
飯豊連峰縦走も後半戦に差し掛かる4日目は、行程最後の主峰である朳差岳を目指しての尾根歩きがメインテーマの一日でした。前泊した梅花皮小屋を出発した後は連峰最北の2000m峰となる北股岳に登頂。そこから門内岳、門内小屋、胎内山、扇ノ地神と比較的緩やかな稜線を進んでいく。地神山、地神北峰から頼母木岳と次第に標高を下げていき、水の豊富な頼母木小屋にて翌日の分も含めた水補給。重くなったザックを担ぎ大石山から鉾立峰、杁差岳と進み、この日は杁差岳の山頂直下にある杁差小屋にてテント泊となりました。
『飯豊連峰その3』の続きの記事となります。
他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。
今回歩いたルートのGPSログです。

山行記録
梅花皮小屋→北股岳
梅花皮小屋のテント場からこの日はスタート。次のピークである北股岳までは登り40分程度と近いので山頂での日の出に合わせて出発しようと考えていたのですが、微妙に寝坊してしまい全然間に合わず……前日と同様にテントの撤収しながらの日の出見物に。

じわじわと昇る朝日。この日は雲も少なく、くっきり明瞭に見えました。
[4:39]梅花皮小屋出発
テントの撤収を終えたら北股岳を目指します……小屋を振り返れば梅花皮岳、そして右奥には堂々とした大日岳が見える。
この頃になると小屋泊組の方々との出発も重なり、以降は丸森尾根との分岐である地神北峰まで道中賑やかでした。(それでも6~7人と会った程度ですが)
北股岳の登り。梅花皮小屋との標高差は150m足らずなので登りは短めですが、大日岳のように山頂直下には残雪上の登りがあります。
少し登った所から梅花皮岳。右背後には烏帽子岳も見えます。左下に伸びる雪渓が小屋泊の方々の大半が登ってきた石転び沢。

斜面に咲くイワカガミ。奥に見える稜線は扇ノ地神から伸びる梶川尾根。

山頂直下の残雪地帯。大日岳ほど急ではありませんが、写真の通りそこそこの斜度なのでアイゼンを装備。最大30度くらいでしょうか。
残雪を登る途中から梅花皮岳。日も少しずつ高くなってきた。
残雪地帯の終了地点から同方面。視点が高くなり、梅花皮岳の奥には飯豊本山が見えるようになりました……前日のスタート時点ですが、もう遥か遠くといった印象。
北股岳→門内岳→門内小屋

[5:15-5:52]北股岳
残雪地帯の少し先に進んだ所で北股岳に到着。飯豊連峰最北の2000m峰で、今回の登山におけるメインのピークの一つとなります……到着時点では若干ガスが流れ込んできていて見通しはいまいちでしたが、すぐに流れてくれました。

北股岳の山頂。鳥居と小さな社が建つ。
山頂一帯の様子。そこそこ広々としていました。写真左側の梅花皮岳方面からやってきて、右側の門内岳方面に向かうという形。
その間には新潟県側に降りるおういんの尾根というコースがあるらしいのですが、現在は廃道となっているようで踏跡はありませんでした……途中には温泉付きの山小屋があったりして面白そうだなと地図を眺めていて思っていたのですが。
こちらは石転び沢を中心とした展望。すぐ北側にあるはずの朝日連峰はこの日もあまりよく見えませんが、飯豊連峰のこれまで歩いてきた山々、これから歩く山々はよく見えている。
山名入りです。本日の目的地の杁差岳は扇ノ地神の後ろの地神山、その更に背後に頭だけ見えています。
これから歩く門内岳方面の稜線。比較的なだらかな尾根が続いている。
門内岳と門内小屋、胎内岳、扇ノ地神方面の望遠で、奥に見えるのは地神山。少し下り始めてしまった場所からの写真なので杁差岳は見えないものの、門内小屋すぐの右の鞍部には鉾立峰が見える。

景色を眺めていたら同じく前日テント泊だった人(自分を含めた2張のうちのもう1張)が登ってきたので、手持ち看板片手の所を撮ってもらいました……ピーク上で人と会うのは4日目にして初めてだったり。写真を撮ってもらったら無駄にせずブログに載せる主義なので掲載。
北股岳から先は門内岳を目指してなだらかな尾根上を進み始めます。
更に下った所から門内岳。一見藪が深そうに見えますが、主脈上の縦走路なので道筋は明瞭で歩きやすいです。

ミヤマウスユキソウ……いわゆるエーデルワイス。この辺りでは特に多く見かけました。
門内岳と、そこから伸びる二ツ峰、二王子岳方面に続く尾根。左側に見える北股岳とも少し距離が出てきた頃。
平坦な草地であるギルダ原にある池塘がギルダの池。半分以上が雪に埋もれていた。
ギルダ原の雰囲気……名前の由来が気になったので調べてみると、ギルダとは昔この辺りを通過した台風に付けられた名前(当時アメリカによって名付けられた為、ハリケーン等と同様に女性名から付けられている)で、この草原地帯で凌いだ人によって名付けられたとか……。
時期によってはニッコウキスゲが多く咲くようでしたが、この時期はハクサンイチゲの支配下といった所。ここまで来ると門内岳は目前といった所で、右側にはその肩に建つ門内小屋が見えている。

[6:47-7:01]門内岳
門内岳の山頂に到着。ここも北股岳と同様に山頂には社が建っていますが、こちらはやや大ぶり。
門内岳から先程の北股岳方面。奥には梅花皮岳、飯豊本山と続く。
こちらは二王子岳方面に続く稜線。夏道は無いものの、残雪期に歩かれる事もあるらしいです。右側には門内小屋、胎内山、そこから左に地神山、杁差岳と続いている。


地神山の背後に見える杁差岳の望遠。少し霞んでいるものの距離的にはそこまで遠くないようで、山頂直下の所に本日の宿泊地である杁差小屋も見えています。
門内小屋→胎内山→扇ノ地神→地神山

[7:04]門内小屋
門内岳から少し下った所が門内小屋。後程向かう杁差岳よりも山頂直下という感が強めです。梅花皮小屋と違って水量豊富な水場とかは無いですが、展望に関してはこっちの方が断然良さそう。
門内小屋の前に広がる残雪。雪面まで下れる通路があるので、雪を溶かしての水確保は問題無さそう。

ハクサンイチゲと二王子岳。門内小屋の付近はお花畑となっていました。
胎内山、扇ノ地神方面に続く緩やかな登り。
登りの途中から門内小屋、北股岳を振り返る。東側の斜面には雪が多く張り付いている。まるで春山のような様相。
胎内山の山頂手前から同方面。残雪の脇を通っていく。視界に入る雪は多いものの、北股岳以降の区間は殆どの所で夏道が出ていました。

[7:28]胎内山
立派な標柱が建つ場所が胎内山の山頂。名前的に胎内川の源頭にあたる山頂かと思ったらそうでもない感じで。
胎内山の山頂からのほぼ360展望。一見するとただの通過点のような場所ですが、景色は中々良いです。
北股岳方面を望遠で。前後の梅花皮岳から門内岳までを含む、歩いてきた稜線がよく見えています。背後には断片的にですが飯豊本山から大日岳にかけても確認できますね。

胎内山を過ぎてすぐの所で扇ノ地神への登り。残雪が道の脇にあるこの辺りは高山植物のバリエーションが特に豊富でした。




ハクサンコザクラとチングルマ。ハクサンコザクラはまだ時期的に早いのか、あまり見かけずでした。

[7:37-7:48]扇ノ地神
梶川尾根の分岐点である扇ノ地神に到着。梶川尾根ではこの登山の1~2週間ほど前に滑落事故が起きたという……比較的雪が遅くまで残るコースらしく、残雪期の事故も偶に起きているとか。
地神山方面は歩きやすい優雅な縦走路が続く……そんな中、二王子岳の存在感が中々強め。天気も雲一つ無い快晴でしたが、好天過ぎて陽光が肌に刺さって痛い。
地神山への登りを目前にした所。更に右奥には丸森尾根との分岐点である地神北峰が見えます。

鞍部的な所にある池塘。先行者の方が居られたので尋ねてみるとサンショウウオの卵があるとかで暫く観察タイム。水面の虫を食べに浮上してくる親?の姿もありました。


サンショウウオの卵塊を望遠、右の写真はそれを更に拡大したもの。卵塊の中にオタマジャクシのようなサンショウウオの子供が居るのが確認できる。
観察タイムを終えたら地神山への登り……その途中で先程の扇ノ地神を振り返った所。

チングルマのお花畑と二王子岳。二王子岳がシンボル的で格好良いので、この組み合わせはこの日何枚も撮ってしまった。
地神山→地神北峰→頼母木山→頼母木小屋

[8:20-8:31]地神山
地神山の山頂に到着。標高は1850m程度で、ここから先は頼母木小屋方面へ大きく標高を下げていく。
地神山の山頂から扇ノ地神、北股岳方面。この時点でも依然として飯豊本山はよく見えている。
こちらは向かう先の地神北峰、頼母木山方面へ続く稜線。その奥に大きく聳えるのが朳差岳……霞む程に遠かった杁差岳も次第に近付いてきました。


地神山付近で咲いていた高山植物。ミヤマキンバイとイイデリンドウ。イイデリンドウはまだシーズン始めなのかレア。2株くらいしか見かけずでした。
地神山から少し先に進んだ所が地神北峰。開放感のある尾根道を歩いていると、その標柱が見えてきました。

[8:40-9:14]地神北峰
丸森尾根との分岐である地神北峰に到着。先程の梶川尾根と同じ飯豊温泉を基点としたコースですが、梶川尾根と比べると登りやすいらしくこの日会った方々の大半がこちらのコースを利用していました。
地神北峰からの展望。杁差岳の手前の傾いた台形のようなピークが頼母木山で、その左奥に頼母木小屋が見えています。

尾根上に建つ頼母木小屋を望遠で。その右奥に聳えるのが後程越えていく鉾立峰。
地神北峰からの下り。ここもなだらかでいい雰囲気。所々にお花畑が広がっていました。


二王子岳とお花。この辺りもチングルマ多め。

[9:40-9:58]頼母木山
地神北峰から下りきった後、緩い登りを終えた所が頼母木山。標高は1623mで地神山から200m以上降りてきましたが、ここも開けていて360度の展望。
頼母木山からの展望。左が先程越えてきた地神山。ここまで下ると北股岳は見えなくなりましたが、左奥には飯豊本山が相変わらず見えています。そこから右は二王子岳を挟んで大石山、鉾立峰、杁差岳といった並び。
反対側、杁差岳を中心とした展望。ずっと快晴が続いていましたが、なんだか急速に雲が上がってきたような……。

頼母木山付近で咲いていたツマトリソウ。美しい。
頼母木小屋の手前の残雪。道の上を雪が覆っている箇所はここが最後でした。
残雪地帯を越えると頼母木小屋が見えてきました。稜線上にぽつんと建つロケーションはかなり良い……。
頼母木小屋と、その後向かう杁差岳。その手前の鉾立峰の登り返しは見るからにきつそう。
頼母木小屋→大石山→鉾立峰


[10:16-10:46]頼母木小屋
頼母木小屋に到着。ここも2階建ての立派な小屋でテント場のスペースも有り。小屋前は杁差岳を臨める展望台的な雰囲気ですが、その朳差岳は気付けばガスの中で。


頼母木小屋の水場。蛇口から盛大に流れ出しています。地神北峰以南で会った方々の話によると、ここの水場は時期的にまだ出ていないとの事だったので杁差小屋で残雪を溶かして調達するつもりでしたが……雪解け水も濾過しても土臭くていまいちなので、ここで汲めるだけ汲んでいく事にしました。暑さも考慮して合計7リットルほど。
歩く方面の稜線上にもガスが掛かり始める。普段なら落胆する所であるものの、この時点で暑さにだいぶ堪えていたという事もあり内心大歓迎。
ガスが増えつつある頼母木山、地神山方面。
こちらは、これから登る大石山。そこから右側に鉾立峰、杁差岳と尾根が続いていますがガスで判然とせず。

[11:43-11:48]大石山
奥胎内ヒュッテに続く足ノ松尾根コースとの分岐点である大石山に到着。ここからも引き続き尾根上を鉾立峰、杁差岳方面に進んでいきます。
足ノ松尾根のコースへ少し入り込んだ所。飯豊連峰の登山道としては比較的歩きやすくて人気のコースらしいですが、登山口である奥胎内ヒュッテまでの林道が現時点で通行止め(この日の正午に開通予定)という事もあって人の気配は無し。道筋もなんとなく繁茂しています。
こちらは、これから向かう鉾立峰方面。左側には変わらず二王子岳が見えていますが、杁差岳はガスに埋もれている。
少し進んだ所からの展望。この日の午後はガスは増える一方かなと思いきや、次第に杁差岳のガスが取れてきました。
完全にガスが取れてしまった杁差岳と鉾立峰。晴れて鮮明になった分、登り返しの強烈さが際立つ。

標高1420mの最鞍部から1573mの鉾立峰、1636mの杁差岳を見上げる。数値はさほどではないものの、中々いかつい登り。


杁差岳の山頂付近を望遠で。直下にある杁差小屋が見えます。

鉾立峰の登り。見た目ほど長くはありませんでしたがそこそこ急登でした。7リットルの水追加後の登りとしては少々厳し目。
多少登った所からこれまで歩いてきた大石山、頼母木小屋方面。地神山の山体が意外と大きく、その奥に続く山々を遮っている。


鉾立峰付近のゴゼンタチバナとハクサンチドリ。頼母木小屋辺りと比べると植生もだいぶ変わってきた感がします。


アカモノとサラサドウダン。ドウダンツツジは見かける事も増えてきた。

道端に咲くサラサドウダン。
鉾立峰→杁差岳

[12:57-13:29]鉾立峰
急登を登りきって鉾立峰に到着。遠目から見て突き出したような形だった通り、周囲は切れ落ちていて視界が開けています。
鉾立峰から大石山、頼母木小屋方面の展望。やはり地神山の山体が大きい。
同方面を望遠してみたもの。地神山の左下の所に頼母木小屋の建物が見えており、その左上に頼母木山、右奥に地神北峰と尾根が続いている。地神山の右背後には少しだけですが北股岳も見えてますね。
こちらは、これから向かう杁差岳。あと登り返しが1回という所ですが、鉾立峰の登りよりはだいぶ楽そうです。
杁差岳方面に少し進んだ所から先程の鉾立峰。杁差岳手前の通過点的な位置付けのピークですが、この均衡の取れた三角形の山容は個人的には結構好きかも。
笹が生い茂る道を進んでいく。杁差小屋も近付いてきました。
杁差小屋手前の小高くなった所からの展望。これから向かう杁差岳から、これまで歩いてきた飯豊連峰の山々を広い範囲に包括した景色。

杁差小屋と杁差岳の山頂。先程のガスは何だったのかというくらいに日が出てきました。肌が焼ける。

[14:07]杁差小屋到着
少し早い時間帯ですが、本日のゴールとなる杁差小屋に到着しました……またガスが湧いてくる可能性があるので、荷物を置いてひとまず山頂に向かう事に。
杁差岳の山頂と杁差小屋。小屋手前の建物の基礎のようなスペースがテント場となっています。

小屋から2~3分ほどの登りで、今回の登山においての最後の主峰となる杁差岳に到着。他に人の姿もないので、暫くの間景色を見ながらのんびり過ごす。
杁差岳山頂からこれまで歩いてきた飯豊連峰の稜線を眺める。すぐ直下にある小屋がまた長閑で良い。
飯豊本山、地神山、北股岳方面を望遠で。本日通過した頼母木小屋や門内小屋の建物もよく見えています。ただ前日登った最高峰の大日岳は見えず、西大日岳が門内岳の肩に辛うじて見えるかと言った所。
こちらは翌日歩く権内尾根方面の稜線を入れたもの。少し先の残雪の辺りには翌日通る長者平の湿原があり、その左側の台形のピークが前杁差岳となります。
小屋に戻ると自分と同様に梅花皮小屋から出発した2人組(左の方々)が登ってきました。
テントを設営しながら暫く雑談を楽しむ……話によれば、翌日は自分と同じく権内尾根からの下山との事。元破線路のきついコースという話を聞いていて若干不安だったので、仲間が増えて一安心でした。

水は頼母木小屋で大量に汲んできたので浴びる程ありますが、折角なので雪に埋もれているという杁差小屋の水場も様子を見に行く事に。
完全に雪で埋もれた杁差岳の水場、というかただの雪渓。水流はありませんが残雪が豊富なのでガスさえあれば水の確保は問題無し。

先程のグループの方も様子を見に来たので、飯豊本山バックに1枚撮って貰いました。日焼け凄いね。


その後は暫くテントに戻りのんびり過ごす。先程の残雪は夕食用に1杯分、鍋に詰め込んできました。

せっかくの山頂直下の小屋なので、諸々持参して山頂で景色を眺めながらの夕食に。
夕食時の杁差岳山頂からの景色。徐々に雲が増えつつある。


お酒を飲んだり肉を焼いたりしている間に完全にガスの中に……この時点で、干していた寝袋を取り込むのを忘れてしまっていた事に気付く。その為に戻るのも面倒ですし、まあいいか。
日没近くなって北西側の雲が少し流れてくれました……奥には雲海が延々と広がっているのを見る限り、この稜線上にガスが掛かっているような状態なんでしょう。


雲海の奥に見えた夕焼け。

一瞬だけ見えた夕日。僅か数秒で雲の中に埋もれてしまった。


日没後は更にガスが濃くなり、辺り一帯なんだか薄暗くなってきました……テントに戻ると小屋前のベンチでは先程の2人がお喋りしている。寝袋が干しっぱなしだったのが気掛かりだったようでした。
更に暗くなってきた頃、ガスが流れていて濃紺色に染まり始めた景色。明日も好天の予報だとか。
『飯豊連峰その5』に続く
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