
飯豊連峰縦走の3日目は、連峰最高峰の大日岳の登頂をメインとした一日でした。前日宿泊した本山小屋を出発した後は飯豊本山に2回目の登頂し、そのまま稜線沿いに駒形山、御西岳と通過。御西小屋にて荷物の大部分を置いて空荷での大日岳往復を目指すものの、ピッケルを駆使せざるを得ない山頂直下の残雪の急斜面に肝を冷やしました。御西小屋に戻った後は梅花皮小屋方面に更に尾根伝いに進みますが、天狗の庭~烏帽子岳までの間が崩れかけの残雪の上を歩く緊張感のある区間。無事に梅花皮小屋に着いた際には安堵感で人心地ついたのでした。
『飯豊連峰その2』の続きの記事となります。
他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。
今回歩いたルートのGPSログです。

山行記録
本山小屋→飯豊本山→駒形山→御西小屋
本日は本山小屋のテント場か一日の始まり。午前2時過ぎに起床した頃には辺り一帯濃いガスに包まれていたので、この日は何も見えないかな……と肩を落としていたのですが、テントを撤収する段階になってから一気に雲が流れてくれて写真のような感じに。


[4:36]本山小屋出発
テント場からの日の出。予定では飯豊本山の山頂から眺めるつもりでしたが、雲が多いから見えないだろうとだらだら撤収していたら昇り始めてしまった。
登った所の本山小屋で前日もお会いした小屋番の方々と挨拶。話によれば大日岳、梅花皮小屋方面は人が殆ど入って無いらしく、「飯豊はこの先貸し切りですよー」という言葉に嬉しくなるものの同時に不安もそこそこ。(実際は梅花皮小屋方面はそこそこ人通りありました)
本山小屋から飯豊本山、そしてこれから歩く大日岳方面の稜線を臨む。この時点では雲が多く若干薄暗い。

[5:04-5:39]飯豊本山
ウォーミングアップ程度の歩行で飯豊本山に2度目の登頂。小屋泊含めた宿泊者が自分だけだったので、当然他に人の姿はない。
飯豊本山から大日岳、そしてこの日の後半部で歩く北股岳方面の稜線を眺める……行程ラストのピークである?差岳も右の薄くなった所に見えてます。雪が多そうですね。
範囲を広げてみて、飯豊本山からのほぼ360度展望。前日歩いた巻岩山、疣岩山辺りもよく見えています。
山名入りです。遠くの山だと吾妻連峰や安達太良山はそこそこ鮮明に見えました。
磐梯山を中心とした望遠。その右奥の白い広がりは猪苗代湖ですね。安達太良山の箕輪山~鉄山~安達太良山~和尚山、吾妻連峰の東大巓~中大巓~西吾妻山~西大巓といった稜線上の細かいピークも一つ一つよく見える。

東の空、雲間から注ぐ日差し。今日もまた長い一日が始まる。
[6:00-6:07]駒形山
飯豊本山の山頂を後にして少し下った所が前日も遠目に見えていた駒形山のピーク。以降は御西小屋までなだらかで幅の広い尾根を進む。
駒形山から先程まで居た飯豊本山を振り返った所。太陽を覆っていた雲が急速に流れていく。


この辺りはお花畑。チングルマやハクサンイチゲを多く見かけました。

ハクサンイチゲとこれから歩くなだらか稜線。奥に厳しく聳える大日岳との対比が良い感じ。
途中で雪の上となります。斜度は緩いのでそのままノーアイゼンで。
再び夏道に入った所。正面に聳えるなだらかな丘のようなピークが御西岳で、すぐ左側の雪の斜面を登っていくようです。
この辺りで御西小屋の小屋番と準備の方々3人とすれ違う。大日岳直下危ないよー、との事だったので気を引き締めていく。
御西岳の登りの途中から飯豊本山方面を振り返る。本山山頂から歩き始めて1時間程度ですが、既に結構な距離感が。

残雪の境目の所にはショウジョウバカマが多く咲いていました。
御西岳のピークをトラバース気味に通り過ぎた後、大日岳をバックにした御西小屋が見えてきました。
御西小屋→大日岳(往路)

[7:08-7:33]御西小屋
大日岳方面の分岐上にある御西小屋に到着。飯豊連峰の最奥部とも言えるべき所にありますが、重厚で清潔感のある避難小屋です。
近くに水場があり、以前訪れた時は2回くらい汲みに行った記憶がありますが、この時期は完全に雪に埋もれているようです。(1枚前の写真の残雪の下です)


御西小屋の内部。ここも二階構造で広々としています。先程小屋番の方々とすれ違ったので無人ではあるのですが、Tシャツや飲料(雪が詰められたクーラーボックスが置かれている)が売られていました。
大日岳はこの小屋から往復という形になるので、荷物を置いて身軽になって向かいます。小さなサブザックに大振りのピッケルを括り付けるのが少々難儀しました。
御西小屋から大日岳に向けて歩き始めた所。正面の残雪の右側を通っていきますが、途中崩落している所があったので若干歩きづらかった……落ちても下の雪渓に落ちるだけなので大した事は無さそうですが。

帰りに通った時の写真。道が完全に消失しています。慎重に歩くとずるずる下に落ちてしまうので、勢い付けて通過するのが正解。

道端のシラネアオイ。順光で良い感じ。
途中、残雪の上を歩いていく区間。奥に見える木々の切れ込みが夏道なので、そちらに向けて歩いていく。
夏道に入った所から大日岳。暫くは起伏の少ないなだらかな尾根道を進んでいきます。
ハクサンイチゲ越しの北股岳。この辺りの密度は特に濃く、まるで花畑。


こちらはミネザクラ。6月登山の時くらいしか見られない、個人的に好きな高山植物の一つ。

足元には色鮮やかなイワカガミ。
文平ノ池の周辺の様子……池自体は雪に埋もれています。正面には大日岳。右側には北股岳、その左奥に二王子岳と見えます。

ハクサンイチゲと大日岳。

少しずつ近付いてきた大日岳。直下の残雪の少し下の辺りまで比較的緩やかな登りが続く。
更に進んだ所から大日岳……左に見えるオンベ松尾根上の牛首山の存在も中々。この辺りは全体的に切り立っており、比較的なだらかな飯豊本山とはまた違った雰囲気。

いよいよ問題の雪の急斜面が近付いてきた頃。


残雪地帯に到着。ピッケルは転ばぬ先の杖くらいに考えていたんですが、いざ目の当たりにするとこれは必要だなと……まさか6月になって使う事になるとは。


急登の途中の様子。真横を見るとものの見事に45度でした。雪も残雪期特有のぐずぐずの雪なのでグリップが効きにくい。
残雪を越えてから少し歩くと大日岳の山頂が見えてきました。背後に見える西大日岳も存在感ある。というか向こうの方が高いように見える。
コースは無く夏場は藪漕ぎになるものの行けない事も無いらしいので、次回来たら足を伸ばしてみたい。

[9:08-9:38]大日岳
大日岳に到着。若干雲が増えつつありますが、以前来た時は完全にガスで真っ白だったのでとりあえずは満足?
大日岳から南側の展望、オンベ松尾根と西大日岳方面。オンベ松尾根は麓から大日岳に直登する登り7時間強のタフなルート……次回もし飯豊に登る機会があったらこっちからかな。
こちら反対の北側、北股岳方面に続く稜線。登頂したばかりの頃はガスの中でしたが抜けてくれました。

今回の登山におけるメインのピークだったので記念に……他に誰も居ないのでセルフです。一見はしゃいでますが、先程の雪の急斜面の下りを控えていて内心緊張してました。
大日岳→御西小屋(復路)


大日岳を後にして御西小屋に戻ります。少し歩いた所で例の急斜面となり、再びアイゼン&ピッケル装備。
怖いのは登りより下りという事で慎重に下る。ガスが湧いていたので高度感ゆえの恐怖感は薄め。
ガスが抜けてくると、一度滑ってしまえば谷底まで落ちてしまうような恐怖感が……キックステップで一歩一歩踏みしめながら慎重に下っていく。
ガスが完全に流れてクリアになった頃。この辺りは笹薮の手掛かりも遠いので、一部クライムダウンで下降しました。
この辺りが斜度としては最も急でしたが、笹薮の近くは雪面がクラストしていてグリップが多少効くので、笹を手掛かりにしつつ意外と楽に下れました。


そこから少し下った所から先程降りてきた急斜面を振り返る。こうして見るとそこまで急峻では無さそうですが実際は45度……。

危険地帯の通過を終えたので、思いっきり気を抜いて御西小屋方面へ戻る。文平ノ池付近のお花畑は変わらず綺麗。

道端に生えるコバイケイソウ。
ハクサンイチゲと北股岳&二王子岳。雪と高山植物のコントラスト。
二王子岳方面を望遠で……調べてみると残雪期に二王子岳から門内岳まで歩く人も居るらしい。正直ちょっと唆られる。
荷物が留守番している御西小屋が見えてきました。
御西小屋~大日岳の往復、空荷だったのでそこそこ楽かなと思ったのですが、例の雪の斜面の通過を慎重に期したのとアイゼン&ピッケルの装備とかで手間取ってそこまでタイムを短縮できずでした。
御西小屋→御手洗ノ池

[11:08-11:44]御西小屋
御西小屋に帰還。デポした荷物を纏めていると、本日切合小屋から出発して御西小屋泊、翌日大日岳アタックという方が来られました。無事登れたかな?
御西小屋から梅花皮小屋方面を目指します。前に来た時は大日岳登頂後そのまま切合小屋方面に来た道を引き返す形の行程だったので、ここから先は完全に未踏のコース……なんですが、コースの大半が雪に埋もれていて何が何やらといった感じ。夏道も特に見当たらないので、とりあえず雪の上を進んでいきます。
天狗岳の登りの途中で御西小屋を振り返る……この御西小屋~烏帽子岳の間が今回の登山において最も雪の多い区間でした。
天狗岳の山頂付近からこれから向かう烏帽子岳を臨むもののガスに纏われています。この辺りに関しては雪が締まっているので別段歩きにくいという訳ではないですが、少し先では雪が薄く崩れかけている。あそこを歩くのか……と恐る恐る進む。

と思いきや、途中で夏道との分岐を見つけて安堵。
天狗岳の少し先から天狗の庭までの区間は夏道を辿っていきます。痩せ尾根気味でやや高度感ある稜線ですが、飯豊連峰の主稜上のメインルートという事で道そのものは良いです。
再び尾根がなだらかになってきた所。写真には映していませんが、近くに雪が多くあるのでブヨの攻勢が凄まじい。

[12:27]天狗の庭
天狗の庭の標識に到着。ちょっとした広場になっています。
天狗の庭の直下から夏道は途切れて再び雪の上を歩く形に……落差があるので、この残雪まで降下するのも一苦労。
そこから烏帽子岳の手前の登りまで長い雪上歩行。ただ、この辺りは雪面にクラックだらけで判断に迷う所……朝にすれ違った御西小屋の小屋番の方があみだくじ(行き詰まったら戻るの繰り返し)と言っていたのですが、まさにそんな感じの状態。


一見して雪が繋がっているようでも薄くなっている所も多いので慎重に見極めながら進む。実際、この区間は残雪期の滑落事故が多いとの話。


ここを越えるのは無理だったので右の写真の笹藪に突っ込んで高巻き気味に。すぐ先から雪面が続いていたのでそのまま進む。
波打っている怪しい雪面。雪庇を踏み抜いたらまず助からないので、なるべく尾根筋に近い所を歩きました。
御手洗ノ池→烏帽子岳→梅花皮岳
[13:43-13:54]御手洗ノ池
御手洗ノ池に到着。肌が焼けるような暑さでしたが、残雪に隣接している為か池の表面は凍結していました。

御手洗ノ池の横に現れた僅かな夏道。
スキー場のゲレンデのような残雪。斜度もそこまででもないので、この辺りは歩きやすい。
登りきった所から烏帽子岳。気付けば雲が取れていました。ここから先は雪道と夏道の交互みたいな形に。


短いクラック地帯を下った所から夏道というかザレ場の斜面。滑って歩きにくい。勢い付けて登る。
ザレ場の上から振り返った所。正面の崩れそうな雪の上を歩いてきました……奥には本日のスタート地点の飯豊本山も見えますね。
亮平ノ池とその先の残雪。ここから烏帽子岳に向けて纏まった登りとなるようで、少し先に木々の切れ目のような夏道が伸びています。
亮平ノ池の先の所で難儀したクラック地帯は終了。アップダウンも全体的に緩いので体力的に疲れる道ではないですが、神経使ったので気疲れ。
夏道に入った所からガスが湧いてきました。


烏帽子岳の登り。山頂直下の所で再び雪の上となりましたが、傾斜は緩く区間も短い。

[15:34-15:46]烏帽子岳
烏帽子岳に到着。あみだくじで遊んでいたらコースタイムより+1時間弱掛かってしまいましたが、登ったタイミングでガスが抜けて展望も良い感じなったので結果オーライという事で
烏帽子岳からの展望。右側がこの先歩く稜線で、梅花皮岳、北股岳と続いています。
こちらは、これまで歩いてきた飯豊本山方面の稜線。雲の中に飯豊本山~御西岳のなだらかな稜線が見える。

少し進んだ所から梅花皮岳と北股岳。この辺りの雰囲気は良い。

梅花皮岳の直下の残雪。こちらも傾斜は緩かったのでノーアイゼンで突破。
梅花皮岳の山頂手前の残雪の上から烏帽子岳を振り返った所。本日登った飯豊本山と大日岳がその背後に並んでいました。
梅花皮岳→梅花皮小屋

[16:10-16:19]梅花皮岳
本日最後のピークである梅花皮岳に到着。後は梅花皮小屋まで降りるだけとなるので、ここで景色を堪能するべく小休止。
梅花皮岳……ここも開けていて展望は良い。正面には北股岳から右に門内岳、扇ノ地神へと続く翌日歩く稜線が見えます。
梅皮花岳から下り始めた所から北股岳。均衡の取れた三角形が格好良い。すぐ手前の鞍部の所には本日の宿泊地である梅花皮小屋が見えています。

梅皮花岳直下のお花畑。ハクサンイチゲやキンポウゲ、イワカガミなど色々と。
梅花皮小屋近くから再び北股岳方面。良すぎる。
越えてきた梅花皮岳を振り返る。翌朝、日の出を見に登った人も何人か居られたという話。


[16:41]梅花皮小屋到着
本日の目的地である梅花皮小屋に到着……急にガスが流れ込んできて到着時点では真っ白でした。この小屋には豊富な水量の水場があるというという話なので、他の方に場所を尋ねた上で汲みに向かう。

トラバースの道を少し歩いた所にある梅花皮小屋の水場。ビール等の無人販売もありました。
梅花皮小屋周辺の雰囲気。石転び沢から登ってこられた方々で意外にも混んでいて、小屋泊が10名以上とか。ただ、テントは自分を含めて2人だけだったのでのんびりと過ごせました。
テントを張り終えた頃、大日岳を覆っているガスも抜けつつありました。


日没までまだ時間があるという事で、折角なのでテントの外で景色を眺めながらの食事。大日岳を眺めながら飲むお酒は普段より3割増くらいの美味しさ。

夕食は焼鳥とパスタという組み合わせ。お米の値段高騰でアルファ米も値上げしつつあるので、最近はパスタ半分くらい挟んでるかも。
夕食を終える頃には日没も近付き、辺りも次第に薄暗くなりつつありました。
こちらは北東側、山形盆地方面。雲も随分と減ってきました。明日も快晴だそうです。
夕日は北股岳に遮られて見えませんでしたが、徐々に赤みを帯びていく空の色の変化をぼんやりと眺めながら飲むウイスキーも格別の味でした。
『飯豊連峰その4』に続く
PR(今回、実際に使用した12本爪アイゼンとピッケルの紹介)
今回、大日岳直下の残雪ほか御西小屋~烏帽子岳で自分が実際に使用したグリベルの12本爪とブラックダイヤモンドのピッケル(ストレートシャフト)です。ピッケルは要らないかなーと思ってましたが必須でした……。
グリベルの12本爪については……アイゼンは幾つか持ってますが、これはグリップ力が最高で特におすすめ。雪山に行かない人でも、北アルプスの大雪渓とかを歩いたりする時に12本爪を1個は持っておくと安心です。軽アイゼンとは足元の安定感が全然違いますので。
ブラックダイヤモンドのピッケルも種類は色々ありますが、アイスクライミングとかやらないのであればストレートで全然OK。長さは『自分の身長マイナス110cm』のものを選ぶのが一つの目安です。

























































