山とか酒とか

登山やお酒を始めとした趣味全般を雑多に、また個人的に有用だと思った情報を紹介しています。

山とか酒とか

上信越国境登山その1(永井宿→三国峠→稲包山)

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いつしか毎年の恒例行事と化している6月の新潟方面の登山。2015年の苗場山から始まり、2016年には越後三山、2017年に谷川連峰(途中撤退)。2018、2019はモチベが下がっていて行かなかったものの、再び足を運んだ2020年には念願だった谷川連峰の縦走が叶ったという次第です……以下、本題に入る前にその遍歴を軽く紹介。

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登山を本格的に始めたばかりの2015年頃は日本全国様々な山を登りましたが、苗場山はその中でも特に思い入れがあります。だだっ広く平坦な山頂には大小の池塘が点在し、高山植物が咲き乱れる様子はまさに雲上の楽園と形容したくなる程。登頂の前日にテント泊した秘湯の赤湯温泉も、川縁に迫った所に湯船がある等野趣に富んでおり、そんな温泉を一晩貸し切りで堪能できたのは贅沢としか言いようがない……機会があればまた行きたいですね。翌日登った巻機山もなだらかな雰囲気でありながら適度に登り応えのある良い山でした。

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八海山、中ノ岳、越後駒ヶ岳越後三山を縦走した時の記録。前年の苗場山とは対照的に非常に起伏が大きく険しい山域。迫力のある展望を随所で楽しめましたが、コース上最大の難所とされるオカメノゾキを酷暑の中アブと格闘しながら越えたのは、最近の登山が生ぬるく思える程にしんどかった。その後の平ヶ岳尾瀬ヶ原方面の行程含めて途中で丸二日間、雨の日の停滞を余儀なくされたりと何かと過酷だった山行。

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谷川連峰縦走チャレンジの記念すべき第一回目。スタートは今回歩いたコースと同様、永井宿から三国峠まで旧三国街道沿いを歩きました。初日こそは天気もまずまずで問題なく歩けたものの、翌日平標山のピークに登るや否や一転して強風が吹き荒れ雹が打ち付ける過酷な天候に。頑張って仙ノ倉山と進んだものの、数日間天気の回復が見込めそうになかったので途中撤退……その次年の残雪期にも二回目のチャレンジを試みましたが、こちらも同じく仙ノ倉山にて途中撤退しています。

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去年の2020年6月に敢行した谷川連峰縦走。チャレンジ自体は2017年の一回目から数えて三回目に当たる回。二度程続いた三国峠からのスタートは飽きたので逆側、白毛から登り始め、無事に三国峠まで完歩しました。茂倉岳エビス大黒ノ頭といったピークの登り返しを始めとしたアップダウンはきつかったり酷暑にバテたりしたものの、朝日岳谷川岳万太郎山仙ノ倉山といった名峰からの展望は素晴らしいものでした。

という感じでコンスタントに登り続けている訳ですが、谷川連峰や越後三山は粗方登り終えてしまったので、じゃあ次の山域は何処に? となります。

そう言えば去年谷川連峰の縦走を果たした後、余裕があれば三国峠から西側方面にも進んでみたかったなーなんて考えつつも、翌日以降の天候悪化で実践できなかった事を思い出す。山域の選択としては若干地味かなとは思いつつも、志賀高原方面の登山と絡めればそこそこ華やかになるのではないかと思い、あれこれ悩んだ結果決定……他に裏越後三山浅草岳、守門岳といった対抗馬とも言える候補もありましたが、またの機会ですね。

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前置きが長くなりましたが初日の行程。この日は永井宿を出発して旧三国街道沿いを大般若塚、三国峠方面へ。当初は町営バスに乗り継がず、猿ヶ京から上ノ山、唐沢山と経由して大般若塚で旧三国街道に合流するつもりだったものの、暫く登山しておらず足が鈍っていたという事も鑑みて予定よりも短縮しました。三国峠以後は中央分水嶺の稜線上を長倉山、キワノヒラノ頭方面に進み稲包山まで移動。稲包山到着時点で雨が降り始めたので、この日は少々早めに行動終了となりました。

他の日程を見たい方は以下の記事よりリンクを辿って下さい。コース全体の軌跡もこちらに掲載しています。

【2021年6月】上信越国境登山についての情報と記録 - 山とか酒とか

目次

登山開始まで

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往路の電車内。前回の四国遠征以来、約2ヶ月ぶりに対面する相棒。2014年に飯豊連峰に行く際に購入したものですが流石に少しお疲れのご様子で、今回の登山でテントを括り付けるバックルが破損したり中のポケットの縫い付けが破れたりと立て続けに故障。寿命が近いのかもしれません。

しかし長年使っているだけあって身体には合っているので、中々買い替えの踏ん切りは付かない……暫くの間は補修で誤魔化しながらその老体に鞭打って貰う予定。

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八高線を乗り継いで北上します。全線単線で高麗川以北は非電化と正真正銘のローカル線ですけど、中央線沿線から始発を乗り継ぐ場合、都心回りで行くよりも早く高崎まで辿り着けるので個人的には重宝してます。

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もう何度も乗っている線区。関東平野の外れの丘陵地帯をのんびりと進んでいく。途中の児玉駅で列車交換するのも見慣れた光景ですが、何年か前までは明覚駅で行っていたような気がする。ダイヤも年々変わっているようですが、減便したり編成が短くなったりとネガティブな変化が多いのが少し悲しい。

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終点の高崎に到着。二両の車両はそれまで詰め込んでいた大勢の通勤通学客をホームに吐き出す……中には谷川岳方面に向かうと思われる登山者の姿も何人か見られました。

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高崎駅のコンコースへ移動。こちら方面の登山の際、ここでだるま弁当を調達して初日の夕飯にするのが恒例なんですけど、コロナ関係の時短でシャッターは下ろされたまま。去年に続き今年も買えませんでした。ぐぬぬ

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特に用事も無くなったので、次に乗車する水上行きの電車が入るホームへ移動。幾つかのポイントを乗り越えつつ緩慢とした足取りで列車が入ってくる……乗る度に思いますけど、田舎に向かう路線の割には結構混んでる。

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今回は水上まで行かず二つ手前の後閑で下車しました。大勢の通学生の改札を抜けていく……そう言えば暫く来ない内に無人駅になってました。自治体の中心みたいな位置付けの駅で昔は特急も止まっていたのに。零落ぶりが凄い。

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駅前に停車中の猿ヶ京行きのバスへ乗り換え。3分という中々タイトな乗り換え時間、その車体が視界に入った瞬間にエンジン音が響いたので慌てて飛び乗る。

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バスの中から駅を見据える。有人駅の頃からの大きな駅舎が残りますが、無人化して持て余し気味なのでそのうち小さいものに建て替えられてしまうかもしれません。

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バスの車窓から去年歩いた谷川岳の双耳峰が見えました。この山域を代表する名峰ですが、今回は三国峠から逆方面に進んでしまうので全く縁がない。

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バスはまっすぐ猿ヶ京方面に向かわず途中、上越新幹線上毛高原駅に寄り道します。新幹線利用者の便宜を図ったもので、付近の路線の多くはこの駅を経由します。谷川岳に行く路線なんかだとシーズン時は結構な乗客が待ち構えていて、この駅から急に満員に……なんて事もあったり。

上毛高原駅と言えば昨年末くらいに駅名改称騒動でニュースになってたのを思い出します。もとは上越新幹線が開通した当時に仮称として名付けられた駅名で、そのまま正式な駅名として採択されたものですが、『上毛高原』という地名及び名称は元々存在しなかった造語である上、その意味を示す範囲があまりにも広域過ぎる(上毛=上州、即ち群馬県域の高原及び高地)という事もあって開業から40年経っても未だ定着していない様子。結果どこにあるのかよく分からないから駅名変えてくれみたいな感じで、何年かに一度地元から駅名改称の請願が行われているという訳です。

個人的にも、こうしてバスで何度か通り掛かるようになるまでは、どこにあるのかよく分からない謎の駅という認識でした。

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猿ヶ京の関所前バス停に到着。当初の予定ではここから直接上ノ山方面に取り付くつもりでした。

しかし、暫く山を歩いていないという事もあって土壇場になって不安が増大。足が慣れ始めた二日目以降ならともかく、初日から多分そんなに歩けないだろうな……とかなんとか色々悩んだ結果、永井宿から旧三国街道を経由するコースに変更。4年前に最初に谷川連峰縦走を試みた時に歩いたコースでもあり、タイム的にも2時間の短縮となるのでひとまず安堵。

という訳で、永井宿に移動するべく接続する町営バスに乗り継ぎます。

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関所前バス停のすぐ側にいい感じの品揃えの酒屋さんがあり、猿ヶ京に来る際はここで立ち寄って四合瓶を調達するのが恒例となってます。今回も例によって立ち寄る。

ラインナップはこの付近の地酒が中心で、季節限定の生原酒なんかも多く置いてある……毎度毎度悩むのですが、今回はあまり都心で見かけない『悠』という銘柄を選択。

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バス停付近の雰囲気。猿ヶ京は江戸期に旧三国街道の宿場町として繁栄し、かつての三国峠越えの基地でもあった事から、当時の沼田藩によりこの町に関所が置かれました。当時の関所の建物の一部こそ現在でも残っていますが、宿場町を形成していた町並みは道路の拡幅により取り壊されたり、ダム湖である赤谷湖に沈んだりする等して多くが失われており、往時の名残みたいなものはあまり感じられません。

猿ヶ京は温泉地としても知られており、江戸期には笹の湯温泉・湯島温泉といった温泉街が形成されていました。どちらも昭和に入り赤谷湖に水没してしまったものの、現在では高台に移転して名も猿ヶ京温泉と改められました。

永井宿→大般若塚→三国峠

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[9:20]永井宿出発

小さなワンボックスの町営バスに揺られて登山のスタート地点となる永井宿へ。自治体運行のコミュニティバスとしては小さな部類で、乗車の際に降りるバス停を口頭で伝えるタイプです。

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下車した永井宿郷土館前のバス停付近。ここも集落内を旧三国街道が通過しており、その名前が示す通り宿場町でした。特に峠越えを控えた上州側の最後の宿場町として当時は重要視され、重厚な造りの旅籠が現在でも幾つか残っています。

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宿場町時代の資料や解説等が行われているという永井宿郷土館。興味はありつつも未だ一度も入った事がないです。時間に余裕がある帰り際とかであればともかく、いざ登り始めようという時には中々……。

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永井宿と刻まれた石碑。人の姿もなく静かな雰囲気。

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前述した通り、集落内にはかつて旅籠として使われていたと思しき重厚な建物が幾つか残っています。建物が大きいだけあって維持するのも中々難しいと思われますが、いつまでも残っていて欲しい街並み。

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集落内から旧街道沿いを登り詰めていくと国道に合流します。

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国道上を少しだけ歩く。数多のトラックが行き交う等して交通量が多いイメージの17号線ですけど、この日はやけに空いている印象でした。コロナ禍の影響もあるんでしょうか。

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[9:27-9:36]旧三国街道分岐

ヘアピンカーブの先端の所に登山口があり、ここから旧三国街道の峠越え区間となる登山道が続いています。ストックを用意したり熊鈴付けたり、諸々の準備を整えて出発。

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以降は完全に徒歩専用の登山道となりますが、かつて街道として使われていた道という事もあって道幅は広く傾斜も緩い。何日間にも渡る長い登山の最初の足慣らしとしては最適な道でした。

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旧街道を進んでいく。6月と言えば花が多く見られる季節で、色鮮やかな花々が足元を彩る……けど麓に近い所の植物は全く詳しくないので名前は謎。

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一度歩いた事がある道、という訳で緊張感は無く軽快に進んでいく。途中ヤマビル注意みたいな看板見て慄きますけど、時期的には少し先という所でそうした気配も感じられない。

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緩い傾斜の九十九折の道。まさに新緑って感じの雰囲気。

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緑溢れる静かな街道。けど、なんか曇ってきたのか薄暗くなってきました。

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足元に咲く花々。右のギンリョウソウを見かけたのも久々。

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[10:46]大般若塚

歩く予定だった上ノ山方面、そして法師温泉への下山道との分岐である大般若塚に到着。歩き始めで体力セーブしつつ歩いていたものの、意外と早く着いてしまった。

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大般若塚の供養塔。かつて三国峠は日本屈指の交通の難所として知られ、気候の厳しさで何人もの人々がこの地で命を落としていた。そうした人々が幽霊となり往来する旅人を襲い始めたという事で、幽霊を鎮める為に供養塔が建立されたのがその由来と……確かに昼間から薄暗くて幽霊でも出そうな雰囲気ですが。

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大般若塚以降は尾根筋を巻くトラバース路で、三国峠の手前くらいまで起伏は殆ど無く平坦な道程となります。歩きやすいけどその分距離があり、長さを感じさせられる。

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道端あちこちに石碑があります。三国峠三国峠の戦いと呼ばれる新政府軍と会津軍との衝突があった場所とされる戊辰戦争の激戦地で、そうした関係の戦没者を弔う石碑も多いようでした。

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苔むしていて傾いたベンチ。6月の低山という事もあってブヨが恐ろしいまでに多く、腰掛けてゆっくり休む……みたいな気にはなれない。

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三国トンネルに通じる下山道との分岐近くにある水場……というかただの沢。明治期、ここを通過した与謝野晶子が手で掬って飲んだ事という話から晶子清水とも呼ばれているらしいです。

以降は上ノ倉山手前のムジナ平まで水場らしき水場は無いので、ここで本日、そして翌日午前の分の水を補給します。既に重かったザックは凶悪な重さになり肩が無言の悲鳴を上げる。

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水場近くの分岐。三国自然歩道という遊歩道の扱いだからか標識等の案内は充実しています。紅葉の時期なんかは意外と人通りが多いのかもしれません。

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分岐先の東屋から少し進んだ所にあるのが長岡藩士雪崩遭難の碑。江戸中期頃、罪人を江戸で捕らえ護送中であった数名の長岡藩士がこの付近で雪崩に巻き込まれ、辛うじて逃れられた罪人と人足を残し藩士は全員死亡したという、この地域の気候の厳しさを象徴する事故があったという。

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木々の小窓から谷を挟んで向かい側の山が見えました。恐らくはこれから歩く予定の三国峠から長倉山方面の尾根でしょう。

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幾つか沢を跨いでいきます。この時期は雪解け水が多く水量も豊富。ちょっと指先を入れてみるとひんやり心地よい。

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見上げるといつの間にか薄雲が空を覆っていました。この日の天気予報は午後から雲が増えるとの事だったので予報通りだったのですが……雨が降らなければいいなーとか思いながら歩く。

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何かのスミレと何かの植物。

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交通量が多いだけあって悲惨な事故の多かった三国峠ですが、現在は静かで雰囲気の良い遊歩道といった感じの道です。

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三国峠に近付き展望が開けている所も幾つか。正面にはこれから登る長倉山が見えますが……なんか一気に薄暗くなってきたのが気がかりです。どんよりって感じ。

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南側の展望。まだ歩き始めて2時間半程度ですが、麓は既に遠い。

三国峠→長倉山

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[11:59-12:16]三国峠

鞍部である三国峠に到着。1年ぶり4度目とかでしょうか。なんか毎年のように来てる印象の場所です。

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峠に鎮座するのは御坂三社神社こと三国権現。上州(群馬)の赤城、信濃(長野)の諏訪、越後(新潟)の弥彦と、上信越三国の明神(それぞれの祭神を纏めて扱ったもの)が祀られています。つまりここで拝めば三国の著名な神社にお参りしているのと同義という訳ですから、3倍くらいはお得という訳ですね。

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拝殿の背後に聳えるのが三国山。登山道はそのまま尾根伝いに大源太山、三角山、平標山と続いてますが、今回はその方面には向かわず入口から見上げるのみ。

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人目につかない藪の中にひっそりと佇む地蔵。

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休憩はそこそこに稲包山方面へ出発。こちら方面は完全に未踏なので少しばかり緊張した足取りで……歩き始めて少しした所で送電鉄塔が。

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鉄塔の周辺は刈り払われていて眺め良しです。麓には国道のスノーシェッド、その奥にはホテルやリゾマン立ち並ぶ大都会苗場のビル群が見える。

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筍山の斜面に広がる苗場スキー場の奥には、平坦な山頂が特徴的な苗場山が見えます。流石にまだまだ雪は多そうな様子。

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長倉山方面への登り。藪の刈り払いが行われたばかりなのか道筋は明瞭。思ったよりもずっと歩きやすい道でした。

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少し登った所から三国山を振り返る。雲が多いですが高曇り気味なので展望は良いです。

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一通り登ると一転して傾斜が緩くなってきました……視界が開けたのか、三国山の左側には平標山が。左側、松手山方面に尾根が伸びているのが見えます。

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進行方向にも視界が広がる。最初のピークである長倉山が見えてきた。そして背後には沢山の山々が。

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長倉山の左側に見えた細かい山々。右から榛名山赤城山皇海山という並びが奥に見えます。曇ってても眺め良ければそれで良し。

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赤城山とその山麓に広がるパッチワークのような田畑。沼田市街の南東にある昭和村とかの辺りでしょうか。距離が近いからかその山体は大きく、黒檜山、駒ヶ岳地蔵岳、鈴ヶ岳といった具合に赤城山を構成する各ピークが細かく見える。

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痩せた尾根上に糸を通すように細い登山道が通されている。風が強い日は怖いでしょうけど、この日は凪いでいて気楽に歩ける。

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眼下には群馬県側の国道が見えます。背後には上州武尊山日光白根山皇海山等、遠く薄いながらも名だたる名峰の稜線が。

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足元に散らばるように咲くイワカガミ。ちょうどシーズンなのか今回は到る所で見掛けました。

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イワカガミを単体で。小さく可憐。

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長倉山への登り。急登にはステップのように段差が設けられていて登りやすいです。

長倉山→キワノヒラノ頭

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[12:43-12:49]長倉山

本日最初のピークである長倉山に到着。細長く伸びた頂上部の一端にあり特に山頂という雰囲気は無く、道の途中みたいな雰囲気。

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展望は北側に開けています。三国山平標山、仙ノ倉山方面の稜線がよく見える。左側には苗場山も。

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平標山、仙ノ倉山を望遠で。谷川連峰でも特に人気のある山々で、両ピークの間のなだらかな稜線上には花畑が広がっています……もう何度も歩いた区間ですが、こうして遠目から見るとまた行きたくなってくるから不思議。

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こちらは苗場山方面とその望遠です。なだらかな苗場山の右側に神楽ヶ峰方面の稜線が続いている。神楽ヶ峰と言えば中腹にあるかぐらスキー場が有名。

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こちらは進行方向の山々。華々しい谷川連峰方面のコースと比べると圧倒的に人気がないので鬱蒼とした地味な尾根歩きを想像していたのですが、意外にも展望が開けています。楽しい稜線歩きになりそう。

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ここで事故。景色が良いので半分余所見しながら歩いていたのが良くなかった。うっかり刈り払われた笹の上に足を乗せて滑ってしまい、咄嗟にストックを突き立てたら変な方向に力が掛かって折れてしまいました……春の四国行きに際して修理したばかりなのに。南無阿弥陀仏

しかもその後、折れたストックをザックに括り付けていたら木の枝か何かに引っ掛けたのか紛失してしまうという不手際。折れただけなら修理に出せるんですが、紛失したら丸々一本新調しなくてはならないので流石に買い替えかな。次は重い安物でも良いから丈夫なものを選ぼう。

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突如としてストック一本になってしまったりと不安要素が増えましたが、とりあえず先に進んでみる事に。とは言え流石にこの大荷物でストック無しは厳しいので、残った一本は絶対に折らないように丁寧丁重に扱う。去年の丹沢登山の時のように立て続けに御釈迦にしてしまう事態は避けたい。

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笹の多い道のアップダウン。急登というような箇所は少なく、片方ストックのみでも軽快に歩ける。

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木々の間から仙ノ倉山。右側の少し尖った所が山頂です。その右後ろに見えるのは万太郎山から北に伸びる大ベタテノ頭のピーク。右手前に見える鬱蒼としたなだらかなピークは三国山の尾根続きにある大源太山

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シダ植物っぽい何か。

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先に見えるのが次に向かうキワノヒラノ頭のピークでしょうか。まだ標高が1,500m弱と低く、一帯の全容は把握できない。

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綺麗に刈られていて歩きやすい道。トレラン界隈でもそれなりに人気のコースらしいです。

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振り返り長倉山、三国山方面。ストックを折ったのは尾根伝いの所にある送電鉄塔の辺り。左の鞍部が三国峠で、こうして見ると大して進んでないですね。

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平標山、仙ノ倉山がよく見えるスポット。三国山方面から三角山、大源太山と続く稜線もよく見えます。

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平標山&仙ノ倉山を少し望遠で。平標山の東側に雲が引っかかっているのが気掛かり……天気は持ち堪えてくれるかな。

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こちらは進行方向。正面のピークがキワノヒラノ頭……更にその左側には次に向かう稲包山のピークが見えてます。キワノヒラノ頭の右側には翌日歩くセバトノ頭、上ノ倉山方面の稜線。

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基本刈り払われていますが所々で鬱蒼としている所も。特に問題なく歩けますが。

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途中で見かけたドウダンツツジ。真紅に染まった壺状の花弁が美しい。

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曇りがちなので日陰は基本薄暗い。虫も多いので足早に脱出。

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登りの途中からこれまで歩いてきた尾根筋を振り返る。標高が上がったからか、三国山から平標山方面の稜線を一望できるようになりました。

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笹薮茂る道を黙々進んでいく。左奥に小さく見えるのが稲包山……まだまだ先は長そう。

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キワノヒラノ頭への登頂直前、久々に青空が見えました。

キワノヒラノ頭→稲包山

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[13:47-13:58]キワノヒラノ頭

僅かに日差しが差し込んできた頃にキワノヒラノ頭に到着。長倉山同様に通過地点のようなピークで山頂広場のようなものはないです。

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痩せ尾根みたいな所に設けられた山頂なので展望は開けています。しかし結構歩いてきた割にはまだ三国峠すぐ側の三国山よりも標高が低いという。

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三国山から仙ノ倉山方面の稜線。大源太山の右側には万太郎山も見えますね。

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万太郎山を単体で。平標山から谷川岳の中間程に位置する谷川連峰の主要ピークの一つ……流石に遠く見える。去年登った時にブヨの大群に纏わり付かれたので、ブヨが沢山潜んでいる山というイメージが強い。

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山頂から少し先に進んだ所からの展望……こっちの方が開けていますね。左には先程のキワノヒラノ頭、中央右の少し低いピークが長倉山といった感じの位置関係。

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晴れてきたかなと思ったら再び曇ってきた……鬱蒼と茂ったトラバース路は陰がちで薄暗い。

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木々の合間から翌日歩く山々を臨む。主峰である白砂山は左から2番目に見えるピークですが……遠い。

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こちらは進行方向。稲包山が徐々に近付いてきましたが、なんだか起伏も激しくなってきて見た目以上に時間がかかりそうな印象。

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谷筋から赤城山方面。送電鉄塔がある以外は周囲に人工物は見えず緑一色。ただただ山深い。

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アップダウンの激しい稲包山方面の稜線。けど展望は楽しめそうな雰囲気。

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白砂山方面の山々とその望遠。右の写真の中央が白砂山東側の上ノ間山で、白砂山のピークはその右奥に見える尖ったピークです。

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中々近付かない稲包山。ストックも一本なので足取りは慎重。

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かつての道標でしょうか、朽ちた木の杭のようなものに『ぐんま県境稜線トレイル』の真新しい銘板が打ち付けられています。

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そこまで人が歩いている雰囲気ではないですが、いい感じに整備された道。まさにトレイルって感じ。

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あと幾つ越えれば稲包山かという所。小刻みな起伏が多く体力を奪われる。

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所々で鬱蒼とした道。自然に還りつつある。

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少し開けた所から赤城山方面。天気は相変わらずどんより。

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北側の展望。翌日向かう上ノ倉山、白砂山方面の山々と、右側には谷川連峰苗場山はこの位置からだと手前の山に隠れてしまい見えない様子。

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ようやく目前まで迫った稲包山を見上げる。しかし時間帯が時間帯という事もあって山頂には人の姿は無いです。

ちなみに道中全く誰とも会わなかったという訳ではなく、途中で三国峠から稲包山往復の日帰り登山の方とすれ違いました。全く人が入っていない山域という訳ではないようで一安心。

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歩いてきた尾根道を振り返る。一つ一つの起伏は小さいですが傾斜はそこそこ急です。ストックが片方無いので片手は笹を掴んで登り下りなので今回は5日間殆どずっとグローブ付けっぱなしでした。

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左側のピークが稲包山です。殆ど登頂したも同然ですが……頭上の雲が厚みを増してきているのが気になる。

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山頂の手前に白砂山方面へと続く縦走路の分岐があります。とりあえず一旦は山頂を目指す。

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分岐付近から西側、上ノ倉山、白砂山方面の山々。雲が増えてきて心配だったのですが、遂に雨が降り出してきてげんなり。分岐に荷物を置いて山頂の往復を思っていたのですが、初日から荷物を濡らすのも……と悩んだ結果、少し早いですがこの付近を宿とする事に。

稲包山からの展望

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[15:34]稲包山到着

この付近の主要ピークである稲包山に到着。山頂広場は狭いですが、麓の四万温泉にある稲裹神社の奥社が山頂標識のすぐ側に鎮座している。

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山頂の雰囲気。360度視界を遮るものがない山頂ですが、その分風が吹き付けてきて寒い。ビバーク地としては不適そのものですが。

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山頂からのほぼ360度展望……雲が随分増えてしまった。赤城山も殆ど霞んでしまって見えない。

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北側180度くらいの展望。翌日歩く白砂山方面の尾根筋も起伏が多く、一筋縄では行かなそうな物々しさを感じさせる雰囲気。右側には先程から見えている谷川連峰の山々。

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谷川連峰を望遠で。これまで手前の稜線に隠れてしまっていたエビス大黒ノ頭谷川岳も見えますね……谷川岳は往路のバスの車窓から眺めて以来でしょうか。谷川岳左側には馬蹄形の稜線が続いていますが、一ノ倉岳が見えるか見えないかという所。

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見える山は多くはないですが山名入り。主要ピークは概ね見えているので満足といえば満足。

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万太郎山から谷川岳の辺りを望遠で。オキの耳、トマの耳といった双耳峰の谷川岳を構成する二つのピークがよく見える。

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こちらは翌日歩く方面の山々。谷川連峰が最高峰の仙ノ倉山で2,000mを越える程度に対し、こちらは上ノ倉山、白砂山と2,100mを越えるピークが続く為か、全体的に山体が大きく見える。

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山名入り。翌日はセバトノ頭→大黒ノ頭→上ノ間山→白砂山と辿っていきます。遠すぎ。

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麓の苗場スキー場のビル街。山肌にゲレンデが広がっているのが見える。

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こちらは南側、赤沢山方面への尾根道。登山道を下っていくと四万温泉に行けるらしいので、真逆の行程を辿ってこちらから下山するコース取りも案の一つでした。

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山頂の社とか標識の色々……一晩お世話になります。指定地以外でのテント泊となるので今回テントの写真はありません。

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恒例のアルファ米定食と恒例の天空ソーセージ。谷川連峰の稜線を眺めながら肉を齧るという贅沢。

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今回担いできたお酒達。左の根知男山の瓶は中身は別で、益荒男の純米生原酒を移し替えて持ってきました。

益荒男は常きげんの銘柄で知られる石川県の鹿野酒造の銘柄の一つで、蔵元が醸造だけではなく米作りにも携わったものを別銘柄として仕立てたもの。純米なのでスペック的にはそう高くはないですが、味わいは力強い酸味と甘味で抑揚が付いており、名前の通り荒々しくも飲み飽きないバランスの取れたお酒でした。

一方、猿ヶ京で調達した醸造元は群馬県の沼田で利根錦等を醸す永井本家。悠シリーズは醪を絞る際に圧搾機を使用せず袋吊りの手法で行われたものを特別にブランド化したもので、故に量は作れずあまり出回っていないとの事。スペック的には山田錦の50%吟醸(実質大吟醸)という事で洗練された味わいですが、絹糸のような繊細さを感じさせる甘味が特徴。

対極にあるようなお酒でどちらも楽しめましたが、4日行程に四合瓶二本は多すぎるのではと……この時点ではそんな後悔もありましたが、後々1日延びて5日行程になったので結果オーライみたいな感じではあったり。

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夕食を終えて空はいつしか薄暗くなりつつある。テントのフライシートを響かせていた雨音もいつしか聞こえなくなっていた。

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谷川連峰を再び望遠で。雲が流れてくれて一ノ倉岳が見えるようになりました。 更に先に続く稜線も見えますが、その隣のピークである茂倉岳は手前の稜線に隠れてしまって見えるかどうかは微妙な所。

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これまで雲に埋もれていた太陽ですが、鬱憤を晴らすかのようにその存在感を露わにする。

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しかし程無くして日没。西の空に蟠る雲の中に吸い込まれていきました。

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太陽が沈んだ頃、頭上には澄んだ青空が広がっていました。翌日の天気予報は丸一日晴れ……期待できそうかな。

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太陽を飲み込んだ雲。暫くの間赤味を帯びていました。

次回記事『上信越国境登山その2』に続く。

inuyamashi.hateblo.jp