印帳持参で来たのですが残念。

こちらが月山神社の社殿。月山の最高地点に鎮座しているので、この場所が月山の山頂と言えなくもない。

社殿の様子。冬場は雪に埋もれてしまうのでしょうか。

社殿近くからの展望。後程向かう三角点もそうでしたが、庄内平野日本海が一望できます。

月山神社近くの様子。小さな社や石碑が立ち並んでおり、如何にも信仰の山という雰囲気。現在でも白装束の山伏が訪れるという。

こちらは東側、これまで歩いてきた肘折コース方面のカールの様子です。雲がじわじわ上がり始めており、蔵王も大部分が埋もれてしまいました。

月山の実質的な山頂となる三角点は月山神社の本殿の裏手にありますが、そのまま尾根伝いに越えていく事ができず、一旦東側に下りトラバースする形を取ります。

[8:52-9:30]月山

月山の三角点に到着。こちらは山頂らしく広場となっており、山頂看板らしきものも置かれています。

山頂広場とその周辺の様子。写真で見ると長閑そうな雰囲気ですが、実際は帽子が飛ばされそうな程の強風が吹き付けていました。

月山から西側180度の展望。最終的に向かう庄内平野が遥か遠くに見えており、その奥には日本海の海岸線が左右に伸びています。平野部右側に隣接した所には数日後登る鳥海山もはっきりと。

同方面を上下を広げて撮ってみたもの。左側がこれから向かう湯殿山姥ヶ岳に続く稜線、右側が弥陀ヶ原方面。その間には人跡未踏の深い谷が広がっている。

位置関係を把握する為に簡単に山名や地名を入れた写真を作ってみました。雲が増えてきたので方面は限られますが、非常に遠くの山まで見えている。

反対側、西側から東側にかけての展望。こちらの方面は雲が広がりつつあるものの、先程も見えた蔵王吾妻連峰といった稜線は依然として確認できる。

延々歩いてきた肘折コース方面のカールを見下ろす。スキー場のゲレンデのようになだらかな斜面が続いている。実際、月山山スキーが盛んな山との事。

三角点からのほぼ360度の展望です。一応広場のようになってますが、そこまで広くないので時間帯によっては混み合いそうな感じ。

色々な方面が気になりますが、やはりハイライトとなるのは庄内平野日本海、そして鳥海山が見える西側方面。弥陀ヶ原までゆるゆると続く稜線もいい感じです……六十里越街道を予定として組み込む以前はこちらの方から下るつもりでした。

庄内平野の望遠。田んぼの中にぽつぽつと集落が島のように浮いて見えます。その中でも一際大きいのが中央やや左側に見える鶴岡の市街地。それに比肩する規模の酒田の市街地は中央奥の沿岸にありますが、こちらは距離もそれなりにあるので若干霞んで見える。

ちなみに出羽三山の一つである羽黒山は中央右下辺りのスキー場が見える山で、山形県内で唯一の国宝建築物である五重塔はその麓に建つ。

鳥海山の望遠。後程登る予定の山でしたが、この当時は今回の月山登山のついでのような形だったので然程重要視していませんでした……しかし、こうして眺めているとなんだか無性に行きたいなという気分にさせられる。

鳥海山を単体で。標高2,000mを越える高峰ながらも、非常に海に近い所に立地しているのが分かる。

庄内平野の左側に続く山々の様子。こちらの方面はあまり高い山はありませんが、手前の稜線は中々に良い感じ。右端の金峰山から始まり、300名山にも選定されている摩耶山へと続いている。

西側方面を望遠したもの。摩耶山の奥に見える島は粟島として、その左奥に見える大きな2つの稜線はなんだろうと当時は疑問でしたが、帰宅してから調べてみると佐渡島である事が判明。離島の山としては標高1,000mを越えているので存在感があります。

ちなみに更に左側には再び島のように見えている稜線がありますが、こちらは越後平野に続く角田山弥彦山です。この日は雲が多かったものの、空気が澄んでいたので遠くまで見えていました。

左端に見えている一際高い稜線は飯豊連峰。本来であれば手前に朝日連峰が見えるのですが、こちらは残念ながら大部分が雲に覆われてて主峰といえるピークは軒並み見えませんでした。

こちらも山名入りの写真を作ってみました。位置関係を把握する為、登山がメジャーではないピークの名前も幾つか入れています。

遠くのピークがかなり細かく見えていますが、特筆すべきは雲に埋もれた朝日連峰の右側の遥か遠くの所につい先月歩いた頸城山塊が見えていた事でしょうか。当初は手前の米山辺りかと思っていましたが、外輪山を伴った妙高山の山容、火打山から新潟焼山の間の胴抜ヶ切戸の落ち込みと、非常に薄いながらも方角と形状は完全に一致しています。

頸城山塊が見える箇所の望遠。手前の朝日連峰から先は1,000mを越える山が一切存在しないので、間違いではなさそうです。

佐渡島の望遠。北側の大佐渡山地と南側の小佐渡山地国中平野を挟んで位置しており、それが左右に独立したように見えています。

こちらは佐渡島南側の小佐渡山地。手前の3つ並んだ山々は村上市北部の蒲萄山塊新保岳立山

山座同定遊びに付き合って頂いた方に写真を撮って頂きました。

三角点を後にして荷物を置いてある頂上山荘方面に戻ります。

その途中からの展望。付近一帯は湿地帯となっているようです……初夏の花盛りの時期に来たらまた印象も違うのでしょう。

庄内平野の方面と違い東側は全体的に雲が多いですが、少しだけ麓の様子が見えてくれる所も。方角から精査してみると戸沢村の津谷駅付近、最上川支流の鮭川沿いに広がる田園地帯のようです。

[9:35-9:52]月山頂上小

先程訪れた月山神社を大きく迂回する形で上小へ。往路で登ってきた肘折コースとの分岐を横目に姥ヶ岳方面へ向かいます。

荷物が置いてある鍛冶小屋跡から月山の山頂に鎮座する月山神社を振り返った所。

鍛冶小屋跡からの360度展望。三角点では南側は視界が遮られてよく見えませんでしたが、こちらは開けています……しかし全体的に雲が多くあまり見通せない。

姥ヶ岳方面のコースが続く南側の展望。本来であれば正面に朝日連峰が見える所ですが、雲で大部分が覆われている様子。

同方面を望遠してみたもの。先程三角点からも見えた粟島佐渡島が右側に。朝日連峰はいまいち見えませんが、その奥の飯豊連峰は殆ど端から端まで見えています。

飯豊連峰朝日連峰の望遠。殆ど雲に埋もれている朝日連峰ですが、最高峰である大朝日岳から西朝日岳までの稜線が飯豊連峰飯豊山の手前辺りに見えています。

山名入りです。飯豊連峰の最高峰である大日岳も半分雲に隠れながら見えていました。

山座同定盤がありましたが内容は至極ざっくりしたものでした。

月山→牛首→金姥→姥ヶ岳

景色も十分に堪能したという事で姥ヶ岳方面に下り始めます。結構な斜度の下り坂で、雲の中に飛び込んでいくかのようにも見える。

少し進むとこれから辿っていく姥ヶ岳方面の稜線が見えてきました。姥ヶ岳は尾根伝いに左側に進んだ先のなだらかなピークで、その右側には湯殿山神社の神体とされている湯殿山が見えています。

ややザレ気味ですが、こちら側は月山登山におけるメインルートという事で歩きやすい道。四苦八苦して稼いだ高度をあっという間に下げていく。

道中には所々で石碑や石垣が見られ、かつては修験道関連の施設が多く立ち並んでいたと思われる。

下ってきた道を振り返る。登山道というより神社の参道であるかのような趣の道でした。

修験道の遺構の一つ。護摩焚きでもしていたかのような雰囲気のスペースが古びた石垣に囲われている。

付近からの展望。左の方に麓と中腹を繋いでいるリフトが見えます。

リフトの施設を望遠で。これを利用すれば2時間で登頂できてしまうというお手軽さ……少し前に営業開始を迎えたようで山頂を目指す人の姿が続々と。

下ってきた道の様子。ザレ気味の急登ですが、下った先の牛首までの標高差は300m足らずなので区間そのものは長くはないです。

先の尾根筋と目線が同じくらいの高さになりました。姥ヶ岳方面に続くコースは尾根を若干気味に取り付けられているようです。

トラバース気味に続く道。奥のなだらかな起伏が次に目指すピークである姥ヶ岳

傾斜が緩くカール状に広がった谷筋を見下ろす。

石畳が敷かれた道となりました……登る人の多い百名山とは言え、ここまで整備された道も中々ないでしょう。

[10:33]牛首

牛首の分岐に到着。先程見えたリフト乗り場方面に続く道が分かれている他、麓の登山口まで自力で下るコースもあるようです……自分はそのまま尾根伝いに姥ヶ岳まで向かいます。

牛首から見上げる月山。ここに来て急にガスが湧き始め、山頂が覆われてしまう事もしばしば。

薄雲の中には山頂に建つ月山神社が見えたので望遠してみました。

整備された姥ヶ岳方面の道を進んでいきます。殆ど起伏が無いので非常に歩きやすい。

谷筋の方には月山湖を跨ぐ月山道路の橋梁が見えました。右手前に見える家並みは登山口である姥沢から少し下った所にある月山志津温泉で、かつては六十里越街道の宿場町でもあったようです。

徐々に薄雲に覆われつつある月山の山頂。

これから向かう姥ヶ岳方面。気付けばこちら側も雲が増えつつありました……完全にガスの中となる前に辿り着きたい所ですが。

海岸線を眺めながらの尾根歩き。笹の中にはアザミの花が咲いている。

姥ヶ岳方面の登り返しが見えてきました。ただ、正面に見えているピークは姥ヶ岳ではなく手前の1,688mピークで、その左奥の若干雲が掛かったピークが姥ヶ岳です。

その鞍部には湯殿山神社方面にコースが続く金姥の分岐があり、右側にトラバースしていく道筋が伸びているのが見えます。

[10:51-10:56]金姥

金姥の分岐に到着。向かう先は湯殿山神社ですが、分岐から20分で姥ヶ岳の山頂という事なので荷物を置いて往復へ。

後程歩く金姥から湯殿山神社方面に続くトラバース路の様子。奥にはこれまでと同様に庄内平野日本海が見える。

姥ヶ岳方面に少し登り進めた所から月山方面を振り返ると山頂部が完全に雲に飲み込まれていました。姥ヶ岳に寄り道した理由としては、少し距離を置いた所から月山の全体像が見たかったという事もあったのですが……ひとまず雲が抜けてくれる事を祈りつつ先へと進む。

1,688mピークを登って以降は姥ヶ岳まで平坦に近い尾根歩き。全体的に風の強い一日でしたが、この付近は特に凄かった。大荷物を担いでいたら転んでいたかも。

なだらかな姥ヶ岳の山頂が見えてきた所。標高は1,670mしかないので、実は今しがた越えてきた1,688mピークよりも低かったりします。

この付近にも雲が流れ込んで来る事が増えてきた。天候の変化にやきもきさせられながら山頂へ。

姥ヶ岳→金姥→清身川→装束場

[11:04-11:24]姥ヶ岳

姥ヶ岳の山頂に到着。登頂して暫くすると月山の山頂部に纏わり付いていた雲が流れてくれました……以降もしばしば雲を被る事がありましたが、その都度すぐに抜けてくれた。

姥ヶ岳の山頂一帯の様子。広場は無いものの、木道が一周するように敷かれていて散策路のような雰囲気。

姥ヶ岳山頂から月山。雲が大きく流れてくれた所を狙って撮ってみました。

月山の山頂部、月山神社が建つ一帯の望遠。立っている人の姿もちらほらと見られる。

姥ヶ岳から庄内平野方面、西側180度の展望。こちら側もじわじわと雲が増えつつありますが、もう暫くは持ちこたえてくれそうな雰囲気。

鳥海山の望遠。雲が急速に増えつつある月山とは対照的に鳥海山の雲は流れているようにも見えました

木道越しの展望。南側、先程山頂から朝日連峰飯豊連峰が見えていた方面は完全に雲で覆われて見えなくなってしまった……。

月山の山頂を出発して以降、追い抜き追い抜かれしていた方に撮って頂きました。山頂看板と月山、両方を一枚に収めてくれというめんどくさい注文に答えて頂き感謝です。

姥ヶ岳を下り始める頃には雲もますます上がってきて、全く何も見えなくなる事も。

1,688mピークから月山方面。往路ではよく見えていた方面の展望ですが、復路では間に雲が流れ込んでしまい全く見えなくなりました。雲の層も厚いのか全体的に薄暗い。

[11:31-11:41]金姥

30分ぶりくらいに金姥の分岐に戻って改めて身支度を整える。この付近はリフト乗り場に続く道すがらで人通りがそれなりに多いのですが、月山にまるで似つかわしくない大荷物という事で行く先々の人に物珍しがられました。

分岐の付近には手水鉢のような石がありました。金姥の由来は不明ですが、ここも何かしらの修験道関係の施設があったのでしょう。

重い荷物を再び背負い、トラバース路を湯殿山神社へと進みます。トラバースという事で歩きにくい道を予想していたのですが、道幅が広くフラットに取られていて思ったより歩きやすい。こちらも一応、月山登山のメインルートの一つとして整備されているようです。

全体的に歩きやすい道ですが所々で道上が草に覆われている事も……湯殿山神社まで続くこちらのコースは意外にも人通りが少ないようで、先程の金姥以降は湯殿山神社に下山するまで誰一人とすれ違いませんでした。

月山の山頂から弥陀ヶ原方面へと続くなだらかな稜線。肝心の山頂は既に雲の中に埋もれていて見えません。

進行方向に湯殿山が見えてきました。尾根伝いに繋がっていて歩けそうに見えますが、登山道は整備されておらず専ら積雪期に登られる山との事。

湯殿山を眺めながら下っていく。いつしかトラバース路も終わり、涸沢のような窪みに沿って歩いていく道に変化していました。

下の方に見えていた湯殿山も、標高を下げていくにつれて徐々に見上げる形に変化しつつある。

ガスの下となってようで庄内平野方面の視界が再び大きく開けました……この付近は傾斜も緩く道も歩きやすい。

徐々に近付いてきた湯殿山。その間の鞍部という所を目指していく。

更に先に進むと沢の流れがある一際風光明媚な場所に出ました……沢越しの湯殿山、良い雰囲気。

[12:12-12:24]清身川

沢と交差する地点に到着。清身沢と呼ばれるらしく、名前の通りこの沢で身を清めてから月山に赴いたのでしょう。水量はこの時期にしては豊富で、実際に行水できそうなくらいには流れています。

清見の様子。地図には一応水場マークが付いています。試しに手で掬って飲んでみると結構な冷たさ。味はまあまあ。

湯殿山に向かって流れる沢筋。陽光が雲で遮られて陰ってきた。

清身川以降、ある程度下りきった所からは平坦な道程となります。所々で湿原のような所も。

月山の方を振り返ると完全に雲の中に埋もれていました……翌日は完全に雨予報なので、今日の内に好転する事は無いでしょう。

池塘を掠めていく箇所も。金姥~装束場は短いながらも景色の良い区間でした。

途中の石碑。昭和頃に作られたものらしい。

湯殿山を目指すかのように平坦な道を進んでいきます……頭上を雲が占める割合も随分と増えてきた。

装束場→月光坂→湯殿山神社湯殿山仙人沢

[12:32-12:42]装束場

装束場に到着。湯殿山神社に続く月光坂湯殿山口)と南側の石跳沢に向かうコース(装束場口)との分岐で、姥ヶ岳湯殿山の鞍部に近い場所に位置しています。

装束場から雲に埋もれた月山を振り返った所。この場所にはつい最近まで施薬避難小屋という無人の小屋があったらしいのですが、この時点では跡形もなく、その代わりに資材のようなものが幾つか置かれていました。

古くからの月山登拝の道の合流点という事で、周囲には石碑が幾つか。

装束場から湯殿山神社方面に下り始めます。麓の方には湯殿山神社のバス乗り場が見えていますが、神社そのものは手前側の山の斜面に張り付くように建てられている為か死角となって見えない。

バス乗り場の付近を望遠したもの。宿泊施設や土産物屋、観光駐車場等が整備された湯殿山仙人沢はここから更に1kmと少々下った所にある。

湯殿山神社までの区間月光坂と呼ばれているだけあって急坂が多く占めている。

斜度の急なハシゴ場が幾つかあったりと道中は中々険しい。月山と同じ出羽三山の一つである湯殿山神社まで結ぶコースの割に人気が無いのもなんとなく頷ける。

何度かハシゴを下って高度を下げた所で再び視界が開けました。少しずつ麓に近付いている様子。

連続ハシゴ地帯を終えた後も急坂は続きます。道の上に水が流れて沢のようになっているので、スリップしないように注意しつつ下る。

月光坂の終わりが見えてきた所。険しい道である事は確かでしたが、大荷物でも難なく下れたので思った程ではありませんでした。

急坂を下りきった所からは仙人沢の沢沿いの道となり傾斜も緩くなります。ここまで下れば湯殿山神社まで僅かという所。

少し遠い所に見える滝には紙垂が吊るされた縄が張られていました。こちらは御滝神社という滝そのものが神体とされる神社で、現在でも修験者による滝行が行われているという。

[13:29-14:02]湯殿山神社本宮

湯殿山神社に到着。神社には正面の建物で受付をして入っていく形となりますが、そのままスルーして駐車場の方に通り抜ける事も可能な構造……しかし中々来る事の無い場所だろうと立ち寄る事にしました。

湯殿山神社月山、羽黒山に並ぶ出羽三山の一つとして知られる場所です。古来より修験道を始めとした山岳信仰の聖地として栄え、特に江戸時代には「西の伊勢参り、東の奥参り」と称されて流行し賑わったという。

湯殿山神社については「語るなかれ聞くなかれ」というルールがあり、内部の写真の撮影は勿論その内容自体を口外する事も御法度とされています……という訳で、敢えてそれを破る理由も無いので内容に関する記述はしない事にします。

[14:05]湯殿山本宮バス停

神社の見物を終えて車道の方まで降りてきました。ここから参拝用のバスが下部の湯殿山仙人沢の大鳥居の所まで運行しているようですが、徒歩30分くらいなのでそのまま歩いていく。

入口の風景。撮影禁止の看板が乱舞する厳格な神社の割には、なんだか少し俗っぽい雰囲気のような気がします。

車道を大鳥居まで下っていく。バスの運行頻度も30分おきとそこまで多くはないという事で、同様に歩いて下っている方の姿も少なくない。

道の様子。途中で仙人沢を橋で越えます。

[14:24-14:49]湯殿山仙人沢

湯殿山仙人沢の大鳥居に到着しました。神社の方が撮影禁止なので、湯殿山といえばこちらの鳥居のイメージの方も多いでしょう。

大鳥居を正面から。

少し引き気味で周囲の風景を撮ってみたもの。一帯には宿泊施設とされる参籠所や売店、食事施設等が立ち並んでおり観光地然とした雰囲気が漂う。

こちらは売店。一般車はここまで入れるようで広々とした駐車スペースがあります。当時は車でしか来れない場所という認識だったのですが、最寄りの高速バスのバス停まで無料送迎バスが運行されているようで、この少し後に当該のバスがロータリーに入ってきました。

湯殿山仙人沢以降行程は豆腐道を経由して六十里越街道に合流する予定ですが、この付近から分岐しているという豆腐道の入口がよく分からない。なので案内所を兼ねているバス会社の窓口に尋ねてみるも、「六十里越街道は知ってるけど……」というお返事。売店施設の他の人にも尋ねてみましたが誰一人と存在すら把握していない様子でした。大丈夫か豆腐道

情報収集で立ち寄った売店でソフトクリームを注文。この付近は窪地のような地形となっているのか、風が通らず暑かった。

豆腐道についてですが、結論から言えばこのトイレの裏側に入口があり、割とすぐに発見しました。しかし入口には案内も何も無い為、足を踏み入れるのは少しばかり勇気が必要で……。

湯殿山仙人沢→豆腐道→笹小屋跡→細越峠

豆腐道に入り込んだ所から先程の売店前の駐車場を振り返る……すぐ側の売店の人は誰も知らない様子でしたが、それなりに刈り払われて道になっています。

ここで道が見つけられなかった場合、ザンゲ坂を呼ばれる別のコースを六十里越街道と合流する湯殿山十字路まで下り、そこから豆腐道と接続する笹小屋跡に進むという行程で考えていましたが、ひとまず予定通り進めそうです。

[14:55-15:20]仙人沢渡渉点

売店裏から九十九折の道を仙人沢まで下り、ここから渡渉となります……もう9月だというのに結構な水量。

飛び石での通過が不可能な箇所なのでサンダルに履き替えて足を沈めていきます。深い所では膝下くらいで流れも急だったので小股で慎重に通過しました。

渡渉を終えて対岸から振り返ってみた所。靴を脱いで靴下も脱いでそれらをザックに括り付けてサンダル履いて、通過後はその逆を……という一連の作業で20分くらい消費。ザンゲ坂を下った方が早かったかも。

少し不安だったのが、渡った先の道があまり刈られておらず藪が濃かった事……しかし1ヶ月前に通過したネットの山行記録があったので、歩けない事はないだろうとそのまま先に進みます。

湯殿山……か分かりませんが、そちらの方面に見えた山。ここから暫くは鬱蒼とし樹林帯となり見通しが悪くなる。

豆腐道の様子。樹林帯の中は日が差し込まない為か、あまり歩かれていない雰囲気の割には藪が薄く歩きやすい道でした。

渡渉ポイント以降は延々と鬱蒼とした樹林帯でしたが、一転して開けた所へ。

広場となったスペースには湯殿山信仰碑跡という看板があり、側に小さな石碑がありました。看板に拠ると、この場所にはかつて麓の田麦俣の住民によって昭和初期頃に建てられた大きな石碑が存在したものの、その後通る人も減った事からヘリコプターで仙人沢まで移されたという……逆に言えば、昭和頃まではこの道もそれなりに往来が多かったという事にもなりますね。

ちなみに当初はこの場所が六十里越街道との合流地点の笹小屋跡だと思っていて、それにしては一本道の途中のような場所だったので少し悩んだ。

[15:52-16:05]笹小屋跡

その笹小屋跡の分岐は石碑から僅かに進んだ所にありました。看板では先程まで歩いていた豆腐道について触れられており、かつてこの場所に建っていた茶屋で作られた豆腐を仙人沢で売る為に行き来していたのがその名の由来という。

笹小屋跡は広場となっており、いい感じの休憩スペースとなっていました。しかし、すぐ側には熊注意の看板が……実際、背の高い草木に覆われていて見通しが利かないので、ふと顔を覗かせてもおかしくない雰囲気ではありますが。

時間的にもう少し余裕があったので六十里越街道上を先に進みます。街道として利用されていた当時のものかどうかは分かりませんが、湯殿山の文字が刻まれた石碑が置かれていた。

少し展望の開けた箇所があったのでそこからの眺め。中央に見えるのが湯殿山です。左奥に見えるのは当時は月山かなと思ったものの、山容からし姥ヶ岳のようです。

笹小屋跡を出発した直後は平坦な道程でしたが、程なくして細越峠までの登り返しが始まります……とは言え笹小屋跡から標高差100mくらいなので、登りそのものとしては大した事がなかったり。

仲良く並んで生えているキノコ。三つ子かな。

[16:15]一杯清水

登り始めて10分という所で水場とされる一杯清水に到着。水量が乏しく一杯しか飲んではいけないと伝わったのがその名の由来らしいです。

実際に流れ出している所を覗き込んでみる。細いですが漏斗を使えばなんとか汲めそうな感じです……しかしここはスルーして先へ。

[16:21-16:39]いーっぱい清水

更に少し歩いた所に沢が流れており、先程の一杯清水に擬えて『いーっぱい清水』と名付けられています……名付けのセンスよ。

本日はこの場所で汲む事にしました。清水というよりは普通の沢水という感じですが、水量が豊富なので澄んでいます。味のチェックもしましたが飲用可能という事で。

水量は豊富ですが、川底が浅いので汲むのに苦労しました。プラティパスを沈めても汲めないので、水筒を使って継ぎ足すように給水。

水場から更に先に進んだ所には文字のようなものが刻まれた木の幹が。看板を見るに、昭和六年に刻まれた文字のようです。雪が降りしきる中、待てども馬の迎えが来ないという内容が記されていますが……。

更に進んだ所にもう一つ木の幹に刻まれた文字がありました。こちらは先程の文字の半年後のもののようで、先程通過した笹小屋に纏わる内容が記されている。先程のものもそうですが、ただの暇潰しという訳でもなさそうですし、どういった状況下でどういった意図を持って刻まれたのか気になりますね。

木々の切れ目から湯殿山仙人沢の大鳥居が見えました。まだ距離にして2km弱といった所ですが、既に小さく見える。

大鳥居を望遠してみたもの。山の中にぽつんと佇む色鮮やかな鳥居はどこか浮世離れした風でもありました。

流石に日が傾いてきました。翌日の行程もそれなりに長いので少しでも歩いておきたかったのですが、未明から歩き続けているのでそろそろ……といった所。

[16:51]細越峠到着

細越峠に到着……本日はこの辺で行動終了とします。長い一日でしたが、特に月山を登ってからが長かった。

付近にはバイオトイレもあり至れり尽くせりですが、日没近いという事で藪蚊の巣窟となっているのが難点。ぼーっと少し立ち止まるだけで凄まじい勢いで刺されます。

ほぼ展望がありませんが、木々の切れ目から徐々に色が変わっていく空の様子が見えました。

濃い青色の不思議な色をした空。如何にも雨が降りそうだなという雰囲気で、実際に翌日は未明の内から雨でした。

夕食風景。何の変哲もないアルファ米定食ですが、本日はフリーズドライのカレーがメイン。長い行程で疲れていたので、食事を終え次第すぐに眠りに落ちました。

次回記事『月山から六十里越街道その3』に続く

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